A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

今思えば、将来のConcordの進化を予見させるようなアルバムであった・・

2014-05-03 | CONCORD
Come With Me / Tania Maria

何事も区切りが肝心だが、Concordのアルバム紹介もちょうどこれが200枚目(CJ-200)を迎えた。13番が欠番なので、実際には199枚目にはなるが。

記念すべき一枚目が10年前のコンコルドジャズフェスティバルでのジョーパスとハーブエリスのライブアルバム。車のディーラーだったカールジェファーソンが個人の趣味からスタートしたコンコルドレーベルも、足かけ10年で200枚をカタログにリストアップした大レーベルに育っていた。100枚目(CJ-100)が’79年のモントルーでのLA4のライブなので、この頃はリリースのピッチも大分上がってきた。

フュージョンなるものが、ジャズの世界で語られ出したのがちょうど60年代の末から70年代になる頃。ジャズとロックの融合と言われて8ビートのジャズも一般的になったが、10年経つとそのフュージョンの世界もさらに様々な展開をしていた。一方でメインストリームの復権もあり、ウィントンマルサリスなどのように伝統をきちんと伝承するプレーヤーも現れ、一口にジャズといってもそのエッセンスは幅広いジャンルに展開するようになっていった。

記念すべきキリ番200がついたのは、タニアマリアのPicanteレーベルでのアルバム。
コンコルドも従来の路線に加えてPicanteブランドでラテン系のアルバムを加えるようになったが、このアルバムは単にジャズとラテンの融合といったものよりも、さらに進化して時代を先取りした内容のアルバムだったと言ってもいいだろう。

スラップベースのリズムに乗って、打楽器の様にピアノを自在に操り、スキャットを駆使するボーカル。このタニアマリアの音楽は、ジャズとボサノバだけでなく、サルサ、ロック、ファンク・・・、それまでのジャズ、ラテン、ロックがすべて融合したまさにフュージョンの進化形のような演奏だ。それまでのコンコルドサウンドとは似つかない内容であった。

ブラジルというラテンのリズム感を持ち合わせる地に生まれ、ピアノはクラシックからジャズではピーターソンからマッコイターナーまでを学び、歌はアップテンポのスキャットからバラードまで何でもこなす。彼女は、場所やシチュエーションに合わせて「体全体で音楽する」といった演奏スタイルだ。だからこそ、彼女の良い演奏を聴くには、そのような「場」が必要になるのだが。

フランスに居たタニアマリアに、ニューヨークの定住を勧めたのは、コンコルドとは縁の深いチャーリーバードだったという。そんな縁もあって、コンコルドでアルバムを作るようになったのだと思う。
流石のジェファーソンも、最初のアルバム"Piqunt”のプロデュースを自ら行うのは気が引けたのかラテン系の大番頭ともいえるCal Tajerに任せたが、そのジェイダーも急逝してしまい、前作からは自らプロデュースに乗り出した

この時、オーナーのカールジェファーソンはConcordが今のような大メジャーレーベルに育つとは多分想像もしていなかったと思うが、実はこのアルバムを作ったことがその後の躍進のきっかけになったような気がしてならない。

マリアのアルバムもコンコルドで3枚目になる。前2作に手ごたえを感じたのだろう。移籍以前から人気が出ていただけあって快調な滑り出しであったが、さらに今回はヒットするような要素を織り込んだアルバム作りになっている。コンコルドでは今までヒットアルバム作りなど考えたこともなかっただろう。

結果的にタイトル曲のCome with Meはマリアの代表作の一つになったが、この曲はライブでは会場の盛り上げにも一役買う。バックもベースのジョンペナの加入で躍動感が増した。ぺナは此の頃は駆け出しのスタジオミュージシャンだったらしいが、その後の彼女と行動を共にすることが多く、中堅ベーシストに育っていった。

最初のアルバム“Piquant”ではその迫力にぶっ飛んだが、今回も最初からアップテンポのサングリアからいきなりエンジン全開で飛ばす。かと思うと、2曲目は一転して唯一のスタンダードエンブレイサブルユーではしっとりと。この落差も素晴らしい。どの曲でもバンド全体の多様なリズムと彼女の多彩な表現力に魅了される。
このサウンドは、従来のコンコルドファンではなく、間違いなく新しいファンの獲得に寄与したはずだ。

彼女は今年も来日したが、残念ながらライブには行けなかった。歳を重ねてもステージの迫力は衰えていないようだ。次回の来日時には是非行ってみたいと思う、同年代のおばさんパワーを分けてもらいに。







1. Sangria                3:56
2. Embraceable You (George Gershwin / Ira Gershwin) 5:53
3. Lost in Amazonia             5:12
4. Come with Me              5:45
5. Sementes, Graines and Seeds     6:25
6. Nega                 4:10
7. Euzinha                6:31
8. It's All Over Now           5:19

Composed & Arranged by Tania Maria

Tania Maria (vol,p,ep)
Eddie Duran (g)
Kincohn Goines (eb)
Jose Neto (g)
John Pena (eb)
Portinho (ds,per)
Steve Thornton (per)

Produced by Carl Jefferson
Recorded at Coast Recorders, San Francisco, August 1982
Engineer : Phil Edwards

Originally released on Concord CJ-200 (所有盤はCD)



Come With Me
Tania Maria
Concord Records

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