リーグ戦も折り返し点の第6節に突入。始まる前からある程度予想出来たこととは言え、ここまでの大混戦になるとは思わなかった。もちろん、上下間の力の差が縮まっていることが原因だが、2強のはずの東海と流経が盤石の状態ではないことも大きい。そして、中央大や大東大のようにチーム改革に成功したチームもある一方で、拓大、法政、日大の調子が上がらないことも想定外。試合を観る側は楽しい面もあるが、各大学の首脳陣は胃がキリキリ痛むようなシーズンになっているのではないだろうか。
例えば本日対戦する法政と中央大。開幕前の予想では法政が優勝争いの一角に食い込み、中央は定位置からの脱出は難しいと見ていた。果たして、劣勢が予想された中央は3連勝で絶好調なのに対し、法政は開幕戦で1勝を挙げたあとは2連敗と苦しんでいる。ここまで両チームの明暗を分けているものは何なのだろうか。ただ、両チームの闘いぶりを見る限り、戦績に現れているような力の差があるわけではなさそうだ。うまく勝ちを拾えているかそうでないかの差にも見えるのだ。そのあたりをじっくりと見極めてみたい。
◆キックオフ前の雑感
家を出たのはいつもより遅め。でもキックオフの10分前には競技場前に着くはずだった。しかし熊谷ラグビー場周辺に着いてからが鬼門だった。まず、国道17号線からラグビー場の東側の駐車場に入る右折レーンで足止めを食らう。元来、信号機の「右折可」の矢印が出る時間が短いのだが、3回やり過ごすことに。そして駐車場に着いたらいつもは余裕たっぷりのはずの駐車スペースに車がギッシリ。この段階でキックオフ5分前だからアウトだ。ラグビー場西側のそれもかなり遠い場所にスペースを見つけて何とか車を止めることができた。ラグビー場までは歩いて5分以上かかる。こんなことなら10分早く出ておけばよかったと思っても後の祭り。
幸い、両チームのメンバーはチェックしてあったので、キックオフから数分間のピッチ上での状況に想いを巡らせながら観客席に向かった。ふと気がつくと、回りにはオレンジ色を纏った人達が少なからず居る。本日の試合は2試合とも片方はオレンジのチーム。しかし前を歩いているカップルの着ている服をよく見たら「DOCOMO」のロゴが入っていた。ここでやっと気がついた。本日はJリーグの大宮アルディージャが隣の陸上競技場で試合を行う日だったのだ。件のカップルもラグビー場に辿り着く前には視界から消えていた。かつては毎年熊谷で行われていた同志社と明治の定期戦でも駐車場の確保に困る時代があったことが懐かしく思えてくる。(ちなみにJ1の試合は16時キックオフで観客は1万人弱と知り、帰宅してから大きなため息だった。)
さて、法政のメンバーは、BKに若干入れ替わり(WTBに今橋が抜擢され、半井はFBに移動)があるものの基本ラインは変わらない。しかしリザーブには注目の大物ルーキーが居る。189cm、100kgの大型LO牧野内がその人。足腰の強さでトライの山を築いているFL西内といい、若手にきら星のごとくのメンバーが揃っている法政。流経戦でも相手の消極性?があったとはいえ勝てた試合を落としてしまった印象が強い。これだけのメンバー揃っているのに何故という想いは、やはり禁じ得ない。
中央大は基本的に不動のメンバーだが1点、SH長谷川の名がリザーブにもない。代わりに起用されたのは昨シーズンまでレギュラーを務めていた高崎で、住吉は本日も後半に登場することになりそうだ。長谷川は東海戦勝利の立役者のひとりと見ていただけに欠場は痛いが、高崎がベテランの意地を見せてくれるはず。Bチームで戦わざるを得ない現状に対する忸怩たる想いをこの試合にぶつけて欲しいところ。
◆前半の戦い/法政FWの怒涛の攻めにひたすら耐える中央
スタンドへの入り口をくぐってすぐに電光掲示板を見たらちょうどキックオフから8分が経過したところだった。どちらも無得点であることを確認し安堵したのも束の間、ピッチ上からは異様な熱気が伝わってきた。そう、法政FWの怒涛の(という言葉しか思いつかない)攻めの連続に中央大が防戦一方になっている。東海大戦でSH長谷川が先輩のFW選手達を鼓舞しながら元気溌溂の状態で攻め続けていたチームの面影はまったくない。法政が得点を奪うのは時間の問題のように思われた。
果たして11分、ドロップアウトからの中央大のキックに対して法政はカウンターアタックから前に出る。オープン展開でパスミスかと思われたが、本日左WTBに起用された今橋がボールをうまく拾って左タッチライン際を駆け抜け、一気にゴールラインまで到達してしまった。GKは外れたが、法政が5-0と幸先良く先制点を奪った。
お互いにキックが多い展開ながらも、法政FWがボールを持つと怒涛のアタックを何度も何度も見せる。中央大はタックルに次ぐタックルでひたすら耐える状況なのだが、後ずさりしながらも組織ディフェンスの網に綻びが生じない。相手のビッグゲインに対しても面を保ちながら戻り、最後の一線は越えさせない。ピンチの状況にあっても無駄な動きをしている選手が見当たらないのが(過去の中央のイメージからは)不思議と言えば不思議。でも、これは偶然に出来ることでないことは確か。
法政が優勢であることに変わりないものの、なかなか追加点を奪えないことで徐々に試合が落ち着いてきた。もちろん中央がディフェンスで頑張っていることもあるが、法政がBK選手の度重なる不味いキックでことごとくいい流れを(中央にとってはタイムリーに)断ち切ってしまったことも大きい。まずは27分、中央大陣22m手前で得たPKのチャンスから法政は速攻で攻める。中央がノット10mバックを犯してアドバンテージの間に法政SO加藤が何故かグラバーキック?と思ったらドロップゴールの失敗だった。法政は正面約24mの位置からSH大政がPGを狙うが外してしまう。この法政のダブル逆パンチにより中央は命拾いする。
逆に中央は(PG失敗後の)ドロップアウトの蹴り返しに対するカウンターアタックから法政陣に攻め上がり、法政が自陣で反則を犯したところでPGを選択。左中間22mのPGをSO浜岸が冷静に決めて3-5と中央のビハインドは2点に縮まった。法政にとっては、取り損ねた3点にやらずもがなの3点がプラスされてしまったいやな感じ。しかし法政の勢いは止まらない。蹴り合いの中で双方にミスが出るが、そんな乱戦模様の中からWTB今橋がこぼれ球をひろって快足を飛ばして再びゴールラインを越えた。GK失敗ながらも10-3と法政がリードを拡げる。
しかし中央も食い下がる。リスタートのキックオフに対し、法政が自陣でノットリリースの反則を犯したところで、浜岸が正面やや右20mのPGを確実に決めて6-10となる。有り余るチャンスをものにできない法政に対し、もらったチャンスは逃さない中央はなかなかしぶといチームになっている。法政は終了間際に中央大陣10m付近で得たPKのチャンスでSO加藤(大政は直前に足を痛めて金子に交代)がショットを選択するが失敗。ここで前半が終了した。
空白の8分間の展開が気になる状況ではあるが、確実に言えることは法政FWのアタックが流経戦よりもさらに迫力を増していたこと。とくにライン参加した時のHO小池は、しばしば有効な突破役になっていた。しかし、そんなFWの意気込みに水を差すようなBK選手の軽く見えるプレー。思い起こせば、最初のドロップアウトのシーンも、せっかくいい形でFWが攻めているのに「なんでそこで蹴る?」といったようなキックパスの失敗だった。逆に怒涛の攻めにたじたじとなりながらも防波堤を決壊させることなく耐え凌いだ中央。ここで何となくだが閃いた。中央がこのまま耐え凌げば逆転勝利もあり得ると。
◆後半の戦い/試合巧者へと変貌を遂げた中央大が真骨頂を見せた
法政が攻勢に出ていたこともあるが、中央大も東海大戦で見せたようなアタックのキレが殆ど見られなかった前半の戦い。攻撃のテンポがよくないことにSH長谷川の不在の影響を感じずにはいられない。8分、中央は法政陣22m手前のスクラムからオープンに展開して連続攻撃で法政ゴールに迫るもののラックでターンオーバーされてチャンスを逃す。
時計が10分を指したところで、中央大はSH高崎に代えてアイコー(住吉)を投入。ここで一気に中央のアタックがテンポアップしたことから見ても、二人のルーキーSHが中央のアタックのキープレーヤーであることが分かる。そんな中で14分、ようやく中央大にこの日の初トライが生まれた。法政陣22m内でのラインアウトからオープンに展開してゴール前でラック。中央はここからショートサイドを攻め、絶妙の浮かしパスがWTB高に通りラストパスとなる。左隅からのGKは外れるが11-10と僅か1点差ながら中央大が逆転に成功した。
ようやく勢いを得た中央大。ここからの試合運びが絶妙だった。前半は大人しく見えたFB羽野もチームを元気づける形で存在感を見せる。けして無理はしないが、ここぞというところで法政DFをぶち破りチームにガッツを注入する。19分の中央大の追加点はそんな羽野のタテ突破から生まれた。法政陣ゴール前のラインアウトからオープンに展開して右寄りの位置でラックが出来たところからさらに右に展開しライン参加した羽野がラインブレイク。最後はフォローした途中出場の渡辺がゴール右隅に飛び込んだ。GKは失敗するが16-10と中央大のリードは6点に拡がる。
少ないチャンスを確実に得点に結びつける中央大に対し、攻めている時間は長いもののなかなか得点が増えない法政。両者明暗が分かれる中で次第に法政に焦りの色が見え始める。法政のSOは16分に加藤から井上に交代しているが有効なラインアタックができないまま時計は進んでいく。23分に中央大陣22m手前で得たスクラムのチャンスも、FWでゴール前まで攻め込みながらノットリリースで得点に結びつけることができない。28分、法政ボールのセンタースクラムで中央大のFL小野がスティールに成功して前進しゴールに向けてキック。チェイスした選手にボールが収まればトライと言う場面だったが、一足早く法政選手がボール確保に成功して辛くもタッチに逃れる。
しかし、その直後のプレーがこの日のハイライトだった。法政陣22m内のラインアウトから中央大はオープンに展開し中央付近でラック。ここでSO浜岸が絶妙のドロップゴールを決めたのだ。リードしているとは言っても1T1Gで逆転されてしまう6点差では安心できないだけに値千金とも言える。思わず、前半にあった法政のドロップゴール失敗の場面が頭をよぎった。残り時間10分での9点リードはけしてセーフティーではないが、中央大はもう過去の中央大ではない。法政陣で攻め続けて時計を進める巧みなエリアマネジメントを見せる。
この試合に敗れると3敗目となってしまう法政が最後の死力を尽くして攻める。逆転のためにはとにかくトライを取ることが必要。37分には中央大ゴール前でのラインアウトの絶好のチャンスもゴールを目前にしてノックオン。40分に中央陣ゴール前での連続攻撃からCTB金がゴールラインを越えるが遅すぎた。法政にとっては中央大のドロップゴールによる3点が重くのしかかった形。法政は流経大戦に続き、またしても勝利を逃してしまった。
と言う具合に、得点経過を追っていくとスリリングな展開で、おそらくネットの実況にかじりついていた両校のファンにとってはハラハラどきどきだったのではないだろうか。しかしながら、実際にスタンドで観ていた感じでは、劣勢に立たされていたものの殆どの時間帯でゲームをコントロールしていたのは中央大だったという印象が強い。逆に言うと、法政にピッチ上で(残念ながら)ゲームをコントロールできる選手が居なかったと言うことにもなる。中央とて卓越したスキッパーが居る訳ではないが、15人でゲームの流れを共有することができており、結果として集中を切らすことなく80分間を戦い終えたことが素晴らしいと思った。
過去10シーズン以上、1T以内の僅差負けに泣かされた「惜敗の中央大」を散々観てきただけに、かくも試合巧者になった中央大の姿が信じ切れない。いや、信じきれなかったと言い換えようと思う。このような負けと隣り合わせのような試合に15人で力を合わせて勝てることこそが強さなのだ。リーグ戦ではトライの山を築いてバカ勝ちする必要はない。たとえ1点差でも勝ちを拾うことが大切だ。見事に変貌を遂げた中央大にラグビーの面白さを教えてもらったような気がした。
◆法政にとって「黄金の12分間」の再現はあるのか?
今シーズンの法政の試合で強く印象に残るのは、なんと言っても立正大戦の終盤12分間(正確にはインジュリータイムが入るので数分長かったと思うが)で見せてくれた戦いぶりだった。司令塔が交代した瞬間、まるでスイッチが入ったように流れるようなBKアタックが観られた夢のような時間だった。おそらく法政ファンではなくても、ラグビーファンなら誰もが魅入ってしまうような、パスがテンポ良く面白いように繋がるランニングラグビー。その場面はベンチに下がった司令塔を務めていた選手も見ていただろうし。そして、何かを感じたはずだ。
しかし、件の選手の過去2試合のプレーを観ても、「最高のお手本」から何かをつかみ取った気配が全く観られないのはどうしたことか。相変わらず、「KY」(FWの奮闘を一瞬にして無にしてしまう)とか「自己チュー」(回りが反応できない)といったキーワードが思い浮かぶようなプレーの連続には正直ガッカリしてしまう。果たして2度のチャンス(流経戦もこの日の中央大戦も勝てる可能性はあった)を逃してしまった法政に3度目は来るのか? ここまでの状況を見る限り、その可能性は低いと言わざるを得ない。もう一度あの12分間を体験してみたいとは思うものの、それをいちラグビーファンの夢で終わらせてしまうのはあまりにももったいないと言わざるを得ない。
例えば本日対戦する法政と中央大。開幕前の予想では法政が優勝争いの一角に食い込み、中央は定位置からの脱出は難しいと見ていた。果たして、劣勢が予想された中央は3連勝で絶好調なのに対し、法政は開幕戦で1勝を挙げたあとは2連敗と苦しんでいる。ここまで両チームの明暗を分けているものは何なのだろうか。ただ、両チームの闘いぶりを見る限り、戦績に現れているような力の差があるわけではなさそうだ。うまく勝ちを拾えているかそうでないかの差にも見えるのだ。そのあたりをじっくりと見極めてみたい。
◆キックオフ前の雑感
家を出たのはいつもより遅め。でもキックオフの10分前には競技場前に着くはずだった。しかし熊谷ラグビー場周辺に着いてからが鬼門だった。まず、国道17号線からラグビー場の東側の駐車場に入る右折レーンで足止めを食らう。元来、信号機の「右折可」の矢印が出る時間が短いのだが、3回やり過ごすことに。そして駐車場に着いたらいつもは余裕たっぷりのはずの駐車スペースに車がギッシリ。この段階でキックオフ5分前だからアウトだ。ラグビー場西側のそれもかなり遠い場所にスペースを見つけて何とか車を止めることができた。ラグビー場までは歩いて5分以上かかる。こんなことなら10分早く出ておけばよかったと思っても後の祭り。
幸い、両チームのメンバーはチェックしてあったので、キックオフから数分間のピッチ上での状況に想いを巡らせながら観客席に向かった。ふと気がつくと、回りにはオレンジ色を纏った人達が少なからず居る。本日の試合は2試合とも片方はオレンジのチーム。しかし前を歩いているカップルの着ている服をよく見たら「DOCOMO」のロゴが入っていた。ここでやっと気がついた。本日はJリーグの大宮アルディージャが隣の陸上競技場で試合を行う日だったのだ。件のカップルもラグビー場に辿り着く前には視界から消えていた。かつては毎年熊谷で行われていた同志社と明治の定期戦でも駐車場の確保に困る時代があったことが懐かしく思えてくる。(ちなみにJ1の試合は16時キックオフで観客は1万人弱と知り、帰宅してから大きなため息だった。)
さて、法政のメンバーは、BKに若干入れ替わり(WTBに今橋が抜擢され、半井はFBに移動)があるものの基本ラインは変わらない。しかしリザーブには注目の大物ルーキーが居る。189cm、100kgの大型LO牧野内がその人。足腰の強さでトライの山を築いているFL西内といい、若手にきら星のごとくのメンバーが揃っている法政。流経戦でも相手の消極性?があったとはいえ勝てた試合を落としてしまった印象が強い。これだけのメンバー揃っているのに何故という想いは、やはり禁じ得ない。
中央大は基本的に不動のメンバーだが1点、SH長谷川の名がリザーブにもない。代わりに起用されたのは昨シーズンまでレギュラーを務めていた高崎で、住吉は本日も後半に登場することになりそうだ。長谷川は東海戦勝利の立役者のひとりと見ていただけに欠場は痛いが、高崎がベテランの意地を見せてくれるはず。Bチームで戦わざるを得ない現状に対する忸怩たる想いをこの試合にぶつけて欲しいところ。
◆前半の戦い/法政FWの怒涛の攻めにひたすら耐える中央
スタンドへの入り口をくぐってすぐに電光掲示板を見たらちょうどキックオフから8分が経過したところだった。どちらも無得点であることを確認し安堵したのも束の間、ピッチ上からは異様な熱気が伝わってきた。そう、法政FWの怒涛の(という言葉しか思いつかない)攻めの連続に中央大が防戦一方になっている。東海大戦でSH長谷川が先輩のFW選手達を鼓舞しながら元気溌溂の状態で攻め続けていたチームの面影はまったくない。法政が得点を奪うのは時間の問題のように思われた。
果たして11分、ドロップアウトからの中央大のキックに対して法政はカウンターアタックから前に出る。オープン展開でパスミスかと思われたが、本日左WTBに起用された今橋がボールをうまく拾って左タッチライン際を駆け抜け、一気にゴールラインまで到達してしまった。GKは外れたが、法政が5-0と幸先良く先制点を奪った。
お互いにキックが多い展開ながらも、法政FWがボールを持つと怒涛のアタックを何度も何度も見せる。中央大はタックルに次ぐタックルでひたすら耐える状況なのだが、後ずさりしながらも組織ディフェンスの網に綻びが生じない。相手のビッグゲインに対しても面を保ちながら戻り、最後の一線は越えさせない。ピンチの状況にあっても無駄な動きをしている選手が見当たらないのが(過去の中央のイメージからは)不思議と言えば不思議。でも、これは偶然に出来ることでないことは確か。
法政が優勢であることに変わりないものの、なかなか追加点を奪えないことで徐々に試合が落ち着いてきた。もちろん中央がディフェンスで頑張っていることもあるが、法政がBK選手の度重なる不味いキックでことごとくいい流れを(中央にとってはタイムリーに)断ち切ってしまったことも大きい。まずは27分、中央大陣22m手前で得たPKのチャンスから法政は速攻で攻める。中央がノット10mバックを犯してアドバンテージの間に法政SO加藤が何故かグラバーキック?と思ったらドロップゴールの失敗だった。法政は正面約24mの位置からSH大政がPGを狙うが外してしまう。この法政のダブル逆パンチにより中央は命拾いする。
逆に中央は(PG失敗後の)ドロップアウトの蹴り返しに対するカウンターアタックから法政陣に攻め上がり、法政が自陣で反則を犯したところでPGを選択。左中間22mのPGをSO浜岸が冷静に決めて3-5と中央のビハインドは2点に縮まった。法政にとっては、取り損ねた3点にやらずもがなの3点がプラスされてしまったいやな感じ。しかし法政の勢いは止まらない。蹴り合いの中で双方にミスが出るが、そんな乱戦模様の中からWTB今橋がこぼれ球をひろって快足を飛ばして再びゴールラインを越えた。GK失敗ながらも10-3と法政がリードを拡げる。
しかし中央も食い下がる。リスタートのキックオフに対し、法政が自陣でノットリリースの反則を犯したところで、浜岸が正面やや右20mのPGを確実に決めて6-10となる。有り余るチャンスをものにできない法政に対し、もらったチャンスは逃さない中央はなかなかしぶといチームになっている。法政は終了間際に中央大陣10m付近で得たPKのチャンスでSO加藤(大政は直前に足を痛めて金子に交代)がショットを選択するが失敗。ここで前半が終了した。
空白の8分間の展開が気になる状況ではあるが、確実に言えることは法政FWのアタックが流経戦よりもさらに迫力を増していたこと。とくにライン参加した時のHO小池は、しばしば有効な突破役になっていた。しかし、そんなFWの意気込みに水を差すようなBK選手の軽く見えるプレー。思い起こせば、最初のドロップアウトのシーンも、せっかくいい形でFWが攻めているのに「なんでそこで蹴る?」といったようなキックパスの失敗だった。逆に怒涛の攻めにたじたじとなりながらも防波堤を決壊させることなく耐え凌いだ中央。ここで何となくだが閃いた。中央がこのまま耐え凌げば逆転勝利もあり得ると。
◆後半の戦い/試合巧者へと変貌を遂げた中央大が真骨頂を見せた
法政が攻勢に出ていたこともあるが、中央大も東海大戦で見せたようなアタックのキレが殆ど見られなかった前半の戦い。攻撃のテンポがよくないことにSH長谷川の不在の影響を感じずにはいられない。8分、中央は法政陣22m手前のスクラムからオープンに展開して連続攻撃で法政ゴールに迫るもののラックでターンオーバーされてチャンスを逃す。
時計が10分を指したところで、中央大はSH高崎に代えてアイコー(住吉)を投入。ここで一気に中央のアタックがテンポアップしたことから見ても、二人のルーキーSHが中央のアタックのキープレーヤーであることが分かる。そんな中で14分、ようやく中央大にこの日の初トライが生まれた。法政陣22m内でのラインアウトからオープンに展開してゴール前でラック。中央はここからショートサイドを攻め、絶妙の浮かしパスがWTB高に通りラストパスとなる。左隅からのGKは外れるが11-10と僅か1点差ながら中央大が逆転に成功した。
ようやく勢いを得た中央大。ここからの試合運びが絶妙だった。前半は大人しく見えたFB羽野もチームを元気づける形で存在感を見せる。けして無理はしないが、ここぞというところで法政DFをぶち破りチームにガッツを注入する。19分の中央大の追加点はそんな羽野のタテ突破から生まれた。法政陣ゴール前のラインアウトからオープンに展開して右寄りの位置でラックが出来たところからさらに右に展開しライン参加した羽野がラインブレイク。最後はフォローした途中出場の渡辺がゴール右隅に飛び込んだ。GKは失敗するが16-10と中央大のリードは6点に拡がる。
少ないチャンスを確実に得点に結びつける中央大に対し、攻めている時間は長いもののなかなか得点が増えない法政。両者明暗が分かれる中で次第に法政に焦りの色が見え始める。法政のSOは16分に加藤から井上に交代しているが有効なラインアタックができないまま時計は進んでいく。23分に中央大陣22m手前で得たスクラムのチャンスも、FWでゴール前まで攻め込みながらノットリリースで得点に結びつけることができない。28分、法政ボールのセンタースクラムで中央大のFL小野がスティールに成功して前進しゴールに向けてキック。チェイスした選手にボールが収まればトライと言う場面だったが、一足早く法政選手がボール確保に成功して辛くもタッチに逃れる。
しかし、その直後のプレーがこの日のハイライトだった。法政陣22m内のラインアウトから中央大はオープンに展開し中央付近でラック。ここでSO浜岸が絶妙のドロップゴールを決めたのだ。リードしているとは言っても1T1Gで逆転されてしまう6点差では安心できないだけに値千金とも言える。思わず、前半にあった法政のドロップゴール失敗の場面が頭をよぎった。残り時間10分での9点リードはけしてセーフティーではないが、中央大はもう過去の中央大ではない。法政陣で攻め続けて時計を進める巧みなエリアマネジメントを見せる。
この試合に敗れると3敗目となってしまう法政が最後の死力を尽くして攻める。逆転のためにはとにかくトライを取ることが必要。37分には中央大ゴール前でのラインアウトの絶好のチャンスもゴールを目前にしてノックオン。40分に中央陣ゴール前での連続攻撃からCTB金がゴールラインを越えるが遅すぎた。法政にとっては中央大のドロップゴールによる3点が重くのしかかった形。法政は流経大戦に続き、またしても勝利を逃してしまった。
と言う具合に、得点経過を追っていくとスリリングな展開で、おそらくネットの実況にかじりついていた両校のファンにとってはハラハラどきどきだったのではないだろうか。しかしながら、実際にスタンドで観ていた感じでは、劣勢に立たされていたものの殆どの時間帯でゲームをコントロールしていたのは中央大だったという印象が強い。逆に言うと、法政にピッチ上で(残念ながら)ゲームをコントロールできる選手が居なかったと言うことにもなる。中央とて卓越したスキッパーが居る訳ではないが、15人でゲームの流れを共有することができており、結果として集中を切らすことなく80分間を戦い終えたことが素晴らしいと思った。
過去10シーズン以上、1T以内の僅差負けに泣かされた「惜敗の中央大」を散々観てきただけに、かくも試合巧者になった中央大の姿が信じ切れない。いや、信じきれなかったと言い換えようと思う。このような負けと隣り合わせのような試合に15人で力を合わせて勝てることこそが強さなのだ。リーグ戦ではトライの山を築いてバカ勝ちする必要はない。たとえ1点差でも勝ちを拾うことが大切だ。見事に変貌を遂げた中央大にラグビーの面白さを教えてもらったような気がした。
◆法政にとって「黄金の12分間」の再現はあるのか?
今シーズンの法政の試合で強く印象に残るのは、なんと言っても立正大戦の終盤12分間(正確にはインジュリータイムが入るので数分長かったと思うが)で見せてくれた戦いぶりだった。司令塔が交代した瞬間、まるでスイッチが入ったように流れるようなBKアタックが観られた夢のような時間だった。おそらく法政ファンではなくても、ラグビーファンなら誰もが魅入ってしまうような、パスがテンポ良く面白いように繋がるランニングラグビー。その場面はベンチに下がった司令塔を務めていた選手も見ていただろうし。そして、何かを感じたはずだ。
しかし、件の選手の過去2試合のプレーを観ても、「最高のお手本」から何かをつかみ取った気配が全く観られないのはどうしたことか。相変わらず、「KY」(FWの奮闘を一瞬にして無にしてしまう)とか「自己チュー」(回りが反応できない)といったキーワードが思い浮かぶようなプレーの連続には正直ガッカリしてしまう。果たして2度のチャンス(流経戦もこの日の中央大戦も勝てる可能性はあった)を逃してしまった法政に3度目は来るのか? ここまでの状況を見る限り、その可能性は低いと言わざるを得ない。もう一度あの12分間を体験してみたいとは思うものの、それをいちラグビーファンの夢で終わらせてしまうのはあまりにももったいないと言わざるを得ない。
「現状」の法政としては、大政加藤のコンビ以外に選択肢はないのでしょう。
とくに大政のプレースキックにはこれまで助けられてきましたし。
日曜日は結果的にプレースキックのミスから試合の主導権をつかむことができませんでしたが、これは大政のコンディションを把握できず、代わりのプレースキッカーを用意できなかったベンチワークのミスでしょうか。流経戦ですでに予兆はあったのですが。
西の起用は、バックスでゲインを切れない現状打開策ですので、西のパフォーマンスはおいといて評価すべきではないかと思いました。
まあとにかく、次を勝つことですね。それしかない。
私ははウィングで試合に出るときは、フォワードが、頑張って獲得したボールを大切に前に進めることと、トイメンをしっかり止めることを心がけていました。
今の法政バックスにその意識がなかなか伝わって来ないことが残念です。
あと、表題のとおり、コミュニケーション。
今一度、組織内で、共有(十分しているとお叱りを受けるかもしれませんが、グラバーキックやキックパスには、少なくとも私にはなにも伝わってきません)してほしいです。
強く、速い法政が復活しますように。。
今のハーフ団にこれ以上期待はできません。下手くそならまだいい、軽い気迫なプレーが多すぎます。通用しないのはわかったのですから、Bの将来性ある選手を出したほうがマシに決まっています。
その軽いプレーが小池や西内の活躍を台無しにしていることになぜ監督は気付かないのでしょうか。
私はラグビー経験者です。あんな軽いプレーを味方にやられてはとてもではありませんが、チームが一つになれません。
左足にテーピングしていましたが、この選手をBにしてしまって、教え子の優先起用。
勝ちきれないのは、この身内偏重起用で選手が一つになれないからです。
そして、教え子SOにやっと見切りをつけたようですが。
遅すぎます。