「Me and Earl and The Dying Girl」2015、監督:アルフォンソ・ゴメツールジョ、出演:トーマス・マン(Me=グレッグ)、RJ サイラー(Earl)、オリビア・クーケ(The Dying Girl=レイチェル)、直訳すると「死にかけの女の子」あるいは「末期の女の子」あるいは「瀕死の女の子」などという直接的なタイトルをつけた映画を半ばうさんくさい思いで観始めた。中学の時「drowning」という単語を”おぼれかけている”と教わったことを思い出した。映画はタイトルのとおり、主人公のグレッグと、彼の唯一の友達のアールと、末期の白血病を患ったレイチェルとの交流を描く。若年ガンの二人を描いた「The Fault in Our Stars」は主人公のヘイゼルの最期を見せなかったが、この映画はレイチェルを最期まで見届ける。「Fault」は死にゆく若者の心情が成熟した大人の目線で哲学的に描かれ思惟に富んでいたが、「Dying」は17歳の若者たちを等身大で描き未熟だが純粋な心の葛藤がリアルで心に迫った。★★★★☆
「Self/less」2015、監督:ターセム・シン、出演:ライアン・レイノルズ(「Green Lantern」、「Safe House」)、ナタリー・マーティンズ、ベン・キングスレイ、末期がんで死を目前にした大富豪の老人(キングスレイ)が最新医療技術で新しい肉体を手に入れる。しかし、覚えのない記憶が度々フラッシュバックすることから、借り物の肉体が人造ではなく誰かの肉体(ライアン)だったことに気付く。自分がいることで、その肉体の持ち主の妻(ナタリー)と一人娘が危険にさらされることを知り、非合法な医療集団と戦いを始める。妻と娘の為、老人は肉体をもとの持ち主に戻す決心をする。死は避けられない、受容するしかない、受容すべきなのである。舞台がルイジアナのニューオーリンズで、主人公が車で走る高速道路に「左Baton Rouge、右New Orleans」という標識が出てきてうれしくなった。★★★★☆
「Max」2015、監督:ボアズ・ヤーキン、出演:ジョシュ・ウィギンス、トーマス・ヘイデン・チャーチ、昨年9月に愛犬を亡くし、その喪失感から回復できず犬を描く映画を観ることなど想像もできなかった。先週のバトンルージュ行アメリカンエアラインの機内映画が貧弱で時間を持て余し仕方なくこの映画を観た。軍用犬Maxは主人を目の前の戦闘で失くし故郷に戻ったものの精神的に不安定になり殺処分されそうになる。危ういところを主人の弟に引き取られ、いっしょに生活するうちに二人は徐々に心を通わせていく。犬も人間と同じように喪失感を克服し、新しい生き方を見いだせるのだ。Maxが主人の遺体の前で泣き声をあげる場面では目頭が熱くなってしまった。★★★☆☆
「She's Funny that Way、邦題:マイ・ファニー・レディ」2014、監督:ピーター・ボグダノビッチ、出演:オーソン・ウィルソン、イモージェン・プーツ、ジェニファー・アニストン、キャスリン・ハーン、演出家(オーソン)、その妻で女優(キャスリン)、コールガール(イモージェン)、主演男優、脚本家、カウンセラー(ジェニファー)、私立探偵、判事らが入り乱れてのどたばた喜劇で、ウッディー・アレンの映画をみるようだった。守秘義務を唱えながら自分の都合で顧客の秘密を次々とばらしていくジェニファー・アニストンのようなカウンセラーがいたらたまったものじゃない。あまり笑えない喜劇だった。夢をつかむコールガール(イモーゲン・プーツ)は「ティファニーで朝食を」のオードリー・ヘップバーンに憧れ純真で、彼女の魅力でこの映画はかろうじて成立していると思う。★★☆☆☆
「Mission Impossible:Rogue Nation」2015、監督:クリストファー・マッカリー、出演:トム・クルーズ、レベッカ・ファーガソン、ジェレミー・ルナー、ミッションインポッシブルの5作目。シリーズ物の定説どおり1996年の1作目が一番面白かったが、2作目、3作目と中だるみはあったものの持ち直している。トム・クルーズは20年経った今も若い。レベッカ・ファーガソンのアクションも心地よい。★★★☆☆
「Antman」2015、監督:ペイトン・リード、出演:ポール・ラッド、エバゲリン・リリー(「ホビット・竜に奪われた王国」)、マイケル・ダグラス、体を小さくする技術で蟻人間が蟻達とともに悪と戦う。スパイダーマンやX-manやアヴェンジャーやアイアンマンなどと同じMarvel Studioの作品。時間つぶしにはなった。★★☆☆☆
「予告犯」2015、監督:中村義洋、出演:生田斗真、鈴木亮平、荒川良々、濱田岳、戸田恵梨香、正社員を望んでいたが職場のいじめで派遣の仕事を失い日雇い労働で生きざるを得なくなった若者が社会に復讐を始める。日本へ行く旅費のために腎臓を売り、その所為で死んでいく日比ハーフのヒョロが哀れだった。個人の努力ではどうしようもない格差社会のひずみを描く問題作で、登場人物たちも個性的で出色の映画だと思う。★★★★☆