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書籍「懲戒をめぐる諸問題と法律実務」発行のお知らせ

2021-09-28 | 日記

代表弁護士藤田進太郎が編集に携わった書籍「懲戒をめぐる諸問題と法律実務」が発行されました。

 

なぜ使用者は労働者に対して<懲戒処分>できるのか。企業社会における”古くて新しい”「懲戒をめぐる問題」について、働き方改革や価値観の変化などで複雑・多様化する最近の事案も分析した懲戒をめぐる最新の解説書です。

 

 

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Q507.基本給月額10万円,歩合給8万円(合計18万円)が最低賃金額以上かどうかを確かめるためには,どうすればいいですか。

2021-09-17 | 日記

代表弁護士藤田進太郎が,労働問題FAQを更新しました。

 

Q507.基本給月額10万円,歩合給8万円(合計18万円)が最低賃金額以上かどうかを確かめるためには,どうすればいいですか。

 

 基本給月額10万円,歩合給8万円(合計18万円)が最低賃金額以上かどうかを確かめるためには,基本給月額10万円,歩合給8万円それぞれについて所定の時間額に換算し,それを合計したものと最低賃金額を比較することになります。
 仮に,一月平均所定労働時間数が160時間,当該賃金計算期間の総労働時間数が200時間とした場合,
 基本給10万円÷160時間+歩合給8万円÷200時間=625円+400円=1025円
ですから,1025円が最低賃金額以上かどうかを確かめればいいことになります。

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代表弁護士 藤田 進太郎

 

 

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Q506.固定残業代(定額残業代・みなし残業)は,最低賃金額以上の賃金を支払っているかどうかを判断する際に考慮されますか。

2021-09-15 | 日記

代表弁護士藤田進太郎が,労働問題FAQを更新しました。

 

Q506.固定残業代(定額残業代・みなし残業)は,最低賃金額以上の賃金を支払っているかどうかを判断する際に考慮されますか。

 

 残業代は,最低賃金額以上の賃金を支払っているかどうかを判断する際に考慮されません。したがって,固定残業代(定額残業代・みなし残業)は,最低賃金額以上の賃金を支払っているかどうかを判断する際には考慮されないことになります。
 理論的には,固定残業代(定額残業代・みなし残業)が,労働契約において時間外労働等の対価として支払うこととされているものとはいえない場合は,残業代としての実質を有しないわけですから,最低賃金額以上の賃金を支払っているかどうかを判断する際に考慮されると考えるべきこととなります。しかし,実際には,会社が固定残業代(定額残業代・みなし残業)として取り扱っている賃金について,自分から,「時間外労働等の対価として支払われたものではないから残業代ではない,最低賃金額以上の賃金を支払っているかどうかを判断する際に考慮すべきだ」とは,言いにくいものです。会社が固定残業代(定額残業代・みなし残業)として取り扱っている賃金が,最低賃金額以上の賃金を支払っているかどうかを判断する際に考慮されるのは,訴訟などで会社のメインの主張が認められずに,固定残業代(定額残業代・みなし残業)が時間外労働等の対価として支払われたものでないと評価されてしまったような場合に限られると思います。

弁護士法人四谷麹町法律事務所
代表弁護士 藤田 進太郎

 

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Q505.精皆勤手当は,残業代(労基法37条の割増賃金)の時間単価を計算する際には考慮されることが多いのに,最低賃金の時間単価を計算する際には考慮されないのはどうしてですか。

2021-09-15 | 日記

代表弁護士藤田進太郎が,労働問題FAQを更新しました。

 

Q505.精皆勤手当は,残業代(労基法37条の割増賃金)の時間単価を計算する際には考慮されることが多いのに,最低賃金の時間単価を計算する際には考慮されないのはどうしてですか。

 

 精皆勤手当は,最低賃金の時間単価を計算する際には考慮されません。これに対し,残業代(労基法37条の割増賃金)を計算する際には,精皆勤手当を基礎賃金に加えなければならないことが多いのが実情です。会社経営者が,最低賃金の計算でも,残業代の計算でも,会社の負担が重くなる方向で考えなければならない理由について知りたいと考えるのは,もっともなことだと思います。どうしてこのような違いが生じるのでしょうか?この違いは,抽象的に言えば法の趣旨が異なることから生じるものですが,ここでは具体的に条文を示して解説したいと思います。
 残業代(労基法37条の割増賃金)を計算する際に精皆勤手当を考慮しなければならないかは,精皆勤手当が除外賃金である「臨時に支払われた賃金」(労基則21条4号)に該当するかどうかによって決まります。
 これに対し,最低賃金の時間単価を計算する際に精皆勤手当が考慮されないのは,最低賃金の時間単価を計算する際には精皆勤手当を考慮しないこととした上で最低賃金が決められた結果,「当該最低賃金において算入しないことを定める賃金」(最低賃金法4条3項3号)に該当することになるからです。「臨時に支払われる賃金」(最低賃金法4条3項1号・同法施行規則1条1項)も最低賃金の時間単価を計算する際に考慮されませんが,精皆勤手当が「臨時に支払われる賃金」に該当するかを検討するまでもなく結論が出るのが現状です。
 仮に,「臨時に支払われる賃金」(最低賃金法4条3項1号・同法施行規則1条1項)に該当することを理由として,精皆勤手当が最低賃金の時間単価を計算する際に考慮されないこととされているのであれば,精皆勤手当が残業代(労基法37条の割増賃金)を計算する際の除外賃金である「臨時に支払われた賃金」(労基則21条4号)に該当するかという論点と統一的な取扱いがなされていたかもしれません。しかし,全く趣旨の異なる条文が根拠のため,「臨時に支払われる賃金」についての解釈とは関係なく,精皆勤手当は,最低賃金の時間単価を計算する際には考慮されないこととなるのです。

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代表弁護士 藤田 進太郎

 

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