瀬戸の住職

瀬戸内のちいさな島。そこに暮らす住職の日常。

第十東予丸遭難死者69年めの慰霊祭

2014-11-05 | Weblog


11/3(月・文化の日)、69年めの第十東予丸遭難死者の慰霊祭を開催しました。
事故が起きた11/6より数日早い開催でしたが、休日にした為、孫ひ孫の代の若い方々も新たに参加していただきました。
450名余が亡くなった未曾有の海難事故の記憶を風化させないという目的もあるので、若い方々の参加は心強く思います。

当日、11:00より禅興寺本堂にて慰霊祭。
近隣のお寺さん方にもご随喜いただいて、お釈迦さまの遺言のお経を読誦。

その後、木浦港よりボートにて約10分、悲劇の海を今も見つめる六つ磯のお地蔵さん付近まで行き、読経中それぞれが持参した花や酒を故人に届けと奉げました。
風はあるものの、空は良く晴れ水面に輝く光が美しく、かつて大勢の命を飲みこんだ海とは思えません。
毎回快くボートを出してくれる同級生のN君にはただただ感謝です。

この日お参りに来られた老婦人Sさんに教えていただいたのが“亥の子潮(いのこじお)”という言葉です。
亥の子(今年の第一亥の子は11/12)のころは、風が出て潮が荒れやすいのだそう。
Sさんの亡父さまは「亥の子潮で海が荒れなければ良いが」と心配しながら尾道港から乗船、事故に遭われたが、幸いに甲板に居たため助かったとのことです。
助かった亡父さまですが、生涯東予丸遭難者に心を悼めておられたそうで、Sさんは「父の代わりに来ています」と仰っていました。

当地には“亥の子”という行事があります。
集落の子供らが家々を廻り、数本ロープが付いた石を庭に叩きつけつつ、数え歌を歌いながらその家の繁栄を祈るというものです。
亥の子の日よりコタツ(暖房器具)を出して良しという習わしが伝わっているのは、季節の変わりめを教えてくれる古人の知恵でしょう。

来年は丸70年の節目の年となりますので、慰霊祭を開催します。

今回も告知記事と報告記事を掲載して下さった愛媛新聞さん、ありがとうございました。
さっそく「今回不参加ですが、次回はご案内ください」とのご連絡もありました。