カクレマショウ

やっぴBLOG

映像が歴史をつくる時代──NHKスペシャル「新・映像の世紀」

2016-03-21 | ■世界史

NHKスペシャル「新・映像の世紀」、昨夜の第6集「あなたのワンカットが世界を変える」で最終回でした。

1995~96年(…まだ「20世紀」だったんだ!)にかけて放映された「映像の世紀」は、世界史の授業で大変重宝したものです。世界史はビジュアルから!というわけで、ほぼ毎時間、何分かは何かしらの映像を見せるようにしていました。「世界ふしぎ発見!」はもちろん、「知ってるつもり!?」やNHK特集など、関係ありそうな番組は片っ端から録画しておいて、時代ごとに授業用に編集したビデオテープは200巻以上ありました。「スパルタカス」、「クレオパトラ」、「キング・オブ・キングス」、「バイキング」、「薔薇の名前」、「クロムウェル」、「戦艦ポチョムキン」、「チャップリンの独裁者」、「ラストエンペラー」、「アラビアのロレンス」、「ガンジー」、「キリング・フィールド」(わ。挙げていけばキリがない)といった歴史に関係する映画も、時間の許す限り見せるようにしていました。

でも、それらのテレビ番組や映画って、結局は「つくりもの」なわけです。つまり、あくまでも作り手の意図による「再現」でしかないので、授業で見せる際には十分気をつけなければなりません。特に映画は、すべてが「史実」とは限らないので、見せる時には、解説を念入りにしたものです。

そこいくと、「映像の世紀」で使われていた素材は、少なくとも「ホンモノの映像」です。編集意図はあるにしても、映像そのものは、その時代その瞬間を切り取った、まさに「歴史」そのもの。授業で使うにはうってつけです。極端なことを言えば、何も説明なしに映像を見せて何かを感じ取ってもらうだけでもいい。もちろん授業なのでそうはいきませんが、この「映像の世紀」については、本当に効果的な見せ方、使い方ができたように思います。歴史を「知る」ために、「学ぶ」ために生の映像から得るものってほんと大きい。

ところが、昨日の番組では、もはや「映像が歴史をつくる」時代になっているという趣旨でした。映像によって歴史を学ぶだけでなく、映像が時代を動かし、歴史をつくっていく。はあ、すごい時代になったものです。こうなると、ますます現代史の授業での映像の使い方って難しいことになっていくでしょう。Youtubeでの発信者はみんな「意図」をもって発信しているわけですから。メディアリテラシーのあり方についても再考が必要ですね。

ああ、それにしても、加古隆のテーマ曲「パリは燃えているか」。なんて切ない曲なんだろう! ナチスドイツがパリから撤退する際にヒトラーは「パリを焼き尽くせ」という命令を下す。でも、部下たちはそれができなかった。その時にヒトラーが言った言葉。「パリは燃えているか?」。

……盛者必衰。これが歴史ですね。


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