「ゆるちょ・インサウスティ!」の「海の上の入道雲」

楽しいおしゃべりと、真実の追求をテーマに、楽しく歩いていきます。

「バレンタインまでにすべき10の事 ~吉祥寺ラバーズ~」(3)

2013年02月06日 | アホな自分
1月上旬の土曜日の午前12時頃。アイリのマンションで、タケルとアミとマキが話し込んでいた。

「ドジっ子戦略・・・確かに、その恋愛攻撃力は高くて・・・大人の男性も魅了されたりするんだよね。素晴らしい恋愛攻撃力なんだ。ドジっ子戦略は・・・」

と、タケルは言う。

「だけど、ドジっ子戦略が恋愛攻撃力が高すぎるからこその弱点があるんだ」

と、タケルは言う。

アイリとアミとマキは、息を飲みながら、そんなタケルを見つめている。

「ドジっ子戦略の弱点・・・それは、「大人の女性を求めている男性は、落とせない」ということなんだ」

と、タケルは言う。

「大人の女性を求めている男性・・・」

と、アイリは言葉にする。

「確かに、ドジっ子は、かわいい・・・でも、大人の男性は、結婚相手として、大人の女性を選ぶもんだ。例えば過去に結婚の経験があれば、なおさら・・・」

と、タケルは言葉にする。

「ドジっ子は、かわいいけど・・・大人の女性を求める、大人の男性からすれば・・・妹的、あるいは、娘的にかわいく感じちゃうんだよね」

と、タケルは言う。

「なるほど・・・確かにわたしも、マミちゃんのこと、妹的に可愛く感じていたわ」

と、アイリ。

「確かに・・・マミちゃんは、妹って感じだもんねー」

と、マキ。

「まあ、私の実の妹なんだし・・・そう感じるのは、当たり前なんだけど・・・だから、マミは、これまで、あまりうまく恋愛が出来なかったってこと?」

と、アミは、タケルに聞いている。

「マミちゃんがこれまで、どういう恋愛をしてきたか・・・僕は知らないけれど、ドジっ子戦略に落ちる男性は、大人の男性じゃない・・・子供だってことさ」

と、タケルが指摘している。

「マミちゃんの相手は自然、子供に限られるから・・・まだまだ女性もリード出来ないし、奪い合う恋だからね。だから、あまりうまくいかない恋になるんだ」

と、タケルは説明している。

「与え合う「大人の愛」、奪い合う「子供の恋」・・・それ、ショウコさんに教わった話だったわね」

と、アイリ。

「そうだ。恋愛に対する素敵な知恵だよ・・・子供は経験が少ないから奪い合う恋しかできない。唇を奪う、ハートを奪う、処女を奪う。奪う恋しか出来ないんだ」

と、タケル。

「だから、「子供の恋」は、奪い合う恋になっちゃうんだね」

と、タケル

「逆に大人は経験があるから、愛を与え合うことが出来る。見返りを求めない「無償の愛」をお互い与え合えるのが、「大人の愛」なんだ」

と、タケル。

「その知恵を元に考えれば・・・マミちゃんがこれまで、経験してきた恋愛は、「子供の恋」だったことが、すぐにわかる」

と、タケル。

「確かに、マミのこれまでの恋の相手は・・・若い男の子達ばかりだった・・・」

と、アミ。

「まあ、いずれにしろ・・・バレンタインデーまでに、マミちゃんに自分に自信を持たせる、っていうミッションだけど・・・」

と、タケルはアミを見ながら言葉にする。

「マミちゃんに恋のターゲットを作って貰わないと・・・そうしないとマミちゃんも、燃えないんじゃないかな?」

と、タケルが言うと、

「確かにそうねー・・・女は好きな男が出来て始めて動き出すもんだし・・・」

と、マキ。

「マミちゃん、気になっている男のひととか、いないの?」

と、アイリ。

「うーん、最近、あまり、男の話はしてないわねー」

と、アミ。

「まあ、そのあたりは、恋愛参謀として、僕が直接マミちゃんに聞いてみるよ。とにかく、二人で話してみないと、マミちゃんの今すら、わからないから」

と、タケルは腹をくくったようだ。

「マミちゃんに好きな男性がいなければ・・・いずれにしろ、もう、マミちゃんは、ドジっ子戦略を卒業すべき時期に来ている・・・」

と、タケルは言う。

「マミチャンは、大人の女性にならなければ、いけないんだ・・・」

と、タケルが言う。

「「与える愛」をしあえる、大人の男性、大人の女性の仲間入りが必要だってことなんだ」

と、タケルが言う。

「「与える愛」か・・・タケルくんは、それが出来るから・・・大人の女性に人気なのね」

と、アミが言う。

「ん?アミちゃん的に説明すると、それ、どういうこと?」

と、タケルはアミに振る。

「いつも私達の気持ちを最初に考えて、わたしたちが気分よくなるように、なるように、動いてくれるじゃない、タケルくんは」

と、アミは説明する。

「まあ、そうだね・・・それが大人の男の基本だからね」

と、タケル。

「それこそが、タケルくんの「与える愛」ってことじゃない?」

と、アミ。

「そうか・・・確かにそれタケルくんの「与える愛」そのものよね」

と、マキ。

「タケルは、大人の男そのものだもの・・・それが出来ていて当然だわ・・・」

と、アイリ。

「まあ、そういうことさ・・・でも、今回のミッションの骨格が、これで見えたよ・・・マミちゃんが「奪いあう恋」から「与える愛」が出来るようになること。これだ」

と、ニヤリと笑顔になるタケル。

アイリもアミもマキも、その言葉に笑顔になるのだった。


1月上旬の土曜日の午前12時20分頃。マミは、ミサトとミウが待つ、カフェ「アルカンシェル」に戻ってきていた。

ランチをこのカフェで取ることに決めた3人は、ミサトがペスカトーレ、ミウがペペロンチーノ、マミがカルボナーラをチョイスした。

「で、どうだったマミ・・・あの男性、独身だった?」

と、ミサトがまず聞く。

「うん。独身だって・・・彼女もいないんだって・・・」

と、言いながら、マミは少し落ち込んでいる表情。

「どうしたの、マミ。落ち込んでいないで、話しちゃいなさいよ」

と、ミウが言ってくれる。

「うん・・・若い頃に一度結婚してたんだけど、その女性を交通事故で亡くしてるらしいの・・・それ以来頑なに彼女を作ろうとしないんですって・・・」

と、マミは言葉にする。

「ふーん・・・昔のおんなが忘れられない、かー」

と、ミサト。

「全力で恋した女性が亡くなった・・・記憶は美化されるし、ちょっと強敵ね。その亡くなった元の奥さん」

と、ミウ。

「うん。わたしもそれを考えていて・・・でも、でもね。そのシンイチさんって言うんだけど、その彼、すごく魅力的で・・・」

と、マミは、今日だけで3回も彼に恋に落ちたことを2人に話した。

「そんなに、魅力的なの・・・彼・・・」

と、ミサト。

「ふふふ。マミが3回も恋に落ちるなんて・・・これは運命の恋かもね。だってマミって、これまで受け身の恋ばかりだったじゃない」

と、ミウ。

「そうね。マミって、いつの間にか若い男性に恋されていて、告白されてつきあい始めるんだけど、クラッシュ!のパターンが多かったもんね」

と、ミサト。

「だって、せっかく告白してくれたから・・・それでつきあってみるんだけど、結局、相手がわがままで・・・」

と、マミはもじもじ言う。

「マミは、男性に人気あるのよ・・・わたしも受け身の恋が多いけど・・・マミ程は告白されないもの・・・」

と、少しため息をつくミウ。

「ミウは大人の女性の雰囲気を持っているもの・・・男性が自信ないのよ、全体的に・・・素敵な大人の男性が、そのうちミウを見つけてくれるわ」

と、ミサト。

「その点、ミサトは自分から正々堂々声をかけるものね」

と、ミウはミサトを褒める。

「そ。わたしは、女性は恋するからこそ、楽しいのって、思ってるから、行く派なの」

と、ミサト。

「そういうミサトがうらやましい・・・どうしたら、ミサトみたいになれるの?」

と、マミ。

「うーん、でも、これは性格なのよ・・・マミには、マミの恋愛の仕方があるんじゃない?」

と、ミサト。

「わたしの恋愛の仕方か・・・」

と、マミはゆっくり考えこんでいた。


3人はランチを終えると、カフェ「アルカンシェル」出て、隣にある花屋「華可憐」に入っていった。

マミが、

「こんにちわ」

と、照れながらシンイチに挨拶すると、

「あ、マミちゃんか、ちょうどよかった」

と、シンイチは奥から歩いて出てくる。

「お礼に花でもあげようと思ってたんだ・・・今から、花束作るから、ちょっと奥で待っててくれないか?ご友人の方々も・・・」

と、シンイチはミサトやミウにも、言っている。

「よかったじゃない。素敵な大人の男性に花束貰えるなんて、なかなか無いことよ」

と、ミウがマミに言うと、マミは真っ赤になる。

「ほーんと、よかったわね。帰りに寄って」

と、ミサトも笑顔だ。

「今、お茶出しますから」

と、森田ユキも笑顔だ。


道明寺シンイチは、早速、いくつかの花を選び出すと、慣れた手つきで花束を作り始めた。

赤いバラを中心に、ピンクのカトレアや白いシンビジュームなど、珍しい花も加えて、かすみ草で周りを飾って花束を作ってくれた。


「はい。マミちゃん、これ・・・財布を拾って貰った、せめてものお礼だ」


と、素敵な花束を渡されたマミは、素直な笑顔で、喜んだ。

「真っ赤なバラの花言葉は、愛情だけど・・・特に他意はないんだ。ありがとうのお礼だよ」

と、シンイチは笑顔で言った。


「ありがとうございます。わたし、こんな美しい花束を大人の男性から貰うの・・・初めてです」


と、赤いメガネをずり上げながら、もじもじしながら、マミは言った。


「こちらこそ、ありがとう。また、ちょくちょく来なよ。サービスさせて貰うから」


と、シンイチは言った。


「はい。そうさせて貰います。マンションも近いんで・・・」

と、マミは言うと、ミサトとミウに帰る意を目で伝えた。


「お邪魔しましたー」「お茶美味しかったです」「また、来ます」

と、ミサトとミウとマミは、それぞれ言うと、「花可憐」を後にした。


「他意はないって、言われちゃった・・・」

と、マミは少しションボリしながら、口にする。

「何よー。まだ、今日、彼に出会ったばかりじゃない・・・」

と、ミサト。

「そうよ・・・恋は編み物と一緒。少しずつ編み目を増やしていけばいいのよ・・・」

と、ミウ。

「それに、少なくとも、彼はあの時、マミを女性として意識したってことじゃない」

と、ミウが続ける。

「そうよねー。そうでなければ、あんなこと、わざわざ言わないもの・・・」

と、ミサトも、少し驚いたように続ける。

「そっか。そう思えばいいのか・・・」

と、マミ。

「でもさー・・・男性って時々わからなくなるのよね・・・なんでそんな行動をとるの?って、わからない時が多いから」

と、ミサト。

「うん、わかるわかる・・・男性って基本自己中で、わがままだから・・・」

と、ミウ。

「男性のことをしっかり理解している、大人の男性が、マミの恋愛には、必要かもね・・・」

と、ミウが言う。

「あ、それ・・・」

と、マミが、赤いメガネをずり上げながら、もじもじ、する。

「お姉ちゃんが、大好きな男性が・・・私の恋をサポートしてくれることになってるんだよね・・・」

と、マミが恥ずかしそうにしながら、言う。

「え?マミのお姉さんって、あのアミさん?」

と、ミサト。

「アミさんの大好きな男性だったら・・・相当ポテンシャル高いんじゃなーい?」

と、ミウが言う。

「うん、この間、ちょっと会ってきたけど、素敵な大人の男性でした・・・シンイチさんとは、また違ったタイプの・・・」

と、マミ。

「なによ、マミだけ・・・たくさんの素敵な男性に囲まれちゃってー」

と、茶々をいれるミサト。

「だったら、こうしない?今回の報告も含めて、3人でその男性と会うのよ・・・私たちの意見も話したほうが、マミの恋愛うまくいく気がするんだけど」

と、ミウが提案。

「そうね。そうしましょうよ。素敵な大人の男性は、皆で共有しないと」

と、ミサトが喜ぶ。

「うん。わかった。今度連絡とってみる・・・」

と、マミが納得した顔で言う。

「そのひと、鈴木タケルさんって言うの・・・」

と、マミがぽつりと言う。

「鈴木タケル・・・さん」「鈴木タケル・・・ねえ」

と、ミウとミサトは繰り返した。


「・・・と、言うわけなんです」

と、土曜日の夕方、マミはマンションから携帯で、タケルと連絡をとっていた。

「なるほど・・・君の友人二人も、今回のミッションに協力してくれるのか・・・それは頼もしいな」

と、鈴木タケルは電話の向こうで話してくれた。

「じゃあ、明日のランチは、そのカフェで食べよう。一応作戦は出来たから、その打ち合わせをそこで、しようぜ」

と、タケルはニヤリとしながら、笑顔で話している。

「それにマミちゃんの方から、恋愛ターゲットを作ってくれたようだし・・・その相手も見ておかなきゃ、いけないもんね」

と、タケルは言う。

「だが、君の友人もなかなか頼もしそうだなあ。確かに、全力で恋した女房が亡くなったとなりゃあ・・・強敵だぜ、それ。今回のラスボスって、ところだなー」

と、タケルは言う。

「はあ・・・」

と、マミ。

「マミちゃん、君は、そのラスボスを倒すことに全力を注ぐんだ。もちろん、具体的なプランはもう出来てる。大船に乗ったつもりでいてくれ」

と、タケルは言うと、

「じゃ、明日11時半に、吉祥寺駅で待ち合わせしよう。南口改札の前で落ち合おう」

と、タケルは約束し、電話は切れた。


「明日・・・始まるんだわ・・・」

と、マミは、少しだけ不安な気持ちで、綺麗な夕焼けを見ていた。


つづく

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