谷沢健一のニューアマチュアリズム

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巨人・西武どっちだ?!(その3)

2008-10-31 | プロ野球への独白
 第7、守備力。失策数を見ると、ショートはG坂本(15個)L中島(12個)。サードはG小笠原(ファーストも入れて9個)L中村(22個)、セカンドはL片岡(11個)である。どんなケースで失策したのかはとにかく、中村選手の22個は多い。渡辺監督は守備力を重視したいとコメントしているが、守備力の平尾内野手を状況しだいで起用するだろう。
 また、DHのないセ本拠地では、四番後藤をレフトに起用せざるを得ない。Gラミレスも緩慢な動きと比べれば、後藤の守備でも我慢できるはずだ。(G10 vs L9)
 最後に、シリーズのキーマン。Gは上原、Lは涌井と石井一の二人を挙げたい。
 さて、両チームの総合点は、ジャイアンツ65点、ライオンズ64点であった。果たして目に見えぬ点数がどこにどれだけ潜んでいるか。独断と偏見で採点してみて、結果がこれほど拮抗しているとは、我ながら驚いた。実力は紙一重であるが、7試合の勝ち負けは、ジャイアンツ4.0勝、ライオンズ3.9勝。しかし、3.9勝なんて小数があるわけもないので予想し直そう。
 最終予想はこうだ。3勝3敗の後に僅差で巨人が勝つ。理由は、野球を「楽しむ」ライオンズと、勝負に「執念を抱く」ジャイアンツの違いだ。
 *本音を言うと、どちらにも勝ってほしい。どちらも我がYBCの活動を理解して支援してくれるスタッフがいるからだ。(こんなことを言うのは、解説者失格かもしれないが・・・)

巨人・西武どっちだ?!(その2)

2008-10-31 | プロ野球への独白
 第3、シリーズのローテーション。雨による延期がないとして、Gはおそらく正攻法で、上原、グライシンガー、内海、高橋尚、久保、上原、?グライシンガーの先発。第5戦は中継ぎの東野投手もある。
 Lは涌井、帆足、石井一、岸、西口、涌井、帆足。ポイントは第3戦の石井一投手である。今季11勝10敗のうち、ホームで10勝というまさに内弁慶ピッチャーである。彼をホームで起用するのか、それとも第2戦に先発させて、シリーズで2度登板を考えるか。第2ステージで脆かった同じ左腕・帆足投手をどれほど悲観視するかしだいだ。また、ベテラン西口の故障回復も気になる。確度の高い情報では、今投げ込んでいて先発の準備はできたという。中継ぎが薄いので、帆足投手のリリーフ登板も考えられる。
 両チームとも、ダルビッシュのようなエース中のエースがいないだけに、先発陣の出来が試合を大きく左右するだろう。(G10 vs L9)
 第4、中継ぎ陣。これはGが優る。Lの右打線(主軸は中島、後藤、中村)を、G中継ぎ陣(越智、西村健、東野、豊田)はかなり抑えるのではないか。左の山口投手も機能すれば、東野君の第5戦先発の可能だ。
 Lのほうは計算できるのは3投手(大沼、星野、岡本真)である。このひ弱さをどう補っていくのか。(G10 vs L7)
 第5、ストッパー。Gのクルーン、Lのグラマンはどちらも不安定である。特にクルーンの四球病は短期決戦では怖い。グラマンもシーズン終盤に調子の下降が目立った。(G10 vs L10)
 第6、機動力。盗塁数(G78 vs L107)は明らかにLが優る。Gは30個の鈴木尚、10個の坂本、そして亀井の走りが期待できる。Lは50個の片岡、25個の中島、17個の栗山に加えて、赤田も佐藤友もいる。(G7 vs L10)

巨人・西武どっちだ?!(その1)

2008-10-30 | プロ野球への独白
 辛くもドラゴンズを退けたジャイアンツ、レギュラーシーズン3位のファイターズに苦しめられたライオンズ。ペナントを制覇した両チームが日本シリーズに臨む。CSプロ野球ニュースでは31日に「大胆予想」を展開する予定だ。番組スタッフに私の予想を告げてあるが、放送前に書くというルール違反を承知で、その内容を掻い摘んでお話したい。
 両チームを以下のように分析した。各ポイントを10点満点で採点し、ローテーションとキーマンを推測して、何勝何敗になるか、占ってみた。
 第1、打撃力は、本塁打数に絞るとL198 vs G177。明らかに数値はライオンズ優位である。しかし、西武のオールスターゲーム以後の後半戦は、22勝23敗3分けの借金1であった。その要因は前半戦打ちまくった2人(ブラぜル=24本塁打、GG佐藤=21本塁打)がで離脱したことだ。ブラぜル選手にいたって後半3本しか打っていない。
 おかわり中村君が後半22本を打って46本塁打でタイトルホルダーになったものの、2人の中心打者を欠いたことが、終盤のもたつきを生んだ。特にGG君の故障と五輪の精神的ショックと技術的低下は痛い。ただし、ペナント制覇に至った団結力とチームの明るさは、シーズン当初の下馬評を覆す力を生んだ。(得点力はG10 vs L9)
 第2、捕手のリードと肩。ジャイアンツは誰もが言うように正捕手の離脱が痛い。ところが、第2ステージで鶴岡捕手が光った。投手陣とコミュニケーションをとる努力も懸命にしたようだが、その必死のリードが阿部不在をマイナスにしなかった。しかし、ドラゴンズの荒木君に盗塁4を易々と献上した。足攻(片岡、栗山、中島、佐藤友、赤田等)をどう封じるか。例えば、クイックが苦手のグライシンガーの時、どうするのか。それも見ものの一つである。やはり、細川捕手に一日の長があり、リードでも冷静な判断力が上回っている。(G8 vs L10)

社会人野球の公式戦(その3)

2008-09-16 | ニューアマチュアリズム
 YBCは、初年度の都市対抗予選でコールド負けという屈辱からスタートして、試行錯誤を繰り返しながらも、創部3年目を迎え、曲がりなりにも着実に成果をあげてきたつもりである。「落ちこぼれ選手の集団」という揶揄も耳にしたこともある。しかし、選手たちもスタッフもそんな意識はまったくない。常に上を目指す向上心の強い者たちが大半だ。初年度はトライアウトで「寄せ集まった」せいか、ギクシャクもなかったわけではない。だが、3年目の今は「雰囲気はサイコー!」と言ってくれる選手が多い(お世辞分を割り引いても、かなり高い評価分は残るだろう)。
 金銭を提供してくれるスポンサーがいなくても、選手たちから高い部費を集めなくても、合理的な倹約を旨とする知恵を絞ることで、現在のチーム力まで引き上げられることは証明できた。今年の千葉県のクラブチームは「戦国時代」と言っていいほど、実力が拮抗している。松戸(松戸TYRと千葉熱血MAKING)、東金、市原、野田、銚子、そして我々柏、どこが県代表になってもおかしくない。互いの切磋琢磨の分だけ、全体のレベルもアップしているはずだ。野田の中山監督も昨日の試合の後、「今日は敵同士でしたが、同じ千葉のクラブチーム仲間だから、ともに力を磨き合いましょう」と言い(これは好漢・中山氏の口癖である)、11月初めの練習試合を約束した。その前日には、千葉熱血の河野監督と練習試合の約束をしたし、熱血の南雲部長はYBCの加藤副部長とおなじ教科書出版業界の社長仲間ということで、立ち話ながら懇談もしていた。
 さて、県代表として出場することになった関東クラブ選手権大会だが、開催要領についてわかっているのは、主催は埼玉県野球連盟で、大宮と越谷で行われるということだけである。おそらく各県の代表が決まってから、突然、ほんとうに突然、組み合わせ表が送られてくるのだろう。抽選などによるフェアな組み合わせ決定は行われないのだろう。
 この邪推が杞憂であってくれればよいと思う。事前に組み合わせの枠組みが決まっていれば、選手・スタッフが早い時期に勤務先に休暇願も出せる。休日出勤のある職場が少なくないのは、埼玉県野球連盟のお歴々もわかっているだろう。憎まれるのを承知で書くが「オールド・アマチュアリズム」の弊害の一つが、公式戦の組み合わせの秘密性である。
 憎まれついでに言えば、今回の千葉県連盟の議題も「議題」ではなく、「伝達」に等しかったが、この上意下達も「オールド・アマチュアリズム」の表れと言わざるをえない。さてはて、「ニュー・アマチュアリズム」を唱える者としては、どういう思案を重ね、どういう私案を実行するとよいのだろうか。地道な努力を重ねるしかないのだろうなぁ・・・

社会人野球の公式戦(その2)

2008-09-16 | ニューアマチュアリズム
 残る機会は、都市対抗だけである。今年の都市対抗の千葉県代表3チームのうち、1チームはクラブチーム(松戸TYR)だった。躍進著しい松戸TYRは、都市対抗県予選でJFE東日本と延長12回で1×2で惜敗した。JFE東日本はメンバーを落としていたのかもしれないが、もしそうだとしても少しでもスキを見せれば、接戦になる力を千葉県のクラブチームは持っている。YBCも昨年、企業チームに公式戦で1度だが勝っている。
 この秋の日本選手権の千葉県代表枠は3チームだから、クラブチームにも大いに望みはある。関東クラブ選手権大会の創設と平日の試合のレベルダウンという2つの理由だけで、代表枠3を企業3チームが独占する結果になるのは、どうにも腑に落ちない。なぜ日曜祭日だけで公式戦を行えないのだろうか。平日でないと公営の球場が確保できないのだろうか。それなら企業チームの球場を借用すればいい。それも不可能だというのだろうか。
 この議案の決められた背景の一つに、クラブチーム(サウザンリーフ市原)から、議案と同一趣旨の「要望書」が県連盟理事長宛に提出されていたこともあるという。私はそれを見ていないので、具体的に言及できないが、サウザンリーフ市原は企業チームとは別個グループで活動したいということなのだろうか。残る6チームもそれに右習えしろというのだろうか。いや、そんなことはないだろう。真意がどこにあるのか、私にはよくわからない。
 ひょっとすると、平日にもレギュラーメンバーで試合が出来るのが「社会人」野球である、ということだろうか。だとすると、社会人という言葉について、私が誤解していたことになる。私の考えでは、職場で労働して給料なり報酬なりを得る日が平日であり、そうしているのがまっとうな社会人である。もちろん、企業が社員に野球をさせて、それだけで給料を支払うとしても、それに文句をつける気は全くない。それは企業の自由だからだ。
 ひょっとすると、そういう企業チームの集団が日本野球連盟(JABA)であり、平日にレギュラーメンバーで試合をできないのに、そもそもJABAに加入するのはお門違いだったのだろうか。JABAのAはamateurのAではないのか。今、私の頭の中はちょっと「混乱」している。

社会人野球の公式戦(その1)

2008-09-16 | ニューアマチュアリズム
 9月13日から15日まで開催された秋季の千葉県クラブ選手権(関東クラブ選手権の県代表権もかかっている)が終了した。既にHPに掲載したように、春に続いて優勝できた。全日本クラブ選手権の南関東大会決勝戦で、9回裏に3点差を逆転されてサヨナラ負けした後、改めてチームを整備してきた結果が吉に出ただけに、ほっと安堵した。関東クラブ選手権は第1回であるから、なににつけても最初の大会に参加できるのも、素直にうれしい。この夏の猛暑の中、練習に励んだスタッフや選手たちを労いたい。
 社会人のアマチュア野球は現在、各地で日本選手権出場(11月)の予選が行われている。JABAの公式HPに、各地の予選の進行状況が掲載中である(ただし千葉県は企業の3チームのリーグ戦しか掲載されていない。クラブの7チームは日本選手権の出場資格を喪失させられた。他県はどうなのだろう)。
 この大会に先立って、8月中旬に千葉県連盟の理事会が招集された。YBCからは川島コーチ、小松ヘッドマネに出席してもらった。緊急議題については事前に聞かされていた。その案件は、1、クラブチームだけの関東クラブ選手権が創設されたので、企業とクラブが同じ土俵で争う日本選手権の予選は、企業チームだけで行う。2、関東クラブ選手権は、県予選の1位チームが出場権を得る(千葉県の場合は、この予選の2、3位の順位が来春のクラブ大会予選の組み合わせの際に考慮される)、というものであった。
 YBCとしては断乎反対であると、川島・小松両氏に私の考えを託した。春秋の大会で企業チームと戦うことは、選手たちのモチベーションの高揚に繋がる。ただネックは試合が平日に行われる場合だ。企業チームは平日でもフルメンバーで試合ができる。だが、クラブチームはそうはいかない。それをご存知の企業チームの方々は「平日にまともにメンバーが揃わないのだから、クラブと公式戦で試合しても仕方がない」とおっしゃる。
 誤解のないように予め付け加えて言うが、今回の議題は善意から発案されているにちがいない。クラブチームが休日だけに公式試合を戦えるように、配慮してくれたのだろう。その好意はありがたい。クラブチームだけの大会が増えるのもありがたいことである。しかし、クラブチームが企業チームと公式戦で戦う機会がこれ以上減るのは困惑以外のなにものでもない。

遠い五輪野球の金メダル(その2)

2008-08-24 | プロとアマ
 この文章を記している最中に、韓国の優勝が決まった。土壇場で、1点リードの韓国はストライクゾーンにクレームをつけた捕手が退場宣告を受け、一死満塁の大ピンチ。それを見事に凌いで悲願の金メダルを獲得した。
 アマチュアの五輪経験者たちが口を揃えて言うのは、「アマの試合はもちろんだが、とくに国際試合では、審判にクレームをつけるのは下の下だ。プロの感覚で審判に文句を言ったら、試合後の審判たちのミーティングで槍玉に挙げられるだろう」ということだ。韓国もそれを知っていたろうが、最終試合で堪忍袋の緒を切ってしまった。
 日本は、監督自らがずいぶん早く緒を切ってしまい、危うく退場になりかけた。審判に不信感を与えたことも敗因の一つだろう。また、捕球直後にミットを少しでもずらせば、ほとんどボールにとられるのも、アマの国際試合では常識だ。五輪強化費を使って「世界中からデータを集めた」と豪語したのだから、阿部・里崎・矢野の捕手陣に審判対策が伝授されていただろうが、捕手たちは実行していただろうか。ストライクゾーンに文句をつける前に(プロ意識丸出しでアマを見下す前に)、郷に入って郷に従っていただろうか。(じつは、これは私自身の自戒でもある。)
 それにしても、監督にすべてを負わせすぎではないか。○○ジャパンなどと表現される事態がおかしいのである。最高の権限をもつ組織のトップと、現場で総指揮を執るチームのトップとの間に、それなりの緊張感がなければ、必ず偏向と堕落が生じる。当人にそのつもりがまったくなくても生じるのは、歴史が教えている。
 そもそもJOC(日本オリンピック委員会)に加盟しているのは、BJF(全日本アマチュア野球連盟)である。これは、便宜上創設されたもので、実質的には、JABA(日本野球連盟)とJCBA(日本学生野球協会)である。これまでは、BJFが五輪代表監督を選んできた。永くアマ野球を支えた長船JCBA事務局長が、長嶋ジャパンを生みだし、星野ジャパンにつなげて昨年亡くなった。その直前に雑談する機会があったとき、私に「金メダルをとる最後のチャンスだから、五輪チームをアマからプロへ渡したのだ」と悔しさと期待とが入り交じった微妙な表情で語った。今回の結果を長船さんはどう天国で見守っていたか。五輪野球にプロを加えること自体、問題ではなかったのか。
 8月15日の朝日新聞で、作家の重松清氏が書いている。「星野ジャパンには、もちろんメダルを期待したい。でも、それ以上に「野球の魅力を世界の子どもたちに伝える」という大きな使命があるんじゃないか。(中略)グラウンドを見てごらん。野球っていうスポーツ、面白いだろう?」
 日本の子どもたち、世界の子どもたちに野球の面白さ・楽しさを伝えることを怠っている限りは、再び五輪で野球を見ることはないだろう。そして、ついに野球は世界スポーツにはならないだろう。21世紀の野球人(責任ある立場の野球人)を名乗る資格のあるのは、それを知っている者ではないだろうか。

遠い五輪野球の金メダル(その1)

2008-08-24 | プロとアマ
 NPBから全選手を選抜して編成した星野ジャパンこと五輪野球代表チームの試合は終わった。開戦前は「闘将名将、星野」とか「最高最善のメンバー」とか賛辞と期待一色だったファンの声も、今日からは手のひらを返して、批判の嵐が吹きすさぶだろう。
 8月13日から始まった予選リーグの初戦はキューバ。ベンチの映像を見ていると、スタッフも選手も重圧にがんじがらめだと感じざるをえなかった。「メダルは一番いい色(金メダル)しかいらない」という類の星野発言に示されるように、おそらく、指揮官の一挙一動が陰に陽に緊張過剰の心身の膠着を、全員に生みだしてしまうという素地があったにちがいない。
 とにかく、初戦から決勝リーグまで心身ともに相手を圧倒できるだけの力と結束を維持できたのか。強い興奮が100%以上の力を発揮させることもあり、その時の充実感は競技スポーツの経験者なら誰でも知っている。同時に、チームが普段とあまりにも異質な空間になると、心と体のバランスを失うことも多い。それが、テレビ観戦をしている私にも伝わってきた。
 韓国、キューバ、米国にしても同じ強い緊張現象が起きていた。兵役免除のかかっている(軍役の知らない私たちにはピンと来ない)韓国、帰国後の経済的処遇に天地の差が生じる(貧富差を知らない私たちにはピンと来ない)キューバ、メジャー昇格やドラフトのかかっている(私たちにも少しはわかる)米国は、緊張の質が異なる。一人一人が明日から人生が変わるのである。結果として、かかっているものの重さの順がメダルの順位になった。
 一方、日本にかかっているのは初の金メダルという名誉である。その名誉は、自分が金メダルチームの一員になるというワン・オブ・ゼムの名誉にすぎない。人生が変わるとしたら、星野監督であり、金メダル獲得によって、WBC代表監督就任が確実になり、長嶋ジャパン(五輪)と王ジャパン(WBC)両方の後継者としての地位が確立する。この温度差は大きい。

ダルビッシュ・藤川・岩瀬不在のNPB(その2)

2008-08-12 | プロ野球への独白
 そんな中でも、日本のプロ野球の熱戦は続く。CSプロ野球ニュースも毎日放映する。五輪の映像は使用できないために(これも五輪の商業主義)、文字情報だけだ。当然、熱も入らない。
 いや、それでかまわない。五輪選抜選手がいなくても(ついでに言えば、イチローらメジャー組がいなくても)、選手は懸命に戦っている。ここで岩瀬だというところで浅尾が出てくる。いや、そう思ってはいけない。最初から岩瀬のことなど考えずに、さあ浅尾だ、きっと抑えてくれるぞ、と思わねばならない。亡き子を嘆く親は、生きている子に失望される。彼らの心を傷つけ殺してはならない。
 阪神は、藤川がいないことを意識しすぎたのか、ベテランの下柳を7回まで引っ張って、敗戦に至った。12日現在ゲーム差8は、五輪が終わる頃にはいくつになっているだろう。「5厘差(五輪さ)」なんて寒い洒落も頭に浮かんでくるが、ともあれ、今日明日の対巨人2連戦の監督采配が注目される。
 後半戦スタートのDG戦の中継を担当したが、観客は満員であった。五輪期間中は、プロの公式戦は中断して、アマを含めたカップ戦などを企画してはどうかと思っていたが、どうしてどうしてプロ野球興行を支えるファンは健在だ。
 高校野球も地域制に則(のっと)った夏の甲子園大会が五輪に負けない視聴率を稼いでいる。独立リーグも8日はすべてナイターで五輪開会式とほぼ重なったが、四国九州アイランドは観衆5094人、北信越は観衆2587人、両方合わせて7678人、着実にファンを確保している。ついでに言えば、8日夜、プロ野球はどうだったか。五輪代表とパリーグ選抜が東京ドームで対戦した。観衆は20001人。
 日本の野球は、まだまだ他スポーツより支持されている。いくつもの機構・組織がバラバラに存在しているが、それぞれがファンを確保していて、利害が一致すればその時は結びつく。しかし、その土壌は確実に地殻変動しているが感じられる。8日の夜の観客動員数(NBP:独立リーグ=13:5)は、それが表層に現れ始めたことを示していると、私には思われた。

ダルビッシュ・藤川・岩瀬不在のNPB(その1)

2008-08-12 | プロ野球への独白
 8月8日の夜8時8分、私は長野市篠ノ井のホテルにいた。長野五輪の開会式・閉会式が行われた長野オリンピックスタジアムで、翌日、中日本クラブカップ大会が開催されるからである。そのベッドでウトウトしながら、北京オリンピックの開会式を4時間も見てしまった。
 プロローグの論語の「有朋自遠方来、不亦楽乎」から始まる中国4千年の歴史が絵巻物のように繰り広げられた。酔眼ならぬ半睡眼には、黄河流域に発芽した文明が世界へ伝播していったことを中華民族のこの上ない誇りとしてアピールしていたように映った。その迫力が私を眠りの世界から引っ張り出すのだが、人と時と金をかけすぎではないかなぁと感じると、また睡魔に囚われてしまう。五輪祭典は、前回のアテネで五輪の原点に戻るかと思ったが、商業主義と政治性はこれまでに負けぬほど強まってしまった。
 その商業主義と政治性を知ってか知らでか、星野ジャパンは(選手たちの意識は宮本ジャパンらしいが)、13日第1戦を迎える。キューバ、台湾、オランダ、韓国、カナダ、中国、アメリカの7ヶ国の順で、予選ラウンドが始まる。NPBが総力を挙げて態勢を整えただけに、選ばれたメンバーのレベルは、他国の陣容と比較して群を抜いている。順当にいけば金メダルは間違いない。
 難敵は他チームの選手・戦力ではなく、自らに内に潜んでいる。高温多湿に対処しきれぬ体調不良、故障個所の悪化、寄せられる期待の重圧、国旗を背負っているという責任感の過剰、情報の収集と解析の不足、戦略戦術の不統一と不適切などが、万に一つも生じれば、晴れ舞台が悪夢の舞台になる。