谷沢健一のニューアマチュアリズム

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さあ、プロの開幕だ-パリーグ(その2)

2008-04-26 | プロ野球への独白
 それと主戦投手3本柱の成績をかみあわせてみた。統計学でよく用いるクロス集計の初歩にも至らない真似事である。76試合での3本柱の勝ち星合計は5球団が7~8勝で並び、ホークスだけが4勝である。つまり、5球団の主力はほぼ期待通りの働きだが、ホークスは不振である。なにしろ3人が揃わない。いずれは新垣君、抑えの馬原君も復活してくるだろうが、王監督はやきもきしているだろう。
 楽天は岩隈・田中・永井の3君で8勝を挙げながら、接戦に弱い。ここから浮かび上がってくる事柄については書くわけにいかない。ノムさんはとっくにご存知だろう。選手たちが自信を持ち始めたら、面白いことになる。そして、その兆しはある。ボヤキの野村、口撃の野村と言われている監督の秘かな変貌に気づいている人はどれだけいるだろうか。テレビカメラマンたちは感じているかもしれない。
 データが机上に揃っても、それを映像化して報道するのは難しい。割り当てられた5分は短いものだった。数値の示す1つ1つの意味を映像で伝える。それが1回きりの10秒以内の映像とコメントだけでは、たいてい印象に残らない。生々しい事件報道と違うのである。繰り返しや大写しで明晰度がアップされ、解説者のコメントも生きてくるものだ。番組を終えるたびにいつも反省させられるが、今回もいくつか不十分な点が残った。
 先日、ライオンズのブラゼル選手のインタビューに行ってきた。これはPBNで放送されたので割愛するが、その際、渡辺監督と暫く話をした。渡辺氏曰く「ミスは責めません。ミスの後は練習しかありませんよ」事実、遠征中に起こった投内連係のミスを繰り返し練習していた。とにかく私の前を通り過ぎる選手たちの挨拶は明るい。今のパリーグは、監督の雰囲気の明るさがそのまま順位になっていると思うほどだ。トップのナベちゃんから、ボビー、ナシさんときて、口はさておきけっこう表情の明るいノムさん。それから、真面目な王監督、そして、苦渋に満ちたミスター・コリンズ……。まさに数字と監督の表情とはチームの明暗の証。いや、これは冗談である。

さあ、プロの開幕だ-パリーグ(その1)

2008-04-26 | プロ野球への独白
 24日、お台場のフジテレビに行く前に、神保町のYBC東京事務局へ寄った。事務処理の打合せの後の雑談で、加藤副部長から「ブログはセリーグで止まっていますよ。そろそろ混戦のパリーグはどうですか」と促された。確かに1点差ゲームが多い。6チームの投手力が拮抗しているせいかどうか、少し分析しようという気になった。
 雑談相手もいろいろいる。憂鬱な気分がいつのまにか消散してしまう語り上手の人もいるし、なにげない言葉なのになぜかアイディアを誘い出してくれるような話題上手の人もいる。だから、雑談は私の糧になる。
 フジテレビ739のプロ野球ニュース(PBN)で、木曜日は基本的にキャスターを務めることになっている。局に着くと、2試合が雨天中止となったと知らされた。今日のように6試合予定の日は、何試合か雨で流れると、急遽その時間を埋めるための企画を考えねばならない。木曜担当ディレクターの武田氏から「谷沢さん、5分空いているんです」4試合のゲーム進行を見ながら、お互いアイディアを出しあった。4試合のモニター画面を同時に見ながら各試合のポイントをメモし、同時に穴埋め企画を考えるのはそう簡単なことではない。
 私は神保町の会話を思い出して、常に携帯しているデータノートを開いてチェックしてみた。76試合中32試合!「武田君、パの1点差ゲームは42%もあるぞ」「え?ほんとうですか、全部、引き出してみます」
 私のノートでは、1点差試合の勝敗で目立つのは、ファイターズの8勝3敗とマリーンズの8勝5敗。さらにイーグルスの2勝9敗だった。ちなみに序盤戦トップを走るライオンズは4勝6敗。

さあ、プロの開幕だ-セリーグ(その3)

2008-04-08 | プロ野球への独白
 「それにしても広島より下とは酷すぎる」と某解説者が小声で言っていたが、「広島より」という失礼な比較はさておいて、「酷すぎる」には同感である。打者では高橋由選手の2割8分、投手では上原君の防御率4点台がチーム内トップである。「始まったばかりで対戦相手も一巡していないのに何をぬかすか」と巨人ファンと関係者の怒りを買うに違いないが、私の正直な感想である。いずれトップ争いに加わるだろうと断言できるからこそ、辛口の表現をしているのである。
 セの選手の何人かがキャンプ中に言っていた。
 ヤクルトの選手「上原は先発よりも抑えの方がいやですね」
 阪神の選手「クルーンの抑えは組みやすし、ですよ、僕にはね。他の選手にも教えようかな」
 中日の選手「阿部君のリードは読みやすいですね」
阿部君のリードがパターン化しているだけでなく、スコアラー陣が手薄で、偵察と分析の結果が選手に行き渡っていないのではないかとも思われる。中日戦での中村紀、和田、森野の一発は、(ここで具体的に言うのは憚るが)ちょっとしたことで防御できたのではないかという一打である。
 ペナントレースは想定外の事が起きないかぎり、戦前の予想はひっくり返らないはずだ。神宮球場の両翼フェンスが10m後退したことでヤクルトの野球が変わるのだから、東京ドームの特性を生かした野球をこれまで以上に追求すべきだろう。あるいは、選手の陣容に即すように施設の有効利用と手直しを考えるべきだろう。
 ドラゴンズは予想通りの戦いであるが、おおかたの予想を上回っているのが、スワローズである。9試合で既に13盗塁。目を見はる「走塁攻撃」である。その一翼を担ったのが、高田監督好みの選手で、颯爽と1番に起用された川島君である(張り切りすぎたのか、右手親指の付け根を傷めて離脱してしまったが、2、3週間もすれば回復するらしい)。彼が欠けても当分、機動力野球は揺るがないだろう。投手陣も若手の村中・増渕両君が早くも勝星を掴んだ。
 タイガース、そしてベイスターズとカープに言及できなかったが、次の機会には書きたいことの多いチームである。ともあれ、ジャイアンツの惨敗からから始まったのが、2008年のセ・リーグである。

さあ、プロの開幕だ-セリーグ(その2)

2008-04-08 | プロ野球への独白
 勝利のみを極端に優先する傾向がセの3球団に強まっているのはじつに残念だが、その最たる読売巨人軍が、いざ蓋を開けると予想外の展開である。開幕投手・高橋尚成君がキャンプ時(2月下旬)に私に語った言葉を思い出す。
 高橋君「沖縄は暖(あ)ったかいんでしょうね。いいなあ、ボクはここでこれから肩をつくるんですから……」
 私「たしかに施設は完璧だよな。でも宮崎はこの時期は寒いよなあ」
東国原知事には悪いが、2月の宮崎はいささか寒冷だ。彼は寒さに辟易していた。父親を亡くした後だけに、一際ナーバスになる気持ちも理解できた。しかし「巨人宮崎」はキャンプ地の代名詞のごとき存在である。
 開幕から2勝7敗、明らかに調整の失敗である。ある巨人OBの話では、選手の中には「キャンプでまともな練習をしていない。この結果は当然ですよ」という声もあるそうだ。確かに、Gキャンプ地の施設そのものは最高だが、選手の立場になればかなりの欠陥もある。例えば、練習の際の動線が悪い。メニューを一つ終えて次のメニューに移動するのが極端に不便である。
 近隣のホークスのキャンプは、ファンも見やすいし、首脳陣も(ファーム選手も含めて)全選手をチェックできるようになっている。それだけハード(施設)が集結しているのだ。メニュー間の移動時に多目的な芝生広場(ファンが昼食をとったりしている)を通過するように動線が敷かれている。(ごく一部のメディアも、ひじょうに遠回しに報道していたのだが、なかなかそれが読み取られていないようだ・・・)

さあ、プロの開幕だ-セリーグ(その1)

2008-04-08 | プロ野球への独白
 3月27日のセ・リーグ開幕前夜、CSプロ野球ニュースでは簡単な順位予想を行った。(簡単だったのは、開幕戦をセ・リーグに邪魔されたパ・リーグへ視聴者の心情が傾いたせいで、パの2カードの報道を優先させたためなのか、とディレクターに確認しようかと思ったが、やめにした。それにしても、パ・リーグの開幕に大リーグとの練習試合をぶつけるとはねえ……、セの有力選手たちが何人も「おとなげない」と言っていた。)
 CS解説者15人の順位予想は、1位中日としたのが私と他2人、1位巨人は11人、1位阪神は1人であった。1位巨人の予想理由は、第一に、大型補強で勝って当然だ(非巨人OB連のいささか皮肉めいた見方)、第二に、巨人が球界をリードするのが当然だ(巨人に愛着のある面々)であろう。
 1位中日が私以外に2人しかいないのは、近年、何かとメディアを敵視し情報をひた隠しにする同チームの露骨な言動から、予想できるほどのまともな情報が得られないからだと、解説者の面々は言う。(「ささいな情報なのに、それを洩らしたという理由でコーチが厳しく処置された」という類の噂がいくつも、記者の間に流布し続けているくらいだから、いたしかたないだろう)