「熱闘」のあとでひといき

「闘い」に明け暮れているような毎日ですが、面白いスポーツや楽しい音楽の話題でひといき入れてみませんか?

関東大学ラグビー・リーグ戦G(1部)2018 第2節の試合結果

2018-09-30 10:05:20 | 関東大学ラグビー・リーグ戦


リーグ前半戦の第2節は第1節に引き続き前年度の上下位対決で早くも波乱。今シーズンから再び1部リーグで戦うことになった専修大学が法政大学を破り嬉しい昇格初勝利を挙げた。大東大と東海大は貫禄を見せたものの、流経大は中央大相手に苦戦。日大も着実に力を付けていて、東海大に5点差まで迫る健闘を見せる。とくに専修大の執念の逆転勝利は見事だった。

専修と流経大以外の6チームを生観戦し、専修と流経大もJスポーツオンデマンドで観戦。現状では大東大と東海大が2強としてリーグを引っ張り、あとはやや縦長の混戦模様の印象を受ける。ひとつ気になったことは、選手の身体作りの面でチーム間に格差が見え始めていること。三ツ沢球技場で戦った4チームは2戦ともほぼスタメンが固定され、また試合中に選手が倒れて時計が止まることが少なかった。それに対し、上柚木ではとくに後半にピッチに選手が倒れている場面が目に付いた。選手達の身体つきを見ても、大学ラグビーも強い肉体を持たないと戦えなくなってきていることがわかる。第3節以降、そのことがより顕在化してくるように思われる。



■第2節(9月23、24日)の試合結果

09/23(日) ○東海大学 48-28 ●日本大学 ニッパツ三ツ沢球技場
09/23(日) ○大東文化 55- 5 ●拓殖大学 ニッパツ三ツ沢球技場
09/24(月) ○専修大学 38-33 ●法政大学 八王子・上柚木運動公園
09/24(月) ○流通経済 29- 7 ●中央大学 八王子・上柚木運動公園











■第3節(10月6、8日)の試合予定

10/06(土) 中央大学 vs 東海大学 14:00 東海大学グラウンド
10/06(土) 法政大学 vs 拓殖大学 14:30 藤沢・秋葉台公園球技場
10/08(月) 専修大学 vs 流通経済 11:30 八王子・上柚木運動公園
10/08(月) 日本大学 vs 大東文化 14:00 八王子・上柚木運動公園

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大東文化大学 vs 拓殖大学(関東大学リーグ戦G1部-2018.09.22)の感想

2018-09-28 02:56:42 | 関東大学ラグビー・リーグ戦


好天に恵まれたニッパツ三ツ沢球技場に流れる港町横浜の爽やかな海風。この季節に青空の下で2試合観戦できることに幸せを感じる。第1試合では東海大に日大が肉弾戦を挑み、着実なパワーアップを感じさせる健闘を見せた。トップリーグに多くの選手を送り出している東海大の身体作りの確かさには定評があるが、ヘラクレス軍団復活を目指す日大も負けては居なかった。強い肉体がないと戦えないという雰囲気が大学ラグビーにも漂ってきたのはいいことに違いない。

第2試合は昨年度のリーグ覇者大東大とチャレンジャー拓大の戦い。大東大は大学屈指のNo.8として人気も高いアマト・ファカタヴァが欠場となったものの、ほぼベストの陣容と思われる。留学生3人の同時出場が可能となったことでCTBシオペが固定できるのも大きい。一方の拓大も緒戦の東海大戦での激闘をものともせず、先発はCTB12の松浦を除き緒戦を同じ顔ぶれ。第1戦で背番号12を付けていた高橋の名はリザーブにあるのでケガによる欠場がないのは立派だ。

さて、この試合のみどころだが、1にも2にもスクラム。大東大、拓大ともにその強さには定評がある。とくに、ここ2年の大東大のスクラムは尋常ならざる強さを誇り、対戦相手を震え上がらせる存在となっている。しかしながら、拓大も拘りのスクラムを武器に戦っているチーム。もちろん、スクラムの優劣だけで試合が決まるわけではないが、言わば(ノックオンが怖くなくなる)精神安定剤みたいな効果はあり、戦いを優位に進める上で欠かせない武器であることも確か。だから、この試合はスクラム抜きには語れない。いや、正確に言えばスクラムの強さがどう戦いに活きるかなのだが、それが解ったのは試合のあとのことだった。



◆前半の戦い/スクラムでの覇権争いは5分と5分に見えたが...

メインスタンドから見て右から左に攻める拓大のキックオフで試合開始。拓大に気負いがあったためか序盤から反則が続き、拓大は開始2分でいきなり自陣ゴールを背にした相手ボールラインアウトのピンチを迎える。大東大はラインアウトからモールを形成してFWで攻めFL湯川がトライ。GKは失敗するが大東大が幸先良く5点を先制した。

拓大キックオフでのリスタートで大東大にノックオン。大東大陣22m内でのファーストスクラムという形でもう一つの戦いの幕が上がった。拓大としてはここで一気にスクラムを押し込んで得点もプライドも奪い取りたいところ。しかし、大東大が簡単にはスクラムを組んでくれるはずもない。結局組み直しが4回(だったと思う)を数え、大東大のコラプシングで第1ラウンドが終了。ここで拓大の応援席から大歓声が沸き上がった。拓大はPKからラインアウトを選択し、モールを押し込んでマシヴォウがトライ。GKは失敗するものの拓大は5-5の同点に追い付く。

今度は大東大のキックオフでリスタート。大東大のカウンターアタックに対し、拓大は接点でハンドの反則を犯して再び自陣で相手ボールラインアウトのピンチ。お互いに反則が目立つ展開でラインアウトが多いが、スクラムでも熾烈な戦い。と言いたいところだが、組み直しが多く不意のコラプシング(おそらく)が起こることも反則が増えた原因のように見えた。しかしながら、スクラムを組む回数が増えていく内に、次第に大東大が拓大を押し込む場面が多くなっていく。24分、大東大は拓大のコラプシングからPKを得てラインアウト。ここもモールを押し込み平田主将がトライ。GK成功で12-5と再びリードを奪う。

試合は得点板が動かない膠着状態となるが、スクラムでの大東大優位が明確となっていく。とくに32分に見せた強力なプッシュは決定的に見えた。最初に組んだ段階では大東大、拓大とも低い模範的な姿勢で拮抗した形のスクラムになっている。しかし、ほどなく拓大の姿勢が若干崩れる。ここから大東大が押し込むのだが、とくに前5人のパックが強固で1枚岩のようになっている。両チームのFW8人の体重を比べると大東大の825kgに対し拓大は848kg。むしろ拓大が重いことを考えると大東大の強固さがより浮き彫りになる。変則スクラムで対抗しようとしてもおそらく真っ直ぐに押し込まれてしまうだろう。

前半の後半の段階でスクラムの優劣が決したという印象を持つに至る。だが、もちろん拓大はここで引くわけにはいかない。序盤戦こそ拓大に押されたりコラプシングを取られたりした大東大だったが、相手のスクラムを受け止めながら力関係や押し方を探っていたのかも知れない。HOを務める平田主将はチームのまとめ役であると同時に研究熱心な選手。3年生時でもハーフタイムでベンチに下がる時にレフリーに話しかけていた場面を何度か見ている。

終盤はスクラムの優位性を活かす形で大東大のアタックの場面が多くなる。拓大の強いタックルに遭ってノックオンを犯したりと得点には至らない。一方の拓大はスクラムに集中と言った感じでBKが手持ち無沙汰の状態。ただ、スクラムでの熱い戦いがそんなことは忘れさせた前半だった。



◆後半の戦い/スクラム戦で消耗の拓大に対し、大東大のアタックが爆発

後半に入って大東大は強力なスクラムを活かす形で一気に攻勢に出る。拓大にコラプシングの反則が増えたことで大東大にラインアウト起点のアタックの機会が多くなる。ここで威力を発揮したのがタラウ・ファカタヴァ。ライン参加でボールをキャリーしパスを確実にBKに渡す。ファカタヴァ兄弟ではどうしてもNo.8を務めるアマトの方に注目が集まるが、堅実な仕事人と言った感じのタラウも大東大にとっては欠かせない選手。

5分の大東大の後半の初トライは、ラインアウトを起点としてタラウからパスを受けたCTBシオペが決めたもの。14分のラインアウト起点でオープンに展開してWTB朝倉が決めたトライも然り。2連続トライで24-5となり、大東大のリードは一気に19点に拡がる。さらに23分にもHWL付近でのラインアウトを起点としたパス回しからFL湯川がトライ。この時間帯から拓大FW周辺のディフェンスが甘くなり、大東大選手が一気にウラに抜ける形での得点場面が増えていく。

1人が大きくウラに抜けてしまった場合は、選手が孤立してトライに至らない場面が多い。だが、大東大にはこの常識?が当てはまらない。必ず1人ずつ順番にフォロワーが現れてパスが次から次へと繋がる。マジックのようなパス回しに翻弄される形で拓大のディフェンダーが足りなくなり、満を持してワイドにボールが展開される。このためラストパスを受けたWTBはゴールラインまで走るだけでよい。

結局、大東大が後半に挙げたトライは7つを数えた。前半の接戦がウソのように後半の拓大はスクラム戦の完敗も含めていいところがなかった。拓大はFWがスクラムに注力したことで消耗させられ、足が止まる形となる。そこを見越した大東大の選手がディフェンスの穴をつく形でウラにボールを運ぶ。スクラムの最前線に立っていた平田主将には前半の段階で後半のこのような展開が見えていたのかも知れない。拓大が強力なスクラムを持っていたが故に、より強力なスクラムを持つ大東大の策に填まってしまったというのがこの試合の感想。アマトが不在だったことを考えると、大東大恐るべしという他ない。



◆試合後の雑感/強力なスクラムの活かし方

最初にも書いたように、拓大は強力なスクラムを看板として戦うチーム。だから、大東大との真っ向勝負は見応えがあった。だが、劣勢に立たされても強力なスクラムを活かす方法はなかったかなという想いも禁じ得ない。あえてスクラムを捨て、BKへの展開を交える場面を作るという戦術。捨てると言うと語弊があるので言い換える。場面場面に応じてコンテストするかボールを出すだけにするかを選択するということ。大東大にとっても、必ず押してくるという前提が崩れたら少し混乱するかも知れないと邪推してしまいたくなる。

とはいえ、スクラム1つ取ってもこれだけ観ていて楽しめる。大学ラグビーには大学ラグビーなりの戦い方があり、また面白さもある。

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東海大学 vs 日本大学(関東大学リーグ戦G1部-2018.09.22)の感想

2018-09-26 02:37:36 | 関東大学ラグビー・リーグ戦


先週の長野Uスタジアムから今週はぐっと南に下がって港が見える横浜のニッパツ三ツ沢球技場へ。ここは規模こそさほど大きくないものの、球技場と名前が付くところではおそらくもっとも観戦環境が優れているスタジアムだと思う。ラグビー専用ではないが、ゴール裏もゆったりスペースが取られているし、スタンドの勾配が絶妙。最前列までが観客席になっていて通路はなく、タッチラインが柵に隠れることはない。難点は屋根が殆どないことだが、この日のように天気が良ければ開放感が味わえるから逆に魅力的であったりする。

第1節の4チームに引き続き、この日は日大と大東大が新たに私的観戦メニューに加わった。第1試合では前節の流経大戦で惜しくも勝利を逃した日大が東海大にチャレンジする。長野Uスタジアムでは拓大の選手値の胸板の厚さに感心したが、目の前でアップに励む日大の選手達の肩の筋肉の盛り上がりもなかなかのもの。稲城グランドの寮に備え付けられたトレーニングマシンと格闘する選手達の姿が思い浮かぶ。昨シーズンが終了したあと、さほど時間をおかずに今シーズンの戦いに向けて始動したと聞くがそれも納得だ。

さて、本日のスタメンは東海大が前節と全く同じで、日大もWTB杉本が内海に替わっただけ。両チーム共に1週間前に激戦を戦ったはずだが負傷による欠場ゼロは素晴らしいこと。また、双方のメンバーに共通する点として、登録メンバーに対するルーキーの比率が高いことが挙げられる。東海大は5人(うち1人がリザーブ)、日大は7人(うち2人がリザーブ)が1年生というフレッシュな陣容になっている。主力選手のケガなどもあって彼らに出場機会が回ってきているとはいえ、第1戦での活躍を認められての連続起用とも言えそう。本来ならここに名を連ねるべき選手達も、内心穏やかな気持ちになれないのではないだろうか。



◆前半の戦い/東海大が鮮やかに3連発のあと、日大も反撃しての接戦

日大のキックオフで試合開始。本日も東海大は自陣からのキックを封印してワイドかつスピーディーに展開かと思って観ていたら、ボールが13アタアタ→14望月とパワフルなランナー達によってどんどん前に運ばれる。最後はボールを受け取った左WTB清水がゴールラインまで到達。観戦メモ用紙の横に貼り付けてあるストップウォッチをみたら表示「ゼロ秒」だった。もちろん、これはスタートボタンの押し忘れだったのだが、ちゃんと押していても1分に達していたかどうかと思わせる。まさに秒殺トライ(GKも成功)であっと言う間に東海大は7点を先制。これには敵味方を問わず、観戦者、ベンチともに唖然呆然だったと思われる。

先週の長野でも感じた事だが、「とかく試合への入りがよくない東海大」は過去のものになってしまったのだろうかと思わせる。相手に先制点を許す前にトライを量産してしまうのは本日も同じ。8分には日大ゴール前のラインアウトからモールを押し込みHO加藤がトライ。その後も東海大のアタックの時間帯が続き、日大は自陣ゴールを背に防戦一方となる。そして20分、東海大はラインアウト、モールからSH小菅がショートサイドを突いてトライ。GK成功であっと言う間に21-0となってしまった。

ゴールキッカーであり攻撃の要だったWTB金志大も負傷退場(杉本に交替)と日大の前途に暗雲も立ちこめる。このまま東海大の攻勢が続けば日大の失点は止まらない。そう思われたが日大はパニックに陥るまでには至らなかった。フィジカルでは東海大に負けていない。スクラムも健闘。また、CTB13に入ったフレイザーが新人らしからぬ落ち着いたプレーを見せる。新潟の開志国際高校出身で花園経験もないが、判断力と実行力に非凡さを見せる選手。ただ、まだ経験が浅いためか、無理なオフロードパスでチャンスをピンチに変えてしまった場面が数回あった。とはいえ、型にはまっていないプレーぶりを見ると今後の成長が楽しみな選手ではある。

20分、日大はラインアウトを起点とした攻撃から、これまたルーキーのハラシリ・シオネがゴールラインまで到達し、GKも成功でまずは7点を返す。このトライで序盤に3連続トライを許したショックも消え、一進一退の攻防が展開される。日大の身体を張ったディフェンスに東海大のミスが増えていき、日大のアタックの場面が増えてきた。ここでいい球裁きを見せたのが2年生の村上。本来ならこのポジションは同学年で高い能力を持つ濱端が務めるはずだったが退部。日大のBKアタックの起点として十分期待に応えることができそうだ。

このまま前半が終了かと思われた40分、日大にビッグプレーが出る。東海大がHWL付近のラインアウトを起点としてオープンに展開。日大のディフェンスが足りなくなりピンチと思われた瞬間に起死回生のインターセプトに成功した選手が居た。21分に金志大の負傷により交替で出場した杉本。昨シーズンも貴重なトライゲッターとして活躍し、春のセブンズ大会でもランで魅せた選手は得点に対する嗅覚が鋭いのかも知れない。このトライで14-21と日大のビハインドは僅か7点に縮まり、後半に望みを繋ぐ形で前半の戦いが終わった。



◆後半の戦い/日大健闘を見せるもあと一歩届かず

後半は先に取ってまずは同点に追い付きたい日大。だが、東海大は簡単には得点を取らせてくれないチーム。後半開始早々から日大はまたも自陣に釘付けでひたすら東海大のアタックに耐える展開となる。5分、東海大はラインアウト、モールからHO加藤がトライ。GKは外れて26-14と東海大のリードは12点に拡がる。ここから何故か直前まで完璧だった丸山のキックの当たりが悪くなる(易しい位置からのキックも含めて4回連続失敗)。

しかし、日大は東海大に傾きかけた流れを引き戻す。直後のキックオフで日大がターンオーバーから逆襲。今度は日大が東海大を自陣ゴール前に釘付けとする。ここでラックから抜け出てゴールラインに飛び込んだのはまたしても杉本。この選手は本当に何かを持っているとしか言いようがない。金志大の不在を感じさせないくらいにFB粟津のGKも完璧で21-26と日大は1トライで同点または逆転できるところまで来た。

東海大は14分に自陣からの素早い展開からWTB望月がトライ。さらに28分にも日大ゴール前でのラインアウトモールからHO加藤がこの日3トライ目を記録する。最終的に加藤はこの活躍でこの試合のMOMに選ばれる。36-21と東海大のリードは15点に拡がるが、日大も一矢報いる。32分に東海大ゴール前のラインアウトから左WTB内海がショートサイドを駆け抜けてトライ。GK成功で28-36となる。8点のビハインドはこの時間帯での逆転が難しい点差だが、まだ日大に望みはある。

だが、日大の反撃もここまで。35分にWTB望月、42分にCTB小野木がそれぞれトライを挙げ、最終スコアは48-28での東海大の圧勝となった。ただ、東海大の5点のビハインドまで肉薄した日大の健闘も光る。東海大は今日もアタアタが不発だったが、これはあえて自分で行かなかっただけ。主将としてチームメイトに指示を出し、また望月らをサポートする形での活躍が光る。また、GKは不調だったもののSO丸山は今日もラインコントロールで非凡なところを見せた。東海大のワイドな展開ラグビーにフィットした選手のように見え、このまま定着したらと思うがどうだろうか。



◆試合後の雑感/楽しみなルーキー達とチーム力アップへの期待

キックオフ直後からの東海大の3連続トライで一方的なゲームとなるかと思われたが、前半は7点差での折り返しで、後半は一時5点差まで肉薄した好ゲーム。東海大に多少のもたつきもあったかも知れないが、ビルドアップされた選手が揃う日大が力を付けた結果と言っていいと思う。それにしても、両チームともに楽しみな新人達が活躍して盛り上がったここ三ツ沢だった。日大では新人の3人にスタメンの座を奪われた感がある2年生のアサエリ(かつて主将を務めたトーエツのような好青年とのこと)が後半21分からピッチに立った。気のせいかも知れないが、去年とは目の色が変わっているように見えた。熾烈なレギュラー争いによるチーム力アップにも期待したい。

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拓殖大学 vs 東海大学(関東大学リーグ戦G1部-2018.09.16)の感想

2018-09-22 03:31:15 | 関東大学ラグビー・リーグ戦


長野Uスタジアムでの開幕戦で第2試合を戦う東海大と拓大は、あくまでも個人的な感覚だが不安を抱えてこの日を迎えたと言えそう。東海大は春から夏にかけての試合(多くは練習試合だが)での戦績が芳しくなかった。また、拓大も昨シーズンの入替戦は冷や汗タラタラの辛勝で、ひとつ間違えばこの日を迎えることができなかった。試合開始前からチームのムードがよくなかったことも印象に残っている。

第1試合が終わり、法政と中央の選手がピッチから姿を消したあと、東海大と拓大の選手がアップのため登場。まずは、ここで少し安心モードになる。両チームともにビルドアップされた肉体を持つ選手が揃っていて、第1試合を戦った2チームとは明らかに胸板の厚みが違う。もちろん、法政や中央にも筋肉自慢は居るだろうが、選手全員が平均的に鍛えられた身体を持っているかには疑問符が付く。また、アップの状況をみても直前までとは違った張り詰めた空気が流れ込んできたように感じられる。

東海大のメンバー表を眺めると、先発メンバーに占める4年生はアタアタ主将以下5人。1、2年生が6人含まれるフレッシュな陣容で、春は苦戦続きだったことが窺われる。この日欠場している主力の復帰が待たれるところ。一方の拓大では、昨シーズンに主将を務めながら、ケガのため公式戦出場が成らなかったシオネ・ラベマイが復帰。昨シーズンにCTBからLOにコンバートされ、ラインアウトなどでの空中戦を制する形で入替戦勝利に貢献したアセリ・マシヴォウはFLでの出場。さらにCTBには新人のマヒナ・クイントンが起用されている。言わば筋肉の鎧を纏った戦士を揃えた拓大のパワーが東海大にどこまで通じるかがこの試合の見どころの1つだった。



◆前半の戦い/東海大ペースで試合が進む中、強力スクラムで一矢報いた拓大

キックオフからコンタクトの音が競技場内に響き渡るような肉弾戦が展開される。第1試合とはパワーもスピードも違い、そこで戦ったどちらのチームが出ても怪我人が続出するのではないかと危惧されるくらい。序盤戦のスクラムで拓大が東海大を押し込み、場内がどよめいた。拓大にはシオネのような強力な選手がいるが、LOの木村も遜色ないくらいに体幹が強い。

さて、序盤戦から主導権を握ったのは東海大。自陣からもキックは封印し、BK展開主体でボールを大きく動かすラグビーは東海大の持ち味と言える。拓大も強いタックルを武器に易々とは全身を許さないものの、なかなかボール奪取ができず自陣での戦いを強いられる苦しい展開となる。東海大は5分に拓大陣ゴール前のラインアウトからモールを形成して押し込みFL深見がトライ。14分にもモールを押し込んでHO加藤がトライ。さらに20分、絶妙のキックパスがSH山菅に渡りトライが決まる。この日司令塔を務めたのはルーキーの丸山。レギュラーの眞野の不在を感じさせないくらいに溌溂とプレーしていた。

このまま東海大のトライラッシュが続き、一方的な展開となるかと思われた。が、緒戦ということもあり、東海大にもミスが目立つ。タックルに遭ったところで前にボールがポロリとこぼれる形で、拓大にもしばしばチャンスが転がり込む。残念だったのは、せっかくアンストラクチャーを活かしてターンオーバーできても、選手が慌ててしまったためかミスでことごとく逸したのが本当に残念。そんな中でも、拓大のスクラムは優勢。28分の左WTB橿原のトライは、そのスクラムの強力なプッシュから生まれた。

拓大がここであと1つトライを取れたらと思わせたがゴールラインは近いようで遠い。終了間際の40分に東海大がまたしてもキックパスを活かしたトライを奪い26-7のリードで前半が終了した。SO丸山は安定したゴールキッカーでもあることをアピール。また、CTBアタアタにマークが集中する中、1年生ながら強力な突破を見せた大型WTBの望月も楽しみな選手。



◆後半の戦い/ゴールラインは遠かったものの、手応えを感じさせて拓大

後半も東海大は自陣からのキックを封印してボールを動かしながら攻め続ける。拓大は我慢を強いられる局面が多く、東海大のミスにより生まれるチャンスを活かせない。東海大のキックが少ない事もあり、アセリが見せ場を作れるはずのラインアウトが少ない事も痛い。後半早々の3分と7分に東海大がトライを奪って40-7となる。

最初にも書いたように、1、2年生が6人を占める東海大だが、SO丸山、WTB望月の他にNo.8山田、FB酒井、LO小池らも溌溂とプレー。テビタ、眞野、モリキといった主力選手が復帰すれば何人かは控えに回るのかも知れないが、このまま出場を続けて成長して欲しいという願望も禁じ得ない。今シーズンは春から1年生を積極的に登用してきたことが成果を示し始めているのかも知れない。いずれにせよ、首脳陣にとって贅沢な悩み。

拓大にも楽しみな新人がいる。13番を付けて登場したマヒナは、後半には頻繁にSOの位置に立ってラインをコントロール。チームに馴染んでいけばBKの要として活躍できそう。そしてシオネ・ラベマイはやはり強力。1年生の時から潜在能力では日本代表やサンウルブズに欠かせない存在となっているヘル・ウヴェを上回ると期待させた選手だけに、より強い気持ちでピッチに立っているに違いない。そんな楽しみな選手達の身体を張った活躍もあり、8分以降は得点板がまったく動かない拮抗した展開となる。

さて、前半は拓大が優位に立っていたスクラムだが、東海大もしっかり修正。両者がほぼ互角か逆に東海大が押し込む場面も増えたことがまた観客席をどよめかせる。局地戦とはいえ、まさに意地と意地とのぶつかり合いは見応えがある。最終的に終了間際の36分に東海大が1トライを追加して47-7がファイナルスコアとなった。東海大のトライはFWによるものが多かったが、元来は大きくボールを動かしてWTBで取ることを目指しているチームだと思う。WTB望月がビルアップしたらそんなシーンをたくさん見ることができそうだ。



◆試合後の雑感/スコアは一方的だが見応えがあった好ゲーム

第1試合は43-10で第2試合も47-7とスコアからは一方的な展開に見えた2つの試合。だが、第1試合の2チームは前途多難を思わせ、第2試合の2チームはまずまずのスタートと言った具合に印象はまったく異なるのがラグビーの面白くて難しいところ。東海大、拓大ともにキックオフ前に抱いた不安感は解消されたと言ってよさそう。東海大は主力の復帰、拓大は経験の積み上げと言った具合に楽しみなプラス要素がある。とくに拓大は台風の目となることが期待される。鍛え上げられた肉体を武器とした展開ラグビーの開花に期待したい。

◆スタジアムについて想うこと

本日が初体験の長野Uスタジアムだったが、最後まで快適に観戦を楽しむことができた。座席数15000人余りのJリーグ規格を充たしたフットボール専用の競技場。改めて、このクラスのラグビー専用の競技場が本当に少ないことに気付く。言い換えれば、サッカーファンにとってはこのような観戦環境がスタンダードになっている。ちなみに、ここをホームとするAS長野パルセイロはJ3で戦いの場だ。

サッカースタジアムのJリーグ規格の事が気になり、ネットで見つけたのが日本サッカー協会により2010年に纏められた『スタジアム標準』(サッカースタジアムの建設・改修にあたってのガイドライン)。一般的にスタジアムの建設にあたってキーワードになるのは、収容人数であったり、アクセスであったり、競技以外の興業への活用であったりする。如何にたくさんの観客を集め、興行収入を増やすかがカギ。そう思い込んでいたところで出逢ったこの『標準』に記された内容は(ラグビーファンにとって)羨ましくもありとてもショッキングな内容だった。

「スタジアムが提供すべきもの それは、ここに来て良かったと思えるような感動の時空体験(以下、省略)」と記された序文にまずは心を奪われる。そして、「第1章 スタジアム建設の基本方針」の最初に記載されているのが「快適性」。スタジアムの建設に当たって何よりも優先されるのは「観客に快適な観戦環境を提供出来るように配慮すること」で、もう溜息しか出ない。Jリーグのチームが生まれる際に、必ずこの『標準』に基づいた協議が行われる。そのプロセスを経て生まれた競技場のひとつがここ長野Uスタジアムだということに納得させられた。

『スタジアム標準』は2002年サッカーワールド杯開催時に作られた標準がベースになっている。そう考えると、2019のラグビーW杯開催にあたって、観客の快適性にどのくらいの議論の時間が割かれただろうかと考えてしまう。観客の快適性は優先的に議論されていいはず。失われてしまった時間のことはさておき、そう気付かされただけでも長野Uスタジアムで観戦した価値があったと思った。


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法政大学 vs 中央大学(関東大学リーグ戦G1部-2018.09.16)の感想

2018-09-21 01:21:02 | 関東大学ラグビー・リーグ戦


W杯日本大会を1年後に控え、関東大学リーグ戦2018もいよいよ開幕。初めて訪れる長野Uスタジアムは、南長野運動公園内にある。ここは、現在J3で戦っているAC長野パルセイロのホームで収容人員は15,000人余り。2階席はすべて屋根で覆われたコンパクトな設計の球技専用競技場で、ピッチまでの距離は2階席の最後列からでも遠くは感じられないと思う。

秩父宮ラグビー場は改修を経ているとは言え、すでに70年の歴史を有することを考えると、ラグビー専用でこのスタイルのスタジアムが殆どないことを改めて知る。1万人収容規模でもいいので、熊谷の他に関東圏にせめてあと2つくらいHポスト常設のスタジアムがあれば、秩父宮の芝生の負担も軽減されるのではないだろうか。ここに来たことで、ラグビーを取り巻くスタジアム事情をいろいろと考えることになってしまった。

そんな想いに耽っていたところで、本日の第一試合で相まみえる法政大と中央大の選手達が入場。昨シーズンは法政が4位で中央大は5位のいわば中位校同士の対戦。緒戦であることはさておいても、上位を目指す両校にとって負けられない戦いのはず。さて、校歌の演奏が始まったところでまたビックリ。今まで記憶にないくらいにいい音で両校の校歌が聴けた。スタジアムに関してはもう既に勝負ありというか、新鮮な気持ちで試合開始を待つことに。



◆前半の戦い/両チーム共にミスが多く、決め手を欠く中での接戦

メインスタンドから見て左側に陣取った中央大のキックオフで試合開始。自陣からでもキックを封印したかたちで法政が攻勢に出て中央大は防戦一方。勢いに乗る法政は10分と13分にいずれもFLの山下がトライを挙げて12-0と幸先のよいスタートを切る。しかしながら、法政はなぜか波に乗れず、その後は中央が法政ゴールに迫る場面が増えていく。

緒戦とは言え、両チームともにディフェンスが甘い。また、思わずポロリのミスも多く、ゴールに至るまでに攻撃権が相手に移ってしまうもどかしい展開。中央大は得意とするモールも押し切れない。BK選手もモールにどんどん加わり、ラインに並んでいるのは3人だけという場面はなかなか見ない。中央大の看板選手は昨シーズンに新人ながらリーグ戦Gのベスト15に選ばれたSO侭田だが、チームへの合流が遅れたためか連携もスムースにいかない。それが故の10人以上モール攻撃だと思うのだが、相手にボールが奪われる心配が薄いとは言えゴールラインまでボールを運べないのは痛い。

とはいえ、ボールキープの場面が増えてきたことで前半の後半は中央がペースを握る。27分にラインアウトを起点とした連続攻撃からNo.8鬼頭がトライ。さらに終了間際の40分には法政陣ゴール前でのラインアウトからモールを形成して押し込みPR有藤がトライ。ゴールキックはいずれも不成功だったが10-12まで肉薄。法政のリードが僅か2点に縮まったところで前半の戦いが終了した。



後半の戦い/本来の攻撃力を取り戻した法政に対し、不発に終わった中央

前半の流れから行けば中央にも勝機ありと感じられた前半の戦い。だったが、ミスの応酬のようなカオスに近い状況が続く。こうなると、個々の攻撃力で上回る法政が優位となる。5分にSH中村がトライを奪い19-10となったところからゲームの流れは法政に傾き始める。中央の10人以上モール攻撃は後半も不発。侭田もいろいろと工夫してラインを動かそうとするものの、パスの受け手が止まっている状態では相手のタックルを受けて後ろに下がるだけでどんどん苦しくなる。

法政が押し気味ながらも膠着状態となる中での22分、法政に起死回生のトライが生まれた。中央陣でのスクラムを押し込み、No.8橋本から直接パスを受けたWTB中井がゴール前までビッグゲイン。最後はFL吉永がゴールラインを超えた。その直後のキックオフで法政が持ち味とするテンポよくボールを繋ぐ攻撃を見せる。ここでも中井がキープレーヤーとなり、パスが途中出場の奈良から金井に渡ってノーホイッスルトライ。本日イチバンの形が出たところでゲームの流れは完全に法政に傾くこととなった。

波に乗った法政はその後もさらに2トライを追加。中央大は27分に昨シーズンに侭田のルーキーコンビで活躍したSH成田を投入してテンポアップを図ったが時既に遅し。それ以前にスクラムが劣勢で、後半の後半は殆ど崩壊状態になっていたことも痛い。お互いにミスの多い混戦模様の中での接戦となるかと思われた試合も終わってみれば43-10での法政の圧勝。いいところなく終わってしまった感が強い中央にとっては痛い敗戦となった。



◆試合後の雑感/明暗を分けたとは言え前途多難を思わせた両チームの旅立ち

大学ラグビーが1年1年が勝負と言われていたのも過去のこととなりつつある。数年単位の長期的な展望を持ってチーム強化を図る形が定着してきた中、そうなっていることがあまり感じられない残り2つがどうやら本日対戦した法政と中央。試合が終わってから程なくして登場した東海大と拓大の選手達の分厚い胸板を見てしまうとそう感じずにはいられない。

それはさておいても、両チーム共に開幕時で比較した場合、昨シーズンの方が仕上がりがよかったように感じられる。私的にはキープレーヤーだと思っている奈良をSOに起用した法政は既に切れ味のあるBKアタックを見せていたし、中央も成田と侭田の新人HBコンビがチームを引っ張っていた印象が強い。前途多難を思わせる両チーム。精神論になってしまうが、奮起を期待したい。
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