ミュンヘンなんて、どこ吹く風

ミュンヘン工科大留学、ロンドンの設計事務所HCLA勤務を経て
群馬で建築設計に携わりつつ、京都で研究に励む日々の記録

BFIの前の古本市

2009-03-16 08:55:59 | ロンドン・hcla
BFI(英国映画協会)で『In the City of Sylvia』という映画を観てきました。ストーリーは?でしたが、舞台であるストラスブールの街はきれいでした。古い町並みの細い路地の中を歩き回る主人公たちの後ろで、最新鋭のトラムが静かに何度も画面を横切ります。


BFIはウォータールー橋の高架に埋めこまれるように建っている(写真の右側ですが切れてます)のですが、そのBFIの前にはいつも古本市がたっています。










日が長くなってきました。長いコートもそろそろ必要ありません。
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銀食器を送る

2009-03-15 22:40:35 | ロンドン・hcla
退官される先生への贈り物を先輩夫妻と連れ立ってナイツブリッジのデパートで調達。銀食器コーナーで先週見つけたものにカードを添えて送ることにしました。先週は包装から免税から配送まで全部やってくれると言っていたのに、今週の担当者は慣れていないのか包装や免税の仕方がわからない様子。あたふたと同僚に聞きまわり、結局、ここには包み紙がないので地階の包装紙売り場で一枚調達してきてくださいと。不審に思いながら地階の文房具売り場でハロッズ柄の包み紙を二枚買って再び戻ると、売り場の女性のひとりが私包めるわと包み始めます。その周りを5~6人の店員がわらわらと集まり見てます。一枚では足りなかったらしく、二枚をセロテープで継ぎ始める店員。不安そうに見ていた僕らの視線に耐えられなかったのか、包み終わる前に商品ごと奥に下がってしまいました。レジでは店員が二人がかりで配送先の住所を打っています。どうやら海外発送する場合は自動的に免税される仕組みになっているようでした。念のため受け取りに関税がかからないか確認したらかからないとのこと。月曜日に発送してくれるそうです。無事に届くことを祈りましょう。大丈夫か、イギリスの老舗デパート。
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大学生時代

2009-03-14 22:57:17 | ロンドン・hcla
同僚に誘われてロンドン郊外の大学へチャリティーコンサートを聴きにいきました。同僚は友人からチケットをもらったそうで、知り合いの歌手も参加しているんだとか。学生食堂でのミニコンサート(出演者いわくほんのサウンドチェックだそうで)から始まって、ごちゃっとした自治会館で教職員や学生、ゲストミュージシャンらによるごった煮のコンサート&ダンスパーティがありました。僕らは終電で市内に帰りました。



同僚は、なんとなく集まっては飲んだり踊って騒いでいた大学生時代を思い出したようです。
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AAでの講義

2009-03-13 23:12:06 | ロンドン・hcla
AAでホールデンのレクチャーを聴いてきました。AA出身の彼にとって、母校での初めての講義です。僕がつくったのでプレゼンテーションの内容は全部知っていたのですが、逆に動画がきちんと動くかとかそんなことが気になってはらはらしながらも聴いていました。ホールデンはとても雄弁で彼の言葉は人を魅了しますが、僕には、彼がまな板の上に乗せられて何か論理に破綻はないかとAAの学生たちから品定めされているような、そんな緊張感を持って見ていました。

ここでもホールデンはmicro architectureを「teaching device」と表現していて、紹介するプロジェクトを(建築的に見たら)完全ではないと何度か言及していましたが、lightnessによって諸問題をデザイン上統合するという思考実験なわけで、たとえばskihausのプロジェクトでは、建物の総重量はヘリコプターの搭載可能最大重量(自動車あるいは家畜を運搬するために設定されている)から来ていたりして、軽量であることはここで社会のルールと物理的なつながりを持つわけです。

ホールデンは一連のmicro architectureについて「less material, more nature」という言い方をこのところ好んで使います。ただここでいうnature(美しい自然の風景)はAAのひとが聴きたいnature(システムとしての自然)とは違うわけですが。この言葉の真意は、なにかを物理的にそぎ落とすことで、その欠落によってむしろ豊かになるものもある、ということなのですが伝わったでしょうか。たとえば、m-chはむしろその不完全さによって社会とのつながりを喚起するわけです。

質疑応答では、やはりというか、micro architectureと通常の建築との関係についての質問がありました。そこでの質疑応答は若干かみ合っていなかったのですが、ホールデンは講義の中ですでにいくつか答えを言及しています。「すべての構造物は部品からできている」「現代、多くの人にとって極小の空間は身近である(移動空間など)」といった感じで。micro architectureの意味はその小さな世界の完全性にあるのではなくて、より一般的な問題へとつながるアイデアの部品なのです。

ホールデンは「honesty(その成り立ちを素直に体現すること)がbeauty(美しさ)をつくる」と。終了後ホールデンは学生に囲まれていました。ほっとしました。
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ホールデンのレクチャーあります

2009-03-11 10:32:53 | ロンドン・hcla


というわけで、今週木曜日の夜にAAスクールでリチャード・ホールデンのレクチャーがあります。みなさまお誘い合わせのうえふるってご参加ください。予約は必要ないそうです。パワーポイントの準備手伝わせてもらってます。うれしいですね。世界に広がるmicro compact homeの最新情報のほか、『micro architecture』ではほとんど触れられていないhclaでのプロジェクトたちも紹介される予定です。
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大家さんの改築

2009-03-06 11:23:15 | ロンドン・hcla
大家さんが家の改築というかちょっとした増築を計画しています。必須というわけではないらしいのですが、漫然と日々を送ることを嫌う大家さんが自分を試すために課した今年の達成目標らしく。将来的に足腰が弱ったときのために地上階だけで生活できるようにするのが目的で、間仕切りを少し移動して庭側にちょっとだけ部屋が付け足されます。増築部分を含めて部屋が深くなるので、光をどうやって入れるかが問題のようです。大家さんは増築部分に天窓を設けたいと言っていましたが、工務店を雇って引いたという図面ではまだ反映されてなくて、何かアイデアがあったら提案していいよと図面を預けられました。ちょっと考えてみます。1:50の図面しかないのですが、この程度の規模だとディテールは現場判断ということなんでしょうかね。
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自然なカタチ

2009-03-05 09:42:43 | ロンドン・hcla


http://grasshopper.rhino3d.com/

ロンドン市内の大学で構造デザインというか形態生成を勉強している後輩がいて、彼はRhinocerosのPlugInであるgrasshopperというアプリケーションを使って大学の課題に取り組んでいます。ここ数週間は仕事以外の時間はその後輩と一緒にコンペをやっていました。

grasshopperとは、独立した複数の関数からなる方程式を、回路をつなぐようにして視覚的にデザインすることのできる道具だと僕は理解しているのですが、それをrhino上でカタチとして出力することで、たくさんの要求条件を同時に満たした「自然な」形態をつくることができるのではないかと期待しています。条件をたくさん見つければ見つけるほど(関数が増えるほど)その「自然さ」の精度は増していくのではないかと。

72時間以内に組み立て24時間以内に解体可能で、解体して移築された後に美術館の前庭で半永久的に使われることになるパヴィリオンのコンペ。四方を特徴的なコンテクストで囲まれた細長い敷地だったので、それぞれのコンテクストに対して持つべき表情を緩やかな曲面でひとつに統合し訪れる人にひとつながりのシークエンスを経験をしてもらうというコンセプトが浮かび、さらに複雑な形態と施工性を両立させるため、全体の形態は標準化されたコンポーネントの標準化されていない関係性で組み上げられている、という方針は早い段階で決まりました。

ひとつひとつしらみつぶしに関数に置き換えようと始めたのですが、やってみてわかったのは言葉や感覚でわかっていることを数式に置き換えることの難しさでした。ダイアグラムは書けても、最終形のスケッチさえ描けても、その線を出力するための関数が見つからず無為に時間は過ぎていき、最終的にはgrasshopperをつかったスタディは今回はあきらめました。

結局それぞれのコンテクストに対して実現してほしいいくつかのシーンを平面断面として二次元で書いて、複数の面の間の空間を自動的に曲面でつなぐというRhinoのデフォルトの機能を使ってジオメトリーをつくり、そのカタチをトライアンドエラーの手作業で手頃なサイズのコンポーネントに分解し、製作に協力する工場の設備的制約と単体の家具としての機能的要求の観点からそのコンポーネントを微調整し、再びそれを組みあげて全体のカタチをつくる、という至極まっとうな手順でデザインしました。

本来grasshopperで数学的にやろうと思っていたことを、感覚的に描いた二次元のスケッチとRhinoのブラックボックス的機能によって代替せざるを得なかったのは、こんな空間ができてほしいという結果からそれを導く方程式を探そうとしたところに問題があったのだと思います。計算式を見て答えを出すのは簡単ですが、答えの数字をみてそれがなんの計算式から出てきたかを当てるのは容易ではありません。

複数の関数を統合した方程式によってすべてが一意的に決まっていく究極的にロジカルなデザインを試そうと思っていたのですが、ある答えに対して候補となる関数は無限にあり逆算してもその方程式は一意的に決まらないという矛盾にぶち当たってしまったわけです。

grasshopperとrhinoを使った形態生成には、面白いカタチをつくることへの言い訳以上に、もっと実際的な可能性があるとはまだ思っています。でもその運用にはある種の「慣れ」が必要だと思いました。ある種の構造デザインや環境デザインのように、すでに実験等によって確かめられている関数によって建築家の描くビジュアルイメージを実現性のあるものに近似していく場合には活躍するでしょう。でもアーキテクトはどう使うことができるのかが問題です。関数とカタチの対応関係は経験則的にしか知ることができないとすれば、徹底的なリサーチによって自然界にある既存のカタチの生成原理を説き明かしそれを建築デザインでシミュレートすることがデザインの意味になるかもしれません。今まさにAA等のロンドンの大学で行われているのはこういうことなのではないでしょうか。

grasshopperは言うなれば、デザインに際してこれまで建築家の頭の中で「ひらめき」として自然と行われていたことを、手続きをビジュアルかつオープンにして三人寄れば文殊の知恵的に複数の人間で共有して進めていこうというシステムだと思います。あえてこういう解釈をしたいのは、小さな事務所(または異なる背景を持った個人)の合従連衡によってデザインを進めるための、有効な方法を見つけたいと思っているからです。

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意図せず写真の隅に残る

2009-03-04 08:53:49 | ロンドン・hcla


bdというイギリスの建築系メディアに、80年代の大不況を振り返るみたいな企画記事が先週掲載されて、そこでケーススタディとして取り上げられたSpence&Websterの創立当時の白黒写真が新聞の裏一面に載りました。SpenceとWebsterの隣に座っている向かって左端の人物は記事中では名前がクレジットされていないのですが、実はこれ、当時彼らのアソシエイトだったリチャード・ホールデンなのです。



真っ先にそれに気づいた本人は驚くとともに懐かしさがよみがえったようで、記事を見せながら面影はあるかと所員に聞きまわっていました。ちょうど先週新しく撮りなおしたディレクター陣のプロフィール写真の並びと構図が似ていたため、hcla内では余計に話題となりました。ちなみに僕の会社のパソコンの背景は若きノーマンフォスターとバックミンスターフラーのミーティング風景の写真なのですが、ホールデンはその場には確かにいたことを覚えているもののその写真には写っていないそうです。ついでに確かめてもらいました。

一緒に旅行したりコンペもやらせていただいたことのある方が、派遣期間+延長期間を終えて日本に戻られるため、土曜日に友人が集まって居酒屋で送る会がありました。事実上東京もロンドンも関係ないような働き方をされていた方なので、送っている僕らも送るという行為に半信半疑だったりしますが。会が終わってから思い出しあわててカメラを取り出して店員さんに記念写真を撮ってもらったのですが、テーブルの上は空っぽのうえみんな帰り支度でそわそわとした写真になってしまい、さっそく意図せざる事実が写真の隅に残りました。
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