カクレマショウ

やっぴBLOG

「アヒルと鴨のコインロッカー」─原作の「妙」が薄れるのは仕方ないにしても。

2008-03-30 | ■映画
2006年/日本/110分 監督 中村義洋 原作 伊坂幸太郎『アヒルと鴨のコインロッカー』(創元推理文庫) 脚本 中村義洋 鈴木謙一 出演 濱田岳 瑛太 関めぐみ 松田龍平 大塚寧々 伊坂幸太郎の同名小説を映画化。なにしろ、原作に相当「力」がある作品だし、構成上も映画にするのは難しいのではと思っていましたが、無難にうまくまとめたなという印象。ただ、言うまでもありませんが、この作品も、映画は . . . 本文を読む

PTA廃止と「地域本部」。そして社会教育。

2008-03-25 | └社会教育
あの杉並区和田中学校で、ついにPTAを廃止するのだそうです。この3月に退任することになっている藤原校長の、最後の大仕事。藤原校長が着任以来手がけてきた「和田中地域本部」が、今や従来のPTAが担ってきた役割を肩代わりするだけの力を持ってきたってことですかね。 そういう手があったか!という感じです。PTA活動の活性化にがんばっているところはあれど、PTAをなくそうなんて誰も考えない。都会では、確かに . . . 本文を読む

真のオピニオンリーダー

2008-03-24 | ■社会/政治
経営学者であり、シンクタンクの理事長や大学の学長も務めている方と、仕事の関係でお会いしてきました。御年80歳を超えて、いまだに論壇の第一線で活躍されていることにも驚きますが、話の端々にさりげなく出てくる著名人との交友関係にも、その広さ、多彩さに度肝を抜かれました。かつて、塩野七生さんの著書を読んで感銘を受け、ロシアを訪問した折りに、フィレンツェまで彼女に会いに行って一晩語り明かしたとかいう話も披露 . . . 本文を読む

「ガチ☆ボーイ」─"記憶"のメカニズム

2008-03-23 | ■映画
「メメント」という不思議な映画があります。「前向性健忘症」という記憶障害を持つ男が主人公。彼の記憶は10分間しか維持できない。で、起こったことを忘れないように、彼はポラロイドカメラで撮影し、それから、大事なことは体のあちこちにタトゥーで書き込んでいる。映画自体のつくりもとても入り組んでいて、見終わったあとはなんだか取り残されたような気分になる映画です。 「ガチ☆ボーイ」も、同じような記憶障害(高 . . . 本文を読む

アーサー・C・クラーク『幼年期の終り』

2008-03-21 | ■本
ロバート・A・ハインライン、アイザック・アシモフと並んで、「三大SF作家」と言われるアーサー・C・クラークが亡くなりました。これで、SFの一つの時代が終わったと言ってもいいでしょう。 アシモフは、「ロボット工学3原則」の提唱者。彼の説いたロボットや人工知能と人間との関係は、のちのSF界に大きな影響を及ぼしたことは言うまでもありません。もちろん手塚治虫の「鉄腕アトム」を含めて。アシモフ作品では、私 . . . 本文を読む

チベットと中国

2008-03-20 | ■世界史
試しに7世紀あたりの世界地図を開いてみましょう。この世紀の初めに生まれたイスラム教の国、イスラム帝国(ウマイヤ朝)が西アジアからインド、中央アジア、北アフリカ、そしてヨーロッパのイベリア半島に至る広大な勢力を誇っているのがまず目を引きます。ヨーロッパにはまだイギリスもフランスもドイツもなく、そのルーツであるフランク王国という国があるだけ。もちろんバルカン半島から小アジアにかけては、かつてのローマ帝 . . . 本文を読む

気の利いた「仕切り屋」になろう。

2008-03-18 | └キャリア教育
数年前のことですが、ある大学の教授が、「最近の大学生は『仕切る』ことを知らない」と嘆いていました。たとえばゼミで飲み会をしても、誰も仕切ろうとはしないのでそもそも飲み会が「始まらない」。誰かが注文をとりまとめるでもなく、みんなおしぼりと箸の前でじっと座っているのだという。仕方がないから先生が自ら「仕切る」はめになるという…。 それはもちろん笑い話として披露されたのですが、なんだか笑うに笑えないよ . . . 本文を読む

タージ・マハルに泥パック。

2008-03-17 | ■世界史
インド・ムガル帝国のシャー・ジャハンが愛妃マハルの墓として建てたというタージ・マハル。白亜の大理石でできた左右対称の美しい霊廟。死ぬまでに一度は見てみたい建物です。 ところが、この「白亜の殿堂」が、完成から350年以上を経て、「白亜」でなくなっているという話は以前から聞いていました。その原因の一つは、最近とみに進む大気汚染なのだとか。急速に経済成長を遂げつつあるインドをある意味で象徴するような話 . . . 本文を読む

「呼ばれたい名前」と「さん付け運動」

2008-03-16 | ■教育
他人からどのように呼ばれるか。コミュニケーションの中で、それはとても大切なことです。もちろん相手によって呼ばれ方は違うだろうし、呼ばれてうれしい呼ばれ方もあるし、逆に「あなたにそんな呼ばれ方される覚えはない」とひそかに思うこともあるでしょう。あるいは、名前で呼ばれるか肩書きで呼ばれるか。「先生」という敬称については以前書いたことがありました。 立場を逆転させれば、相手をどう呼ぶか、ということに頭 . . . 本文を読む

佐藤悦子『佐藤可士和のつくり方』(誠文堂新光社)

2008-03-15 | ■本
「アートディレクター」なんだそうである。そういう仕事をする人はこれまでいなかったので、「佐藤可士和」が「アートディレクター」という仕事を世に広めていくようにしたい、と佐藤悦子は語る。佐藤悦子は佐藤可士和のマネージャーであり、妻である。この本は、その佐藤悦子が振り返るこれまでの佐藤可士和と、彼とともに築き上げてきた「SAMURAI」のこれからの展望を記したものです。 佐藤可士和という人は、正直あま . . . 本文を読む

何のためのパネルディスカッション?

2008-03-14 | └社会教育
国からの委託を受けて県が進めている「再チャレンジ学習支援事業」の総まとめの意味を込めた「キャリアデザインシンポジウム」。 内容は、お決まりの「講演」+「パネルディスカッション」。講演は、「21世紀にふさわしいキャリア形成とチャレンジ精神」と題し、日本で「キャリアデザイン」の概念をいち早く提唱してきた河野真理子さんが講師を務めました。いつものように歯切れの良いお話でした。内容的には、河野さんの唱え . . . 本文を読む

「ラストキング・オブ・スコットランド」─"アミンの白いサル"ね。

2008-03-13 | └歴史映画
THE LAST KING OF SCOTLAND 2006年/米国・英国/125分 監督 ケヴィン・マクドナルド 原作 ジャイルズ・フォーデン 『スコットランドの黒い王様』(新潮社刊) 脚本 ジェレミー・ブロック ピーター・モーガン 撮影 アンソニー・ドッド・マントル 出演 フォレスト・ウィッテカー/イディ・アミン  ジェームズ・マカヴォイ/ニコラス・ギャリガン ケリー・ワシントン . . . 本文を読む

北へ帰る人の群れは誰も無口か。

2008-03-12 | ■青森県
「青函連絡船」の記事で触れた「津軽海峡冬景色」の一節、「北へ帰る人の群れは誰も無口で」。 「北へ帰る人」つまり東北の人は口が重いとよく言われますが、それはたぶん偏見でしかないと思う。津軽の人の口の重さ、あまり口を開きたがらないということの証左としてよく挙げられる「どさ」「湯さ」という会話。「どこに行くの?」「湯(風呂)に行くの」という意味の会話ですが、これだって、寒くて暗い冬の夜に、しんしんと雪 . . . 本文を読む

「カタリバ」の連鎖を。

2008-03-10 | └キャリア教育
東京にあるNPO法人カタリバでは、大学生と高校生が、将来のことや生き方について語る場(つまり「カタリバ」)を提供しています。 先日、その手法をそっくり真似した試みが市内の高校で行われました。県内6大学から「キャスト」として集まった大学生は39人。午前と午後の2部に分けて、240人の高校1年生を相手に「カタリバ」を展開しました。 基本的な流れは次のとおり。 【オープニング】(5分) 全員の前で . . . 本文を読む

「ジャーマン+雨」─不機嫌+上天気。

2008-03-09 | ■映画
横浜聡子監督が何かの映画賞でもらった賞金50万円でつくった映画だそうです。こういうインディーズ系の映画としては珍しく全国ロードショー。しかもこういう作品が青森で上映されるというのは滅多にないのですが、何せ監督が青森市出身ということもあって、市内の映画館で2週間限定で上映されました。 71分という短い映画ですが、そんな短さを感じさせないたっぷり感。かといって、詰め込みすぎというわけでもなく。もちろ . . . 本文を読む