A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

伝説のテナーは日本でもまだ健在だ・・・

2015-01-29 | MY FAVORITE ALBUM
The Tenor Summit / SATORU Meets Young Six

最近、ベテランミュージシャンの音楽活動何十周年といったライブがよく開かれる。昨年はトランペットの岸義和さんの50周年、そして先日は、ドラムのバイソン片山さんの40周年のライブが開かれた。スインギーなドラムで、ハンクジョーンズやウォルタービショップとも共演していた。今でも、ライブ活動をやっているようだが最近は聴く機会は無かったが。今回は、記念ライブという事もあり、ビッグバンド編成で出演ということでゴルフ帰りに駆けつけた。

メンバーはベテランが中心であったが、中にはテナーの大内満春、ギターの加治雄太といった若手の顔も。ベテランに交じって若手が加わっているのも嬉しいものだ。

そして、ゲストには飛び入りでボーカルのハービー・トンプソン。いつもながらの素晴らしいボーカルであったが、この日のメインゲストは何といってもテナーの尾田悟。元気に活躍しているニュースは良く聞くが、最近なかなか聴く機会がなく、これも当日の楽しみであった。

ビッグバンドでの演奏はグレンミラーナンバーからスタート、そしてベイシーレパートリーと続いた。途中で尾田悟さんが加わったが、ビッグバンドをバックに、そしてジャムセッション風にコンボでの演奏と続く。何と今年は米寿のお祝い、88歳になられるようだが、レスターヤングライクのテナーは健在であった。



昨年、今や伝説のテナーともいえるベニーゴルソンが来日したが、実はゴルソンの方が2つ年下。日本の伝説のテナーも負けてはいない。
しばらく前に、ベニーゴルソンの「テナー伝説」というアルバムを紹介した。この尾田さんのプレーを久々に聴いて、ゴルソンに負けないテナーバトルのアルバムがあったのを思い出した。

尾田さんが若手を集めてバトルを繰り広げたアルバムだ。1996年の録音なので、今から20年近く前。この時、尾田さんは60代半ば、すでに長老の域に達していたが、他のメンバーは皆20〜30代、彼等も今ではベテランの域に達しているが、この時は若手の伸び盛り。リズム隊を含めて親子ほど違うメンバーを集めてのバトルであった。

このアルバムで自ら尾田氏がコメントしているように、尾田さんのプレーは、60年代に一世を風靡し多くのテナー吹きに影響を与えたコルトレーンを否定したスタイルだ。そして、フュージョンの世界とも縁遠くレスタースタイルのテナーを吹き続けている。このアルバムのために集まった若者達にもそのコンセプトは伝わっていた。よく、ベテランが若手を相手にしたバトルだと、若手の若々しいプレー(これがコルトレーンに影響を受けたスタイルであることが多いが)に刺激を受けて、ベテランも若手に負けじと、いつも以上に気負ったプレーをすることも多い。しかし、ここでは尾田さんの存在感のある演奏に、若手が大先輩の胸を借りて畏れ多くもチャレンジしているという感じがする。

テナー4本でのアンサンブルあり、ソロの取り回しあり、バトル有と、尾田さんのテナーを中心に4人のテナープレーをタップリと楽しめる。似ているようで微妙に違うスタイルを楽しむのも良し。アンサンブルと言ってもスーパーサックスのような超絶テクニックを競うというのではなく、ソロ中心の心地よいサウンドだ。スインギーな曲が多いが、アリーオータムのようなしっとりモードも魅力だ。いずれもサックス好きにはたまらない。

スタジオライブでの演奏もリラックスした感じを生んでいる。さらに、2chダイレクトによるライブ録音というのも、マルチチャンネルで楽器の一つ一つが浮き彫りになりすぎているサウンドと異なり、このようなスタイルの演奏にはいいものだ。

1. Fast Company
2. Bluer Than Blue
3. There Will Never Be Another You
4. Sweet And Tangent
5. Angelica
6. If I Had You
7. Not Really The Blues
8. Things Ain’t What They Used To Be
9. Tenor Madness
10. Early Autumn
11. Crazy Rhythm

尾田 悟 (ts)
三木 俊雄 (ts)
安保 徹 (ts)
右近 茂 (ts)
守屋 純子 (p)
杉本 智和 (b)
田鹿 雅裕 (ds)

Supervised by Osamu Uchida
Engineered By Shigeki Kato
Recorded at Audio Park on Dec. 8, 1996

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