「ゆるちょ・インサウスティ!」の「海の上の入道雲」

楽しいおしゃべりと、真実の追求をテーマに、楽しく歩いていきます。

いつか、桜の樹の下で(11)

2013年04月03日 | アホな自分
会津旅行の二日目。二人は朝から露天風呂に入っていた。

「朝の温泉って気持ちいいわねー」

と姉のマミカ(26)が言う。

「ほんと、外が少し冷え加減だから、余計、温泉が有難い感じね」

と、妹のレイカ(21)が言う。

「わたしの肌も白くて美しいって言われるけど、レイカの方が数倍綺麗ね。透き通るようだもの・・・」

とマミカが言ってくれる。

「お姉ちゃんは、何人の男性にその裸が美しいって言われたの?」

と、レイカがツッコむと、

「そうねー。何人かしら?」

と、マミカはとぼけている。

「でも、わたしにだって、ちゃんと基準はあるんだからね」

と、マミカは真面目な顔をして言う。

「どんな基準なんですか?マミカお姉さま!」

と、レイカは機嫌良さそうにマミカに言う。

「まず、スポーツマンであること。紳士であること。知恵のくるくるまわる男性であること。周囲に気を使えるやさしい男性であること・・・」

と、マミカは指を一本ずつ折りながら答えている。

「大人の強い男性であること。目がキラキラしている男性であること。さわやかな笑顔を出せる男性であること。目を合わせても、素敵な笑顔を出せること」

と、マミカは条件をすべて言い尽くした。

「そういう男性よ。わたしが、寝る相手は・・・だから、なかなかいないんだから・・・苦労しているのよ。これでも・・・」

と、マミカはレイカに言う。

「でも、確かにお姉さんのお相手は、素敵な大人の男性ばかりだったわね・・・」

と、レイカはマミカに言う。

「そうでしょ?ただわたしはそういう男を見つけたら、自分から行くの。男性の落とし方なんて簡単なんだから・・・」

と、マミカは言う。

「ねえ、お姉さん、イケメンっていう条件は入っていなかったけど?」

と、レイカが聞く。

「ああ・・・イケメンは勘違いくんが多いから、特に条件には、いれてないの・・・イケメン君って、甘えん坊だったり、独善的だったり、失格な男性が多いから」

と、マミカが言う。

「確かに・・・」

と、レイカの脳裏に、高校の頃、ちょっかいばかり出してきた田口ユウの姿が浮かんだ。

「それより、男性の本質的な落とし方、知りたくない?教えてあげるわよ。ものすごい効果的な男性の落とし方!」

と、マミカが言ってくれる。

「教えて教えて!」

と、レイカも乗る。

「まず、相手の男性が朝、絶対に通る場所を探っておくの。まあ、会社だったり、大学だったり、朝通勤してくる時間帯って必ずあるじゃない。学校なら、通学ね」

と、マミカが言う。

「うん。あるわね。彼は毎日8時半には校門を通過する、みたいなことでしょ?」

と、レイカが言う。

「そうそう。それで、その時間に彼とは逆の方向から歩いて行くの。そして、目を見て、挨拶をするの」

と、マミカが言う。

「それで?」

と、レイカ。

「その時に、相手の目を見ながら、身体全体を相手の視界にいれるように動くの。相手の視界に身体を入れた瞬間の彼の目をチェックするの」

と、マミカ。

「人間は、素敵な異性はずーーーっと視界に入れておきたいと考える動物なの。逆に、興味のない異性は視界に入れたくないの。だから、相手の視界に自分をいれれば?」

と、マミカ。

「目の表情に思っていることが出るってこと?」

と、レイカが返す。

「そ。そういうこと。目が笑えば、自分は相手に気に入られていることがわかるし、不快な表情になるか、視線がはずれたら、相手に気にいられていないことがわかるのよ」

と、マミカは教えてくれる。

「この方法のいいところは、自分の恋が成就していることがすぐにわかることなの。相手の目が笑えば、恋は成就しているってことになるから」

と、マミカが教えてくれる。

「もちろん、自分が相手の視界に入った時、自分の目も笑ってるけどね。好き同志が見つめ合えばいい表情になる、あれよ・・・」

と、マミカが教えてくれる。

「そうか・・・そういうやり方があるんだ・・・」

と、目からウロコのレイカだった。

「農工大の水野くん・・・デートもしたことないんなら、女性の恋の気持ちなんて絶対に気付けないわ・・・あなたはその水野くんをどうやって落とそうと思ってたの?」

と、マミカはレイカに聞く。

「え?・・・そのー、好き好き光線を出そうかな、と・・・」

と、レイカは言う。

「例えば?」

と、マミカ。

「自分が好きなモノをそれとなくプレゼンするとか、自分は姫と呼ばれていたの・・・とか・・・自分のことをそれとなくプレゼンすれば、わかってくれるか、と・・・」

と、レイカ。

「20代前半のおんなは、これだからなー・・・」

と、ため息をつくマミカ。

「まあ、恋愛経験者の大人な男性なら、理解してくれるとは思うけど、水野くんは恋愛初心者でしょ?それは単なる自己紹介だと思うだけよ」

と、マミカは言う。

「だめかな?それじゃあ?甘いかな?」

と、レイカが言う。

「うん。全然大甘」

と、マミカ。

「まあ、最後は、わたしのさっき教えたやり方をやれば、一発でわかるわ。彼の気持ちがね」

と、マミカ。

「彼はわたしのこと、気にいってくれてるのは、わかってるのよ・・・」

と、レイカ。

「え?そうなの?」

と、今度は驚くのはマミカの方。

「だって、彼が酔って、自分に素直になっている時は、わたしのことレイカちゃんって呼ぶし、わたしと一番しゃべりたがるし・・・」

と、レイカは説明する。

「この間なんて、「レイカちゃん、今度いつ手料理作ってくれるの?」なんて聞いてくれたし・・・これって、かなり気にいってる証拠でしょ?」

と、レイカは説明する。

「なーんだ・・・でも、いずれにしろ、あなたが水野くんに恋してることは、シラフの水野くんにわからせなさいよ。どんな手を使ってでも!」

と、マミカはレイカに発破をかける。

「うん。わかった、お姉ちゃん」

と、レイカも真面目に返している。

「シラフの水野くんが、レイカの恋ゴコロを正確に理解すること。そして、それを受け入れる決断をすること・・・そこがこの恋の鍵になるわ。レイカ、がんばりなさい」

と、マミカも真面目に話している。

「うん。お姉ちゃん、アドバイスありがとう。わたし気合いれて、がんばるわ」

と、レイカは真面目に決意した。


二人は温泉旅館の朝食を満喫すると、旅館をチェックアウトし、タクシーで早雲山神社に向かった。


良縁を得ることが出来るという早雲山神社は、全国から多くの参拝者があった。

二人は早速、おみくじを引いた。

「あー、わたしは中吉・・・願い叶うが、雨の日も多しだって・・・涙することも多いってことかなー」

と、マミカは不満そうな顔をしている。

「ええと・・・わたしも中吉だわ。思い伝わるも多難だって・・・なんか、複雑・・・」

と、レイカも不満そうな顔。

「まあ、いいわ。とにかく、お守り買って、参拝して、恋の運気のパワーアップよ!」

と、マミカが言い、レイカも頷く。

二人は恋のお守りを買って、参拝した。

「水野さんとの恋が成就しますように・・・」

レイカは本当に真面目に願った。


二人は、早雲山神社を出ると、タクシーで7日町通りに向かった。

タクシーを降りた二人は、大正レトロな雰囲気の7日町通りに歓声をあげた。

「わたし、こういう雰囲気大好きー」「わたしもー」

と、マミカとレイカは言葉にする。

「へー、雰囲気あるねー。漆器だって、ちょっと見ていこうよ。アクセサリーとか、あるかもしれないし」

と、マミカはさすがにCAだけあって、旅行慣れしている。

「あ、ほんとだ。漆器のアクセサリー」

と、レイカは口にする。

「これが会津塗というのね。やはり、金の蒔絵っていいわあ。こういうレトロモダンな和物がひとつあると、いいんだけどなあ・・・」

と、マミカは言葉にする。

「蒔絵の箱をひとつ持っていたら・・・それは確かに素敵よね・・・でも、お値段もなかなか・・・」

と、レイカも言葉にする。

「確か、実家にある古いお重・・・金の蒔絵だったじゃない・・・」

と、マミカ。

「ああ、そうね・・・お正月と花見の時だけしか使えない・・・なんか、とっても高級だって、なんとなく感じたもの・・・」

と、レイカ。

「わたしも結婚したら、蒔絵のお重をひとつ持ちたいわ・・・」

と、マミカ。

「そうね・・・確かに、それはそう思うわ・・・」

と、レイカ・・・しかし、目の前の蒔絵のお重は、相当な値段だった。


「と、このお店は・・・香ばしい匂いだわ」

と、マミカ。

「味噌田楽を焼いているのね・・・いい匂い」

と、レイカ。

「ちょっと食べていこう。小腹が空いちゃったわ」

と、マミカ。

「そうね。自然なモノだし、女性は好きよね、こういうの」

と、レイカも笑顔。


マミカもレイカも味噌田楽を渡され、二人共それをハフハフ食べている。

「味噌ダレがとっても美味しい」「いろいろな薬味が練りこまれているみたい」

と、二人共嬉しそうに味噌田楽を頂いている。

「お客さんたつは、どっから来なさったね?」

と田楽を焼いてくれている、おばあさんが二人にわざわざ聞いてくれる。

「東京は神楽坂から来たんですよ」

と、マミカが言うと、

「あら、あんたたつ、芸者さんか、なんかかえ?えらくべっぴんさんだと思ったら」

と、おばあさんは、たまげた様子。

「違うんですよ。わたしは、キャビン・アテンダント、彼女はまだ、大学生なの」

と、マミカが言う。

「キャバンアテンダ?」

と、おばあちゃんは目を白黒・・・。

「あ、昔でいうスチュワーデスです。あたし」

と、マミカが説明すると、

「あ、スチュワーデスさんかえ・・・どうりで、ぺっぴんさんだと思ったわ・・・」

と、おばあちゃんは、目が無くなっちゃうくらいの笑顔で、大笑いしてくれました。


二人はかわいいおばあちゃんに、やさしくされながら、もう一本の味噌田楽を食べました。


つづく

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