ジーン・ウールの不思議な旅

ジーン・ウールは不思議な女性です。姿を変えて過去にも未来にも現れます。
もしかしたら貴方の友人や奥様かも知れません。

ギルガメシュとエンキドゥ 7

2006-07-13 10:02:02 | ギルガメシュとエンキドゥ
7.
 フンババは激昂し叫ぶ。「わしの香柏を切り倒す者たちよ! お前たちを天上まで持ち上げてしまうぞ! それから冥界へたたき落としてくれる!」
フンババはギルガメシュとエンキドゥをその目に捉えました。

「ギルガメシュよ、愚か者と無骨者とで相談してみよ。お前は子わっぱだから、わしはお前を相手にしない。わしがお前を殺したところで、何の足しになると言うのだ」
それからエンキドゥだ。
「エンキドゥよ、なぜお前はギルガメシュをわしの前まで連れてきたのだ。粘土から生まれたお前は、わしと同類ではないか、お前はよそ者である敵と共に立つのか」
それからギルガメシュだ。
「ギルガメシュよ、わしはお前の喉笛とうなじを噛み砕こうぞ! お前たちの肉をアンズーに喰わせるぞ!」

フンババの顔がみるみる怖ろしいものに変わっていきました。その顔は、悪意そのもの。世の中のすべての厭わしいものも、この顔には及ばない。カッと見開いたフンババのまっ暗な目から、まっ暗な口から、ゆっくりと暗闇が流れ出た。その暗闇は、千里眼の目であっても見通せない暗闇だ。暗闇の中から、その暗闇を見つめる者が心に描く恐怖が形をなして現れた。ギルガメシュが心に描いた最大の恐怖が、彼に襲いかかった。

エンキドゥが忠告したように、イマジネーション豊かな人間は、誰もフンババを見ることが出来ないのです。イギギの神々でさえ、天候神アダドでさえ、火神ギラでさえ、戦神シャラでさえ尻込みしてしまうのだ。
ギルガメシュは天を見上げ天の太陽神シャマシュに叫んだ。ギルガメシュの目から涙が運河のように流れ出た。
シャマシュは、ウルクのはえぬきの言葉を聞いた。ただちに天から警告がギルガメシュに響いた。

「急いで彼に立ち向かえ。彼が森に入らぬようにせよ。彼が森に下って行かぬようにせよ。隠れぬようにせよ。彼はまだ7枚の鎧着を身につけてはいない。1枚だけ身につけ。6枚は脱いでいるのだ」

天の太陽神は、ギルガメシュの祈願を聞き届けた。シャマシュが大きな風を吹き上げた。南風、北風、東風、西風、唸々風、寒風、旋風、悪風。八風がフンババに対して吹き上がった。風は目を繰り返し打つ。フンババは進むことも退くことも出来ない。一瞬闇が晴れた。その瞬間、ギルガメシュは鍛え上げた大斧を振り上げ、フンババの頭を撃った。彼らの足の踵で大地は裂け、彼らが跳びまわると、シララとレバノンは裂けた。白雲は黒くなり、死が霧のように彼らの上に降り注いだ。フンババは6枚の鎧着を身につけていないため、暗闇の中に身を隠すことが出来なかった。
血を流しつつ、フンババは戦うことを止めた。そしてギルガメシュに言った。

「わしを離してくれ、ギルガメシュよ! お前がわしの主人になれ! わしはお前の僕になろう。そして、わしが山で大きく育てた頑丈なプルプリをお前のために伐採しよう。お前が諸宮殿を建てられるようにだ」
ギルガメシュはエンキドゥを振り返る。エンキドウはギルガメシュに言った。
「フンババの言う言葉を聞いてはいけない。その嘆願に耳を貸すな」

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