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日本大学 vs 東洋大学(関東大学リーグ戦G1部-2022.10.16)の感想

2022-10-30 10:27:22 | 関東大学ラグビー・リーグ戦


第1試合の大東大と立正大の戦いもそうだったように、最後まで縺れる展開となることが多い今シーズンのセナリオハウスフィールドでの戦い。ちなみに、これまでの6試合中4試合が敗者にもボーナス点1が与えられる7点差以内の試合。さらに言えば、そのうち2試合が東洋大絡み。とくに前節の試合は、最後の土壇場で大東大に逆転を許し、1点差で勝ち星を逃す悔しい戦いだった。

そんな厳しい戦いが続く東洋大だが、ここまでの3戦で前年度上位校に対して2勝1敗の戦績は立派。この試合こそは勝利して大学選手権出場に一歩でも近づきたい。一方の日大はここまで(期待されながら)1勝2敗と苦しい戦いが続く。選手の卒業などによる交代に首脳陣の変更による戦術転換がうまく噛み合っていない印象を受ける。BKに得点力のある選手を揃えているだけに、この試合に勝利してチーム建て直しを図りたい。

◆前半の戦い

日大のキックオフで試合開始。序盤から激しい攻防が展開されるが、FWで組み立ててBKへ展開する東洋大に対し、日大は(前節の流経大戦と同じで)殆どBK主体で攻める攻撃スタイルを変えていない。先制したのは東洋大。日大の自陣からのキックに対し、カウンターアタックからラックを経てSH神田が抜け出しトライ(GK成功で7-0)。

先制トライに勢いを得た東洋大が攻め続けるが、接点やスクラムでの反則が続き波に乗れない。その後も東洋大は反則の多さに悩まされることになる。12分、日大は東洋大ゴール前で東洋大の反則により得られたチャンスを活かし1トライを返す(GK失敗で5-7)。ゴール前のスクラムから左オープンに展開と見せかけて右サイドから走り込んで来たSO鏡平名にラストパスが渡る。BKに切り札を揃える日大の場合、とくにセットプレーが多いことは有効。

日大は畳みかける。17分、東洋大陣左サイドでのラインアウトからボールは一旦右に展開されるが、返しの左オープン展開でWTBトゥポウが自慢の脚力を見せてトライ。しかし、ここも日大はゴールキックを外して10-7。逆転には成功したが難しくない位置からのGKを2回連続で失敗したことは(結果論だが)その後の試合展開に大きく影響することになる。日大はさらに27分、HWL付近で得たPKでショットを選択。交代でキッカーを務めたCTB広瀬が約50mのGKに成功し、日大が13-7とリードを6点に拡げる。

反則が多く波に乗れなかった東洋大だったが、31分にスクラムを起点とした順目のアタックの連続で左WTB杉本がトライ。GK成功で14-13と逆転に成功する。しかし、直後の35分に日大がPGを成功させて再々逆転の2点リード。東洋大は反則やPKがタッチインゴールとなるなどミスが続き逆転のためのトライが奪えない。

このままの日大のリードで前半が終わるかと思われた45分、東洋大が日大陣22m内でのラインアウトのチャンスを活かす。中央で得たラックからまたもSH神田が抜け出しゴールラインまで走り抜ける。GK成功で東洋大が21-16と逆転に成功したところで前半が終了。ちなみに、東洋大が前半に犯した反則は10個だが、後半も同じ数の反則を重ねてFKも含めると合計22個となった。東洋大が波に乗れなかったことは事実だが、日大も有効に得点に結びつけることができたとは言い難い。



◆後半の戦い

後半、最初に得点を挙げたのは東洋大。日大陣ゴール前のラインアウトからモールを形成して押し込みトライ。右隅からのGKは失敗するが26-16と得点差を10点に拡げた。東洋大は11分に両LO(チャニングスとウーストハイゼン)をサイロとオスティンに替える。大型選手達に変わりはないが高さよりも機動性重視の交代かも知れない。

後半になっても東洋大の反則禍が止まらない。スクラムではコラプシングなど、接点ではノットリリースかノットロールアウエイが多く、観客席からは「またか…」の溜息も漏れる。スクラムで(東洋大選手が)組みにくそうな見えたことと接点での圧力(おそらく)に、上位校の試合経験(駆け引きの巧みさ)と意地を観たような想いがした。

東洋大がリードを拡げたのも束の間、7分に日大は東洋大陣22m付近のスクラムを起点とした連続攻撃からCTB広瀬が左タッチライン際を快走してトライ。GKは失敗するが21-26となり日大の反撃モード。日大のBKは水間、トゥポウ、普久原といった攻撃力の高い選手達に注目が集まりがちだが、CTB広瀬選手も地味ながらいい働きをする。

その後、試合は東洋大が5点リードを保ったまま硬直状態となる。両チームともに肝心なところでミスが多く、ボールと同じで試合はどちらに傾くかまったく分からない。もちろん、負けられない気持ちが強かったことも間違いないのだが。選手個人の攻防では、WTBで対面だった日大の水間と東洋大の杉本の火花が散るようなマッチアップが面白かった。水間の低い重心を活かした突破力は日大の大きな武器で、前半から再三東洋大をピンチに陥れている。しかしながら、このままでは終われないとばかりに杉本もタックルで意地を見せる。体重差をものともせず水間を捻り倒した場面は「ファイター」そのものだった。

時計は進み、24分と32分に日大の広瀬が2連続PGを決めて27-26と一点差ながら日大が逆転。残り時間10分で試合をひっくり返せる(お約束の)『セナリオ劇場』の幕が開いた。後半開始早々の得点のあと、ゴールが遠い東洋大だったが、2試合連続で、しかも最小得点差で負ける訳にはいかない。ロスタイムも消化された46分、東洋大はゴール前ラインアウトからモールを押し込みトライ。GKが決まれば(前節の大東大戦とは真逆の)1点差でのサヨナラ勝ち!

やや右の角度のあるゴールキックを杉本が慎重に狙う。が、弾道は右に外れて日大勝利で試合終了!と思われた。しかしながら、レフリーが両キャプテンを呼ぶ。「キックの時に(日大選手が)声出してるから。」ということでキックはやり直し。こうなればキッカーは怖くない。今度はキックがゴールポストに収まり東洋大の劇的な逆転勝利が確定。歓喜の嵐の東洋大ベンチに対し、3敗目となった日大の選手達はガックリ肩を落とすしかなかった。



◆試合後の雑感
前年度上位校との対戦となった4戦を3勝1敗で終えた東洋大は立派。ただ、このゲームでの反則数22個は大きな課題と言える。1部の戦いの経験値不足は仕方ないが、レフリーとのコミュニケーションなど、今後の戦いに向けて克服すべき点が見えた試合だったと思う。激戦が予想される残り3つの戦いに向けて、自信を持ちつつ、テンションを上げて頑張って欲しい。

本日もほぼBK展開一辺倒だった日大のラグビーには疑問を感じずには居られない。強力なアタッカー達の存在もあり、東洋大も面食らったようだが、相手の反則の多さを活かせなかったことは確か。深めのラインはしっかりディフェンスされれば前に出られないし、強力な選手にはダブルタックルで対応可能。FWもランニングでかなり消耗するのではないだろうか。今後の相手も難敵が揃う中でどのように立て直していくのか注目したい。


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