「熱闘」のあとでひといき

「闘い」に明け暮れているような毎日ですが、面白いスポーツや楽しい音楽の話題でひといき入れてみませんか?

関東大学ラグビー・リーグ戦グループ(2016)第2節の結果

2016-09-24 09:01:40 | 関東大学ラグビー・リーグ戦
第2節にして早くも東海大がスパート?。追う流経大と大東大は1、2節の戦いぶりを見る限り出遅れ感ありだが、これからチームを整えて東海大を脅かす存在になりたい。下位グループ3校(拓殖大、日大、関東学院)は後半戦に向けて我慢の戦いが続くが、関東学院に復活の目も。大学選手権出場が4枠に減ったことで熾烈を極める4位争いでは、僅差で勝利を収めた法政が一歩リードの展開だが、中央の巻き返しに期待。1週間の休み明けの第3節は足利での流経と法政の激突が楽しみ。

【試合結果】 ※左側が勝者

09/18(日) 法政大学 14-10 中央大学 (秩父宮)
09/18(日) 東海大学 92- 5 日本大学 (秩父宮)
09/18(日) 流通経済 50-14 拓殖大学 (ケーズデンキ)
09/18(日) 大東文化 42-10 関東学院 (熊谷B)



【得点経過と出場選手】









【第3節の試合予定】

10/01(土) 拓殖大学 vs 東海大学 15;00 (秋葉台)
10/02(日) 日本大学 vs 大東文化 11:30 (足利)
10/02(日) 流通経済 vs 法政大学 14:00 (足利)
10/02(日) 関東学院 vs 中央大学 14:00 (熊谷B)

強くなりたいきみへ! ラグビー元日本代表ヘッドコーチ エディー・ジョーンズのメッセージ (世の中への扉)
エディー・ジョーンズ
講談社
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関東学院大学 vs 大東文化大学(関東大学リーグ戦G1部-2016.09.18)の感想

2016-09-19 18:46:23 | 関東大学ラグビー・リーグ戦


先週始まった今季のリーグ戦。第2節は9月18日の日曜日に3会場で4試合が組まれた。大学チームはシーズンを追うごとに変貌を遂げていくので、早い段階ですべてのチームを観ておきたいところ。秩父宮の法政、中央、東海に日大(先週観戦)の揃い踏みが魅力的だったのだが、関東学院と大東大の対戦がある熊谷ラグビー場(Bグランド)をセレクトした。今季はとくに優勝争いに絡むことが期待される大東大に対し、4シーズンぶりに1部復帰を果たした関東学院がどんな戦いを挑むかも興味深いところ。

午前中に熊谷の隣町で所用を済ませてラグビー場に向かえば12時半のキックオフに間に合うはず。の予定だったのだが、競技場まであと一歩のところで「その時間」を迎えることになってしまった。時間節約のため、いつもとは違うCグランド近くの駐車場に車を止めて試合場のBグランドに小走りで向かうことにする。途中、視界の左手に拡がるCグランドは正に「緑の絨毯」だった。遅刻の後ろめたい気持ちの中に、涼風を吹き込んでくれたことが救い。

さて、今シーズンはAグランドが2019W杯仕様に改装工事中のため、Bグランドでも有料試合が開催されることになった。メイン側の入り口はスタンドを左右にグランドレベルで拡げられた状態だからどうなっているのか興味津々だったが、入場口はAグランドとBグランドの間に設けられていた。なるほど、バックスタンド側からの入り口を1つにして出入りできるようにしたわけだ。埼玉ラグビーサポーターズクラブのデスクで会員証を見せて招待券を受け取りBグランドへ。ここもCグランドとまったく変わらない「グリーン・カーペット」が敷き詰められたような状態。

とかくアクセスがよくないことで評判の芳しくない熊谷ラグビー場。だが、AからCまでの3面のグランドで(おそらく)芝生のクオリティに差はないはず。グランドの広さもインゴールの深さを含めて変わらず、違うのはゴールポストの高さくらいではないだろうか。3面あるどのグランドに立ってもプレーヤーは100%プレーに集中でき、ベストパフォーマンスを引き出すことができるという面をもっと評価して欲しいと(アクセスに関する悪評を聞くたびに)思う。

例えば、コンサートホールなら収容人員の多寡よりも音響効果が評価の対象になる。ラグビー場も本来は選手のプレーのしやすさと観客の観やすさで評価されるべき。比較できるほどラグビー専用の球技場がないのが残念だ。熊谷ラグビー場の場合は、たとえ収容人数ではAグランドに遠く及ばなくても、Bグランドで展開されるラグビーは選手と観客との一体感がより強固に感じられるという意味でAグランドを凌ぐのではと感じられたことがこれまでにも何度かあった。



◆前半の戦い/健闘が光る関東学院に対しちぐはぐだった大東大

雨が降ったり止んだりの状態の中でポンチョを着込んでメモの準備をし、ストップウォッチをスタートさせる。試合はもう既に始まっているのだが、場内アナウンスで5分の遅刻と分かる。幸いにもまだ両チームともに無得点。今年から関東学院はジャージーを深い緑色のものに替えたので、大東大がセカンドの白を纏っている。関東学院には1部復帰を機に新たなチームとして再出発を図るという意図があるのかも知れない。白装束の大東大は珍しくないが、永年のファンにとってはよくない記憶が蘇ることも事実。もっとも、今はそんなことも無くなってはいるが。

前置きはさておき、序盤戦から強力なアタッカーが揃う大東大が主導権を握る展開。関東学院が渾身のタックルで凌ぎ、大東大のミスを誘発することで両チームともに決め手をかくような状態の序盤戦だった。とくに関東学院はLOタラウ、No.8アマトの大東大FWの2枚看板に対しダブルタックルで前進を許さないところが圧巻。一人目は低く入り、二人目はボディーコントロールを抑えるといったダブルタックルのお手本を見ているような状況に、関東学院のDNAを感じる。大東大はアタックのテンポが遅めで、プレーヤーも体格の優位を活かして個の力でボールを運ぼうとしていることで関東学院は助かっている面もある。大東大はラインアウトが安定しないのも痛い。たびたび見せたサインプレーで前に投げる方法も相手に見破られたら逆に危険。

端的に言えば、個の大東大に対し、組織の関東学院。2部で3シーズン戦っていたとは言っても、15人で意思統一してボールを動かすことにかけては関東学院の方が大東大を上回っている。ときおり強い雨が降るスリッピーなコンディションの中で、関東学院も惜しいノックオンなどのミスが出る。が、ボール回しなど1部で王者に君臨していた頃のプレースタイルはしっかり受け継がれているようだ。そんな個人能力と組織力とが拮抗したような状況の中で14分、大東大に待望の(というよりもやっと取れたという感じの)先制点が生まれる。スクラムでは優勢に立つ大東大が、関東学院陣内に入ったところでアーリープッシュをフリーキックのチャンス。ここから大東大はクイックで仕掛け、SO川向からCTB戸室を経てラストパスがWTB中川に渡る。大道のGKも決まり大東大が7点を先制した。

これで大東大に勢いが出るかと思われたが、逆にペースを掴んだのは関東学院の方。FWとBKの連携のよさで確実にボールを前に運び大東大陣のゴールに迫る場面も。個々の突破力は劣っていても、テンポのよい球回しに大東大のディフェンスが遅れ気味になっていく。大東大がもたつく間に関東学院に得点が生まれる。25分、大東大陣22m付近中央のスクラムを起点としてFWのサイド攻撃でじわじわと前進。ボールを確実に前に運んで最後はPR3の阿部が左中間にトライ。GKは外れるが関東学院は5点を返す。

この失点に大東大は動揺したのかキックオフで(やっていはいけない)ダイレクトタッチを犯す。センタースクラムを起点とした関東学院のキックを大東大が蹴り返して自陣10m付近のラインアウトとなる。しかし、ここで関東学院はラインアウトを確保出来ず、ボールを拾った大東大はSO川向が左タッチライン沿いに控えたWTB中川に絶妙のキックパス。中川は自身でゲインした後CTB戸室にリターンパスを送り、さらに戸室がゲインしたところでパスは再び外の中川へ。大東大は持ち前の以心伝心の域に達したプレーで自らのミスにより招いたピンチをチャンスに変え、中川が2トライ目を奪う。GK成功で14-5と大東大のリードが拡がった。

この得点をもってしても大東大は波に乗れない。関東学院が大東大陣22m付近で攻勢に出る中で、ゴール前ラインアウトのチャンスを掴むがゴールラインは近いようで遠い。ないものねだりをしても仕方ないが、大東大のように決定的な仕事ができるプレーヤーが欲しいところ。スクラムはクイックで出すことで劣勢をカバーしていたが、肝心な所でのラインアウトのミスが響いた。前半も終盤に近づいた38分、大東大はSH小山の卓越した個人能力により得点を奪う。自陣10m/22mでのマイボールスクラムから小山が一瞬の隙を突いてウラに抜けたあといったんボールをSO川向に預ける。川向から再びボールを受け取った小山は関東学院のディフェンダーを翻弄。そのままゴールポスト直下までまっしぐらにボールを運んだ。

ここのところ、1人で行くことは控えていた感がある小山だが、停滞した状況を何とかしたいという気持ちでボールを前に運んだのかも知れない。GK成功で21-5と大東大のリードは16点に拡がる。42分にはクルーガー・ラトゥがHWL付近からPGを狙うが外れ、前半が終了。3トライを奪った大東大が順当にリードを奪ったように見えた前半も、得点は卓越した個人能力で生まれた感が強い。アタックに関して明確な意図が見えた関東学院に対し、今一歩焦点が絞りきれていない大東大という印象で終わった前半の戦いだった。果たして、後半はどのような形で建て直しを図るか。



◆後半の戦い/大東大圧勝もスコアでは語れないラグビーの難しさ

後半から大東大はWTBクルーガーに替えてホセア・サウマキを投入。首脳陣のホンネは、サウマキは前半から投入したいのではないだろうか。中川との両翼で確実にトライを重ねていった方がゲームを優位に運ぶことができるような気がする。生粋のファイターのサウマキはインパクトプレーヤーというよりスタメン出場の方が相手にとってプレッシャーも大きくなるように思えるのだ。ただ、FWの戦力を考えると、No.8アマトはもちろん、LOタラウも欠かせないメンバーなのでこの形はやむを得ない。

さて、後半開始早々の2分にそのサウマキがいきなりパワーを発揮する。浅めに蹴って相手のノックオンを誘う意図もあったと思われる関東学院のキックオフがノット10mとなる。ここで大東大は前半とうって変わって攻撃のテンポを上げ、関東学院に襲いかかる。フェイズを重ねながらボールを大きく前に運んだところでフィニッシャーとなったのはサウマキ。大道がGKを確実に決めて28-5となり、ようやく大東大のアタックにエンジンがかかったかに思われた。しかし、大東大はピリッとしない。リスタートのキックオフで反則を犯し、関東学院がタップキックで前進しさらに反則を誘う。

関東学院は大東大ゴール前のラインアウトからモールで確実に得点を取りたいところ。大東大にとっては今シーズンもモールディフェンスが泣き所だけに関東学院ファンの期待も高まったところだが、痛恨のミスでボールを大東大に渡す。その後もちぐはぐな大東大にミスが目立ち、得点板はまったく動かない。大東大にとっては想定外の自陣ゴールを背負ってラインアウトのピンチが続く。23点のリードあるとは言っても時間も十分にある。関東学院がラインアウトのボールを確実に確保出来ていたら大東大はもっと厳しい戦いを強いられていたはず。関東学院は17分にラインアウトのこぼれ球を拾う形でFL鳥飼がインゴールに飛び込む。GKは失敗するが10-28となり、関東学院の応援席は一気に盛り上がる。

ここからゲームは完全な膠着状態となる。そして、むしろ多くのチャンスを掴んだのは関東学院の方だった。25分には大東大陣ゴール前のラインアウトからモールを形成してゴールラインになだれ込むが惜しくもパイルアップ。5mスクラムの場面が続き、もし大東大がスクラムで劣勢なら大ピンチの連続になっただろう。28分にNo.8宮川が8単でゴールを目指すもののノックオンと関東学院にとって取り切れないもどかしい展開が続く。

後半も35分を過ぎたあたりからようやくパワーに勝る大東大が関東学院をゴール前に釘付けの状態で攻め続ける展開となる。しかし、大東大も焦りからかミスが多く、ゴールラインが遠い状態。ようやく得点板が動いたのは41分だった。HWL付近の関東学院ボールラインアウトからターンオーバーに成功してボールを前に運び、最後にFL河野がゴールポスト直下に飛び込む。大道も小山もクルーガーもベンチに下がったためキッカーを務めたのがサウマキ。GKは難なく成功して35-10となる。

ロスタイムが4分となった中で関東学院が一矢報いるべく最後の攻勢に出る。残り時間が殆どなくなった44分、関東学院は大東大陣10m付近のスクラムからゴールラインを目指す。しかし、痛恨のパスミスがあり、ボールを拾ったのが関東学院のとってはワーストで大東大にとってはベストのプレーヤー。23番をつけたサウマキが関東学院のディフェンダーを寄せ付けずに約50mを走りきってゴール左にボールを置く。もちろんゴールキッカーを務めたのはサウマキ。この距離で入るのかと両チームのファンが固唾を呑んで見守る中、サウマキは難しい位置から見事にゴールキックを成功させる。ピリッとしない展開での中での42-10の圧勝劇に華を添えるラストプレーとなった。



◆試合終了後の雑感(1)/開幕2連勝でも不安要素が消えない大東大

アタックの意図が明確だった関東学院に比べると、どうしても大東大のちぐはぐさが気になる。チームの形を整えていくのはこれからとしても、小山、川向、戸室、大道、菊地、サウマキと言った1年生で青柳監督に抜擢された選手達が今は4年生になっている。実際にこの日のトライの殆どは彼らの個人能力を活かした形で生まれた。タラウとアマトに殆ど仕事をさせなかった関東学院のディフェンスでの健闘があったにせよ、今後FWが強力なチームと対戦する上で(優勝を狙うチームとしては)不安材料を拭い去ることができない。得点能力の高いBK陣を活かすためにも、FW陣との連携を磨いていくことが優勝を目指す上でのカギとなりそうだ。4年間活躍した中核メンバーがごっそり抜ける来シーズン(2017年問題)のことはさておいても、今シーズンは千載一遇のチャンスと思われるだけに試合を重ねることでチーム力を上げていって欲しい。

◆試合終了後の雑感(2)/「復活」への道程が見えてきた関東学院

大東大のミスの助けられた形だが、関東学院の健闘が強く印象に残る。とくにディフェンスでの頑張りが大東大のミスと焦りを誘発したとも言え、チーム全体での意思統一と組織的な動きは流石と思わせるものがあった。春口氏が作り上げたチームとはいえ、多くの優秀なスタッフの尽力で基礎を作って来たチームだから、指導体制が整備されればチーム力は確実に上がって行くと思う。1部リーグでの戦いを経験して行く中で個々がパワーアップしていけば、再びリーグ戦Gをリードしていく存在になれるはずだしそうあって欲しい。本日の戦いぶりを見てもその可能性は十分に感じられた。今季はいきなり上位に食い込むことは難しいとしても台風の目になる可能性は十分に感じられる。今後の戦いに注目していきたい。

余談ながら...第2試合は対抗戦Gの注目の1戦、筑波大と慶應義塾大学の戦い。最後まで手に汗握る展開で、勝敗を分けたのは試合運びの巧拙。1本のPGを決めることの大切さを教えてくれる締まった好ゲームで、正直なところ粗い内容になりがちだった第1試合より楽しめた。リーグ戦Gの試合に足りないものがいろいろと見えた試合だが、第1試合を戦った両チームの関係者はしっかりと見届けただろうか。

ラグビーをひもとく 反則でも笛を吹かない理由 (集英社新書)
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関東大学ラグビー・リーグ戦グループ(2016)第1節の結果

2016-09-13 23:50:57 | 関東大学ラグビー・リーグ戦
2016シーズンが開幕。第1節4試合は昨年度上位校が順当に勝利を収めるも波乱含みの展開。

09/10(土)流通経済 56-31 日本大学 (ニッパツ)
09/11(日)大東文化 43-26 法政大学 (高崎浜川)
09/11(日)東海大学 67-12 関東学院 (高崎浜川)
09/11(日)中央大学 35-17 拓殖大学 (熊谷B)












ラグビーサミット第2回 「大学ラグビーが日本を熱くする! 」~2016年シーズン徹底解剖~
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流通経済大学 vs 日本大学(関東大学リーグ戦G1部-2016.09.10)の感想

2016-09-11 09:29:56 | 関東大学ラグビー・リーグ戦


日本のラグビーの可能性を拡げてくれたサンウルブズ、ベスト4に進出して世界を驚かせたリオ五輪のセブンズとずっとオフシーズンがなかったような状況の中でトップリーグも始まった。1年中世界レベルのラグビーが楽しめるのはありがたいことだ。そうなると、どうしてもラグビー視線がスーパーラグビー仕様になってしまう。だから、大学ラグビーを観るのは正直怖いような気持ちになっている。

そういった華やかな状況にある中で、今年も私的には秋のシーズンはひっそりと始まる関東リーグ戦Gの試合が開幕戦になる。振り返れば、このグループのラグビーの観戦を本格的に始めたのが1997シーズンだった。それから20シーズン目を迎える現在に至ってもフレッシュな感覚で試合を観ることができる。何故かと思うのだが、例えばサンウルブズで飛躍した稲垣、茂野、細田、パエア、五輪のセブンズで活躍した合谷、後藤、羽野、豊島らは関東リーグ戦グループ出身でバリバリのレギュラーだった選手達だったことが理由のひとつ。上で挙げた選手達の学生時代のプレーが走馬燈のように頭の中を駆け巡っているような状態になっている。

さて、今シーズンの開幕ゲームでは東海大とともに優勝候補の一角と見なされる流経大に1部に復帰したばかりの日大が挑む。もし1997シーズンからタイムスリップしてきたファンが居たら、20年経っているとは言え状況の変化に驚いたに違いない。当時は流経大が1部昇格を果たしたばかりだったのに対し、日大は関東学院に次ぐ2位となり、大学選手権ではベスト4に進出している。そんなことは別にしても、1stシーズンに特に心惹かれるものを感じながら試合を観たのは、まったくカラーの違う2つのチームだった。だから、20シーズン目を迎えるにあたって最初に観るのがこのカードになったのも偶然でないような気がする。

キックオフが迫る午後3時近くになっても真夏のような強い日差しが照りつけるニッパツ三ツ沢球技場。最初はバックスタンドで観ようかと思ったものの、熱中症の心配が頭をよぎる。ということで、メインスタンド右側の日大サイドに移動。スタンドの中段に部員達が大挙して陣取るような状況だが、何となくチームの雰囲気が明るくなっているような印象を受ける。両チームの力関係からみても(日大の)大量失点試合も予想されるような状況だが、果たして日大がどこまで頑張れるか。ここがこの試合の最大の注目ポイントだった。



◆前半の戦い/今一歩ピリッとしない流経大に対し、日大が纏まりの良さで健闘

メインスタンドからみて左から右にやや強い風が吹く中、風上に立った流経大のキックオフで試合が始まった。その流経大がいきなりノット10mのミスを犯し、日大ボールのセンタースクラムとなる。結果的にこれが流経大の躓きの始まりだったことは後でわかる。ファーストスクラムでは日大が(第一列が上方に頭を抜く)コラプシングを犯し、流経大は日大陣22m付近でのラインアウトと逆にチャンスを掴む。

しかし、流経大はラインアウトをミスしてしまい、ボールを確保した日大がウラにキック。そこに待ち構えていたのが期待の新人ブランドンタナカだった。流経大はタナカのカウンターアタックを起点にして左右にボールを動かし、日大DFにギャップができたところでNo.8の大西がタックラーを切り裂いて一気にゴールラインまで到達。身体の大きさに似合わず軽く見えるランが魅力の選手だ。SO東郷のGKも決まり流経大が開始3分で幸先よく7点を先制した。ここで日大ファンの多くが大量失点負けしてしまうことを覚悟したに違いない。だが、結果的にそうならなかった。この場面で明らかになったように、流経大のラインアウトが絶不調だったことに助けられたかたち。

流経大としては、ここで一気に畳みかけたいところ。しかし、個人頼みと言ったらいいのか、個々の強さが裏目に出る形でミスが多い。キックオフの場面でもキャッチングに安定性を欠くような状況。日大のルースボールに対する反応がいいこともあり、(圧倒的な攻撃力を持っているはずなのに)なかなか波に乗れない。こうなるとボールを持つチャンスが多い方が必然的にペースを握る。



流経大が個の強さで勝負なら、日大は選手間の意思統一(戦術の徹底と纏まりのよさ)で対抗。セットプレーから、まずは順目にFWが2ユニットでボールを動かし、機を見てBKに展開で徹底している。キープレーヤーはSHの李。春シーズンの専修戦でも球裁きのよさと統率力で魅せた選手だったが、FWの動かし方が巧み。小山(大東大)や湯本(東海大)のような派手さこそないが、リーグ戦G注目のSHと言っていいと思う。3年生からのデビューというのが信じられないくらい。

流経大がもたつく間に日大のシンプル(イズ・ベスト)なアタックが機能し始める。8分、流経大の反則で掴んだ流経大陣22m付近でのラインアウトのチャンスからFWでボールを前に運ぶ。そしてゴール前からオープンに展開し、流経大のディフェンスを破ることに成功しFB杉本がトライ。GKは失敗したものの5点を返して大量失点ムードの払拭に成功。後ろに陣取った日大部員たちからは「いけるぞ!」の声が出始める。序盤はオーバーラップを作られるなど、不安が大きかったディフェンスも徐々に修正されていく。前にも書いたように、流経大の選手が単騎で真っ直ぐに突っ込んでくれることで的が絞りやすくなり助けられた面も。

そして22分、日大は流経大の自陣22m内でのミス(ノックオン)で掴んだスクラムのチャンスを活かす。オープンに展開したボールをテンポよく繋いでWTB竹澤がトライ。ここでリンクプレーヤーとして活躍したのがLOの孫。193cmの長身選手でラインアウトでは制空権を握るなどFWのキープレーヤーとしてボールによく絡む。GKも決まり、日大が12-7と逆転に成功。FWでボールを動かしてバックスリーで取る理想的な展開でのトライは、日大の選手そして応援席をどんどん元気にする。リスタートのキックオフでも自陣から果敢にカウンターアタックを見せてボールをHWL付近(左タッチライン際)まで運ぶ。しかし、継続を試みたパスが流経大のシオネ・テアウパに渡り逆襲を許す。そのシオネが持ち味の強さを活かして巧みに真ん中まで運んだボールがフォローしたFL廣瀨に渡り日大は万事休した。

さらに32分、流経大はカウンターアタックからSO東郷が一気にゴールラインまで到達する。タナカの身体能力の高さを活かした繋ぎのパスも効いた。東郷の個人能力が活きた形だが、その東郷はGKでも魅せる。GK成功で21-12と流経大がリードを拡げる。しかし、日大も食い下がる。前半も終盤にさしかかった35分、リスタートのキックオフから流経大陣でのラックでターンオーバーに成功しFB杉本がこの日2トライ目を奪う。GK成功で19-21と日大のビハインドは僅か2点に縮まった。日大の部員達からの「いけるぞ!」の声により現実味が増していく。

しかし地力で上回る流経大も意地を見せる。前半も残り僅かとなった39分、リスタートの流経大キックオフのボールを日大選手がノックオン。日大陣10m/22mでのスクラムから流経大が日大ディフェンスを翻弄してNo.8大西がゴールラインに到達した。やはり組織でボールを動かす技術は流経大の方が上。28-19となったところで日大はキックオフのボール確保に成功。果敢にゴールを目指すが惜しくもノットリリースの反則を犯し前半が終了した。結果的にみれば最後の失トライがもったいなかったが日大にとっては自信を掴むことができた前半の戦いぶりだった。



◆後半の戦い/最後は突き放されるも、中盤までは拮抗

序盤戦は想定外(おそらく)の展開に日大の部員達も半信半疑のような状態だった前半。しかし、ハプニング的ではなく、相手のディフェンスを崩してトライを3つ取れたことですっかり自信を掴んだようだ。たびたび発せられた「いけるぞ(勝てるぞ)!」の声もよりリアルに耳に響くようになっていく。流経大サイドはどんな状態だったか気になるところだが、「こんなはずでは...」というムードが支配的だったのではないだろうか。とにかく個々の力に頼るようなラグビーでチームにはバラバラ感が漂う。強力なランナーが揃い、いつでもどこからでも取れるという自信が過信に繋がっていなかったか。

かたや日大はあくまでシンプル。FWが前線で身体を張り、BKもタックルで踏みとどまる。シーズン前から体力強化に重点を置いていたと聞くが、実はシンプルなラグビーは「簡単」ではなく、基礎体力が無いと難しい。相手にとってもボール奪取しやすいラグビーになってしまうから。SH李の好リードとSOに抜擢された林のロングキックが武器になり、BKの選手達もチャンスと見れば(蹴らずに)果敢にチャレンジ。体力強化の成果は着実に実を結びつつあるように見える。果たして、流経大がどのような形で建て直しを図ってくるか。不調のラインアウトの修正もさることながら、マイボールも相手ボールも確実に確保することができなかったキックオフのボール処理も課題だ。

と思ったのも束の間、後半開始早々の日大キックオフのボールも流経大は確保に失敗してピンチを招く。日大のノットリリースに救われた形だが、PKからのラインアウトでも再三スティールを許すなど不安定感は払拭されない。日大は風上に立ったこともあり、SO林のロングキックが有効に作用するが、安心してキックが蹴れたのも流経大のラインアウトが不安定だったから。チーム力の差は明確でも点差が開かないのが流経大ファンにとってはもどかしい。

流経大が前半からのもたつきを引きずる中で、ハプニング的だったが日大に得点が生まれる。11分、流経大が日大陣に攻め込みながらもパスミスでこぼしたボールを林が拾うと前が完全に開いた状態。林は約50mを走りきってゴールラインに到達した。GKは失敗するものの24-28となり1トライで日大は逆転可能。日大サイドが活気づいたことは言うまでもない。試合は一気に緊迫度をましてくる。流経大も後半は個々でいくのではなく人数をかけてボールを動かす方向に修正。こうなってくると日大の人数をかけるディフェンスは苦しくなってくる。小気味よい展開の後にボールがシオネに渡ればもう止められない。19分のトライはそんな形から生まれた。東郷のGK成功率は100%で35-24と流経大が日大を突き放しにかかる。



こんな状況になれば日大がガス欠状態になっても不思議はない。しかし、今年の日大はひと味違うようだ。25分、流経大が自陣22m内で犯したオフサイドの反則を活かして、日大は流経大を自陣ゴール前に釘付けにするような状態で攻め続ける。ゴール前で得たラインアウトのチャンスからモールで前進しラック。ここからオープンに展開してラックとなりFWでさらに前進。そして、SH李からタイミングよく走り込んで来たFLにラストパスが渡り一直線でゴールラインを突破。GKも難なく成功で31-35と再び日大のビハインドは逆転圏の4点差に縮まる。時間から見ても、もしやの空気も漂い始めた三ツ沢球技場。

しかし、それも束の間だった。後半も残り10分近くになってようやく流経大のチームとしてのエンジンが点火する。リスタートのキックオフでノックオンを犯したところで流経大が細かくボールを繋いで日大ディフェンスを翻弄し、最後はSH中嶋がゴールポスト直下に到達。GK成功で42-31と流経大にとって今度こその突き放しモードとなる。31分には日大が自陣で反則(ハンド)を犯したところでスクラムを選択。ラインアウトの不調もあったのだろうが、No.8大西が8単であっさりとゴールラインを越えた。49-31となったところでようやく勝負あったとなる。低いスクラムで健闘を見せていた日大だったが、安定度では流経大の方が1枚上。力尽くとも言えるが流経大が早く安心モードに入りたかったこともわかる。

元気を増した流経大の怒涛の攻めが続き、37分にはキャリーバックからの5mスクラムを押し込まれて日大はスクラムトライを献上。ここまでGKをすべて決めている東郷はここもしっかり決めて56-31。トライ数にして8-5のやや乱戦模様だった試合はこのスコアで決着が付いた。前半に1度逆転に成功し、後半も2度に渡って4点差まで流経大を追い詰めた日大。流経大がちぐはぐだったとは言え、自分達がやりたいことをやれて相手ディフェンスを崩す形で4トライ取れたことは大きな自信に繋がったはず。ミスが目立ったとは言え、両チームが犯した反則は6個ずつでボールがよく動き、楽しいラグビーだった。とくに日大にとっては、当面の目標と思われる入替戦回避に向けていい形でスタートが切れたのではないだろうか。



◆試合終了後の雑感

乱戦気味ではあってもスコアは56-31で流経大の圧勝で間違いないと思う。個々の力に頼り気味のアタック、ラインアウトの不調やルースボールの確保などがなければ流経大の得点は増え、失点は減っていたはず。しかし、観戦者の率直な感想は、日大アップセットの要素はなかったものの、終始ゲームをコントロールしていたのは日大という不思議な試合。戦術を固めて、選手間で意思統一して1試合戦い抜けたことがこの日の日大の収穫だったと思う。日大の目標のひとつには強力スクラムの復活もあるようだが、最初のコラプシングとスクラムトライの場面を除けば安定した低い姿勢でスクラムが組めていたことも収穫。FWでは193cm孫の存在が大きくラインアウトやキックオフのボール確保でも優位に立てるだろう。果敢に勝負を挑むBK陣など楽しみな部分も多い。ほぼチームの形は出来ていると思うが、勝負所のリーグ後半戦に向けて着実に力を蓄えて欲しい。ここ数年の惨状を思い起こすにつけ、「こんな日大が見たかった」という願いが達成されそうなのが嬉しい。

スコアの上では圧勝だった流経大だが、優勝を目指すチームとして「快勝」と言い難い内容の戦いぶりだったように思う。奪ったトライも選手の個人能力によるものが多かったことが不安要素。もちろん、後半にはそれも修正されてチーム全体でボールを動かそうと意識するようになったし、東海大や大東大が相手だったらたぶん違ったラグビーになっていただろう。しかし、実はこの部分に流経大の課題が潜んでいるように思う。相手によって戦い方を変えるのは別におかしな事ではない。が、流経大は相手によって選手達の意識が変わることに起因するのか、往々にして戦い方が変わってしまうことがこれまでもあった。それが奇しくもチーム力で上回っている日大を相手にしたときに浮かび上がった。そんな印象が強い。

流経大に必要なのは普段着のラグビー。帝京大は相手によって戦い方を変えることはない。変わっているのは選手の力の入れ方だと思う。強豪校なら100%の強度で行うことを、力が落ちるチームが相手なら50%の強度にする。省エネとか手を抜いているとかいうことではなく、チーム全体のバランスを考えた上で個々が自分自身でプレーの(精度を変えずに)強度もコントロールする。そんなメンタル的な部分も含むコーチング行われているのが帝京の強さの秘密ではないかと邪推する。だからという訳でもないのだが、シーズン序盤の下位校との対戦、シーズン終盤の優勝争い、大学選手権で別なチームを見るような状況から脱しないと安定した戦いができないような気がする。シンプルに戦い抜き、その中に個性も交えてプレーをしていた日大の戦いぶりからそんなことを思った。

ラグビーマガジン 2016年 10 月号 [雑誌]
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「なの花薬局ジャパンセブンズ2016」(2016.7.10)の感想

2016-07-18 18:03:18 | 関東大学ラグビー・リーグ戦



サンウルブズのスーパーラグビー参戦により春シーズンも例年とは比べものにならないくらいに充実したものとなった。短いオフを前に私的生観戦の締めはジャパンセブンズとなった。この大会、「セブンズ日本一決定戦」と銘打ってあり、日本のセブンズナンバーワンチームを決める大会になるはずだった。しかしながら、出場チームの中にトップリーグのチームは神戸製鋼1チームのみ。当初はもう1チーム参戦予定だったが出場辞退となり、参加チームを当初の12から11に減ると言った具合に看板に偽りありのような状況になってしまった。

だが、この大会、酷暑の中で行われることはさておいても、魅力がないかというとそんなことはない。留学生が主体となるが、大学生でも日本代表に今すぐにでも抜擢できそうな逸材がズラリと名を連ねている。U20大会で世界に存在を知らしめたテビタ・タタフとアタアタ・モエアキオラ(東海大)を始めとして、ホセア・サウマキ、アマトとタラウのファカタヴァ兄弟(大東大)、ジンバブエからNZを経由してやって来たタナカ・ブランドン・ムネケニエジ(流経大)、ブロディ・マッカラン(帝京大)と並べてみただけでもここに来て決定力不足が顕在化しているサンウルブズの状況が信じられないような状況になっている。

魅力的なランナーは留学生達だけではない。竹山、尾崎、重(帝京大)、湯本、野口、藤崎(東海大)、梶村、尾又、山村(明治)、小山、川向、中川、大道(大東大)といった具合に2019年のW杯日本大会に活躍が期待される逸材が集っている。クラブチームに目を転じると、PSIスーパーソニックスには(なぜか)ジェイミー・ヘンリーの名前があるし、北海道バーバリアンズには七戸や平川といったYC&ACセブンズでもトライの山を築いたスピードスター達が居る。「日本一決定」の看板があるので難しいかも知れないが、来年度からは大学とクラブに参加を絞った大会にした方がすっきりするような気もする。多くの熱心な観客がスタンドを埋める中で9時20分に熱戦の火蓋が切って落とされた。

■プール戦の戦い

午前中は4プール(各3チーム)に分かれたリーグ戦を行い、各プールの1、2位までがカップ(勝者)/プレート(敗者)トーナメントに進むシステム。ただし、今回は11チームの変則参加となったため、プールDは1,2位決定戦となった。

[プールA]

○同志社大学 49-5 ●JR九州サンダーズ
○大東文化大学 46-0 ●JR九州サンダーズ
○大東文化大学 14-12 ●同志社大学
※1位:大東文化大学、2位:同志社大学、3位:JR九州サンダーズ



JR九州サンダーズは「第53回木元杯九州セブンズ」の優勝チームとしての参加。大学勢に社会人の貫禄を示したいところだが、大学屈指のBK選手達を擁する才能集団2チームと当たったのが不幸だったのかも知れない。同志社と大東大に個人能力の差を見せつけられてあえなく撃沈となってしまった。大東大の爆発は豪華出場メンバーから十分に予想できたことだが、とくに活躍が目立ったのは菊地だった。小山、川向、サウマキ、大道、戸室の同期生で1年生のときに彼らと同時デビューを果たしているが、その後はなかなかスタメンで出場する機会がなかっただけに復活は心強い。

同志社も松井は不在でもいい選手が揃っている。それは単に私が関西学生リーグの選手達を知らなかっただけなのだが、大東大との1位争いは手に汗握る接戦となった。先制したのは大東大で、大道からパスを受けた小山が快走を見せる。しかし同志社も1トライを返して前半は7-7。後半は先に同志社が先制して12-7とリードを奪うものの大東大は本日のキーマン菊地が起死回生のトライを奪いGK成功で辛くも逆転に成功。小山のゴールキックが終始安定していたこともチームを勝利に導いた。

[プールB]

○明治大学 24-17 ●流通経済大学
○流通経済大学 35-19 ●PSIスーパーソニックス
○明治大学 14-10 ●PSIスーパーソニックス
※1位:明治大学、2位:流通経済大学、3位:PSIスーパーソニックス



プールBは3チームの力が拮抗した言わば今大会の「死のグループ」。期待はYC&ACセブンズで鮮烈なデビューをかざった新人のタナカ・ブランドンで、ここでも身体能力の高さを見せた。ただ、明治も春シーズンでタナカのランは経験済みのためか、徹底マークで封じ込める。緒戦では流経大が先に2本取って10-0でリードを奪うものの、明治も2本返して前半は10-10。後半、先に明治が1本取ってリードを奪うが流経大が1本返して追い付く。17-17となり終盤を迎えたところで明治が1本取って逃げ切りに成功した。流経大は核となるシオネ・テアウパの欠場が響いた格好だが、ミスが目立ち、また明治に1対1の勝負を挑まれる格好になったのが敗因のように見えた。



PSIと明治の戦いも手に汗握る熱戦となった。先制は尾又の強力なランでトライを奪った明治で前半は7-0。後半に入ってPSIが2連続トライで10-7と逆転に成功する。2つめのトライを奪ったのはジェイミー・ヘンリーで貫禄を見せた格好。しかし明治も期待のルーキー山村がトライを取って14-10と逆転に成功してそのまま逃げ切った。トライ数なら2本対2本でゴールキックの成功不成功が明暗を分けた形となった。

[プールC]

○東海大学 43-5 ●釜石シーウェイブズ
○東海大学 12-10 ●北海道バーバリアンズ
○北海道バーバリアンズ 45-7 ●釜石シーウェイブズ
※1位:東海大学、2位:北海道バーバリアンズ、3位:釜石シーウェイブズ



東海大は緒戦から豪華メンバーのランが炸裂して釜石SWを圧倒。釜石SWがエースを欠く陣容とは言え、トップリーガーにも対抗できそうな陣容が揃う東海大は、中でもここまでケガ無く順調に来ている湯本が絶好調。春にYC&AC、東日本大学、リーグ戦セブンズの3連覇を達成したときはセブンズを意識した戦いぶりだったが、秋のシーズンを控え考え方を15人制モードに切り替えた模様。ひとりでいけるところはどんどん勝負していくというようなスタイルに見えた。注目ランナーは春のセブンズ大会で存在感を示した藤崎だったが、期待に違わぬ活躍。野口も安定感を示し、あとは池田と村松が復帰すれば万全になるはず。モリキ・リードなど楽しみな新人も多い。



北海道バーバリアンズも今大会の期待チームのひとつ。セブンズ日本代表の中核を成すロテ・トゥキリが所属したチームとしても名高いが、2m、100kgで大きさがひときわ目立つジョセ・セルなど強力な選手が揃っている。君島や櫻場といった流経大で活躍した選手も頑張っている。しかし、私的注目選手はなんと言ってもYC&ACセブンズではスピードスターとして定着している平川(流経大OB)。七戸(国士舘OB)もスピードランナーで、大型の選手と高速ランナーがバランスよく纏まった強力チームだ。

果たして東海大との戦いは手に汗握るシーソーゲームとなった。先制したのはテビタとアタアタの2枚看板で強力にボールを前に運んだ東海大。前半は7-0の東海大リードで終わる。後半は北海道バーバリアンズが背番号23を付けたディアミアン・ダーリントンのトライでまず5点を返す。しかし、東海大もテビタが1トライ奪って12-5とリードを拡げる。時間が無くなってきたところで追いすがる北海度バーバリアンズは何とか追い付きたいところ。終了間際にヨサン・レビエンが1トライ返しGKが決まっていれば引き分けとなる熱戦は見応えがあった。

[プールD]

○帝京大学 29-19 ●神戸製鋼コベルコスティーラーズ
※1位:帝京大学、2位:神戸製鋼コベルコスティーラーズ



プールDだけが2チームとなり残念ではあったが、大学王者として君臨する帝京大とトップリーグ代表の形での参加となった神戸製鋼コベルコスティーラーズ(KS)の戦いは、意地と意地のぶつかり合い。マット・バンリーベン、トニシオ・バイフ、イーリ・ニコラス、南橋、中濱、山下楽平と名前を見ただけでも大学チームなら身が引き締まるはず。日大OBの下地の名前を見つけたのも嬉しい。大学時代は持てる能力を十分に発揮出来ていたとは言い難かったので。ということで、まずは山下楽平が社会人の貫禄を見せて先制トライを奪う。

しかし、帝京大にも日本代表としての活躍が期待されるエースの竹山が居て名刺代わりに1トライ。神戸製鋼KSも先輩の南橋が1トライを奪い前半は12-7と神戸製鋼KSのリードで終了。後半も開始早々に神戸製鋼KSが1トライを先制したところでトップリーガーの面目が保たれたかに見えた。しかしながら、その後神戸製鋼KSがまさかの失速、というよりも竹山やマッカラン他レギュラー陣を揃えた帝京大が猛攻に転じ4連続トライを奪い終わってみれば29-19の圧勝を収めた。

■カップ/プレートトーナメント

○大東文化大学 38-7 ●流通経済大学
○神戸製鋼コベルコスティーラーズ 37-7 ●東海大学
○同志社大学 31-17 ●明治大学
○帝京大学 26-19 ●北海道バーバリアンズ
※勝者はカップトーナメント、敗者はプレートトーナメントへ



午後は優勝争いが絡むカップトーナメント。第1試合は大東大のアマトとホセアのパワーが全開となり、まずアマトが2トライ挙げた後にホセアが1トライを追加。前半の終了間際に1トライを挙げて反撃を期す。しかし、後半も大東大の勢いは止まらない。菊地、アマト、小山が連続トライを挙げて38-7の圧勝となった。流経大は頼みのタナカが前半に負傷で退いたのが痛かった。シオネやタムエラ・ナエアタの不在で負担が大きくなったことと、フィジカル面の強化が追い付いていないように感じられる。

帝京戦では失速してしまった神戸製鋼KSも意地を見せる。マット・バンリーベン、張碩漢、バイフといったパワフルな選手達の突破を止めきれず、前半に3つ、後半に4つのトライを奪われる。東海大は後半に藤崎が一矢報いるが7-37の敗戦は、帝京が29-19で勝っている事を思うとショックだったに違いない。



オールドファンにとっては大学選手権では黄金カードだった頃の記憶が蘇る同志社と明治の対戦も、両チームの持ち味が発揮された白熱したゲームとなった。ちなみにこの対戦、大学選手権では両チームの1stジャージーが似かよっているということで当初は「紅白対決」だった。その後同志社がワインレッドが基調のセカンドジャージーを新調したため、1st同士(紫紺vs紺グレ)での対戦を観るのは実は初めて。似ているとは言っても、もっと見分けが付かない対戦もあるわけだし、この形でもまったく問題ないように見える。それに、お互いに1stの方が力が出せるかも知れないし。

そんなノスタルジックな思い出はさておき、先制したのは同志社で決めた選手はこの日ひときわ高い存在感を示した安田。明治も1トライ返して5-5となるが、安田がすぐに2トライを重ねてハットトリックを達成し前半は17-5と同志社のリードで終了。後半は逆に明治が尾又らのランで2トライを重ねて17-17とゲームを一気に振り出しに戻す。しかし、ここで同志社が底力を見せる。明治は組織よりも個人でここまで来ている感が強い。翻って同志社は、当初こそ個人能力で勝負するスタイルに見えたものの、試合を重ねるごとに組織的な動きが整備されてきた感がある。終盤に挙げた2トライはまさにそんな形で、個々の能力を活かしつつ最後は組織的な動きで難敵を打ち破った

■ボウルリーグ

○PSIスーパーソニックス 33-24 ●JR九州サンダーズ
○釜石シーウェイブズ 21-19 ●PSIスーパーソニックス
○JR九州サンダーズ 36-14 ●釜石シーウェイブズ
※優勝:JR九州サンダーズ、2位:PSI、3位:釜石SW(トライ数による)



各プール3位の3チームによるボールリーグは3つ巴の接戦となった。せっかく出たからには負けて帰るわけには行かないという気持ちもあったに違いない。メンバーを揃えたPSIが連勝で優勝を飾るかと思われたが、2戦目は釜石SWも意地を見せてこの日の初勝利を挙げる。しかし、最後はここまで冴えなかったJR九州サンダーズがトライの山を築いて圧勝して3チームが勝ち点4で並んだ。結局、最終戦で6トライを奪ったJR九州サンダーズがトライ数を10とし、同8個のPSI、同5個の釜石SWを上回って優勝を決めた。

■プレートトーナメント

[準決勝]
○東海大学 39-5 ●流通経済大学
○北海道バーバリアンズ 31-7 ●明治大学



神戸製鋼にいいところなく敗れた東海大が奮起して流経大を圧倒。テビタ、アタアタ、藤崎等のエースランナーらの活躍で前後半3トライずつを挙げて予想以上の圧勝を収めた。流経大は後半に1トライを返すのがやっとで決勝を前にして力尽きた。結局タナカもケガのため出場できず、活躍の場は秋のリーグ戦に持ち越しとなった。



同志社に敗れて歯車が狂ったのか、明治は北海道バーバリアンズのパワーと巧さの前に完敗。前半に3トライ、後半に2トライを奪った北海道バーバリアンズに対し、明治は後半1トライを返すがやっとだった。北海道バーバリアンズではNZ出身のアイザック・テ・タマキがハットトリックを達成する活躍を見せた。179cm、83kgとけして大きな選手ではないが決定的な仕事ができる。平川もスピードランナーぶりを存分に発揮した。あと1トライはジョセ・セルで2mの巨体を揺らしながらのトライには場内も(笑いを誘うような形で)揺れた。

[決勝]
○東海大学 28-26 北海道バーバリアンズ

準決勝の快勝で勢いを取り戻した東海大と明治を破って波に乗る北海道バーバリアンズの戦いは決勝戦に相応しい白熱した好ゲームとなった。先制トライは東海大のテビタで、北海道バーバリアンズもすぐに1トライを返して7-7となる。その後、東海大が藤崎の突破からパスを受けた鹿屋、湯本が連続トライを挙げて21-7のリードで前半が終了。

後半は北海道バーバリアンズが2トライを連取して19-21と追いすがる。圧巻は平川が藤崎のスピードスター王座決定戦のような形で決めたトライ。平川がボールを持った段階で前には藤崎他数名の選手がいた。単独突破は無理とみた藤崎がウラにキックしたところで藤崎との追いかけっこになったが、平川が藤崎を振り切ってボールを拾いそのままゴールへ。この大会での見せ場のひとつとなった。その後、藤崎がトライを奪って28-19となって残り時間も僅かとなる。北海道バーバリアンズはアイザックが1トライを返したものの無念のタイムアップでGK1本の差で涙を呑んだ。

■カップトーナメント

[準決勝]
○大東文化大学 33-19 ●神戸製鋼コベルコスティーラーズ
○帝京大学 26-21 ●同志社大学(サドンデス)



強力なメンバーを揃える大東大とはいえ、トップリーグチームの壁は厚いかと思われた。先制したのは大東大。アマトからパスを受けたこの日絶好調の菊地がトライを奪い7点をリードする。神戸製鋼も張がトライを返して7-7。しかしながら、大東大が前半に1トライを追加して12-7。後半も先に2トライを連取して26-7とリードを拡げる。大東大はアマトやサウマキを突破役として、菊地や小山といったスピードランナーにボールを渡す形で効果的にトライを重ねていけるのが強み。神戸製鋼もタジタジといった感じで後半に1トライ返すのがやっと。最後の1本を大東大に追加されて決勝を前に敗退した。



組織を整備する形で尻上がりに調子を上げてきた同志社。強力な選手を揃えた帝京を相手にしてもかっぷり4つに組んだ戦いを見せて観客席を沸かせる。先制したのは帝京だったが、同志社もすかさず1トライを返して7-7。帝京が竹山のランでトライを奪うと同志社も高井がトライを返すと言った形で前半は14-14の同点。後半も先制したのは帝京。ここで見せた竹山の逆襲トライが圧巻だった。同志社が攻め上がり帝京ゴールに迫ったところでタックルを決めた竹山がそのままボールを拾ってタッチ際を快走。そのまま同志社のディフェンダーを振り切って走りきりトライ。この大会でもっとも印象に残るプレーのひとつ。

残り時間も少なくなり敗色濃厚となった同志社だったが粘りを見せる。何とかボールをキープし最後に鶴田がゴールラインを越えたときは残り時間ゼロ。観客席からこの日一番の大歓声が沸き起こり、勝敗の決着はサドンデス方式の延長戦に持ち越された。キックオフは帝京で、同志社がボールを処理をもたついたところをボール確保に成功しそのままゴールへ。決着こそ呆気なかったがこの日一番の好ゲームとなった。それにしても、好選手を揃えているだけでなく、1日を通じて成長を見せた同志社が俄然注目チームとなった。大学選手権の方式変更で厳しい戦いを強いられることになった関西Aリーグだけに、雪辱に向けた拳闘を祈りたい。

[決勝]
○大東文化大学 33-28 ●帝京大学



朝から始まった大会も照明灯に日が点る中でついにファイナルを迎えた。大東大の進出は予想通りだったが、帝京大もこの試合に期すところがあったのかほぼベストの陣容でここまで勝ち上がってきた。先制したのは帝京大。まずはエースの竹山が決めた。帝京はさらに小畑がトライを追加して14-0となる。どうしても竹山に注目が集まってしまう帝京大だが、実はスピードランナーとしては小畑も負けていない。この大会でも竹山顔負けのランで魅せていた。前半も半ばが過ぎたところで大東大がサウマキのトライで一矢報いる。ちょっと足を引きずるような状態だったが何とか走りきった。

大東大はさらに湯川がトライを奪って14-14と追い付く。湯川はFWの選手だが、なかなか器用だ。残り僅かになって帝京の小畑がトライを奪うと大東大の小山も負けじとトライを返す。前半は21-21のまったくの5分となった。後半に先制したのは東海大。ほぼフル出場を続ける小山は疲れ知らずのランを見せる。まさに小さな巨人。大東大はさらに5点を追加し、帝京の反撃を1トライに抑えて見事優勝に輝いた。最後に締めたのがアマトやサウマキではなく小山だったことがこの日の戦いを象徴していた。

■大会全般を通じての感想/とても楽しい1日ではあったが...

先週のサンウルブズの試合とは比べるまでもないが、酷暑のなかでも多くの観客が最後まで残って声援を送り盛り上りを見せた大会だった。トップリーグチームの参加が当初予定2チームから1チームに減ったこともあり、「日本一決定戦」の看板には疑問ありとなったが大会としては成功といっていいのではないだろうか。W杯2015の快挙からスーパーラグビー参入を経てファン層に変化が生じている日本のラグビー界。もし今の状況で東京セブンズが開催されたら、観客席で閑古鳥が啼くような状態にはなっていなかったかもしれない。出場選手も概ね期待通りの活躍を示し、また、サプライズの選手やチームをあったことで1日楽しむことができた。

しかし、率直な感想として、不思議なくらいにセブンズの試合を観たという印象が薄いことも事実。少なくとも、セブンズの楽しみの点ではYC&ACセブンズを凌ぐことはできていないように感じられるのだ。パス回しのコンビネーションよりも、個人の力がどのくらい通用するかのチェックの用にも見えたのだ。そう考えると、YC&ACセブンズの歴史の重みを痛感せざるを得ない。現状をもってしても日本一のセブンズの戦いを見せてくれる大会という地位に揺るぎはないことを強く感じる。招待チームのセレクトの妙もあるだろうし、招待されたチームの心得もおそらく違うと思う。YC&ACセブンズは歴史の重みに裏付けたセブンズ文化の醸成に欠かせない存在となっていると改めて感じた。

もちろん、この点について出場した選手達やチームを責めることはできない。秋のレギュラーシーズンを控えて、各チームは15人のチームを完成させる段階に達している現状での開催が疑問の第1点。春の段階ならチーム全体のウォーミングアップを兼ねる形でセブンズに取り組むこともできるから、春の大会に備えたセブンズ仕様のチームを作ることができる。しかし、今の段階なら時間をかけてチームを作るのは難しいはず。だから組織より個人といった形の印象を受けたのかも知れない。

クラブチームでとくにセブンズに特化あるいは積極的に取り組んでいるPSIや北海道バーバリアンズのようなチームにしても、相手がセブンズの流儀で戦ってくれないことに対してはストレスが溜まる部分があるのではと邪推する。オリンピック種目になったことで脚光を浴び、セブンズに特化して強化を図るチームが多く出てくることが期待されたものの、実態はトップリーグや有力大学から多くのセブンズ向きの選手がセレクトされているのが現状。クラブチーム側にしてもサーキットのような形でセブンズ大会の開催回数が増えない限り強化の機会が限られるのが歯がゆいところかも知れない。むしろ、大学生チームとセブンズに積極的に取り組んでいくクラブチームをセレクトして日本一を決める大会にした方がまだすっきりするような気がしてならない。

■セブンズ文化醸成のために

結論から言うと、日本でのセブンズに対する考え方が変わらない限りセブンズが「文化」として定着することは難しいと思う。五輪種目となったことはさておき、セブンズへの取り組みも「あくまで15人制ありき」である限り「別の種目」としてプロ化して取り組んでいる国々との実力差は拡がる一方であり、再昇格を果たしたコアチームで戦い続けることも難しくなっていくように思われる。本当にセブンズを強くしようとするなら、国内サーキット、それもワールドシリーズの様な2日間開催を基本とする方式の大会を行っていく必要があると思う。なぜなら、ワールドセブンズで定着しているセブンズの戦い方と15人制の戦い方には大きな違いがあり、それを理解した上で専門のプロを養成していく必要があると考えているから。

例えば16チームが参加した2日間の大会。1日目はリーグ戦3試合で、いわば陸上競技のスプリントが3本。1日の中で短時間の間に体力を回復できるようなトレーニングが必要になる。当然、次の日の戦いのことも考えなければならないから体力を使い切ることはできない。また、アクシデントがつきもののセブンズだから、失敗してもすぐに気持ちを切り替えるメンタルコントロールも重要なはず。そして、2日目。リーグ戦とは違い、失敗は許されないから試合ごとにいかに集中力を高め、体調をベストに持っていくか。このような戦いの経験を積み上げることで世界はどんどんプロがレベルアップしていることを思うと、とても15人制の片手間で取り組むような競技ではない。

セブンズを観てきてひとつ気がついた事は、防御の網が敗れて追いかけっこになった時点でそのセットは終了しセブンズではなくなること。そうなる前のアタック側とディフェンス側による組織的な駆け引きこそがセブンズの醍醐味だと教えてくれたのが、セブンズワールドシリーズで鎬を削るトップチーム同士のプロとプロとの戦い。4年ごとのオリンピックのためにセブンズチームを育成するというスタンスから一歩前に行けないものかと思う。

AERA 2016年 7/25 号 [雑誌]
クリエーター情報なし
朝日新聞出版
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