瀬戸の住職

瀬戸内のちいさな島。そこに暮らす住職の日常。

9・11

2006-09-14 | Weblog
ニューヨークの世界貿易センタービルやワシントン郊外の国防総省に、乗っ取られた旅客機が突っ込み、約3000人が犠牲となった9月11日。
あの惨劇から5年が経過した。

アメリカのブッシュ大統領はイラク戦争を対テロの“正義”と称して未だ鼻息は荒いが、イラク戦争での犠牲者は絶えない。
世界にテロの脅威は残されたままだ。
流血の報復は新たな憎悪を生み続けてゆく。

ブッシュ大統領が宣揚し続ける“正義”こそがそもそも胡散臭い。

かつてアメリカはイランイラク戦争時には、盛んにイラクのフセイン政権に対して軍事支援をした事実を忘れてはならない。
しかも当時アメリカの副大統領としてイラク支援作戦を立案し実行したのは、他ならぬブッシュ大統領の父親だった。
イラクに派遣されているアメリカ兵たちは、自国の武器を相手に戦っているということになる。
湾岸戦争の発端となったイラクによるクウェート侵攻も、その要因を作ったのはイギリスとアメリカの石油エネルギーへの色気だった。

アメリカ追従の日本においても昨今、“正義”の為には人命の犠牲もやむ無しといった雰囲気を感じているのは私だけでしょうか。

“不殺生”は、仏教での重要な戒律。
人間の善悪判断によって崩されることの無い絶対の法だ。
僧侶として、理屈抜きの“不殺生”を説いていく、そんな勇気を持たなければ。
一部の権力者によって決められる善悪の価値観に流れてしまいがちなこんな世の中だからこそ。