A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

オーケストラの活動が長くなると、自分でアレンジすることに興味が沸くのは必然・・・

2012-03-19 | MY FAVORITE ALBUM
Rights of Swing / Phil Woods

クインシージョーンズのオーケストラが、ヨーロッパに旅立ったのは1959年の暮であった。本来であれば、ヨーロッパ各地でジャズオペラ「フリーアンドイージー」の公演を行う予定であった。しかし、公演がスタートして一ヶ月も経たない翌年の1月15日パリでの公演を最後にツアーは中止になる。
オーケストラメンバーを率いていたクインシーは、それにもめげずオーケストラだけの公演を各地で続けた。しかし、それは予定されたものではなく、演奏場所を探しながら半年近くの流浪の旅。その間帰国してしまったメンバーもいたが、最後まで付き合ったメンバーの一人がフィルウッズであった。
ウッズはこのクインシーのオーケストラにはこのツアーに先立ちレコーディングのために編成された時から参加し、ヨーロッパから帰国後のアメリカツアー、そして翌1961年のニューポートジャズフェスティバルに参加し、常にクインシーと行動を供にしていた。

クインシーは元々はトランペットを吹きながらアレンジを提供していた。しかし、自己のオーケストラを編成した時点でトランペットは辞めて作編曲家としての活動に軸足を移していた。そのクインシーのオーケストラに参加していたフィルウッズは、一緒にヨーロッパを渡り歩いた時作編曲に興味を持ったそうだ。もちろん、それまでのコンボでの演奏でも自分でアレンジはしていたが、大きな編成へのアレンジはそれまでした事がなかった。きっとクインシーに刺激を受けたのだろう。そして、このアルバムが大型コンボ向けのアレンジの処女作となる。

録音に集ったミュージシャンの多くはクインシーのオーケストラで苦楽を供にした仲間達。ウッズの始めての作品を演奏するにはうってつけのメンバーであった。フレンチホルンのジュリアスワトキンスの参加もアレンジの味付けには大きく影響している。
曲は”Rights Of Swing”とタイトルが付けられた組曲。初作品に臨むウッズの気合を感じる。ビッグバンド編成ではなく大型コンボなのでセクション事のアンサンブルワークではなく、各楽器のアンサンブルとソロとの対比になるが、シンプルでモダンな響きはどことなくクインシーのアレンジにも似た雰囲気だ。

このアルバムを作った後、ウッズはスタジオワークも多くなり、多くのビッグバンドの録音に参加する。クインシーとは異なりウッズはアレンジに手を染めたものの、その後現在に至るまであくまでもプレーヤーとしての活動を主軸に置くことは止めない。特に、67年のヨーロピアンリズムマシーンの編成は、もう一度自分のグループでのプレー重視に大きく舵取りを変えることになる。その点では、一度アレンジに嵌ると演奏のウェイトが低くなるミュージシャンが多い中で、ベニーカーターと供にいつまで経ってもプレーを軸に活動をしている代表格だ。

1. Prelude and Part 1 Woods 6:36
2. Pt. 2 [Ballad] Woods 7:43
3. Pt. 3 [Waltz] Woods 5:44
4. Pt. 4 [Scherzo] Woods 11:26
5. Pt. 5 [Presto] Woods 7:16

Phil Woods (as,arr)
Benny Bailey (tp)
Willie Dennis (tb)
Curtis Fuller (tb)
Sahib Shihab (bs)
Julius Watkins (French Horn)
Tommy Flanagan (p)
Buddy Catlett (b)
Osie Johnson (ds)
Granville Roker (ds)

Bob d'Orleans Engineer
Nat Hentoff Liner Notes, Supervisor

Recorded at Nola Penthouse Sound Studio, New York on Jan. 26 & Feb.10, 1961




Rights of Swing
Phil Woods
Candid

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