いーちんたん

北京ときどき歴史随筆

麗江・束河1、ユースホステルに移動

2013年08月03日 00時31分18秒 | 雲南・麗江の旅
本来なら、大研城の部分でナシ族の歴史について、もう少し深く掘り下げたかったが、
余裕がないので、後回し。。。

大研城に1日滞在しただけで、もう物価の高さに悲鳴をあげた私。
そもそもどうせ一日仕事をしているのだから、どこでもいいのだ。

というわけで、試しに最近、新しく開発中だという噂の束河に移動してみることにした。
束河は、行政区としては、麗江市の中に入っており、大研城からわずか6kmしか離れていない。
やはり古民家群が残る一帯として、大研城に受け入れきれない観光客を新たに吸い寄せて発展中だという。




束河の表玄関。牌楼。


探し当てたのは、ユースホステル。



玄関近くのロビー。Wifi完備だっす。


ここで久しぶりに学生時代以来のドミトリーの宿泊ー。
一部屋8人、二段ベッド4個入り、一晩35元なりー。
まだあたいでもできるのねー、と自分で少し感動した。


ユースホステルは確実に外国人も泊まれるし、そろそろドミトリーに泊まって、「外こもり」を卒業しなければ、というコンセプトもあった。
あとは、パソコンでがしがし仕事のできる快適なスペースがないと、外のカフェはコカコーラ1本35元も取ったり、

長くいると、ぶつぶつ文句いわれたり、フルボリュームで音楽をかけられたり、あまりよろしくない。
だからやはり無料で堂々といれる宿のスペースがもっとも良い。
人の出入りがある程度あって、あまり孤独を感じなくてもすむ場所が。

午後はがしがし仕事をする。
何しろ、原稿を受け取って結構時間も経ってきたので、そろそろ納品しないと。。。

ドミトリーは、20年前とちがい、今は男女だけは分けられ、中国人も外人も区別なし。

20年前は外国人と中国人という区切りで分け、男女はいっしょくただった。
それでも外国人はほとんどが先進国から来ていたので、お金にも困っていなければ、男女交際にも困っていないので、あまりトラブルもなかったのである。




広々とした中庭。




ユースホステルに滞在している人たちは、見事に「国際レベル」である。
20代の若者が多いが、ほとんどは大卒の学歴以上、生活するのは、どんなに低くても2級地方都市まで(武漢、大連、天津レベルまで)。
見た目は先進国の若者とあまり区別もつかない。
服装も垢抜けているし、教養の高そうな面構えももう差は感じない。


そこに地元に残る若者なぞが、何か用事のために入ってくれば、一目でそれとわかるくらい歴然とした差がある。
まさに先進国と後進国が混在する世界だ。

こんなお国事情では、日本でいう「平均」という概念はまったく役に立たない。
「平均収入」、「平均所有率」・・・・。その「平均」に当てはまる人は、ごくわずかであり、遥か上にも遥か下にもかなりの人がぶら下がっている。

このユースホステル、昨日は西洋人も泊まっていたが、今日は一人もまだ見かけない。
ほとんどが中国人の若者だが、特にこんな学校の休みでも大型連休でもない時期に日がなここの中庭でビリヤードなぞを打ったり、

本格的なマウンテンバイクに荷物を載せてたどり着いたばかりという自転車隊などは、
会社に出てあくせく働かなくてもよい、何かの贅沢な条件をもっている。

先ほど知り合いになったここに滞在する男子は、北京でバーを経営しているという。
年は聞いていないが、20代後半くらいだろうか。
今、バーの内装中なので、手持ち無沙汰で遊びにきたという。

または転職の合間に長期旅行している人も多いだろう。
中国は会社に対する忠誠心というモラルはないので、「キャリアの中断」や「ブランク」を怖がらない。

誰でもしょっちゅう首になるし、そこに落ち度があったかどうかなど、誰も追求しない。
落ち度がなくても、首になることがあまりに多いからだ。
ボーナスを払いたくないので、春節前にいったん大量に首を切る、なんて話も聞く。

春節の前後2-3ヶ月は、全土が浮き足立って、あまり業務も忙しくないので、ボーナスに加え、数か月分の給料も節約できるというわけだ。
5月くらいになって、どうしても人が足りないようなら、また雇うなんていうこともあるらしい。

雇う側がそこまで無責任だから、キャリアを中断させたほうもそれで履歴書に傷がついた、ということにはならないのだ。
だから会社をやめて、貯金で数ヶ月、数年ぶらぶらしてもあまりハンディにもならないのだろう。 



   

束河もかなりやばいー!
がんがん工事があちこちで進められ、おしゃれな建物が次々に作られている。










うた歌いの演奏は、麗江よりもさらに早い午後2時過ぎから!
しかも室内で、少しずうずうしく音を外に出す、というのではなく、ライブ自体も外!
隣近所同士の演奏がかぶりまくってわけわからん。

時間が早いのは、麗江は、昼間は周辺の観光地に出かけていて、
夜に帰ってくる人が多いのに対し(麗江は午後4時くらいから、朝1時くらいまで)、
束河は滞在型、または麗江からの日帰り型だからでしょうかねえ。

もおお、とにかく太陽が真上からがんがん照っているのに、歌うわ歌うわ。
まるで町中が毎日、ロックフェスティバル状態。
まさに13億人の経済規模、ってこういうことを可能にするのねえええ。

AV女優の蒼井空のウェイボーフォロワーだって軽く300万を突破するのだから。
(すんません。最近、チェックしていなかったら、蒼老師のウェイポー、今は1400万人だそうで。訂正しまっす。)


少し観光化は進みつつあるが、それでも束河は、このくらいが「ちょうどいい」、と好感が持てる。
道を行く人もまばらだし、バーやカフェのいでたちもあまりグロテスクではない。

まだ田舎者の成金が投資しようと思うほどの損益分岐点に達していないところが、「俗化の蚕食」がましな理由かと思われる。
ややオサレな都会の若者が経営していたり、地元の若者の経営でも都会の知的レベルの高い長期滞在型旅行者の好みを取り入れようという気負いのある人が経営しているのだろう。

これが観光客が増え、「儲かる!」となってくると、あちこちのよそから来た成金の魑魅魍魎が「投資」に乗り出してきて、
地価があっという間に上がり、勢力側の行政も含めた嫌がらせも始まり、
元の経営者らはイナゴの大群にあれよあれよという間に食い荒らされて裸にひん剥かれて去っていくことになる。

かといってあまり「原始の姿のまま」だと、コーヒーも飲みたいし、快適なトイレやバスの揃ったホテルにも泊まりたいというわがままな自分としては、やはり居心地が悪い。
しかしあまりにもグロテスクに進化したら、もうそれは田舎の中国人の趣味に照準が合ってしまうので、もうこちらの出る幕ではなく、遠く遠ざかりたくなる。

そのあたりの「ちょうどいい」状態が、けっこう短く、数年しかない。
その瞬間に居合わせることができるのは、それだけで愛しいことだ。




これに対して、大研城では典型的な中国のバーストリートの歩みを進行中である。
北京の三里屯、後海、南鑼鼓巷にしても、バーストリートは皆そうだが、同じような「イナゴの大群による白骨化」を遂げる。

 段階1、最初は外国人が自らの好みを仕込んで発展させ、ぽつぽつと店ができてくる。

 段階2、「投資」の損益分岐点が訪れ、あっという間にバー経営に思い入れも経験も文化的素養もない経営者に席巻される。

すると、内装やサービス、料理の質などが、「田舎のおっさん」風になり、悪趣味に、似て非なるものになっていく。

 段階3、文化的な素養なしにバーに人は入ってこないので、客引きの兄ちゃんを店前に立てて呼び込みを行い、うた歌いを呼んで歌わせる。
    目立つためには、外にもボリュームをフルでかけまくり、騒音の嵐にする。

  段階4、それでもテナントが高くなりすぎて、なかなか儲けが出なくなるので、果てには姉ちゃんをおいて、奥の部屋で売春を始める。

  段階5、俗化、無個性化、悪趣味化の悪評判がたち、それでいてテナント代は莫大に高いままなので、次第に店子がつかなくなり、空き店舗が目立つようになる。

  段階6、かくして悪趣味な改造に改造を重ねた残骸だけが残る「白骨化」が起こり、いなごの大群が去っていく。


麗江は今、段階3まで進んでいる。でも古い町並み、周囲に簡単に代わりの場所が見つからないという位置づけである以上、4以上に進むことはないとは思うが。



こちらは束河のカフェー。







束河はやはりまだ汚されていない、と感じる瞬間。
この透明な水の流れを見せ付けられてしまうと。。。。。









   



   

  まだまだ建設中。




束河について1日目、最初の昼食は、もう優雅なところで高いものを食べても自分ひとりでは面白くもおかしくもないので、
おもいっきりローカルなところを探す。

この束河ではそれも苦労して探さないと見つからないのだ。
ほとんどがオサレなカフェ風のレストランばかりで。
スーツケースを引きずってがらがらと来た道中に目をつけておいたところ。




ユースで毎日、観光もせずにパソコンばかり見ている男子二人組がいる(私と同じで)。
80-90後ではなく、ぎりぎり70後っぽく、やや年が行っている感じ。
30代前半くらいだろうか。

パソコンには、黒い統計グラフがオンタイムで変化していたから、デイトレードでもやっているのだろうか。
片方の男性が、オリンピック以前の中国を少し引きずっていて、
上下柄物の服を着るわ、そばを通ったら、何週間風呂に入ってないねん、っていう壮絶な臭さ。


写真の重複使用になってしまいますが、このビリヤードをしている二人がそうだっす。
この日は、たまたま上下柄物ではなかったですが(笑)。






20代のバックパッカーの子達は、間違っても上下柄物なんて着ないし、いつもシャワーに入り、頻繁に洗濯をし、清潔に気を使っている。

この上下柄物兄ちゃんは、頭は坊主にしているという、オリンピック前はよく北京の町でもみかけた町の兄ちゃん風。
今のうちのアパートの下の雀荘でたむろしていそうな輩。

もう一人の連れも坊主にしており、こちらは肩の後ろに彫り物をいれ、それを背中の開いたランニングから覗かせるいなせな町のやくざさん風。
ちなみにやくざさん風には見えても、こちらには「如何にも本物のやくざに見える」人はいません。
取り締まりが厳しくて目立ちたくないのでしょうね。大きな組織も作れないし。

こちらもパソコンで黒いグラフを覗いて、デイトレーダーっぽい。
ちゃきちゃきの北京べらんめえ調なので、二人とも北京の町の兄ちゃんだろう。

瞬間的な決断力の果断さ、才覚一本で稼いでいる、っちゅうばくち打ちですかいな。
彼らだけが、怠惰な北京の八旗子弟の匂いをこの山奥に持ち込んでいる。

このムード、おそらく大卒ではないと思う。
こちらでは、高等教育を受けてきた人とそうでない人は、面構えからして違うのは、なぜでしょうー。

ほかの若者たちは、育ちも頭もよいが、まだ世間に出ていませんー、というおぼこいムードを出している中、二人は玄人の、曲者の雰囲気を撒き散らす。
こういう二つの異次元が、同じ空間に存在するのも面白いー。




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2 コメント

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新少林寺 (~弥勒~)
2013-08-29 15:52:08
内容から外れましてごめんなさい。

本日「新少林寺/SHAOLIN(2011年) 」ってのを見ました。
史実とは全く関係のない、少林寺がメタメタに破壊され、坊さんたちも殺される話です。
仏話で「人間性を見直せ」という趣旨のように思えますが、宗教のない現中国にとってはどのような意味を持つのでしょうかね?

カンフーとしての面白さはありました。ジャッキー・チェンとファン・ビンビンが助演で出ていますから、それだけでもいいのです。
ジャッキー・チェンの役は老け役なのですが、でも、老けましたね。確認したら59歳です。
それでもまだ映画にはたくさん出ているようで、もっと見たいです。
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弥勒さんへ (Yichintang)
2013-08-29 17:35:39
こちらで宣伝ビデオだけ見ました。
まあ。どうにでもエンターテイメントで作り上げてくれええ、という感じではありますが。。。

今、さまざまなしゅうきょうが花盛りになり、お上の神経を尖らせています。
仏教はその中でも富裕層のステータス的な意味合いがあり、じわじわと浸透しているようです。
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