A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

ジョージウェインがConcordで手掛けた最初のアルバムは・・・

2017-02-02 | CONCORD
100 Hearts / Michel Petrucciani

Concordのアルバムにジョージウェインの名前が登場したのは、ニューポートオールスターズのアルバムであった。1984年の春、このオールスターズがアリゾナ州立大学での演奏を収めたものだ。

ニューポ―トといえば、ジョージウェインが1956年に最初に手掛けたジャズフェスティバル。発祥の地ニューポートでの開催は一時中断した時期もあったが、1981年装いも新たにニューポートの町に戻ってきた。
このフェスティバルには毎回、時の大物ミュージシャンが参加していたが、その中で変わらなかったニューポートオールスターズ。ウェイン自らがピアノで参加し、スイング、ディキシー系のベテラン勢がメンバーを務めた。

81年に再開された時、9年のブランクの間に他界したメンバーも多く、メンバーが一新された。その時新たに参加したのが、中間派の若手代表、スコットハミルトンとウォーレンバシェであった。このオールスターズは、本番のニューポートのステージだけでなく、全米の大学周りのツアーを行い、それに2人も参加していた。当時コンコルドレーベルの看板であった2人が、一時ウェインの元にレンタル移籍をしたような形だった。

ジェファーソンとウェインの仕事でのジョイントはこれがきっかけになったのであろう。
ジェファーソンは言わずと知れた大のスイング好き、一方のウェインは、ピアノの演奏はスイングスタイルだが、プロデューサーとしてはスイングには拘らず時代の先端となる演奏にも興味を示していた。

80年代の初めは、メインストリームとフュージョンが鎬を削っていた頃だったが、ウェインはあくまでもジャズはスイングする物に軸足を置いていた。という意味で、新伝承派と言われた若手達にもウェインは注目していた。

ウェインは、ニューポートを手掛ける前は地元ボストンで、ストリーヴィルという名でクラブやレーベルを運営していた。ジャズフェスティバルの企画・運営が中心になってからは、アルバム作りやレーベルのプロデュースは積極的に行ってこなかった。しかし、アルバム作りの情熱も残っていたようだ。

ジェファーソンの看板スターの貸し出しのお返しという訳でもないとは思うが、今度はウェインがジェファーソンにアルバム作りを手伝うことになる。

当時、ジェファーソンは自分の好みの領域を超えてアルバム作りを拡大してきた。その為に、自らプロデュースする以外に、東海岸で他のプロデューサーを起用したり、ミュージシャンの自己プロデュースしたアルバムを数多く手掛けるようになっていた。そんな時に、ジョージウェインをアルバム作りの総合監修に迎えるのは好都合だったのかもしれない。

コンコルドはそれまで、ラテン系のシリーズとしてConcord Picanteをサブレーベルとして設けていたが、カタログナンバーは両者共通化してきた。
新たにジョージウェインを迎え、今度はConcordというレーベルの中にGeorge Wein Collectionという、これまでのCJではなく、GWという別ナンバーシリーズを設けた。
このシリーズは結果的に10枚足らずの短命に終わったが、中に何枚か注目されたアルバムがあった。

そのシリーズの最初のアルバムがこのアルバムとなる。

当時、話題になっていたピアノのミシェルペトルチアーニ。ビルエバンスを源流とするピアノのスタイルも、この頃になると多くの後継者によって更にいくつかの個性あるスタイルに分かれていった。このペトルチアーニもその一人であったが、出身がヨーロッパであったこと、そして身体的なハンディキャップがあることが、演奏そのものよりも注目され、語られてしまっていたかもしれない。

ヨーロッパ出身であるペトルチアーニはモントルーにチャールスロイドのグループに加わり出演し、徐々にアメリカでも注目され始めていた。本格的なアメリカデビューは1983年、ニューヨークのクールジャズフェスティバルへの出演。これを段取りしたのがジョージウェインだった。

このペトルチアーニのソロが余程気に入ったのだろう、ニューヨークに滞在中、ステージでの演奏とは別にスタジオでも彼の演奏を録音した。スタジオライブの形式をとったようだが、自由奔放な彼のソロをステージ上の演奏をそのままの形で残したかったのかもしれない。ピアノの場合、ソロの方が、個性がはっきり出るように思うが、ペトルチアーニ自身、ソロの方が表現力を増すことができるとコメントしている。これが、ペトルチアーニのアメリカでの初録音となった。

コールマン、ヘイデン、ロリンズなどの曲に混じってペトルチアーニのオリジナルもあるが、Pot Pourriとタイトルされたメドレーでは、サムデイマイプリンスカム・・、オールザシングスユアーといったスタンダード曲が次々と続く。エバンスから始まるペトルチアーニの自らのジャズピアノの歴史かもしれない。

1. Turn Around                 Ornette Coleman 9:20
2. Three Forgotten Magic Words       Michel Petrucciani 5:26
3, Silence                   Charlie Haden 5:57
4. St. Thomas                  Sonny Rollins 6:41
5. Pot Pouri (Medley): Someday My Prince Will Come/All the Things You Are/Child Is Born
     Frank Churchill / Oscar Hammerstein II / Thad Jones / Jerome Kern /  14:21
6. 100 Hearts                Michel Petrucciani 11:59

Michel Petrucciani (p)

Produced by Gabreal Franklin
Live recording at RCA Studio A, New York, 1983
Originally released on Concord GW-3001 (George Wein Collection)

100 Hearts
クリエーター情報なし
Blue Note Records
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ワイルドなのは顔つきだけでなく・・・演奏も。

2017-01-04 | CONCORD
The Real Tania Maria : Wild

年末は忘年会の合間を縫って、ゴルフの打ち収め、ライブ通いと慌ただしく過ごした。
年明けは遠出もせず、初詣も近くの神社へ。暖かい日が続いたので初打ちには絶好の日が続いたが、一転のんびり家で過ごした寝正月であった。

こんな時こそジャズ三昧とも思ったが、正月早々大音量というのも近所迷惑で気が引ける、久々にテレビ三昧となった。テレビといっても地上波の正月番組は見るものもないので、もっぱらAXNの海外ドラマ漬けとなった。

録画で録り貯めたものもあったが、この正月は長年続いたCSIシリーズの最終をまとめてオンエアーということもあってこれ中心に。一時はニューヨーク、マイアミと展開していたCSIだが、結局本家ラスベガスだけが残り、これもシーズン15が本国でも最終となってしまった。

科学捜査という切り口が最初は斬新さのあったテーマであったが、マンネリになってしまったのだろう。科学的な操作技法も劇中では多少眉唾を感じさせる事もあったが、反対に未来を感じさせる意味では面白かった。世の中の進化は早い、実際に実用化されている捜査、鑑識手法も多いのだろう。監視カメラの画像の顔認識などは現実にも間違いなく進化している。時代を反映したとも思えた続編のCSIサイバーはAXNではこれからオンエアーされるが、アメリカではシーズン2ですでに打ち切りとのこと。CSIのドラマ作りが飽きられたのかもしれない。

さて新年最初のアルバム紹介はコンコルドレーベルの続きから。
コンコルドは、ベテラン達が最後の花を咲かせ、アンダーレイテッドなミュージシャンの紹介が多いが、新人達の発掘も積極的に行っていた。それらの新人達の中には、コンコルドでの成功を踏み台にして、更に次なるステージを目指す機会に恵まれた者もいた。

ブラジル生まれの、タニアマリアもプロミュージシャンとしての活動は地元ブラジルから始まった。そして70年代にすでにヨーロッパを中心に世界を渡り歩く活躍を行っていた。そんな彼女がインド、オーストラリアを公演中の姿を目にしたのがギターのチャーリーバード。コンコルドレーベルの創世記は、このチャーリーバードだけでなく、レイブラウンやジェイクハナといったそこに集ったベテラン達が自ら一緒に演奏すだけでなく、それぞれがA&Rマンとして新人発掘を行って、オーナーのジェファーソンに紹介するといった手作り感に満ち溢れた雰囲気があった。

タニアマリアを紹介された時期は、ジェファーソンはちょうどサブレーベルのPicanteを立ち上げたところ。タイミングがピッタリだったのか、これも協力者の一人カルジェイダーに早速プロデュースを任せ、彼女の初アルバム”Piquant”が生まれたのは’80年12月だった。

それから4年、その間ヒット作の”Come With Me”も出して一躍スターダムに上った彼女は、レコーディングだけでなくレギュラーメンバーで有名クラブでのライブ活動も続けていた。ちょうど世はフュージョン時代。ベースのジョンペナのスラップベースがグループのサウンドを今風に仕上げていた。
今回のライブの場所は、サンフランシスコのGreat American Music Hall。1907年に創立された歴史あるホールだ。カーメンマクレーのここでの有名なライブ盤があるが、このタニアマリアのステージは、最初の聴衆の拍手と歓声から彼女の熱いノリノリの演奏と熱唱を予感させる。

このアルバムのタイトルは”The Real Tania Maria : Wild”。
まさにこの演奏が彼女の普段の姿そのままだ。

ライナーノーツでも、オーナーのカールジェファーソンが彼女に贈る言葉は、会場の名前を捩った訳ではないと思うがこの3つだけだ。

A Great Lady
Great Music
A Great Performance
要は、何の説明もいらない、「素晴らしい」ということだろう。

彼女も自分と同じ世代60代後半だが、一昨年も来日してエネルギッシュなステージを楽しませてくれた。このアルバムのステージ同様まだまだ若い。

この、ライブでの演奏が一つの区切りとなったのか、彼女はコンコルドを離れる。
よりPOPSな世界にもチャレンジしたようだが、この時代のコンコルドで作り上げたスタイルが彼女の基本であり、ワンアンドオンリーの彼女のスタイルのような気がする。

1. Yatra-Ta                 Tania Maria 5:24
2. Fiz a Cama Na Varanda         Ovido Chaves 5:52
3. Vem P'ra Roda              Tania Maria 5:36
4. Come With Me       Tania Maria / Regina Werneck 5:26
5. Funky Tamborim              Tania Maria 6:16
6. Two A.M.                 Tania Maria 10:04
7. Sangria                  Tania Maria 5:10

Tania Maria (p,elp,vol)
John Pena (eb)
John Purcell (as,ss)
Dan Carillo (g)
Don Carillo (g)
Frank Colon (per)
John Pena (eb)
Walfredo Reyes (ds, timbales, timpani)

Produced by Carl Jefferson
Engineer : Phil Edwards
Recorded at The Great American Music Hall, San Francisco in September 1984
Originally released on Concord Picante CJ-264

Real Tania Maria: Wild
クリエーター情報なし
Concord Records
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カルジェイダーの死を悼み、カールジェファーソンからファンへの贈り物は・・・

2015-09-21 | CONCORD
Good Vibes / Cal Tjader

コンコルドジャズフェスティバルが初めて開催されたのは1969年。サンフランシスコ郊外のコンコルド市の高校に隣接した公園広場であった。熱狂的なジャズファンであった地元のカーディーラーのオーナー、カールジェファーソンが音頭をとり、市の協力も得て街のイベントとして開かれた。

丁度ジャズ界はフリーや8ビートなど新しいジャズを模索していた時期だが、ベテラン達のモダンスイングの昔懐かしいサウンドは、集まった1万人以上のジャズファンを魅了した。思った通りの盛況に手応えを得たジェファーソンは、翌年も開く事を決心し、その後毎年の恒例イベントになった。

ベテラン達の溌剌とした素晴らしいライブの演奏を会場に訪れられなかったファンにも広く聴いてもらいたいと思い、出演者の演奏を収めたレコードを作り、そのためのレーベルも作った。人口12万人の小さな町に生まれたインディーズレーベル。これがコンコルドレーベルの発祥だ。

4回目になる1972年7月のチケットがジャケットにデザインされているアルバムが記念すべきカタログNo.1番となる。最初の頃は発売されるアルバムは、このコンサートのライブ録音が多かった。


何事も上手くいくと欲が出るものだ。フェスティバルに参加するメンバー達以外のミュージシャンの録音も行うようになり、さらに新たに発掘した新人の演奏、そして埋もれていたプライベート録音なども次々とカタログに載せてきた。

1975年には、街の郊外に新たにジャスフェスティバルの会場となる巨大な常設のパビリオンもでき、フェスティバル自体も益々大きくなっていった。


先日紹介したジョージシアリングのアルバムが1984年のリリース。12年間で250枚近くがカタログに載る中堅レーベルに育っていた。その中には、毎年開催されるコンコルドジャズフェスティバルのライブ録音も多くリリースされたが、必ずしもすべてがレコードになった訳ではなかった。

契約するミュージシャンもベテラン、新人を問わず増えていった。ジャンルも最初の頃のモダンスイング系だけでなく、ハードバップから実験的なアルバムまでに広がっていた。
その中でラテン系のジャズにも力を入れ、ラテンといっても純粋なラテンではなく、ジャズ、ボサノバ色が強い演奏が中心で、カルジェイダーやローリンドアルメイダなどが、オーナーのカールソンのお気に入りであり、彼らの為に新たにConcord Picanteというサブレーベルも新たに作られた。

その看板であったカルジェイダーは短期間に5枚のリーダーアルバムを作った。他にもサイドメンとして多くのアルバムにも参加していた。元々は、バップオリエンテッドな演奏もしていたし、ジョージシアリングのグループにも加わっていたジェイダーなので、何もラテン系のアルバムだけでなく、それらの演奏はオールラウンドプレーヤーとして面目躍如たるものであった。最後のアルバムとなったカーメンマクレーとの共演は、ジェファーソンと共に、更に新境地に踏み出したばかりであった。

そのマクレーとの共演アルバムを作って4か月後の1982年5月5日、異国の地マニラで急死してしまった。享年56歳。それは、まだこれからという時の突然の死であり、オーナーのジェファーソンもショックであったと思う。

ジェイダーが亡くなって2年後、ジェファーソンはジェイダーへの追悼アルバムを出した。中身はよくあるよう「仲間が集まって、ジェイダーに捧げると」いう企画ではなく、ジェイダーが自分のグループでコンコルドジャズフェスティバルに出演した時のライブ演奏であった。

曲によってフルート&サックスがゲイリーフォスターとロジャーグレンと異なっているので、80年、81年の両方のステージでの演奏であろう。ドキシーやブロードウェイというジャズの名曲を4ビートでやっている演奏も含まれる。そして、最後に収められているのが、タイトル曲のGood Vibes。ラテン調のジェイダーらしい自作曲だ。

大きなジャズフェスティバルが各地で行われていた時だが、このコンコルドはコンコルドに所属していたミュージシャンにとってはホームグラウンドのようなもの。地元のファンに囲まれリラックスしているが、熱の入った演奏になる。

アルバムのジャケットには、ジェファーソンの追悼の言葉以外何のクレジットも解説も無い。ジェファーソンは冒頭で語っている。「Good Vibes.とはまさにジェイダーそのものであり、すべてである。彼の音楽、家族、そして仲間のミュージシャン、ファン、聴衆、すべてがそのGood Vibes.と触れ合うことができる。」と。

ジェファーソンの原点である、コンコルド・ジャスフェスティバルでの演奏、それがジェイダーを忍び、皆がGood Vibesと触れ合うには一番いいと考えたのだろう。

1. Soul Sauce (Guachi Guaro)        Dizzy Gillespie / Chano Pozo 6:07
2. Doxy                         Sonny Rollins 7:05
3. Shoshana                       Mark Levine 7:07
4. Speak Low                 Ogden Nash / Kurt Weill 7:16
5. Broadway           Billy Bird / Teddy McRae / Henri Woode 6:06
6. Cuban Fantasy                     Ray Bryant 5:20
7. Good Vibes                        Cal Tjader 3:43

Cal Tjader (vibes)
Marl Levin (p)
Rob Fisher (b)
Vince Lateano (ds,timbales)
Poncho Sanchez (congas)
Gary Foster (as,ss,fl)
Roger Glenn (fl,per)

Produced by Carl Jefferson
Recorded live at the Concord Jazz Festival, Concord Pavilion, Concord, California
Recording Engineer : Phil Edwards, Ron Davis

Originally released on Concord CJ-247 (所有盤はCD)

Good Vibes
クリエーター情報なし
Concord Records
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時代は変わっても、物事の本質はそうそう変わらないものだ・・・

2015-02-27 | CONCORD
Love Explosion / Tania Maria

大塚家具の経営方針の違いで親子の対立が激化している。従来からの会員制、対面販売を前提としてクローズドな客層に親身なサービスを行いたいという創業者である父親と、時代に合わせてよりオープンな買い易い場を提供していこうという長女の主張の違いばかりがニュースでも強調されるが、長く使える良い物を生活者に提供していこうという基本スタンスは同じようだ。

昔であれば、2つのチャネルを作るとか、サブブランド化するとか色々考えられたが、今の時代、特に上場をすると尚更、収益性重視、無駄を排除して選択と集中が求められる。両方の販売手法の違いが共存するのは難しそうだ。ここまでこじれると白黒つけざるを得ないような感じだが、いずれの道を選ぶにしても、創業時の企業理念を忘れないでほしい。

自宅の中を見渡しても、親から引き継いだ家具や調度品はあるものの、自分が買い求めたもので子供の代まで使って欲しいという物は残念ながら見当たらない。強いて言えば、ジャズのアルバム位だ。きっと昔は家を継ぐという文化の中で、守らなければならないものの中に代々続く家具や調度品も含まれていたのだろう。

自分は決して今の使い捨て文化、そして収益性重視の経営がいいとは思わないので、そんな世の中で、職人気質の伝統と、社員を含めて家族的な経営の良さを残して生き残って欲しい企業だと思う。どこかに折り合いがつく場がありそうなのだが、親子故に余計難しいのか?

1983年、設立してから10年近くを経たコンコルドレーベルも拡大を続け、この頃はオーナーのカールジェファーソンがすべてのアルバムを直接プロデュースすることは無くなっていた。自らはエグゼクティブプロデューサーに修まり、アルバムの内容は他のプロデューサーに任せ、あるいはミュージシャン自身に任せる事も多くなっていた。良い後継者、ミュージシャンが育っていたので、スタイルは多様化したが、コンコルドらしい共通したコンセプトは引き継がれていた。

コンコルドの設立当初は、ジェファーソンは自分のコンセプトに合った新たなミュージシャン、特に新人のリクルートをアルバム作りに参加したミュージシャンに任せることも多かった。スコットハミルトンはジェイクハナが見つけてきたし、このタニアマリアもチャーリーバードの紹介であった。

他の新人達も着実に育っていたが、特にこのタニアマリアは、ジャズとブラジル音楽の融合に一役買った。それに加えて、折からのフュージョンブームに乗って、ブラジリアンフュージョンとでもいう新たな世界を切り開いていった、コンコルドの中では異色の存在であった。

アルバムを出す毎に、次第に彼女の演奏内容も独自色を色濃く出すようになっていた。
今回のアルバムは弾みがついた。一番の特徴は演奏する曲、このアルバムで4枚目になるがついにスタンダード曲は無くなり、自ら作曲した曲だけが並ぶ。ピアノもエレキピアノを使い、さらにバックの編成もアレンジも完全なフュージョン仕様になっていった。スタジオも、そしてレコーディングエンジニアも替えた。バックも今まではトリオにパーカッションだったが、今回は管を3本加えている。

このConcord Picanteというサブレーベルは、コンコルドで単にボサノバだけでなくラテン系を扱うために別に生まれたものだった。カルジェイダーやチャーリーバードなどのベテランがアルバムを作ったが、その中で、このタニアマリアは急に頭角を現した一人だ。世に認められるにしたがって、自分のやりたいことも広がったのだろう。そして、フュージョンサウンドに惹かれたのだろう。

ジェファーソンは、そんな彼女の想いを自由に表現できるように、今回はアルバム作りも彼女にプロデュースを任せた。しかし、この内容にジェファーソンは満足していたかどうかは分からない。この後、もう一枚ライブアルバムを出すが、結果的にそれを最後にタニアマリアはコンコルドを去ることになる。



昨年、彼女が久しぶりに来日した。残念ながらライブには行けなかったが、聴きに行った友人が相変わらずピアノも歌も素晴らしいと語っていた。会場を巻き込んでいく術も弁え、その演奏ぶりはデビュー当時と変わらなかったという。デビュー当時のようにボサノバのスタンダード、さらにべサメムーチョなどの古い曲、そしてもちろん彼女のヒットしたオリジナルなども交えて。
もちろん彼女のブラジル生まれのリズム感と、クラッシクで鍛えたピアノの技、そしてなんといってもボーカルの素晴らしさが失われることはないと思うが、考えようによっては原点回帰をしているのかもしれない。もちろん色々経験したことが糧となって一段と逞しくなって。

その時々の流行を追いかけるのもいいけれど、カールジェファーソンが拘っていた、曲にしても、演奏スタイルにしても、そしてミュージシャンの技も、それぞれの本来の良さを素直に表現できる素晴らしさを、タニアマリアも理解する歳になったのだろう。

大塚親子の対決が果たしてどこに落ち着くか見守ってみたい。色々あっても求める本質が同じであれば原点に戻ってくるはずだ。結果が良かったか悪かったか、最後はお客が判断することになるのだが。

1. Funky Tamborim           3:14
2. It's All in My Hand        4:54
3. You've Got Me Feeling Your Love  4:12
4. Love Explosion           6:16
5. Bela Be Bela            3:50
6. The Rainbow of Your Love      4:22
7. Deep Cove View           3:15
8. Pour Toi              6:01

Tania Maria (p,keyboard)

Harry Kim (tp.flh)
Justo Almario (as)
Arturo Velasco (tb)
John Beasley (synthesizer)
Dan Carillo (g)
John Pena (eb)
Abraham Laboriel (eb)
Steve Thornton (per)
Dan Carillo (g)
Alex Acuña (ds)
Joe Heredia (ds)
Jon Lucien (vol)

Produced by Tania Maria
Keith Seppanen Engineer

Recorded at Yamaha Studio, Glendale, California in September-October, 1983
Originally released on CJ-230 (所有盤はCD)

Love Explosion
Tania Maria
Concord Records
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似たような音楽でも、元を辿るとそれぞれのルーツがある

2014-08-27 | CONCORD
Latin Odyssey / Laurindo Almeida & Charlie Byrd

先週までの暑さが嘘のように急に涼しくなった。昨日のゴルフも灼熱地獄のプレーを覚悟したが快適そのもの。気分屋の自分としてはプレーの内容も久々に好調そのもの。小さなミスはあったにも関わらず80台の前半のスコアは久々。最近は、あまりスコアへの執着心を無くしていたが、再び拘りのゴルフを思い出した。秋のシーズンに期待ができる。

もうひとつ好調であった理由は、先週末、久々に女子プロのトーナメント観戦に出かけたこと。以前はプロのトーナメントを良く見に行ったものだが、今回は久々の観戦。出場している選手もすっかり若手に入れ替わっていたが、最近の若手は皆上手いし良く飛ばす。いい内容のゴルフを見続けていると、自然にリズムやテンポも影響を受けるものだ。昨日の自分の好プレーも女子プロのスイングの残像効果があったのかもしれない。いい刺激を受けた。

若手に交じって、懐かしい福島晃子の姿を見たが、飛ばし屋は健在であった。他のプロを常に40ヤード近くオーバードライブしていた。170ヤード弱のショートを8番でオーバー気味とは恐れ入る。自分も若手に交じってゴルフをする機会も多いが、歳をとったなどと言っていられない、またゴルフの記事を書く気になる位少し頑張らねば。

さて、今回のアルバムは久々にコンコルドのアルバム、ローリンドアルメイダとチャーリーバードの共演だ。

コンコルドはギター関連のアルバムが多いが、この2人の共演となると当然ラテン物、Concord Picanteのアルバムになる。
ジャズとラテンの融合、ボサノバブームを生んだアルバムというと、60年代の初めとゲッツとジルベルトのアルバムになる。一連のゲッツのアルバムの中にゲッツとチャーリーバードのJazz Sambaもある。
実は今回のもう一人の主役ローリンドアルメイダがバドシャンクと組んでブラジル音楽とジャズの融合を図ったのは10年前の50年代の最初。もしこれがヒットしていたら、ゲッツに代わってバドシャンクがボサノバの立役者になっていたかもしれない。

何の世界でも、ヒットするしないは時の運。そして、世の中の人はヒットしたものが、その世界のルーツと思い込んでしまうのは仕方がない。

そういう意味では、人だけではなく音楽自体もそうかもしれない。たまたまラテンの世界ではボサノバがヒットしたが、ラテン音楽のルーツは何もブラジルだけではない。反対に、ブラジルだけがポルトガルの植民地であり、他のラテン諸国の中ではブラジルの方が特異な存在かもしれない。

このバードとアルメイダのコンビは、コンコルドで以前”Brazilian Soul”というアルバムを作っている。 このアルバムも単なるボサノバアルバムというのではなく、ブラジル音楽のルーツをたどった作品集であった。
今回のタイトルは、”Latin Odyssey“。その対象をブラジルだけでなく、ラテン諸国全体に広げた。素材となる曲は一曲目のCatsのメモリーを除けば、メキシコの作曲家の曲であったり、ベネズエラのフォークソングであったり、中南米各国の曲を集めている。

ギター2本が主役という事もあり、また選んだ曲の曲想もあるが、それらの曲はラテン特有のリズムを効かせたアップテンポ曲というより、哀愁を込めたギターの調べが似合う曲が続く。明るいラテンの曲はどうしても夏の日差しが似合いうが、このようなラテンサウンドは、ちょうど涼しくなって秋の気配を感じる時にピッタリだ。

前作のブラジリアンソウルと合わせて、2人の生ギターの調べをじっくり味わう事のできるアルバムだ。ライナーノーツの最後でも触れられているが、ちょっと聴いた感じでは簡単に演奏できそうだが、音楽的に影響を与え合う2人のギターによる会話は他ではなかなか味わえない。



1.Memory               Andrew Lloyd Webber 4:07
2.Zum and Resurección del Angel        Astor Piazzola 7:41
3.El Niño                 Antonio Romero 3:08
4.Gitanerias        Ernesto Lecuona Ernesto Leuro 2:35
5.Adios           Enric Madriguera / Eddie Woods 2:59
6. El Gavilan              Aldemaro Romero 2:58
7. Estrellita                 Manuel Ponce 4:20
8. Tubihao de Beijos            Ernesto Nazareth 4:07
9. Intermezzo Malinconico            Manuel Ponce 3:01

Laurindo Almeida (g)
Charlie Byrd (g)
Joe Byrd (b)
Bob Magnusson (b)
Jeff Hamilton (ds)
Chuck Redd (ds)

Produced by Carl Jefferson
Phil Edwards : Engineer

Recorded at Coast Recorders, San Francisco, December 1982

Originally released on Concord Picante CJP-211

Latin Odyssey
Concord Records
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ラテンジャズの立役者プエンテのコンコルドデビューはグラミー受賞作・・・

2014-07-14 | CONCORD
On Broadway / Tito Puente and His Latin Ensemble

所有盤のCDのジャケットを見るとGrammy Winnerの文字が・・・・。
念のために調べてみると、このアルバムが1983年のグラミーのBest Tropical Latin Performanceを受賞している。プエンテはConcordには初登場だが、いきなりグラミー受賞とは、本人ばかりではなくオーナーのカールジェファーソンも鼻高々であったと思う。

さてラテン系のアルバムとなると、なかなか勝手が分からずどこから紹介したらよいものかいつも迷うが、まずはプロファイルから。
このプエンテはヒスパニック系の移民の子供としてニューヨーク、マンハッタン生まれのアメリカ育ち。ラテンの血が流れているとはいえ中南米生まれではない。ラテン一筋で活動してきたが、パーカッショニストとしてデビュー後、ジュリアードで作編曲も学ぶ。オールラウンドプレーヤーとしての始まりは1948年に25歳で自己のグループを結成した時に遡る。
ボサノバ、ブーガルーとラテンミュージックの流行を確実に追い続けてきたが、ちょうどこのアルバムを録音したころからラテンジャズの世界に演奏の軸足を動かしていった。

まさに、ラテンとジャズの融合を狙ったConcord Picanteにはピッタリのミュージシャンということになる。

ティンパレスを単なる裏方打楽器から、最近よくステージで見られるようにパフォーマンスを含めて表舞台に引き出したミュージシャンとしても有名だ。演奏中ちょと口を開けて、舌を出す表情も個性的だ。



打楽器を本業とするミュージシャンは、リズム感は天性の物を持ち合わせているのは当たり前だが、さらに歌心を持っているとメロディ楽器を演奏し、作曲も得意とするミュージシャンがいる。ビッグバンドドラマーとして有名なルイベルソンも曲作りを得意としていた。またラリーバンカーのように、ドラムだけでなくヴァイブを得意とするミュージシャンもいる。プエンテもヴァイブを得意としているが、歌心のある打楽器奏者は自然のその歌心が何を演奏しても現れてくるものだ。

編曲も得意とするプエンテは、管楽器をフロントラインに配してアンサンブルワークやソロではジャジーな演奏を行い、バックのリズムは強烈なラテンビートを売りにするラージコンボを率いていた。このアルバムでも、バイオリンを加えた10人編成で軽快なリズムの中に分厚いアンサンブルが特徴だ。昨今のラテンジャズグループは、大なり小なりこのプエンテのラテンアンサンブルの影響を受けてきたのだろう。

このアルバムではジャズを意識してか、選曲もエリントンのSophisticated Ladyがあり、フレディーハバートのFirst Lightありで普通のラテン物とは一味違ったアプローチである。モンティーアレキサンダーのMaria Cervantesもご機嫌だ。ラテン物は単調に感じることが多いが、初アルバムという事もあってかバラエティーに富んでいる。プエンテのラテンは踊りのための音楽ではなく聴かせるための音楽だ。

プエンテのラストアルバムであるMambo Birdlandはビッグバンド編成。これもグラミーを受賞するが、このアルバムを作ってから更に20年近く、亡くなる直前まで生涯現役で通した。
ラテンジャズの先駆者であったプエンテはそれまでも多くのアルバムを残してきたが、きっとベテラン再生を得意とするConcordで更にステップアップしていったのだと思う。
この後も、多くのアルバムをコンコルドに残している。



1. T.P.'s Especial                    Tito Puente 5:04
2. Sophisticated Lady    Duke Ellington / Irving Mills / Mitchell Parish 5:16
3. Bluesette               Norman Gimbel / Toots Thielemans 5:14
4. Soul Song                      Milton Nascimento 6:49
5. On Broadway   Jerry Leiber / Barry Mann / Mike Stoller / Cynthia Weil 8:03
6. Maria Cervantes (A Novo Morales          ) Monty Alexander 5:04
7. Jo-Je-Ti                          Tito Puente 4:45
8. First Light                      Freddie Hubbard 7:36

Tito Puente (vibes, timbales, percussion)
Jorge Dalto (p)
Alfredo De La Fe (violin)
Jimmy Frisaura (tp,tb)
Jerry Gonzales (Congas, flugelhorn)
Ray Gonzales (tp)
Edgardo Miranda (g,Cuatro)
Mario Rivera (ts,ss,fl)
Bobby Rodriguez (Fender bass)
Johnny Rodriguez (Bongos, percussion)

Produced by Carl Jefferson
Engineer : Ed Trabanco
Recorded at Soundmixers, New York, NY, July 1982

Originally released on Concord CJ-207(所有盤はCD)


On Broadway
Tito Puente
Concord Records
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突然のリーダーの死、残されたメンバー達は・・・

2014-05-12 | CONCORD
Sonando / Poncho Sanchez

サドメルオーケストラで、リーダーの一人サドジョーンズがバンドを去った後、残されたメルルイスは何とか歴史のあるオーケストラを解散させることなく存続させた。そして、メルルイスが病に倒れた後は、また残されたメンバー達は亡きリーダーに捧げたアルバムを作り、皆で協力して伝統あるオーケストラを引き継いで今に至っている。
何の世界でも、一家を支える主が去ると残された人々は大変だ。それもある程度覚悟ができていればそれなりの準備ができるが、突然となると尚更である。

ConcordでPicanteというジャズ&ラテンのサブレーベルの立上げに一役買ったのはカルジェイダーだった。以前からジャズとラテンの接点に自らのグループの位置付けを定めて活動してきたジェイダーは、そのコンセプトを実現する役回りとしてはうってつけであり、ジェイダーの人気も再び確固たるものになっていた。
しかし、そのジェイダーが突然この世を去ってしまったのは、82年5月5日異国の地フィリピンでであった。

ジェイダーがコンコルドに移籍をし、ラテン色の強いグループの演奏を支えていたのは、ラテングループには欠くことのできないラテンパーカッション。その任を果たしていた一人がポンチョ・サンチェスであり、コンコルドでそれまでに作られたジェイダーのアルバムにはすべて参加していた。

ジェイダーが突然この世を去り、メンバーであるサンチェス達が残されたのは彼がまだ30歳の時であった。ジェイダーのグループに加わって5年、ジェイダーの仕事がオフの時は自分のグループやアルバムも作るようにはなっていたが、一丁前に一家を構えるにはまだ若かった。

サンチェスはテキサス生まれのロス育ち。ラテンのリズムに強いと言っても南米生まれ、育ちという訳ではなかった。反対にアメリカ生まれという事もあり、ハードバップのノリも身に付けていたので、広くラテンフュージョン系の演奏にはうってつけのプレーヤーであった。

前回ドナルドバードが参加した、パーカッションを前面に打ち出したアルバムを紹介したが、これは1960年の録音。
ガレスピーなどが好んだラテンのリズムを採り入れたジャズにはパーカッションは不可欠であったが、いわゆる「お囃子入りのジャズ」はまだマイナーであった。ボサノバのブーム到来はまだ少し先、ましてフュージョンブームでリズムが多様化しパーカッションが不可欠になったのは70年代になってからだ。
バードのこのアルバムが「ソウルパーカッション」と銘打つものの、中途半端であったのは時代的に止むを得なかったと思う。

一方で、このサンチェスが主を失ったのは1982年。時代的にはジャズの世界でパーカッションが主役になれる環境は整っていた。ジェイダーが亡くなってまだ3カ月、コンコルドではジェイダー亡き後、すぐにこのサンチェスのリーダーアルバムを作ることになった。

ジェイダーはラテンのジャズの接点を着実に歩んでおり、決して一足飛びにフュージョンの最先端を走っている訳ではなかった。後を継ぐ形となったサンチェスが選んだ道は、ジェイダーへの追悼という意味も込めてだろう、着実にジェイダーの路線を踏襲した。
メロディーラインにはジェイダーのヴァイブに代えてメンバーに加えてさらに管を2本加えた。トランペットのスティーブンホフスター、そしてアルトにカルジェイダーのラストアルバムにも登場していたゲイリーフォスター。どちらも当時は秋吉敏子のビッグバンドでも活躍していた西海岸のジャズ系の中堅。ジャズとラテンの融合への拘りは捨てていなかった。
ガレスピーのチュニジアはマンボのリズムで、タイトル曲のソナンドではチャチャ、Sueñoでは2本のフルートでボサノバでと、ラテンリズムを前面に打ち出しつつもジャズとの接点を意識した演奏になっている。

このサンチェスは、その後もジェイダーを引き継ぎConcordのラテン系の重鎮として立派にその職責を果たすことになる。ジェイダーの死後、間髪を容れずジェイダーの後継者としてサンチェスのアルバムを作ったジェファーソンの眼力は正しかったのか?
しかし、この時の契約は1年だったという。ジェファーソンの判断は一時的なリリーフと考えたのが本心かもしれない。それから30年経ってまだConcord Picanteを支えるようになるとは、さすがのジェファーソンも想像しなかったかもしれない。

そんな経緯の中で生まれた、サンチェスのConcordでの初リーダーアルバムである。




1. A Night in Tunisia          Dizzy Gillespie / Frank Paparelli 4:06
2. Soñando               Pete Terrace 5:29
3. The Summer Knows  Alan Bergman / Marilyn Bergman / Michel Legrand 4:30
4. Con Tres Tambores Bata, Un Quinto y un Tumbador  Eduardo Angulo 5:26
5. Este So                  Poncho Sanchez 5:47
6. Almendra     Abelardito Valdes / Abelardo Valdez / Abelardo Valdés 5:09
7. Sueño                    Eddie Cano 3:10
8. Cal's Pals                  Eddie Cano 3:55
9. Peruchín                   Charlie Otwell 4:06

Poncho Sanchez(Congas, Perc,Vocals)
Steve Huffsteter (tp)
Gary Foster (as,fl)
Dick Mitchell (sax,fl)
Mark Levine (tb)
Charlie Otwell (p)
Tony Banda (b, Vocals)
Ramon Banda (ds,Timbales)
Luis Conte (Bata, Bongos, Perc,Vocals)


Produced by Carl Jefferson
Engineer Phil Edwards
Recorded at United Western Studios, Hollywood, California, August 1982

Originally released on Concord Picante CJP-201

Sonando
Poncho Sanchez
Concord Records
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何事も始めがあれば終わりがあるように、デビューアルバムもあればラストアルバムも・・・

2013-04-29 | CONCORD
A Fuego Vivo / Cal Tjader

レコードが一枚行方不明になったかと思ったらこの盤はCD所有であった。棚卸しが進まない中、最近新しいアルバムも増えて混乱状態。日頃の整頓が苦手なので一度大整理をしなくては・・・・。一度手をつければ凝り性なのだが、始めるまでなかなか重い腰が上がらない。

さて、カルジェイダーのConcordでのリーダーアルバムとしてはこれが4枚目。Concordになってからは、他のプレーヤーのバックや歌手の伴奏にも参加することも多く、Concordの看板スターの一人になっていた。
特に、デビュー作の“La Onda Va Bien”は80年のグラミー賞のラテン部門でウィナーにもなった。立ち上げたばかりのConcord Picanteにとっても新興のアウトサイダーが主流派に勝った大金星なので、オーナーのジェファーソンもジェイダーの活躍には大満足であったと思う。

順風満帆のジェイダーであったが、この演奏が収録された翌年の’82年5月に他界してしまう。まだ60前の働き盛りであった。死というものは思いがけず突然やってくるものだ。
ファーストアルバムは色々思想い馳せて制作されるが、ラストアルバムという物を意識して作ることは普通無いであろう。ラストアルバムというのは突然生まれるものだ。

ジェイダーのラストアルバムというと、同じコンコルドでこの後に発売されたカーメンマクレーとの共演盤であるが、ジェイダーの実質的なラストアルバムというとこのアルバムになると思う。

というのも、
レギュラーメンバーに加えてゲストにコンガの名人ポンチョサンチェスが加わり、ティンパレスにはラモンバンダが参加している。
そして、アルトのゲイリーフォスターが加わるオールスターメンバーだ。
さらには、このアルバムはライブ。ジェイダーの地元サンフランシスコにある、アメリカンミュージックホールでの演奏だ。500人以上入るホールだそうだが、いつものコンコルドのパビリオンとは違った会場の熱気を感じる。
曲も、メンバー達のオリジナルあり、コルトレーンのネイマやスタンダードのマイコンチネンタルありで、ジャズとラテンのハイブリットの世界をずっと歩いてきたジェイダーの集大成のような「場」がこのアルバムのために作られている。

人が死ぬと親族・友人達が集まり故人を悼み葬儀が行われ、故人を偲ぶ。しかし、死んでからはお互い言葉を交わすことができない。「元気に生きているうちに一度会いたかった」といつも思うことだ。そういう意味では友人との別れは「生前葬」という形で済ませてておく方が本当はいいのかもしれない。

このアルバムも、結果的にCDに残ったラストライブであるが、ジェイダーにとっては晩年の絶頂期に行われた「ファンに囲まれた盛大な生前葬」であったのかもしれない。




1. Serenata      Leroy Anderson / Mario Cisneros   6:55
2. Poncho Con Dos Amigos  7:04
3. Mindanao    Cal Tjader  7:05
4. Tesoro      Gary Foster  5:37
5. Santa Domingo  Mark Levine  3:27
6. Naima      John Coltrane  5:53
7. The Continental   Con Conrad / Herbert Magidson  6:12

Cal Tjader (vib)
Gary Foster (as,ss,fl)
Mark Levine (Fender Rhodes,p,elp)
Rob Fisher (b)
Vince Lateano (ds)
Ramon Banda (Timbales)
Poncho Sanchez (Congas)

Produced by Carl Jefferson
Phil Edwards : Engineer

Recorded live at The Great American Music HAll, San Francisco,California
On August 1 1981

Originally release on Concord Picante CPJ-176 (所有盤はCD)


A Fuego Vivo
クリエーター情報なし
Concord Records
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初対面で印象深く覚えてもらうには・・・・・

2012-03-03 | CONCORD
Piquant / Tania Maria

昔会社勤めをしていた時に、よく採用面接の面接官をやらされた。一次面接だと良くも悪くも色々な人間がいるので印象に残る人物も多い。ところが2次面接、3次面接になると、自然とその会社の社風に合う人材に選別されているので、かえってこれという特徴が無いと覚え難いものだ。面接を受ける方からすると、最初に一発何かをアピールをしないと、ありきたりの面接になってしまって自分を売り込むきっかけができないものだ。

ジャズのアルバムを聴く時もそうだ。特に初めて聴くプレーヤーのアルバムとなると、ジャケット、共演者、レーベルなどは履歴書の基本項目と同じ。何か特徴があれば目を引くこともあるが、何といっても一曲目の最初の印象が全体を左右する。履歴書の自己紹介と志望動機のイントロが大事なのと似ている。
そこに強烈なインパクトがあれば、まずは一次面接はパスだ。

このアルバム、一曲目でぶっ飛んだ。
Picanteレーベルの新人。ブラジル出身でピアノも弾けば歌も歌う。となると、まずはボサノバの軽い感じをイメージするが、実際は歌もピアノも大迫力で、曲も自分のオリジナル。スキャットも上手い。これはただ者ではないのがまずは分かる。曲が進めば、ジョビンのポピュラーなTristeなども登場するが、あまりに一曲目のイメージが強い。

これが、TANIA MARIAのコンコルドへ登場した最初の印象だ。
ブラジル出身の彼女は、まずはフランスで活躍していた。1975年のニューポートにも登場したが、アメリカでの人気は今ひとつだった。カールジェファーソンに彼女を紹介して、このアルバム制作に繋がったリクルート役はギターのチャーリーバード。何でも1980年にインドのジャズフェスティバルに参加した後知り合ったとか。

アルバムのプロデュースは、いつものジェファーソンは名誉職に引っ込んで、実質的なプロデューサーはカルジェイダー。ラテン物であれば彼に任せた方が正解。そして、結果も大成功。彼女の魅力が見事にプレゼンテーションされたアルバムになっている。コンコルドの常連達もプレーだけではなく、オーナーの意を汲んでリクルート役、プロデューサー役と活躍の場を広げ始めた。この活力がレーベルが存続を続けた源であろう。チャーリーバードの面接官としてのお役目も合格だ。



最近の演奏は




1. Yatra-Ta          Maria, Reis 4:21
2. It's Not for Me to Say   Allen 4:49
3. Triste           Jobim 3:34
4. Chiclete Com Banana     DePandeiro 5:59
5. Lemon Cuica         Maria, Reis 3:37
6. Super Happy         Maria, Reis 5:53
7. Comecar de Novo (To Begin Again)  Lins, Martins 5:04
8. Vem P'ra Roda        Maria, Reis 5:38

Tania Maria (p,vol)
Willie T. Colon (per)
Eddie Duran (g)
Rob Fisher (b)
Vince Lateano (ds)

Produced by Cal Tjader
Phil Edwards Engineer

Recorded at Coast Recorders, San Francisco, California on December 1980


Originally Released on Concord Picante CJP-151
(所有盤はユピテルの国内盤)

Piquant
Tania Maria
Concord Records
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雨の日にはスカッとラテンのリズムで・・・・

2011-11-19 | CONCORD
Gozame!Pero Ya… / Cal Tjader

雨の一日、幸いゴルフの予定も無く、久々に外出することも無く家に閉じこもっていた。今月に入って忙しい日が続きオーディオ&テレビの前に座ることもほとんどなかったが、久々にターンテーブルにレコードが乗った。最近はもっぱら移動中にIpadで聞き流すことが多く、じっくりアルバムを聴くのも久しぶり。

ということで、ブログの更新も滞っていたのでConcordの棚卸しをまずは一枚。
番号順にやっていたつもりだが一枚飛ばしてしまったので、今回はひとつ戻ってCJ-133。Picanteシリーズのカルジェーダーのアルバムだ。コンコルドのジェイダーのアルバムとしては、先に、La Onda Va Bienがあるので、これが2枚目だ。メンバーも前回と同じだが、このアルバムではギターにマンデルロウが加わっている。ギターでラテンというとボサノバ風のギターを想像するが、マンデルロウのギターはスローなスタンダード曲だけの参加。したがってリズムを刻むのではなく、ここではもっぱらメロディーラインのソロ中心。いつものようなマンデルロウ節のソロを聴かせてくれる。

一曲目のスタートから、ラテンのリズムに乗った打楽器のようなピアノのプレーから始まる。やはりラテンはリズムが命。どの楽器もラテンのリズムに乗るとリズム楽器の体をなしてくるから不思議だ。ヴァイブもメロディーを奏でるがそもそもは打楽器の一種だ。そのせいかドラマーでヴァイブを弾くプレーヤーは多い。このジェイダーも昔のブルーベックのバンドにいた時はドラマーだったとか。この前のマティーペイチのアルバムでも、ドラマーのラリーバンカーがヴァイブで参加していた。反対にライオネルハンプトンはドラムを叩いたりしていた。いずれにしても、ラテンはリズムが大事ということだ。

B面に移ると、一曲目はフルートがメイン。自分の世代だとフルートとラテンというと、ボサノバのハービーマンと渡辺貞夫のフルートをすぐに思い起こしてしまう。軽快なリズムに乗ったフルートはこれぞボサノバという感じ。全編を通じでリズムが強烈だがそれを支えているのはパーカッションのポンチョサンチェス。この後、Concordにサンチェスのアルバムも登場するが、カルジェイダーとポンチョサンチェスの組み合わせはPicanteの強力コンビだ。

あまり聴くこともなかったこのアルバムも、改めて聴き返してみるとなかなかいいアルバム。時間もあったので2度も聴き直してしまった。



1. Shoshana             Levine 5:07
2. This Couldn't Be the Real Thing Mulligan, Torme 6:30
3. Bye Bye Blues          Bennett, Gray, Hamm, Lown 6:51
4. Roger's Samba          Glenn 4:27
5. Close Enough for Love [Theme from Agatha] Mandel, Williams 4:45
6. Will You Still Be Mine?      Adair, Dennis 3:31
7. This Is Always          Gordon, Warren 7:09

Cal Tjader (Vibraphone, Vocals (Background)
Roger Glenn (Flute, Percussion)
Mark Levine (Fender Rhodes, Piano, Piano (Electric))
Mundell Lowe (g)
Rob Fisher (b)
Poncho Sanchez (Conga, Percussion)
Vince Lateano (Drums, Percussion)

Frank Dorritie Producer
Ron Davis Engineer
Phil Edwards Remixing

Recorded at Coast Recorders, San Francisco, California, June, 1980

Originally released on Concord Picante CJP-133


Gozame Peroya
Cal Tjader
Concord Records
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スチールドラムをフィーチャーしたアルバムを聴いたのはこれが初めてだ・・・

2011-09-14 | CONCORD
IVORY & STEEL / The Monty Alexander Quintet

自分は凝り性な性格だと思う。興味を持つと些細なこと、あるいはマイナーなものでもとことん追求してみたくなる。反対に、世の中でどんなに流行っていても、全く興味を示さないので結構音痴のこともあるのは昔からだ。ビートルズ全盛期にジャズの凝りだしたのだからこれが性分だろう。

自分はラテン音楽をあまりじっくり聴いたことはない。あのリズム感は嫌いではないので、聴かず嫌いかもしれない。ConcordがPICANTEシリーズを出したおかげで「ラテン風」を聴く機会は増えた。ラテンといってもConcordなので、純粋ラテンではなく「ラテン風ジャズ」というのが正しいかもしれないが。

このアルバムもそのような雰囲気の一枚だ。モンティーアレキサンダーはジャマイカの出身なので、元々ラテンの血は流れているし、そのプレーにも垣間見ることができる。Concordでは“FACET”でデビュー済みなので、2枚目のリーダーアルバム。PICANTEシリーズで、ラテン色を色濃く出すためが、スチールドラムのOTHELLO MOLINEAUXと共演している。



ラテンをじっくり聴いていないので、このスチールドラムなるものも、じっくり聴いたのはこのアルバムが初めてだった。スチールドラムなる楽器の生まれ故郷はトリニダート・トバゴで、ドラム缶から生まれた音階を持つ打楽器だ。20世紀最後に生まれた楽器とも言われている。独特の響きを持つ金属音が特徴で、ヴァイブやマリンバとは違った甲高さだ。

MONTYのピアノトリオに、このスチールドラムとパーカッションが加わっているが、スチールドラムはピアノと並んで打楽器であってもメロディー楽器の位置づけだ。
これでラテンリズムに乗ってお祭り騒ぎになると思いきや、曲もラテンの曲というよりはスタンダードや、ブルースもあり、普通の4ビートのジャズの演奏にスチームドラムとパーカッションが加わった感じが新鮮だ。これがConocrdのラテンということだろう。

オールラウンドプレーヤーとして今では重鎮の一人となったMONTYであるが、ピーターソンライク一辺倒では無く、ジャマイカ出身の本領を発揮した若い頃の一枚である。

1981年のMONTYとOTHELLO MOLINEAUXの共演はこちら。


1. Happy Lypso       Alexander 4:48
2. Cavatina         Myers 4:00
3. Montevideo        Alexander, Evans 5:39
4. S.K.J.          Jackson 4:53
5. That's the Way It Is   Alexander 4:15
6. Work Song   Adderley, Adderley, Brown 6:28
7. Medley: Impressions/So What Coltrane, Davis 3:46
8. Stella by Starlight   Washington, Young 7:24
9. Street Life       ennings, Sample 3:41

Produced by Carl Jefferson

Monty Alexander (p)
Othello Molineaux (Steel ds)
Gerald Wiggins (b)
Frank Gant (ds)
Robert Thomas (per)

Phil Edwards Engineer, Remixing
Recorded at Soundmixers,New York City,N.Y. on Maech 1980

Originally released on Concord Picante CPJ-124


Ivory & Steel
 The Monty Alexander Quintet
Concord Picante
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久々にボサノバに徹して・・・・“Picante”スタートのお祝い

2011-07-27 | CONCORD
Sugarloaf Suite / Charlie Byrd


チャーリーバードとConcordの付き合いは設立以来だ。長続きしているのはカールジェファーソンとの信頼関係も深かったからだろう。当初はバーニーケッセル、ハーブエリスなどと一緒に良く登場していた。ギターはアコースティックだが、プレーはオールラウンド。メインストリームジャズ、そして忘れられかけていた「ジャズの魅力であるバトルの楽しみ」を演じる役者としてはうってつけだった。そして、このアルバムの前年には、自己のトリオのアルバム“Blue Byrd”も登場して、バードのプレーだけをじっくり聴く事もできた。

Concordが“Picante”レーベルをスタートさせたのに合わせて、チャーリーバードが第2弾で登場した。1979年のコンコルドジャズフェスティバルのライブだ。自己のトリオでボサノバに徹したステージが繰り広げられている。このステージ構成は、Picanteレーベルスタートを目論んでいたジェファーソンの想いもあったのだろう。そのステージの全容がそのまま納められている。

クラシックとの出会いが先んじたバードであったが、1961年にブラジルに行く機会があり、そこでボサノバの洗礼を受けた。ジャズとクラシック、そして本場のボサノバが絶妙にブレンドされたハイブリッドなプレーだ。帰国後スタンゲッツとその成果を形にしたのが、有名なアルバム“Jazz Samba”。これでバードは一躍ボサノバで有名になった。

それまでのバードはウディーハーマンのバンドに加わったりもした、ジャズのオールラウンドプレーヤーだった。その後も、コンスタントにレコーディングは行っていたが、必ずしもボサノバオンリーではない。Concordに登場してからは、ジャズのメインストリームの演奏が目立っていたが、今回は久々にボサノバに拘った演奏。自分のオリジナルに、ジョビンのTristeや、ボンファのthe gentle Rainも加えて、フェスティバルの大ステージで聴衆を魅了した姿が目に浮かぶ。Picanteスタートのお祝いに合わせて、バードのボサノバの真髄をトリオでじっくり味わうことができる一枚だ。

晩年のバードのボサノバプレー



1. Primeira Palavra (The First Word)    Byrd 6:44
2. Triste                     Jobim 4:06
3. Favela                     DeMoraes, Gilbert, Jobim 4:06
4. Na Praia (At the Seaside)         Byrd 4:48
5. Meninas Brincando [Little Girls at Play]  Byrd 5:30
6. Saudade da Bahia              Byrd, Caymmi 6:19
7. Sapatos N�vos (New Shoes)        Byrd 8:24
8. The Gentle Rain               Bonfa, Dubey 3:43

Charlie Byrd Guitar
Joe Byrd Bass
Wayne Phillips Drums

Phil Edwards Engineer, Remixing
Carl Jefferson Producer
Recorded live at Concord Jazz Festival 1979
Concord Picante CJP-114

Sugar Loaf Suite
Charlie Byrd
Concord Records

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ラテンのリズムは好きだが・・・・・全編ラテンとなると

2011-07-24 | CONCORD
La Onda Va Bien / Cal Tjader


1974年に初アルバムを出したConcordレーベルだが、5年で100枚を越える新譜をハイピッチで出し続けた。流行のフュージョンなどには目をくれることなく、古き良きジャズに拘り続けていた。ソロやコンボ、ビッグバンドやボーカルなど編成は様々だが、それらはすべてジャズ。それも大げさな仕掛けも無く、何処でも聴くことができるような普段着のJAZZを貫き通してきた。

112枚目になって、プロデューサーのカールジェファーソンは大きな決断をした。別ブランドの立ち上げだ。Concord Picante。ラテンジャズのためのブランドだ。ただし、設立以来の通番のレコード番号の体系は変えなかったんので、以降従来のConcord Jazzと新たなConcord Picanteが混在して続くことになる。

このPicanteの一番バッターが、ヴァイブのカールジェイダーだ。ラテン諸国出身以外ラテンのリーダー格としては第一人者だろう。コンコルドのラテンブランドの立ち上げには打って付けだったかもしれない。
1925年生まれのジェイダーは、この年54歳。すでに大ベテランで活動暦は長い。1950年頃にはデーブブルーベックと一緒にプレー、レコーディングもこの頃からコンスタントに行い、膨大な数のアルバムを出し続けてきた。それだけ根強い人気があったということだろう。



彼がラテンに取り付かれたのは、ジョージシアリングのバンドにいた時。シアリングのバンドを離れて以降死ぬまでの間ラテンスタイルを貫いている。熱い演奏になりがちなラテンではあるが、クールヴァイブといわれたカルのプレーは、若い頃のジャズの演奏がベースになって彼のスタイルを作っていったのではないか。

そんなジェイダーが、fantasy、Verveと大手レーベルから移籍してきたのが今回のConcord Picanteだ。

ラテンに合う楽器、合わない楽器というがあるように思う。ジェイダーの得意とするヴァイブは良く合う。そして、ラテンに不可欠なのがパーカッション。ヴァイブという楽器は、時にリズム楽器にも変身できるのでラテンには合うのかもしれない。このアルバムにも参加しているポンチョサンチェスとは、以降長年に渡って一緒にプレーをした。相性が良かったのだろう。ラテン特有のリズムは、ジャズの4ビートとはまた違った趣だ。だが、長く聴いているとこの強烈なリズム感が常に前に出てきてしまう。曲を聴くよりリズムを楽しむという感じになりがちだ。
あくまでも個人的な好みだが、4ビートの味付けにラテンのリズムや8ビートが混ざるのが、どうも聴いていて収まりがよい。ということで、自分は根っからのラテンファンにはなれなかった。

Concord Picanteも、その後もジャズに根ざしたラテンのアルバムが続くので、結局このPicanteも一緒に付き合ってしまった。ジェファーソンの想いも、純粋ラテンレーベルではなく、ラテンジャズレーベルとしてのPicanteに拘ったのかもしれない。

1. Speak Low     Brunner, Nash, Tate, Weill, Wilton 6:07
2. Serengeti      Levine 5:07
3. Star Eyes      DePaul, Raye 4:36
4. Mambo Mindoro  Tjader 3:49
5. Aleluia        Guerra, Lobo 4:11
6. I Remember You  Mercer, Schertzinger 4:37
7. Linda Chicana    Levine 5:21
8. Sabor         Donato 4:27


Cal Tjader (Vibraphone)
Roger Glenn (fl,per)
Mark Levin (Fender Rhodes, p)
Rob Fisher (b)
Vince Latean (ds, Per)
Poncho Sanchez (Conga, Per)

Nick Phillips Executive Producer
Carl Jefferson  Producer

Recorded on July, 1979

Concord Picante CPJ-113
La Onda Va Bien
Cal Tjader
Concord Records


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