夢の介音楽夜話

音楽、アート、グリーン、クラフトなどなど徒然なるままに

あなたの隣に

2017年05月18日 | 音楽


初夏の昼下がり、教室に加山雄三の「恋は赤いバラ」が流れた
♪ アイラブユー イエスアイドゥー 愛しているよと ♪

幼馴染のO先輩に誘われた高校の軽音楽部、ウクレレ、ピックギター、ウッドベースへと吸い込まれるようにのめり込んだ
乾いた渡り廊下や木造の教室に鳴り響く弦楽器の音色は少年たちの心を魅了した

プレスリー、カントリー、ロックンロールという音楽の洗礼を受けた加山氏は英語で曲を作ったそうだ
日本語は歌にノリにくいし、好きとか恋とか口にするのもこっぱずかしい年齢もある

映画会社、レコード会社の意向で氏はやむなく英語で作った曲を岩谷時子さんの日本語詞に置き換えて世に出すことになる
映画の要請で同じコード進行の曲を作ってくれと言われて作ったのが「君といつまでも」だと初めて聞いた

なるほど同じコード進行であるしこのメロディに歌詞がついてレコーディングする
あまりのアレンジの良さに「幸せだなあ」とつぶやいてしまったのがセリフの由来とご本人がおっしゃる


年月を経てみれば、日本語で歌った方が説得力のある別物の存在になることも理解できるようになるものだ
尾崎紀世彦さんのスタンダードなどオリジナルを超えるようなボーカルを聴くことができるのだが、日本語だからこそ今だにファンも多い

歌詞がストレートに伝わることも大きい要素だ
「The Water is Wide」は世界中で歌われている曲で、ハワイでもハワイ語の歌詞がついてレコーディングされている

伊東ゆかりさんの「ふたりの小舟」は彼女の甘い声による独特の世界を醸し出している
こういうアレンジメントや雰囲気を好むようになったのは年齢のせいかもしれない

尾崎さんとのデュエット映像は宮川先生の関係かしら、ベテランの共演は見ていて嬉しい
五月は尾崎さんの命日だった




伊東ゆかり あなたの隣に

ボラーレ/尾崎紀世彦・伊東ゆかり・本田美奈子

The Water Is Wide ふたりの小舟 伊東ゆかり




明るい表通りで

2017年05月04日 | 音楽


高校の頃、Fくんがポールばりにエレキベースを弾きながら「All My Loving」を歌うのを見て驚いた
大学時代エレキベースに持ち替えた私は、ベースを弾きながら歌うことに遭遇する

厄介なのは、異なる二つのメロディを頭の中で同時進行させることだ
ギターの弾き語りがあくまで歌の伴奏であることに対して、ベースは何らかのベースライン、メロディを追っている

言ってしまえば、これは「慣れ」であってそのうちコード進行に合わせて指がある種機械的に動くようになるのだが
考え事をしながら弁当を食べるようなものか、、


カウンターに隣り合わせた方がベースを嗜むと言うことがたまにある
ジャズと伺ってシアトルのブライアン・ノヴァを思い出した、彼はギタリストだがベースも弾く

そしてウッドベースを弾きながら歌うエスペランサ・スポルディングを思い出した
ボーカルもベースもジャズだ、正確なタッチとほとばしり出るようなフレーズの数々

そんな語らいの後でバイオリンの修理を楽器店に持ち込む
子供の頃、母が買ってくれたものを修理して孫娘に託したい、そんなことを思う年齢になってきた

楽器店には夥しい数のビオラ、バイオリンが並び、試奏する子供さんと親御さんが佇む
コントラバスが4台ほど立っていて、駒を外したレトロなものが目を惹く

「relic」と言うのか、敢えて古色蒼然を施してあるドイツ製の新作で百万円ほどのものらしい
黒みがかった着色のスプルースの本体に、無着色のメイプルのテールピースがお洒落だ

店員のお嬢さんは専門学校でバイオリンを2台製作してこの楽器店に籍を置いたらしい
作業机の周りには工具が並びリペアや調整を担う、弓の馬の毛の張り替えを2時間ほどで完了させてくれた

さて孫娘にどのように興味をもたせてやる気を出させるか
子供の頃半年でやめてしまったバイオリン、この齢になって再突入

母さんありがとう




Esperanza Spalding - On The Sunny Side Of The Street (Live 2016)

Alice In Wonderland - Chick Corea / Esperanza Spalding / Jeff Ballard live

Esperanza Spalding & Madeleine Peyrou

音楽をやる、ロックする

2017年05月03日 | 音楽


2016年はビートルズが来日した1966年から50周年にあたる
ドラム&リズムマガジン同年7月号は「1966年のリンゴ・スター」特集だ

インタビュー記事によれば、13歳の頃の入院がドラムに目覚めるきっかけになったとか
義父の好きだったジャズの影響か、弦楽器にはとんと興味がなかったようだ

ジョージと彼はビートルズで隅っこに追いやられていたような印象があるが、実は四人は仲が良かったという
自身のプレイでは「Rain」のドラムが好きなんだそう

ジム・ケルトナーとの出会いもジョージが介していた
ジョージのレコーディングで初めて英国に行ったジムをリンゴのスタジオに連れて行った

リンゴは、出来上がっていたテイクにいきなりパーカッションを加えてくれと
リンゴが「二人で叩くドラムスのグルーヴの快感」を感じたのはジムとの出会いだったようだ


さて紹介したハワイの「ビートル・レレ・マニア」のドラマー氏
ポール・マッカートニーの公演を見るために先日わざわざ日本にやってきたらしい

日本の友人と共にポールの滞在先で「出待ち」をして「ポール!」と声をかけたというではないか
我々がその昔、ギャビィ・パヒヌイの墓参りに行ったりお宅に行ったりしたのと同じことかしら

ビートルズの面々はお金を儲けるために音楽をやったのではないという
「名声はビートルズの一部だけど、ボクたちは音楽をやりたいんだ」と


下田の砂浜のステージに渋滞でギリギリ間に合わせたある夏の日、「波」という曲が始まった
お母さんやおばあちゃんが見守る浜辺で可愛いお嬢さんがフラを踊る

トロピカルな香りのする楽曲は「どんと」氏が作ったそうだ
京都大出身のミュージシャンは若くしてハワイで他界されたという

忌野清志郎氏が追悼の歌を歌う
今頃向こうで二人仲良く歌っているだろうというコメントがジーンとくる

音楽をやる、ロックする、ということを忘れない


ボ・ガンボス - 夢の中

孤独な詩人 / 忌野清志郎 @Soul of どんと 2006

どんと 波