夢の介音楽夜話

音楽、アート、グリーン、クラフトなどなど徒然なるままに

サウンドトラック

2016年08月29日 | 音楽


映画のサウンドトラックはいつまでも印象に残る
ストリングスの織りなす和声の進行が映画の感動をこれでもかとリフレインする

映画館に出かけることはほとんどなくなったこの頃、BS放送やDVD映像で安直に映画を楽しむ、、映画関係者の方ごめんなさい
でも音だけは少しばかり低音と高音をブーストして、エンディングのタイトルを眺めながらテーマソングを聴く

そしてさっきまで流していたみっともない涙の余韻を引きずってティッシュを探す
よくこんなストーリーを書けるものよ、役者も素晴らしいが、こんな演出をするって、、、困ったもんだ

ビッグコミック・オリジナルで愛読していた西岸良平さんは立教のご出身だそうな
同級の細野さんが彼を見て漫画家の道をあきらめたというエピソードは納得できる、、

その昔音楽雑誌で見かけた細野さんの書いたベース用譜面は五線譜でなくほとんどアニメタッチだった
ああこの人は絵心があるのだなと思ったこととフレーズはお玉杓子でなくてもいいんだ、本人がわかれば、、と

戦後間もない生まれの作家の描く時代背景はそれだけで郷愁を呼ぶ
ダイハツミゼット、ホンダのおそらくS600、角ばった東海道新幹線

白黒TVが普及し始めて東京オリンピックが開催される頃、そう日本はまだ貧しかった
決して豊かではなかったけれども、何か明るい未来を目指して後ろを向いている人はいなかった

利益や飽食を求め、競争社会を生き抜いて人の上に立って経済的社会的地位を追い求める、それが幸せというものだ
そのために受験勉強をして東大を目指し、一流企業に就職する、、、残念ながら誰しもそうした路線の延長にいた

でも映画は金では手に入らないものをこれでもかと描き続けて涙を誘う
そう金はあったほうがいいさ、でももっと大事なものがあることを忘れるくらいでないと、金は近くにやって来ない

アニメ、映画という架空の世界の話だからかもしれないが、しかしあの頃当たり前にあったことを描くから共感を呼ぶ
あの頃、伝達手段としては金より心のほうが優先していた、、金はビジネスであった


「ALWAYS 三丁目の夕日」オリジナル・サウンドトラック

美しき哉

2016年08月17日 | 音楽


久しぶりに覗いた楽器店、「売れますか?」と聞けば「オリムピックで、、」
親しいライブスポットの経営者も「お盆シーズンとオリムピックで誰も来ない」と

スポーツには縁がない私も競技を映像で見ているとそれなりに感ずるところがある
低迷していたかのような柔道で全階級でメダル獲得とか、

なかでも「美しい柔道を」といった彼の言葉が心に残る
「柔よく剛を制す」との基本に帰る、嘉納治五郎の精神はそこにあるのではないだろうか

体操の個人金メダルも感動を与えてくれた
内村航平氏の金メダルに、高得点で推移した銀メダル氏のジャッジは審査員のひいき目票ではないかという記者の質問に当の本人が真っ向から否定した

「ウチムラはもはやレジェンドだ、一緒に競技できて光栄だ」と国を超えて尊敬し合う、美しいではないか
明らかにずるっこい選手もいたが、そうしたアンフェアは素人が見てもわかってしまう、それは愚かな金メダルだ

バドミントンや卓球の快挙を見ても日本の勝利の大きな要因は連体感にあるような気がする
そしてそれが我々日本人の感動を呼ぶ

もう一つ日の丸が掲揚され国歌が流れた時、それがもっとも自然で美しく感じることだ
法律で国旗を掲揚させたり国家を歌わせるなんて低次元な発想だ、ゴミ袋に名前を書かせて分別を強制させようという低脳な発想と同じだ

卓球台など日本の技術が使われているのは嬉しい
一枚板だとどうしてもソリが生じるので、正方形の板を複数組みわせた上に天板を貼るような工夫がなされているらしい

中東の国の選手が握手を拒むというシーンがあったようだが、五輪に政治を持ち込んではいけない
逆に世界から批判を浴びるような政治、軍事活動をしている国は、五輪に選手を送り込む資格はないと思う、ましてや組織ぐるみでドーピングをやっていたなど言語道断だ
オリムピックを通じて、選手たちの友情や尊敬などやりとりを見ることができる、醜い国家の都合をここに持ち込まないでほしい

さてバンドにおいても信頼感は重要だ
クリアなドラミングを淡々と続ける、ベースが情景を形作っていく、ハモンドが空間を埋める、正確なタッチのスライドが、、

美しき哉、これを求めているのだよ



Bonnie Raitt performs live, for Amazon Front Row 2016

ウッドベースかな

2016年08月11日 | 音楽

日本のギターの普及の歴史を振り返ると、安価なガットギターが出回った頃が長かったように思う
学校ではハーモニカやリコーダーを教えられて、目にするのはアコーディオン、なんて時代だった

モダンフォークが流行り始めた頃、初めて国産の量産フォークギターが発売され若者が飛びついた
大方の家にはガットギターしかなかったので、無理やり金属弦を張ってみたり、ピックガードを貼り付けたりしてフォークギター気分を味わった人も多かった

ウクレレはいつからかわからないが、とにかく安価で手に入る身近な楽器だった
ウクレレから入ったミュージシャンが多いのはそういう理由からだと思う

学校には吹奏楽部というものがあって音楽好きはそこに入るのだが、管楽器が馴染めなかった
運動会向けの行進曲やクラシックナンバーが、当時巷に流れ始めたポップスの魅力には到底かなわないと子供心に思ったものだ

中学生の頃来日したビートルズはもはや神がかりだった
イギリスの港町から出てきた4人の若者が曲を作って演奏してコーラスをやる、チャラチャラしているがウィットに富んでいて攻撃的だ

そのうち「Revolution」なんていう曲を発表してエレキギターのファズトーンを当たり前にさせた、そうロックの誕生だ
ファズトーンはその後サイドギターの不要を生み出すきっかけになった、ギター、ベース、ドラムスの3人でなんでもできる時代の幕開けだ

ウクレレは手軽で可愛いし、ギターほどの音域はないが可能性は無限大だ
ひょんなことでウッドベースを弾くことになった私は楽曲における低音部の重要性を認識することになる

大学でIさんからリズム感がいいからバンドのベースにすべしと言われ気を良くしてエレキベースに持ち替えて奏法を学んだ
音のバリエーションや携帯の利便性などからエレキベース一辺倒になったが、スタンディングベースも気になる存在でたまに弾く

ジャズを敬遠していて勉強してこなかったが、ジャズベースは常に憧れの世界だ
新宿のジャズスポットで聴いたジャズメンのベースやドラムスはまた新しい世界を教えてくれた

そんな廻り道を続けている私にとってかっこいい楽器はやっぱりウッドベースだ
うまく弾けないけれども乾いたボディからしなるような弦の響きが素晴らしい

百年も二百年も生き続けている楽器に人は憧れる

Esperanza Spalding - On The Sunny Side Of The Street (Live at the White House 2016)

Esperanza Spalding: "Overjoyed"

Backstage with Esperanza Spalding at the White House

子孫たち

2016年08月03日 | 映画


久しぶりにお会いしたNさん、映画「ファミリー・ツリー」のDVDを見てくださったという
もともとハワイ好きではない方なのにわざわざ見てくれたのが嬉しかった

映画に出てくるハワイの景色と音楽、とりわけライブスポットの光景が印象に強かったようで「あんな店をやりたい」と
話はサウンドトラックに及んだので、改めて映画を見直してみた

ハワイ出身の女流作家の書いたストーリーは、ハワイ王朝以来の祖先伝来の土地売却を巡る葛藤と女性の視点で見た人間模様といった感
最初荒唐無稽と思われたあらすじは、回を重ねて見るごとにハワイらしさを感じてくる

入手したサウンドトラック盤は冒頭のギャビィ・パヒヌイの「カマカニカイリアロハ」から始まる18曲が収められている
映画の最後に綴られている音楽データを見れば、倍近い楽曲が効果音のように散りばめられていることがわかる

実はこの効果音のような楽曲の詳細を知りたくてサウンドトラック盤を求めたのだが、何のことはない映画に書いてあったというわけ
ほとんどはシーンに合わせた意味合いの楽曲がセレクトされておりほぼハワイのミュージシャンたちの演奏で占められている

カウアイ島に祖先が残した土地を売却してその分け前を期待する親族たちがうごめく
しかし土地を換金化しないで守ってきた主人公は改めて祖父が作り父が維持してきた自然を守る道を選ぶ

ニュージーランドから渡ってきた英国人ロビンソン一族がニイハウ島を手にしてその自然と人々の暮らしを守ろうとしている
絶滅危惧種など何もしなければ滅びてしまうような植物を必死になって守る姿は強烈だ

さてライブスポットの光景は藁葺きのエキゾチックな小屋でと想像したら、大勢の地元の人たちがワイワイ飲んでいる壁際でトリオが演奏しているものだった
そうか、Nさんは演奏をありがたく拝聴するのでなくお店全体が一体となって楽しむ、そんなお店を目指しているのか

祖先の残した地に子孫が末長く住む
楽しもうという経営者の下に同好の士が集う、経済の原則はそう難しいものではないかもしれない




The Descendants (2011) Movie Clip HD


The Descendants - Ka makani ka ili aloha - Gabby Pahinui

Niihau - The Forbidden Island