「熱闘」のあとでひといき

「闘い」に明け暮れているような毎日ですが、面白いスポーツや楽しい音楽の話題でひといき入れてみませんか?

インビクタスからサンウルブズへ/ラグビーが結ぶ点と点(1)

2016-05-25 01:25:30 | 関東大学ラグビー・リーグ戦


もはや週末のお楽しみの必須アイテムとなってしまったサンウルブズ。その戦いも残すところ4試合となってしまった。目下の戦績は1勝1分9敗と数字の上では惨憺たる結果になっている。しかし、その戦いを見守るファンはまったく別の風景を見ているはずだ。惜しい、悔しい、残念の連続ではあるのだけど、試合が終わると某かの感動が残され、「また来週も応援するぞ!」という気持ちにさせてくれる不思議なパワーを持ったチームだから。

そんな折も折、映画『インビクタス』をTVで観る機会に恵まれた。ちょうど中学生になったときにラグビーに出逢い、その後もしばらくはプレーを続け、そして一時期のブランクはあったものの、週末はどこかの競技場に行くことが楽しみなラグビーファン。だから「当然この映画は観てますよね?」と言われてもおかしくない。しかし、そんなことを聞かれないことが実は幸いだったりする。観ていなかったし、公開されたときも特段感心を持つに至っていなかったから。ラグビーファン失格だなぁ、まったくと今にして思う。

映画を見終わって、どうしてこの映画をスルーしてきたのだろうと思った。ネルソン・マンデラを演じるモーガン・フリーマンは『ドライビング・ミス・デイジー』や『ショーシャンクの空』でも名優ぶりをいかんなく発揮した大好きな俳優。後者の映画で演じた刑務所内での「調達屋」がロベン島に収監されたマンデラと見事にオーバーラップする。そして、件の1995年には日本代表の歴史的な惨敗(17−145)をリアルタイムで観ているから、もうひとりの主役フランソワ・ピナールが主将だったこともしっかり覚えている。

しかし、ものは考えよう。映画に関心をもっていなかったことがむしろ幸いしたような気がする。ピュアな感覚で映画を楽しむことが出来たから。そして、当然の帰結として、書店に原作を探し求めることになる。映画に全てを盛り込むことは不可能だし、作品の出来映えに満足で終わってもいい。でも、それで終わらせてしまうにはあまりにもマンデラや南アフリカのことを知らないことに気づいたのだ。

原作を読み終えた今、改めて映画を見直して観たくなったのはもちろんだが、もっとこの国のことを知りたいという想いも駆られている。映画をリプレイする前に、南アフリカとの関わりについて振り返ってみることにした。

■電波を通して出逢った南アフリカ



ラグビーとの出逢いは中学生になったとき。という話をすると大抵のひとは驚くようだ。しかし当時の大阪はラグビー部のない方が珍しいくらいに中学生のラグビーが盛んだった。そんなときに熱中したのがBCLだった。海外から届くニュースや音楽を短波帯が受信可能なラジオで直接楽しんでいた。BCLjは1980年代には空前のブームとなるものの、本筋とは違ったベリカード(受信報告書の御礼に放送局から返信されてくるベリフィケーションカード)集めの趣味になってしまったため、当然の帰結として(飽きられて)廃れてしまう。ちなみに、私が熱中したのは「空前のブーム」より前の1970年代で、当時はBCLではなくてSWL(短波聴取者)と呼ばれていた。

BCLを始めた頃によくダイヤルを合わせたのがアフリカ大陸の最南端から強力な電波を発信していたラジオRSA(南アフリカ共和国放送)だった。この放送局は珍しく高い周波数を使っていたため、混信もなく毎日安定した状態で受信できていた。おそらく多くのBCL初心者にとっても初めて聞いたアフリカ局になったはず。放送開始前に流れるギターと鳥のさえずりが印象的なインターバルシグナルは今でもはっきり覚えている。

南アフリカからは国際放送だけでなく、国内向けの放送も良好に受信することができた。両方の放送局に受信報告書を送って得たのが上の2枚のベリカードだ。右側のカードが国内向けのSABCのもので、英語の上に標記されているのがアフリカーンス語。ラジオRSAからの「御礼」はベリカードに留まらなかった。定期的に番組と南アフリカを紹介する刊行物が送られてくる。日本の英語もろくに読めない中学生にこんなサービスをしても何の徳のもならないのに。ラグビー選手の写真もよく掲載されていたので、南アフリカはラグビーの国なんだなぁということも理解できた。

同じ頃、新聞の連載記事で南アフリカのアパルトヘイトのことを連載記事で報じていたことも印象に残っている。アフリカ系の人達は大学を出ても馬糞拾いをしているとか、人種が違うと愛し合っていても結婚できないとか、当時の中学生には理解できないことばかりだった。社会科の先生が「南アフリカで日本人が飛行機に乗るときは特別席が用意される。」と聞いても「へぇ?」だったのだ。思うに、上に書いたラジオRSAのサービスは評判の悪さを気にした精一杯の気遣いだったのかも知れない。

■アフリカの苦悩をピアノに叩きつけた(かも知れない)ダラー・ブランド



高学年になってからだが、ジャズを聴き始めたのも中学生の頃。高校生になってもレコードは月に1枚と決まっていたので、「ジャズ」と名の付いた番組は片っ端から聴いていろんな人の演奏を楽しんでいた。そんな中でインパクトを残したのがダラー・ブランドの『アフリカン・ピアノ』。発売当時、かなりのセンセーション(スイングジャーナルのジャズディスク大賞銀賞などなど)を巻き起こし、よくラジオでも紹介されていた。ダラー・ブランドはその後改名してアブドゥーラ・イブラヒムになる南アフリカ出身のジャズピアニスト。

ジャズ初心者にはちょっと難しい音楽に聞こえたし、デューク・エリントンやセロニアス・モンクの影響を受けていると言われても?なのだが、左手で何度も繰り返されるシンプルなフレーズが理解でしがたい中にも耳から離れないでいた。実はそのパターンが5拍子で、しかも終わることのない永遠のリズムであることに気づいたのがごく最近だったりする。種を明かすと、終わりと始まりが重なることで終わった瞬間に始まっている魔法のリズム。

明るく楽天的な世界とは言えないが、どこかカラッとした雰囲気も漂うところがアフリカなのかも知れない。レコードの帯にある「アフリカの苦悩をピアノに叩きつけて」というのはちょっと大げさで、あくまでもレコードを売るための宣伝文句のような気もするが、ステディな左手との対比が実に魅力的。アメリカのジャズに聞かれるようなブルージーな感覚は意外と希薄。むしろ右手で時に激しく弾かれるフレーズは欧州伝来の知性の反映にも聞こえる。そこが欧州の影響を無視し得ない南アフリカ的な感性なのかも知れない。

■フォース・ワールドの感動の南アフリカライブ



「フォース・ワールド」と聞いてピンと来る音楽ファンは少ないかも知れない。ブラジル出身のアイアート・モレイラ(ドラムと打楽器)とフローラ・プリム(ボーカル)夫妻が1990年頃に結成した4人編成のバンド。残る2人はブラジル出身のギタリストのジョゼ・ネトと米国人サックス奏者ゲイリー・ミークで偶発的な発想から生まれた。南アフリカで1993年に録音された『ライブ・イン・サウス・アフリカ1993』はこのバンドの最高到達点を聴くことができる感動のライブ。

その感動の意味も、インビクタスを読み終えた後ならよく分かる。2年後にラグビーワールドカップを控え、南アフリカの体制が大きく変わりつつあった1993年は戦争、平和のどちらに転がってもおかしくないくらいに不安定な時期だった。そんな南アフリカの人達に少しでも勇気を与えたいという気持ちで演奏に臨めば自ずと結果も出る。この作品はフォース・ワールドがそれだけの実力を持ったバンドであることも証明している。

話がインビクタスからもラグビーからも逸れてしまったが、自分史を振り返ってみて、けっこう南アフリカとは遭遇していたことがわかった。(つづく)

アフリカン・ピアノ
ダラー・ブランド
ユニバーサル ミュージック クラシック
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流通経済大学 vs 明治大学(関東大学春季大会グループA-2016.05.01)の感想

2016-05-05 16:13:20 | 関東大学ラグビー・リーグ戦


すっかり身近になったスーパーラグビーのお陰で、日本のラグビーファンにとって例年なら空白だった時期が完全に埋められた。先月末からは今年で5回目を迎える関東大学ラグビーの春季大会も始まり、関東地区限定かも知れないがさらにラグビーを取り巻く状況は賑やかになる。日本のラグビーの将来を担う大学生は、エディさんの言をまたず一番強化が必要とされている年代。それだけに、スーパーラグビーへの参入効果がどのような形で大学ラグビーを変えていくのかに注目していきたい。少なくともサンウルブズに加入して世界を舞台に戦いたいと願うヤングラガーが増えることが日本代表強化に繋がるはずだから。

さて、今シーズンの私的大学ラグビー開幕は明治大学の八幡山グランドで迎えた。春季大会Aグループの戦いで、昨年度リーグ戦グループ2位の流通経済大学(流経大)が同対抗戦グループ2位の明治大学に挑む。2013年、2015年と流経大がこの大会で明治を破っているとは言え、この対戦カードならば流経大はまだまだチャレンジャーというのが大方の感覚だと思う。キックオフの約15分前に試合会場に到着したが、大学でも屈指の立派な観戦用スタンドは既に熱心なホームチームのファンで満杯の状態。出遅れを反省しつつ、流経大サイドの端に見つけた最後列の立観スペースに土手をよじ登って潜り込んだ。ちなみにピッチ上ではこの試合に先駆けて行われたC戦がちょうど終了したところ。54−19で明治Cチームの圧勝だった。

いつもだとキックオフ前にメンバー表を眺めて両チームの出場選手を確認するが、メンバー表をもらい損ねたため断念。一昨年までは日本協会のHPを通じたウラ技で何とか2日前に出場選手の確認ができたし、今は各大学が公式サイト経由でメンバー発表を行ってくれるから助かる。しかし、流経大はサイト自体の更新も止まっているため、殆どの選手の把握は公式記録までお預けになるのが残念。もっとも、明治のメンバー表はプリントアウトして持参したものの、高校ラグビーに疎いこともあってどんなレベルのメンバーかは不明。予備知識なしに観た方が面白いことも事実だが、注目点が分かっていれば試合の見方がかわったかも知れない。

観戦体勢を整えたところでピッチに両校Aチームのメンバーが登場。主力選手の卒業でかなりのメンバーが入れ替わった流経大はお馴染みの顔が急速に減ったことは否めない。CTBのシオネ・テアウパ(私的願望ながら、将来サンウルブズやジャパンの13を担って欲しい選手のひとり)は存在感大だが、14番を付けて登場した新人のタナカブランドン・ムネケニエジもすぐに分かった。4月3日のYC&ACセブンズでの鮮烈なデビューが強く印象に残るアフリカ系の選手。ちなみに、同選手はジンバブエ生まれで7歳の時にNZに渡ったとのこと。アイランダー達とは違った身体能力の高さ、身のこなしの柔らかさに加えて低く鋭いタックルを連発してYC&ACでは注目を集めたが、性格の明るさでもアピールした選手だった。



◆前半の戦い/結果的には接戦もラグビーの内容には大きな差

明治のキックオフで試合開始。明治のエリア獲得を目指したキックに対し、流経大は自陣奥深くで何とかタッチにボールを出す。明治は敵陣ゴール目前でのラインアウトからモールを形成して得点を目指すが、流経大にモールコラプシング(おそらく)の反則。間髪入れずにPK(タップキック)からSH禿弔インゴールに飛び込み、僅か1分で明治が幸先よく先制した。SO堀米のGKも成功して7−0。誰もが明治の圧勝を予感した鮮やかな先制パンチだった。

リスタート(キックオフ)での両チームの攻防では、緒戦と言うこともありミスが散見される。ただ、チーム全体で組織的にボールを動かす意図が明確な流経大に対し、明治のアタックの意図は不明確で個々の強さで対抗している印象。時計が進むにつれて両チームのチーム作りに対する考え方の違いが顕著になっていく。10分、明治の自陣22m内からのフリーキック(フェアーキャッチに対する)がチャージに遭ってドロップアウト。リスタートのドロップキックに対し、流経大はCTBシオネからパスを受けたWTB14タナカが明治陣ゴール前に迫る。そしてタナカが明治のディフェンスを十分に引きつけてからWTB11桑江(弟)にラストパスを送る。早くも「新ホットライン」が機能する形でのトライが流経大に生まれ5−7(GK失敗)となる。

直後のキックオフで流経大のHO中村がウラに抜け、パスを受けたWTB桑江弟がゲイン。さらにボールはゴール前でフォローしたLO金山に繋がりそのままノーホイッスルトライ。GKは外れるが10−7で流経大が逆転に成功する。合谷兄弟のあとは兄がFBを務める桑江兄弟の活躍が期待される。リスタートのキックオフから流経大が反則を重ねて自陣ゴール前で明治ボールのラインアウトが続くピンチとなる。しかし、執拗なディフェンスで明治のノックオンを誘い何とかピンチを脱した。相手のミスに助けられたとは言え、結果的に流経大はここで失点しなかったことが大きかった。

20分、流経大が明治陣22mまでエリアを大きく挽回したところで、明治にラインアウトでのノットストレートのミス。流経大はスクラムを起点としてFWの連続アタックでゴールを目指す。しかしながら、FW中心の攻めでラックになることが多く、テンポアップができずに最後はノットリリース。昨シーズン、FWへの過度の拘りから重要な試合でことごとく相手ゴール前での得点チャンスを逃していたことを思い起こさせる。ウォーターブレイクの直後、流経大は明治のキックに対しFB桑江兄がカウンターアタックから大きくゲイン。ディフェンスの人数は足りていたが、エアポケットを作ってしまったかのようにスルスルと抜けてしまったのは明治にとって反省材料だし、逆に桑江本人もビックリといった風に見えた。



しかし、明治も流経大のミスに救われる。とくに流経大はラインアウトが安定せず、マイボール確保の失敗が続く。30分には自陣10m/22mでのラインアウトがオーバースローとなり、こぼれ球を拾ったSH禿弔大きくウラに抜ける。そして、最後はLO5の古川がゴールラインを突破し明治は14−10(GK成功)と逆転に成功。さらに明治は畳みかける。リスタートのキックオフからFB渡部のカウンターアタックを起点としてボールを繋ぎ左WTBの澤田がノーホイッスルトライ。堀米のGKも安定しており、21−10と明治がリードをさらに拡げる。

グランドでは明治圧勝ムードも漂うが、この段階でアタックもディフェンスも明治は殆ど組織として機能していないことが露わとなる。「まだ春だから」という声も聞こえてきそうだが、帝京も東海も既にチームの基本形は出来上がっていて、あとは戦術の熟成と選手個々の成長を待つような状態。流経大にしても、スーパーラグビー仕様を目指していることは明らか。明治は自陣からはキックでエリアを取る考え方のようだったが、これはアンストラクチャーからのカウンターアタックを試したい流経大には願ったり叶ったり(のように見えた)。35分、リスターのキックオフで明治にノックオンがあり、流経大はすかさずカウンターアタック。SO東郷が抜け出しをのままインゴールまでボールを持ち込んだ。GK成功で17−21と流経大のビハインドは4点に縮まる。

流経大も畳みかける。39分には明治陣22m付近のラインアウトからモールを形成してディフェンダーをはがしながらぐいぐい前進しゴールラインまで到達してしまった。かつての流経大は伝統工芸とも言えるくらいの巧みなドライビングモールを特徴としていた。東海大のような最後は駆け足になるスタイルとは違い、相手につけいる隙を与えることがないくらいにゆっくりだがガッチリとしっかり相手を押し込んでしまうモール。ラインアウトで苦戦しなければ確実な武器になるが、最近はモール練習の比率が減っているのかも知れないと思ったりもする。GK成功で24−21となり、流経大が逆転したところで前半が終了した。

点数から見れば前半は拮抗した戦い。しかし、ラグビーの内容がそのまま反映されたら流経大はもっと楽に点が取れていたかも知れない。序盤戦の段階でアタック、ディフェンスともに明治のぎくしゃくぶりが目立ったから。得意のアタックでも選手が重なったりして、辛うじて個々の能力の高さでトライが取れている印象。流経大はFWに拘らずにどんどんBKに展開していればと一瞬思ったが、FWの力も試しておきたいという意図があったのかも知れない。明治ファンには申し訳ないが、普段取り組んでいるラグビーの違いが明確になったと感じられた前半だった。後半はディフェンスを立て直さないともっと明治の失点は増えそうな雰囲気。だが、前半を見る限りはそれも厳しいように思える。相手の状況が分かったところで流経大はどのような形で後半を戦うのかに興味が移った。



◆後半の戦い/流経の組織プレーの前に為す術のなかった明治

後半のキックオフは流経。明治の蹴り返しに対し、流経大がカウンターアタックで明治陣22m付近まで攻め上がるがノックオンでチャンスを逸する。リスタートのスクラムから明治がハイパントで前進を図るが、流経大もハイパントで応酬。明治の選手がノックオンしたボールを流経大選手が拾って前進しラック。ここからSH釜谷が抜け出してゴールラインを超えた。GKも成功し流経大が31−21とリードを拡げる。直後にリスタートのキックオフでは、流経大はカウンターアタックで攻めてシオネがノーホイッスルトライ。38−21となったところで流経大が完全にペースに乗った。

BK展開勝負に切り替えた(おそらく)流経大はラインの組合せのテストも行う。14を付けていたタナカをアウトサイドのCTBに置いて外に11番の桑江弟を配する布陣。再度リスタートのキックオフに対するカウンターアタックからその新布陣?が功を奏する。右オープンに展開されたボールがタナカに渡ったところでそのまま勝負と思われた瞬間、タナカが右に超ロングパスを送る。パスの到達点には観客の視界からも外れていた桑江弟が突然現れた。ボールを持った段階ではもう前を遮るものはなく、2つ連続でのノーホイッスルトライ。開始から10分も経たない時間での3連続トライで明治のディフェンスは混乱状態に陥った。

しかし、流経大のトリッキーなプレーはこのトライくらい。あとは、スーパーラグビーにも通じる小ユニットでのリサイクルを基本としたアタックで確実のボールを動かし続ける。そして、明治のディフェンスに孔が開いたところですかさずシオネら走力のある選手が勝負を仕掛けるパターン。16分には明治が流経大陣10m付近でPKのチャンスを得るものの、キックはノータッチとなりカウンターアタックから一気にボールを自陣ゴールラインまで運ばれる。52−21と流経大のリードは31点まで拡がり、勝負はほぼここで決した。流経大は岡田、粥塚、中村龍といったフレッシュな選手達を次々と投入する。

防戦一方となる中にも、明治は組織ではなく個人で局面の打開を図る。確かに1人1人の突破力には目を見晴らせるものはあるものの、広く網を張った流経大の前に止められたら終わりの単発の攻めだからなかなか得点に繋がらない。明治はむしろ組織を見直すべきなのだが、個人突破に頼らざるを得ないところが苦しい。ディフェンスの局面で、絶えず「広がれ、広がれ」の声が飛んでいた流経大に対し、明治サイドからは指示の声もあまり聞かれない。流経大は22分にマイボールラインアウトのこぼれ球を拾ったFB岡田、27分にラインアウトでの反則を起点とした速攻からSH横瀬が相次いでトライを奪い66−21と点差は45点まで拡がった。

流経大はこのまま後半をゼロ封で抑えたいところだったが、明治の一発の怖さを経験させられる。34分に新人山村が卓越したステップとスピードでディフェンスを振り切りトライ。さらに38分にも渡邊がキックを拾ってそのままゴールラインまでボールを運び、最終的には66−33のダブルスコアで流経大が勝利を収めた。安定性を欠いたラインアウトや最後の2発をディフェンスの網を破られてしまう形で阻止できなかった点など反省点はあったものの、リーグ戦Gの覇権奪還に向けて幸先のよいスタートが切れたと言えそうだ。

さて、期待のタナカの名前があまり出てこないが、もちろんその後は消えていたわけではない。個人で行けそうな場面でも廻りを見てボールを活かすプレーを選択していたからで、身体能力だけでなくラグビーセンスもなかなかのように思われる。ゲーム終盤でタックルに行ったところで負傷し足を引きずるような状態となったが、流経大は既に交代枠を使い切っていた。簡単な治療を受けた後、コーチに促されて仕方なくピッチに戻る。ちょっと痛々しい感じもしたが、終了間際で抜かれたらさらに1トライを確実に許す状況で、渾身のタックルを決めてボールを持ったFWの選手をタッチラインから押し出す。気持ちの強さがあることも印象づけたプレーだった。



◆試合終了後の雑感

春とは言え、ダブルスコアで、もしかしたらトリプルスコアになったかも知れない敗戦は明治にとってショックだったに違いない。梶村らの主力選手を欠く中、CチームでもAチーム勝ってしまうかも知れないほどの選手達が所属する明治だから、有力選手をAチームに集約し、戦術を絞って徹底させることで今年も秋にはトップを狙えるチームを作ることは可能なはず。「今は選手を試している段階」とか「まだ春の段階だから」という声も聞こえてきそうだ。しかし、もし今日の相手が赤色や青色のジャージーのチームだったら得点は減り、失点が増えることは確か。3Tとして大学ラグビーに君臨する帝京、東海、筑波は春の段階でもAチームをしっかり作っている。

そもそも上で挙げたチームには通年でチームを作り仕上げていく考え方が定着しているように思われる。まずは戦術ありきでラグビーに取り組むことで、必要なフィジカルの強化や技術の向上に取り組む。チームによっていろいろな考え方あることが大学ラグビーでは許容されるとしても、1年1年が勝負という考え方から脱却しないといけないチームがまだまだ多い戸感じる。チーム事情に疎い部外者の勝手な意見だが、明治は普段から一丸となってチームを作り上げていく体勢になっているのだろうかという思いに駆られる。少なくとも、今日の相手の流経大は20年以上前の1部昇格前から組織作りとコーチングの重要性に気付き、数多の失敗を重ねながら改善を進めて現在に至っている。チームの体質を変えることは恐ろしく時間がかかるのは多くのチームが経験し、結局は挫折したケースも多い。

◆大学ラグビーに求められるガラパゴス状態からの脱却

この20年、大学ラグビーを主体に観てきたからかも知れないが、大学ラグビー界はいわばガラパゴス状態にあったと感じる。トップチームだけを見ても、個人よりも組織、そして新たな戦術の導入に熱心に取り組んできたチームは限られる。個人的な印象で言えば、リーグ戦Gなら関東学院、流経大、東海大が該当し、対抗戦グループなら帝京大と筑波大が拘りを廃してラグビーに取り組んでいるように感じられる。その他のチームでとくに「伝統校」と呼ばれているチームはいろいろなしがらみがあるためか、チーム改革になかなか乗り出せていないように見える。

コーチも大学スポーツであるが故にOB主体になるのはやむを得ないとしても、その人達が大学でプレーしていた頃とはラグビー自体が大きく変化している。むしろ選手達の方が新たな戦術の導入に積極的であり、OB諸氏の「俺たちは頃こうだった」はなかなか通じなくなってきているはず。そして、場合によっては選手とコーチ間にラグビー観の違いから軋轢も生まれているのではないだろうかと危惧する。例えばだが、明治の選手達が東海なり流経大なりのコーチングシステムでラグビーに取り組めば、恐ろしいチームになること間違いなしと思いつつ、OBやファンがそのやり方を許容するだろうかという思いも頭の中をよぎる。

日本代表が昨年のW杯で南アフリカに勝利し、グループリーグで3勝を挙げたことは、日本のラグビーにとって起死回生といってもいい画期的な出来事だった。しかし、それだけでは十分ではなかったと思う。二の矢としてサンウルブズが放たれたことで大学に限らず日本のラグビーはガラパゴス状態から脱するきっかけを確実に掴んだように思えるのだ。とくにサンウルブズの奮闘(であり苦闘の連続)は大学ラガーメンにとって大きな刺激になっているはず。「世界」にダイレクトで繋がるサンウルブズが出来たことで、完全プロとしてラグビーに取り組む道が開けた事を歓迎し、日々のトレーニングに対する意気込みが変わった選手が居ると信じたい。



◆流通経済大学への(今度こそ)の期待

猛威を奮ったリリダム・ジョセファやリサレ・ジョージがチームを離れたことの影響かも知れないが、流経大がこの試合のようにステディなラグビーを指向するように変わりつつあるように感じた。このスタイルに徹すれば、大学選手権での永年の不振からも脱却できるはずだし、そうなることを期待したい。個人的な印象だが、特別な試合に普段着のラグビーを忘れて特別なことをやろうとして失敗し続けたのがこのチームだった。1部に昇格したばかりの純白のジャージーに身を纏って戦い、強いインパクトを残したチームがあったからこのブログはある。他に気になるチームはあっても、「今度こそ」の期待に応えて欲しいという気持ちが強いのは偽らざるところだ。

ラグビー「観戦力」が高まる
斉藤健仁
東邦出版
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祝初勝利!サンウルブスが日本のラグビーを変えた日

2016-05-02 01:57:48 | 関東大学ラグビー・リーグ戦


サンウルブズの悲願の初勝利達成から1週間が経った。今週末はBYEウィークなので束の間の「サンウルブズ・ロス」の週末になっているのは嬉しい誤算。あと1週間は余韻に浸ることができるという意味で。予想に反して(といっては失礼なるが)初勝利も近いと思わせる戦いが続いた中で、何とかひとつ勝てたのは大きい。毎週末に連敗の数が確実に1つずつ増えていくのは覚悟していたとは言え応援していて辛いものがあった。こうなったら2つ、3つと勝って欲しいし、こんな形でハードルが上がって行くのは大歓迎だ。

キックオフまであと1時間を切ったところで外苑前駅に辿り着いた。秩父宮ラグビー場に向かう歩道は既に人波でごった返すような状態になっている。今度こそ「初勝利」を祝いたいサンウルブズを応援する人達が多数。つい1週間前に南アフリカのブルームフォンテーヌでの悪夢のような惨敗があったわけだが、そんなことは忘れてしまったかのように表情は明るい。ちょっと救われたような気持ちになってラグビー場の門をくぐった。



心配された天候も回復し、いよいよキックオフ。ホームゲームとはいえ、サンウルブズのメンバーは約1ヶ月間の長期遠征を終えて帰国したばかり。対するジャガーズも遠征の締めくくりがこの試合で似たような状況ではある。ただ、昨年のW杯でベスト4に残ったアルゼンチン代表を軸に結成されたチームなので、サンウルブズと同様に連敗中とは言え厳しい相手であることに変わりない。

だが、ホームに戻って気持ちの切り替えに成功したのか、溌溂とした動きを見せるサンウルブズの選手達に比べると、ジャガーズの選手達のプレーには明らかに疲れが感じられる。自陣からでも果敢にパスを繋ぎ、キックは控えめというのがロス・プーマス(アルゼンチン代表の愛称)に被るジャガーズのイメージ。そんなチームがハイパントを多用する状況で、サンウルブズに勝利の方向に向かう追い風が吹いているように見えた。

そんな中で幸先よく先制したのはサンウルブズ。5分にピシがPGを決めた。しかし、遠征疲れの見えるジャガーズもこの試合に連敗脱出をかけている。7分と10分にラインアウトとモールの強みを活かす形で2連続トライを奪い10−3と逆転に成功。SOエルナンデスのGKが不調だったことが最終的に明暗を分けるが、サンウルブズの勝利はまたしても遠のくのかとファンは思った。

しかし、サンウルブズを後押しするホームのファンは今日も熱い。ファーストスクラムの場面で印象的な出来事があった。ジャガーズはスクラムの強さが売り物のチームであり、観客は固唾を呑んで見守った。そしてしっかりと踏みこたえたところで大きな拍手と安堵の「おーっ!」という声にスタジアムが包まれる。セットプレーが課題のサンウルブズにあって懸念材料のひとつがクリアされた状況を選手とファンが一体となって共有した感動的とも言える瞬間。こんなことは滅多に経験できないし、選手達にとっても力になったのではないだろうか。

20分には待望の得点がトライによってもたらされる。ジャガーズ陣内でラックを連取して左に展開しWTB笹倉がゴール左に飛び込んだ。座席の関係でちょうど目の前でそのシーンを目撃することになったわけだが、WTBで取り切れるところがサンウルブズの強みでありファンを魅了するところ。32分にピシがHWL付近からのロングPGを決めて同点に追い付いたところで観客席は最高レベルに盛り上がる。

しかし、ジャガーズも簡単には引き下がらない。サンウルブズの課題のひとつは得点を取った直後の失点が多いこと。とくに相手キックオフに対するボール処理は要注意だ。この点、ジャガーズは巧みだった。浅く蹴ってコンテストのところは高い確率でマイボールにする。もっとも、サンウルブズはFBのフィルヨーンを除けばハイボールの処理を苦手としている。ジャガーズのハイパント多用はそんな弱点を突いてのこと。前半終了間際にもジャガーズはPGを決めて、13−18の5点ビハインドでの折り返しとなった。



後半も先制はサンウルブズ。5分にフィルヨーンがPGを決めて16−18とする。しかし、ここで落とし穴。相手陣内に攻め込みながらインターセプトに遭っての被弾がブルームフォンテーヌでの悪夢を思い起こさせる。2点ビハインドにまで迫ったサンウルブズだったが16−25と点差を拡げられる。ただ、インターセプトの場面で思ったことは、ジャガーズに疲れからか焦りが見られること。ディフェンスの局面では、オフサイド気味で前に出てきてリスクを覚悟の上でのインターセプト狙いのようにも見えたのだ。

今まで勝てる可能性があった試合を落としてきたサンウルブズ。武器は粘り強いディフェンスとボールを動かせばゴールまでボールを持ち込める決定力があること。16分にこの日一番のトライが生まれる。ジャガーズ陣22m付近のスクラムから右に展開し、立川から絶妙のアングルチェンジでトップスピードに乗ったカーペンターにパスが渡る。ガッツポーズでゴールに飛び込むフィニッシャーに観客も立ち上がってガッツポーズ。ラインアウトで苦戦を強いられているサンウルブズだけに、安定したスクラムは強力な武器になる。23−25となりビハインドは2点でファンの応援のボルテージも上がる。

これまで接戦をものに出来なかったサンウルブズ。敵陣でPKの場面も積極的に仕掛けることで活路を見いだしてきたが、この日は慎重にショットで3点を積み上げる慎重な戦いぶりを見せる。ジャガーズに反則が目立ったこともあったが、ピシが神がかり的なくらいに当たっていたことも幸いした。25分にそのピシがPGを決めてリードは僅か1点だが遂に逆転に成功する。

しかし、この日のサンウルブズの課題でもあるのだが、点を取った後が鬼門。ここまで3回、得点のあとすぐに失点している。果たして4回目が2分後に起こる。ジャガーズがまたしてもPGを決めて残り時間10分あまりとなったところで再度逆転に成功。ジャガーズがキックオフを浅めに蹴ってコンテストし、ボール確保に成功したことも大きいがちょっとした気の緩みはなかっただろうか。残りの試合ではハイボール対策も含めてしっかりと修正して欲しいところ。

ただ、サンウルブズには強い味方が居た。時間が経つごとに力強くなっていくホームの声援だ。とくにスクラムの場面では自然発生的な手拍子がスタジアム全体にこだまする形となり感動的ですらある。ラグビーファンを何十年もやっているが、いまだかつてこんなにスタジアム全体から選手達を奮い立たせるような応援に出逢った記憶がない。リードを奪ったとはいえ、ジャガーズにはプレッシャーになっただろう。そんなジャガーズに焦りが出たのか、自陣で痛恨の反則。ここもピシが確実に決めて29−28となる。

残り時間は9分を切る。このまま敵陣でボールキープし、どんどん時計を進めていく。1点差に泣いたサンウルブズだから、今度は1点差で歓喜の瞬間を迎えたい。誰もがそんな想いを抱いたと思われた中で、しかし、むしろサンウルブズは積極的に前を向いてアタックを仕掛ける。ジャガーズゴール前のスクラムの場面ではスタンドから手拍子がFWの8人にさらにパワーを注入し続ける。もう少しでカウントダウンが始まりそうな中で、この日もっとも観客席を沸かせたトライが生まれる。スクラムを起点としてピシから渡ったラストパスを立川がインゴールに持ち込み勝利を確実にした場面。

そして試合終了のホイッスル。劇的な逆転勝利は何度も観てきているが、こんなに気持ちよくファイナルを迎えた記憶はない。というか今までの思い出をすべて消し去ってしまうくらいに感動的だった。最終的に決めたのはピシであり、カーペンターであり、立川だったが、それも最前線で身体を張ってボールをBKに供給し続け、ディフェンスの場面ではフィジカルが強いジャガーズのアタックを止め続けたFWの健闘があってのこと。1週間前の戦いでチームが崩壊してもおかしくなかったところを見事に立て直して最良の結果に繋げたハメットHC以下、チーム全員を讃えたい見事な幕切れだった。



■試合終了後の余韻/応援風景が変わった

主役はもちろんピッチの上で戦った選手達。しかし、自然発生的に起こった拍手など、終始選手達を奮い立たせたであろうスタジアムからの応援は力になったに違いない。それも大学ラグビーやトップリーグでは経験できない特別なもの。本当のファンはチームのいいところも改善すべき所も知っている。だから、寧ろ力が入るのはピンチを迎えた時だ。そこで誰にも強制されることなく手拍子というシンプルな方法で気持ちを伝える。他のスポーツではすっかり定番となっている「にっぽんチャチャチャ!」だと完全に浮き上がってしまう。きっかけは偶然だったとしても、ピンチの時には力を与えるという意味で最善最高の方法かも知れない。

実はサンウルブズの戦いを生で初めて観た3月19日にも不思議な体験をしている。観客席の空気が明らかに違っていると感じたのだ。大学ラグビーのような重苦しい雰囲気は皆無だし、トップリーグのように会社社会の延長戦みたいな雰囲気もない。ファミリーや若い世代も目立ち、観客はラグビーを楽しむために来ている。その当たり前のことがいつの間にか失われてしまっていたことに気づき、心地よいショックを受けている。だからこそ、暖かい観客に勝利という最高のプレゼントを授けてくれたことは大きい。



■サンウルブズは日本発の国際宇宙ステーション

サンウルブズの記念すべき船出となった2月27日のライオンズ戦。FW第3列など、スタメンに多くのカタカナの名前が並んだことに違和感を覚えたファンも多かったかも知れない。しかし、今やモリ、デュルタロ、カーク、ピシ、フィルヨーンやその後加わったロロヘアとカーペンターといった人達の居ないサンウルブズは考えられないような状況になっている。また、ここまでに生み出されたトライの多くは、日本で誕生したサンウルブズの持ち味が活かされた立派な「メイド・イン・ジャパン」だと思っている。

上で挙げた人達の中でも、とくにカーク、ピシ、フィルヨーンは私的「3ウルブズ」(3賢人であり3鉄人でもある)と呼ばせて頂いている。「プロとして仕事をしているだけ」なのかも知れないが、日本代表強化が前提で成立したチームではあっても、チームの勝利にとって力になる人材が「代表に関係ないから」という理由で排除されるようなことがあってはならないと思う。

たとえ生まれや国籍は違っても、ひとつのチーム(ファミリー)になることができるという意味で、サンウルブズは言わば国際宇宙ステーションだと思う。数多の困難を宇宙船(チーム)の乗組員(メンバー)が地上のサポート(スタッフやファン)を得て解決していかなければならない。だからこそ、国境の壁を取り払った多国籍軍で戦う国際リーグに所属するサンウルブズの成功は、国際化が求められている日本社会にも貴重な経験をもたらすものと信じたい。

あとひとつ。当日のスタジアムにはラグビー観戦を楽しむ外国人の姿も目立った。ジャガーズの母国からといった海を越えてやって来た人だけではなく、日本在住でハイレベルのラグビー生観戦に飢えていた人達も多く含まれていたと思われる。これもサンウルブズ効果とは言えないだろうか。海外から日本を訪れる観光客にとって、ラグビー観戦もメニューになり得る。スーパーラグビーなら、オリンピックのように短期間限定にならないから国の施策でもある観光客誘致に貢献できると思う。

とにもかくにも、日本からスーパーラグビーに選手だけでなくチームを派遣できるなんて10年前には考えられなかった。それが今、確かに実現している。サンウルブズの活躍だけでなく、そのことによって起こる様々な「いいこと」をメディアはしっかり伝えて欲しいと願う。

ラグビーマガジン 2016年 06 月号 [雑誌]
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第30回 関東大学ラグビー連盟セブンズ(2016.4.17)の感想(その3)

2016-04-24 19:37:41 | 関東大学ラグビー・リーグ戦


実力差がはっきり出るのがラグビーの魅力であり理不尽でもあるところ。しかし、試合時間が短くて、かつノックアウト方式となるセブンズのトーナメント戦では何が起こるか分からない。ジャイアントキリングが起こりにくいラグビーにあって、セブンズ観戦の最大の魅力はここにあると言ってもいいだろう。僅か1日限定とはいえ、1部リーグと2部リーグでは力の差がはっきり出てしまう普段の15人のラグビーとはまったく違う世界が実現する。このセブンズ大会の面白さの源泉はここにあると思う。

しかし、1日で行うノックアウト方式の大会の常で、時間が経つにつれて敗退したチームのテントが1つ消え、2つ消えという状態になっていく。本来ならファイナルは関係者全員で観戦し、勝利したチームをリーグ全体で祝福するようなイベントであって欲しい。プレーヤーにしても、普段はなかなか見ることができない各チームのいい面や有力選手を生で観ることができる貴重な機会であるはず。身体を動かしている時間は短くても、1日中頭をフル回転できる絶好の練習機会とも言える。

少なくとも、普段から高い志を持って練習に励んでいる選手なら、どんどんレベルが上がって行く熱戦を前にして(所属チームの試合ではなくても)試合会場を簡単に後にすることはできないはず。例えば自分がピッチに立っていたらどうするかをプレーヤーの気持ちになってイメージしてみる。何気ないプレーの中にも自分達の練習には欠けていることに対するヒントが潜んでいるかも知れない。「俺たちのチームも負けたことだし、そろそろ帰ろうぜ。」というチームメイトの誘いにも乗らず、「悪いけどオレは最後まで見ていくよ。」という選手が居たと信じたい。

さて、1回戦を勝ち抜いてチャンピオンシップに進んだのは、東海大、東洋大、法政大、大東大、専修大、拓殖大、日大、流経大の8チーム。コンソレに進んだ8チームを含めて、全16チームを分類してみると、.札屮鵐債謬畄拭↓▲札屮鵐些萢儼拭↓その他(新人のお披露目など)の3つに大きく分けられる。,亙源通り、セブンズを極め、その検証をするために参加したチーム。具体的にはリーグ戦G2部のチームが殆どとなり、専修、國學院、東洋、国士舘、白鴎大、朝鮮大は明確にそんなプレースタイルだった。△錬隠疑誉のチーム作りと強化を主眼におくなかでセブンズの戦い方を研究して実践したチーム。1部リーグ校の中の東海大、流経大、大東大、日大がスタンスの違いはあるが戦いの中に「意図」が感じられた。

東海大のセブンズチームはレギュラーの15人の中からセブンズにフィットする選手をセレクトする形で作られている。出場選手の背番号がほぼそのまま現状のレギュラーメンバーの背番号に一致する。戦い方もディフェンスの組織的な対応とブレイクダウンスキルに絞る。15人の戦いを念頭において、個人で行けるところは行くというスタイル。流経大は東海大よりもセブンズの意識が強く感じられ、留学生の持ち味であるオフロードパスも積極的に使う。大東大は普段の15人制で指向しているラグビーがセブンズに近いという感じで、セブンズだから特別なことを行うというスタイルではない。日大は前HC時代の遺産と言うべきか、1部リーグ校の中でも一番セブンズを意識したプレーで戦いに挑む。そんなスタンスの違いはさておき、1回戦を観た印象でファイナルに進むのは東海大がほぼ確定、もう1方の山からは専修大と流経大のどちらかが勝ち上がると予想した。



■チャンピオンシップトーナメント

[1回戦]

○東海大学 35−12 ●東洋大学

ほぼレギュラーメンバーで固める東海大の優位は動かず、3連続トライを挙げた東海大が19−0とリードして前半が終了。YC&ACセブンズで藤崎とともに好調ぶりをアピールした村松がこの日もトライゲッターとして活躍を見せる。背番号は8だが、テビタ・タタフとの兼ね合いが気になるところ。このまま東海大の一方的な勝利に終わるかと思われたが、後半先に東洋大が1本返したところから試合が白熱する。自信を付けた東洋大が果敢に攻めることで、東海大が押し込まれる時間帯もあった。後半に限って言えば両チームのトライ数は各2本のほぼ互角の戦い。1部リーグ昇格を目指す東洋大にとって、この戦いでの経験は力になるに違いない。

○大東文化大学 31−12 ●法政大学

両チームともに1、2年生主体のメンバーで望む中で、プレースタイルの違いが明暗を分ける形になった。大東大は1回戦から一貫して積極果敢なパス回しで得点を目指すスタイル。小山を彷彿とさせるような軽快な動きを見せる選手も居る。兄貴分のチームのような強力な突破役こそいないが、そのことでかえってパス回しに活路を開こうとしているようだ。一方の法政は組織よりも個人にならざるを得ないスタイルで苦戦もやむなし。ここ数年の法政はBKへの展開よりもモールなどのFWでのトライが増えていることも頷ける。前半は3−1、後半も2−1(いずれもトライ数)で大東大の圧勝となった。

○専修大学 22−0 ●拓殖大学

拓大はリーグ戦屈指のパワーを誇るシオネ・ラベマイに新人のマシヴォウ・アセリが加わる強力な陣容だがチームを纏めるのはこれからという印象。今年は再び司令塔の役割を担いそうな林謙太がときおりパワフルな突破を見せるものの単発で終わる。一方の専修大は攻守とも組織的に整備されたセブンズのお手本のような戦いぶりをみせて前後半で各2トライずつを奪い完勝。とくにディフェンスの局面では後方から前線に向かって的確な指示が飛び、セブンズは7人の間の緻密なコミュニケーションが命の競技であることを実感させられた。

○流通経済大学 24−14 ●日本大学

1部リーグで一番セブンズを意識したボール回しができるのはおそらく日大。先制トライを奪ってペースに乗る。流経大も1本返すが日大も1本追加して前半は14−7の日大リードで終了。しかし、後半は流経大が持ち前のパワーを発揮して3トライを連取し逆転に成功。シオネ他の主力選手達を欠いても個々が強力な流経大がベスト4に進出した。日大のおそらく主力の何人かを欠いている陣容と見られ、FW次第だが1部復帰の初年度はBKのパス回しに活路を開くことになりそう。加藤氏の青山学院大HC就任の発表があった中で新体制の発表が遅れているのが気になるところ。




[準決勝]

○東海大学 35−5 ●大東文化大学

東海大のパワーが止まらない。前半に2本、後半にも3本のトライを追加し、大東大のトライを後半の1本に抑えて圧勝。GKもすべて成功とスコアから見ると、大東大は為す術もなかったように見えるだろう。しかしながら、実際は大東大のパス回しを主体としたアタックに東海大のディフェンスが翻弄される場面も散見され、スコアから連想されるような一方的な展開ではなかった。ゴール前まであと一歩に迫られても失点を防いだ東海大のディフェンスが光った。大東大のプレースタイルは下級生にもしっかり継承されることになりそうだ。

○専修大学 24−22 ●流通経済大学

流経大のパワーを基盤としたセブンズに対し、専修大は組織的に整備された洗練されたスタイルのセブンズで対抗。両者の哲学の違いが緊迫感がある好ゲームを演出した。まずは流経大が2本先行する形でスタートした試合だが、専修大が徐々にペースを掴み2連続トライを奪って12−10のリードで前半を終了。後半も先制したのは流経大で再逆転を許すが2連続トライを奪って24−15と勝利を決定的にしたところでインジュリータイムに入る。流経大が意地を見せて1トライを返すのがやっとだった。

[決勝戦]

○東海大学 39−24 ●専修大学

決勝戦はそれぞれセブンズに対する想い入れは違うものの、優勝を目指して戦いに望んだ2チームが順当に勝ち残ったと言える。まずは東海大がパワーと巧さを活かして2トライを連取。しかし、専修大も池田大芽らのランで対抗し2トライを返して14−12と逆転に成功。がっぷり4つの戦いを見せる専修に対し、応戦席の盛り上がりは最高潮に達する。東海大は前半終了前に1トライを挙げて17−14で再逆転に成功。キャップの行方は後半に託されるというファイナルに相応しい熱戦となった。

後半も先制したのは東海。今年も隙あらばウラに抜ける湯本がゴールラインを駆け抜ける姿を何度も観ることができそうだ。優勝を目指したピッチとベンチが一体になった専修も粘りをみせて1トライを返し19−24と食い下がる。ただ、ここでも光ったのが村松の走力。キックオフされたボールを入れ違いのような確保すると、そのままゴールラインまで到達してしまった。東海大はさらに1トライを追加してリードを拡げる。専修大が11番を付けた野口の活躍で1トライを返す。野口は2年生で1部復帰を目指す専修大に期待をもたらす新エースとして活躍しそうだ。しかし専修大の粘りもここまで、東海大も1トライを追加して突き放し、39−24で東海大がYC&AC、東日本大学セブンズに続き「3連覇」を達成した。最後は地力の差が出たものの、力と技の戦いはなかなか見応えがあった。



■戦いを観た雑感

流経大が主力メンバーを欠いた陣容とは言え、今シーズンも連覇、そして大学日本一を目指す東海大がリードする形でリーグ戦グループの覇権争いが繰り広げられることになるだろう。YC&AC優勝での確信はより強固になったのがこの戦いでの勝利。バランスの良さとFWとBKに得点能力の高い選手が満遍なく揃ったことで、昨年以上のチームになることは間違いない。ほぼメンバーが固まる中で、気になるのが司令塔。3年生ながら既にBKのまとめ役の役割を担うような存在になっている野口竜司の名前も挙がっているようだが、日本ラグビーの将来を考えればFBの専門職として大成して欲しいと願う。

流経大も主力で固めれば強力チームがすぐに出来上がる。大東大は文字通り前線で身体を張ったFW1列の選手達の卒業が痛いが、BKを中心としたメンバーの熟成度はリーグ戦Gで一番高いしチャンスの年。法政は苑田ヘッドコーチの就任が発表されたばかりで、BKの攻撃力復活なるかが注目点。中央大は4年生のSH2人(住吉と長谷川)のどちらを主としてチームを作るのかに答えを出す年になった。拓大はスクラムの強さとBK展開がうまくかみ合うか。1部復帰を果たした日大と関東学院はどのような形でチーム再建に取り組むかに注目したい。2部リーグでは専修大、東洋大、國學院大に勢いがあり、山梨学院や立正大もうかうかとはしていられない。今の時期に言うのは早過ぎると思いつつ、今年も2校同時入替は十分にありえそうな様相だ。

余談ながら、実は東海大で一番印象に残ったのは意外な選手だった。10番を付けて登場した新人のモリキ・リード。高校ラグビーを観ていないことがばれてしまうが、札幌山の手高校出身(すなわちリーチの後輩)で体幹が強いFBとして注目されていた選手だった。ポジションはFBまたはWTBで俊足ランナー。選手層が厚い実力優先主義(おそらく)の東海大にあって春の段階にもかかわらず1年生で登場したことも驚きだが、それだけの力があることを実際のプレーを観て実感した。体格も普通で派手なところもないが、さりげないプレーの中にも1年生離れした冷静な判断力が光る選手と目に映った。FBに野口が座るとしたら(WTBにも高速ランナーが揃うので)モリキは背番号通り(SO)でも面白いと思う。将来は日本代表を目指すという意思表示もしており、今後どのような形で成長していくかがとても楽しみな選手だ。


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第30回 関東大学ラグビー連盟セブンズ(2016.4.17)の感想(その2)

2016-04-22 00:50:17 | 関東大学ラグビー・リーグ戦


オリンピック種目となったことでセブンズを取り巻く環境は劇的に変化したことは間違いない。かつてはセブンズの謳い文句だった「フィジアンマジック」という言葉が最近は殆ど聞かれなくなったような気がするが、それも各国の競技レベルの向上があってのこと。そして、セブンズのプレースタイル自体も変わってきているように思う。セブンズでイメージされたのは、トップアスリート達によるスピードの饗宴であったり、トリッキーなロングパスであったり、あるいは際どい(マジカルな)オフロードパスといった卓越した個人技の応酬。

しかし、実はセブンズの魅力は先に挙げた派手なプレーではなく、緻密な組織力をベースにした駆け引きの妙にある。ここ数年、春のセブンズ大会をじっくり観戦するようになってそんな想いを抱くようになってきている。但し、前提条件がある。対戦チーム同士があくまでも「セブンズの流儀」に則って戦う場合においてのみ、そのような面白さを味わうことができるということ。個々の力の差が大きければ、多少ディフェンスに目をつむってもアタックに注力すれば勝利できる。しかしそれはセブンズではない。7人対7人のせめぎ合いの中で、ディフェンスに穴が開いて個人勝負となった瞬間、そのセットは終了となるのが真のセブンズの戦いだと思うのだ。

そんな面白さに気づかせてくれたのが、このリーグ戦Gセブンズ。そして、そのことをより強く感じさせてくれるのが2部リーグ校同士の戦いが主となるコンソレーショントーナメントだと思う。出場チームが最強メンバーを組めるYC&ACセブンズや華やいだムードの中で行われる東日本大学セブンズ、そして本大会のチャンピオンシップトーナメントのような派手さはない。しかし、「真のセブンズの戦い」という視点で眺めれば、もっともハイレベルなのがこのコンソレーショントーナメントだと言える。

さて、1回戦で敗れてこちらのトーナメントに回ったのは、國學院大學、関東学院大学、国士舘大学、山梨学院大学、中央大学、白鴎大学、朝鮮大学校、立正大学の8校。いよいよもうひとつの頂点を目指す戦いが始まった。ちなみに、今大会ではトーナメント戦で先行を務めるのがチャンピオンシップに勝ち進んだチーム。いきなり東海大の選手達がピッチ上に現れて一瞬アレレ?だった。



■コンソレーショントーナメント

[1回戦]

○國學院大學 26−22 ●関東学院大学

緒戦の東海大戦でいいところなく敗れた國學院。しかし、東海大がほぼベストメンバーだったことは間違いないとしても、殆ど無抵抗のように見えたのは気のせいだったのだろうか。キックオフ直前、ピッチに登場した段階で既に(アイドリング段階だが)エンジン全開のような状態になっているのを観るに付け、あれは夢か幻かと感じてもおかしくはない。実際にキックオフから國學院のペースで試合が進み、前半だけで19−0の圧勝ムードだった。

後半は関東学院が反撃して3トライを返すものの、國學院も1トライを追加して26−24で勝利。ちなみに関東学院の3トライ目は試合終了の合図の後だったので、試合内容は國學院の圧勝といって間違いない。ここでふと思った。國學院は東海大戦では力をセーブしていたのではなかったかということ。しっかり相手の動きはトレースするものの、あえてタックルに踏み込まない。それもズバリ、國學院はコンソレ(コンソレーショントーナメント)に優勝することを目標においていたからこそのパワーセーブ。緒戦とはまったく別のチームを観ているかのようなプレーぶりを目にしてそんなことを感じた。

○山梨学院大学 14−5 ●国士舘大学

緒戦で法政をあわやというところまで追い詰めた国士舘だったが、山梨学院のパワーの方が1枚上手だった。ただ、山梨学院もパウロやアピレイは出場せず、フルパワーではなかったようだが。その山梨学院で目を惹いたのは22番を付けた選手(選手名不明)のスピードに乗ったランニング。当日は会場でプログラムを発見できず、選手名が殆ど分からなかったのが残念だが22番(を付けた選手)に要注目だと思った。

○中央大学 19−17 ●白鴎大学

緒戦は拓大に対してまったくいいところなく敗れた白鴎大。下級生中心メンバーとは言え中央大が優位と思われたが白鴎大が先制トライを奪ったことで白熱した戦いとなる。中央大も1本返すが白鴎大も負けずに1トライを追加して12−7で前半終了。後半は中央大が2トライを連取して逆転に成功するものの粘る白鴎大が1トライを返して17−19と点差は僅かに2点。勢いづいた白鴎大がペースを握り再逆転まであと一歩というところで無情のタイムアップ。中央大が辛くも逃げ切り準決勝に進んだ。1つ前のブログでデュルタロの名前を挙げたが、セブンズ日本代表の中心選手として活躍するトゥキリ選手(北海道バーバリアンズ→クボタ)も白鴎大OBだったことを思い出した。

○朝鮮大学校 31−12 ●立正大学

緒戦で日大をあわやというところまで追い詰めた朝鮮大が好調を維持。サイズには恵まれない選手達だが、小刻みなステップとパスワークで狭いスペースを切り裂くところが実に魅力的。キックオフから3連続トライを奪い優位に試合を進め、17−7で前半を終了。後半も朝鮮大優位の展開は変わらずさらに2トライを追加。立正大は1トライを返すのがやっとだった。2部に降格後、昨シーズンは入替戦にも進めなかった立正大だが、何とか元気を取り戻して欲しいところ。



[準決勝]

○國學院大学 45−10 ●山梨学院大学

トーナメント戦に入って白熱したゲームが続く中、リーグ戦Gのセブンズの雄の1つと言っていい國學院の勢いが止まらない。セブンズを熟知したかのような組織的なアタックで山梨学院を翻弄し、トライの山を築く。山梨学院は組織が寸断される中で個人頼みの戦いを強いられる。前半24−7、後半19−5と終始攻め続けた國學院が圧勝を収め決勝戦に名乗りを挙げた。

○朝鮮大学校 19−17 ●中央大学

立正大に圧勝して勢いに乗る朝鮮大と中央大の戦いは白熱した好ゲームとなった。先制したのは中央大だが、朝鮮大も1トライ(GK成功)を返して7−5と逆転に成功。しかし中央大が1トライを奪って12−7と再逆転に成功したところで前半が終了。後半も中央大が先に1トライを奪って17−7となりこのまま中央大がペースに乗って勝利を収めるかに見えた。しかしセブンズによくある落とし穴というべきか(中央大にとっては)不運なインターセプトによる被弾が命取りとなる。息を吹き返した形の朝鮮大が1トライを追加して19−12と再々逆転に成功して決勝戦へとコマを進めた。

[決勝戦]

○國學院大学 28−17 ●朝鮮大学校

大会のファイナルはチャンピオンシップの決勝戦となるため、時間調整(体力回復)のためのインターバルを経て、國學院と朝鮮大の選手達がピッチに登場する。地力と経験に勝る國學院が2トライを先行して14−0とリードを奪うものの、朝鮮大も1トライを返して14−7での折り返しとなり決勝戦に相応しい好ゲームとなる。後半も先行したのは國學院だったが、朝鮮大が粘りを見せて2トライを連取し21−19と國學院が僅か2点のリードで試合は終盤へ。優勝をかけた死力を尽くした攻防が繰り広げられるが、最後は朝鮮大が力尽く。國學院が1トライを追加して見事優勝を決めた。

今シーズン2部に昇格(復帰)を果たした朝鮮大はこの勝利を糧にしてステップアップを目指して欲しいところ。部員数を見ても入替戦までの道程は険しそうだが頑張って欲しい。1部リーグへのチャレンジまであと一歩というところまで来ている國學院。2シーズン連続で2校同時入替となる異常事態(2部上位と1部下位の間の実力差は殆ど無くなっている)とはいえ、2部で2位以内に入ることも難しくなっている。セブンズで覇を競うような形となっている2部リーグだが15人制の戦いも熾烈を極めるに違いない。



■コンソレーショントーナメントの雑感

散漫な印象が残った1回戦とはうって変わって引き締まった内容のゲームが続いたトーナメント戦。現金なもので、負けたら終わりの戦いになると闘争本能に目覚めるのがスポーツマンシップの現れだと実感させられる。どうしても華やかなチャンピオンシップの方に注目が集まってしまうのは致し方ないが、内容なら(セブンズらしいという意味で)コンソレーショントーナメントもひけを取らない。いや寧ろ上回っていると言っていいと思う。

毎年この大会を観て感じることだが、2部リーグのチームは春の段階でこの大会に照準を合わせてチーム作りを進めているように思われる。言わば、意地と意地のぶつかり合い。だからこそ、恵まれた環境にある1部所属校は2部所属校の心意気に応えて欲しい。(1部所属校にとっては)たかがセブンズかも知れないが、されどセブンズなのである。もはや「セブンズもどき」が通用しないことは火を見るよりも明らかになっていることに気づいて欲しい。(つづく)

日本ラグビー論
岩渕 健輔
ベースボールマガジン社
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