備忘録として

タイトルのまま

耶律楚材

2007-07-08 22:51:49 | 中国
陳瞬臣の中国ものでモンゴル帝国の幹部であった契丹人の話である。チンギス・ハンの戦いを耶律楚材の目を通して客観的に見る設定が面白いのだが、小説に枝葉末節がつくのは当たり前とは思いながら、道教集団との密約とか妻とのエピソードなどのフィクション部分は、早く結論を知りたい私のような物臭な読者にとっては蛇足でしかない。小説は過程を楽しむもので単なる知識を求めるだけの人間には向かないし、そんな人間は百科事典を見ていたほうがましかもしれない。
さて、小説の内容は、ジンギスカンによるモンゴルの世界帝国建設がその初期において殺戮、破壊、略奪に明け暮れた征服戦争であったものを、耶律楚材は次のハンであるオゴディに進言し、様々な民族、文明、宗教を受容する大帝国になったということである。そのため、帝国にはキリスト教、イスラム教、仏教、道教、モンゴル人、色目人、契丹人、女真族、漢民族が混在していた。ただ、耶律楚材の実像は元史にその名が見えないことなどから、宰相ではなく通訳または秘書官レベルだったという説もあるそうだ(Wikipediaによる)。
歴史の大河の中では、ちっぽけな人間はその流れに逆らえないように思うものだが、その流れを起こすのも流れを変えることができるのも人間なのである。この小説の教訓はこんなところかな。もうすぐ参院選だけど流れを変える選挙になるだろうか。

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