パフィンの生態

映画と美術好きなパフィンの感想を記録。香港映画が一番好き!

パリ ジュテーム

2007年03月07日 01時08分32秒 | 映画全般
Paris Je T'aime、2006年フランス・ドイツ合作。18人の各国の監督による短編がつながってパリの街角での様々な出逢いと別れが個性豊かに描かれている♪好き、好き☆☆

『アメリ』のプロデューサーの呼びかけに応じてアメリカ、UK、ドイツ、
スペイン、そして日本から監督が参加。それぞれパリの割り当てられた区に似合う脚本を用意し、2日の日程でロケしているが、各監督の特色が出た作品になっているのが面白い!!

ルーブル美術館のある第1区を担当したコーエン兄弟が選んだのはメトロ駅のホーム!!プロジェクトが期待したのはパリの街の魅力を伝える宣伝映画だろうが、
習慣と言葉の壁にぶつかる不運な男をスティーブ・ブシェミがコミカルに演じ、
眠気を吹き飛ばす作品になっている。傑作でした。

映画の冒頭は『モンマルトル』ケダルイ雰囲気、次の『セーヌ左岸』までカメラが引くように移動する映像に感動した。パリにいる気分になれたから!
2番『セーヌ左岸』はブロンドの男の子がイスラム系の女の子に惹かれる様子を
爽やかに描きながら、メッセージ性のある作品。UK監督による。

3番めはセーヌをはさんで『マレ地区』ガスヴァンサント監督。
ギャスパー・ウリエル(「ロング・エンゲージメントで記憶喪失の青年役)が印刷所に通訳としてやって着て一人の男性にフランス語で話かける。男性はフランス語がわからなかったが、彼を追いかけて古い建物の前を走りヴォージュ広場に出る。黒い帽子をかぶったユダヤ系の人たちが映り、パリは多民族都市だと印象づける演出が印象的だった。
4番はブシェミ出演の「チュイルリー」前出のメトロ駅での物語。

5番「16区から遠く離れて」は赤ん坊を保育園に預けて、バス、メトロを乗り継ぎ、高級住宅地16区の美しいアパートに通う移民らしい若い女性が主役。自分の赤ん坊をあやすときと同じ子守唄を歌って雇い主の赤ん坊をあやす表情と声が美しく印象に残った作品。ウォルター・サレス監督の視点が好き☆☆

6番「ショワジー門」はクリストファー・ドイルが中華街(といっても高層住居が並んでいる無味乾燥な場所)を撮った作品だが、よく理解できなかった。
7番目「バスティーユ」スペインのイサベル・コイシェ監督の人間らしい物語と
赤いトレンチコートで目が醒めた(笑)

8番目「ヴィクトワール広場」諏訪敦彦監督、ジュリエット・ビノシュとウィレム・デフォーの出逢いは不思議で美しい!夜のパリの美しさを見られたのも嬉しかった。発想も面白い。ビノシュの演技はいいな~。
9番「エッフェル塔」シルヴァン・ショメ監督、白塗りのマイム・アーティストの恋を描いた作品。微笑ましくフランスらしい作品だった。

10番「モンソー公園」ではニック・ノルティが若い女性を口説いているように見えたが実は・・という展開が楽しい!
11番はマギー・ギレンホールがドラッグの売人ケンに惹かれる話。ケンを演じるリオネル・ドレイに私も惹かれた。ストーンズが流れる部屋でドラッグか・・。

12番「お祭り広場」オリバー・シュミッツ監督、アフリカ系移民が一目惚れした女性に再会する物語だが哀しい。すごく印象に残った。実際にパリを歩くと、道やメトロ構内を掃除する人は細いアフリカ系の人だったので・・。
パリに着たばかりの男とパリで階段を上りつつあるアフリカ系の女性の悲しい接点にリアリティさえ感じてしまった。一番心に残った作品です。

13番「ピガール」ファニー・アルダンとボブ・ホスキンスの洒落た逸話。
14番「マドレーヌ界隈」ヴィンチェンゾ・ナタリ監督、イライジャウッドとヴァンパイアとの出逢いを描く異色作品。これは台詞がなかったかな??

15番「ペール・ラシェーズ墓地」ウェス・クレイヴン監督、これは英語なのでフランス語が苦手な私は安堵。パリでの体験と同じ~~。オスカー・ワイルド役をアレクサンダー・ペイン監督が演じていたと知り驚いた。似合ってましたよ、監督。

16番「フォブール・サン・ドニ」トム・ティクヴァ監督、女優志願のナタリーポートマンと盲目の青年の出逢い。サン・ドニ門が見える広場や電車、プールなど普段着のパリが舞台、映像とテンポが独特。「パフューム」に期待が高まる。

17番「カルチェラタン」ジーナ・ローランズ脚本、ジェラール・ドパルデュー監督、二人とも出演。パリなのに英語。お金持ちマダムと離婚を切り出す夫の会話。自宅に戻ったマダムが窓から外を見ると、道を挟んで向こうの家に見えるのは・・お楽しみに。作品と作品をつなぐ映像も美しくてパリを身近に感じるはず♪

18番目、ラストを飾るのは「14区」アレクサンダー・ペイン監督、たどたどしいフランス語を話す旅行者がパリを歩き、食事し、公園で寛いでいるとき感じる感覚。それはパリが皆が憧れる街だから、近づきたいと思っても遠く感じる街だから生まれる感覚なのかもしれない。

パリ・ジュテームは観光地であり、多民族都市であり、メトロの通路を迷路に感じたり、名所の脇に入ると静かな住宅地でパンを手でもった人が歩いていたり、歩道の真ん中に大型犬が横になっていたり、イスラム系男性の親切が嬉しかったり・・刺激に満ちた町だったことを思い出させてくれる映画だった


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15 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
パフィンちゃん☆ (mig)
2007-03-07 01:53:29
こんばんはー

日本で改めてきちんとみて、
すごく理解できた作品ばかりだった
それぞれに監督の個性が出ていて楽しめるようになっていたと思う☆

クりすトファードイルのだけは個性ありすぎで
何だか妙だったなぁ、、、、
あれ艶消しになっちゃったかも、、、
東京と、NYも作られるというので
是非実現してほしいなぁー。

あ、7番がダブっちゃってるね
おお! (武田)
2007-03-07 19:49:17
パフィンさま、こんばんは~♪

いいないいな、もうご覧になれたのですね!!
私もこれ楽しみにしています。
(予告も良かったし・・)
また、観たらお邪魔させてくださいね☆
お返事☆ (パフィン)
2007-03-07 21:54:28
>migさま、

京都奈良旅行の前日(当日)なのに訂正箇所を教えてくださり、ありがとうございました♪18個ありましたね~~。

数が多いので劇場では、ひたすら視覚で感じていましたが、帰宅して文章にしてみると、5分という時間の制約があるために監督の持ち味が出たのだと思いました。(知らない監督もいたけど・・)

『お祭り広場』が一番、詩的な映画だったと感じます。あんなに短いのに心に残って消えない
クリストファー・ドイルは笑いを狙ったんだろうけど、コーエン兄弟のように笑えませんでしたね。
東京、N.Y.編も観てみたいです

>武田さま、

それぞれの監督のコダワリが感じられて、それがユーオアであったり、映像であったり、主張であったり、違いを感じるのも楽しい経験でした~~♪
トム・ティクバ監督のは独特の映像世界だったのですが、今日観た「パフューム」は映像+ベルリンフィルの音楽で嗅覚を刺激する映画でした
パリ☆ (sally)
2007-03-17 23:50:56
こんばんは、パフィンさん♪
最初は、たった5分間なんて・・・と思っていましたが、こんな短い時間でも素敵なお話ばかりで・・・☆
最初のだけちょっとイマイチだったのですが(大好きなモンマルトルだっただけに余計・・・)、それ以降はどれも個性的で味があって、選べないくらい(でもやっぱりクリストファー・ドイルは除く)。
あえて言うなら、エッフェル塔のお話がいちばん好きです♪
「お祭り広場」も良かったですよね~!
回想(?)シーンから、青年の身の上や彼女との接点がわかってくるところ、泣けてきました。。
ひとつの運命のお話ですよね。
短くとも☆ (パフィン)
2007-03-20 20:54:19
>sallyさま、

こんばんは♪
本当に仰る通りで、短いことを感じさせない作品が
並んでいましたね

最初のモンマルトルは導入部としては適切かも。フランス映画っぽい雰囲気はあったし、白い寺院からセーヌ左岸にカメラが移動する映像なんて、わくわくしちゃいました。自分がパリにいるみたいで!

sallyさんはエッフェル塔がお気に入りなのですね。
私は一つ選ぶとしたら、「お祭り広場」かな。。
あの短い映像と台詞だけで、長編映画を観たあとのような余韻が残りました。初めは何が起きているかわからないという展開も上手いな~と感心しました。
パリならではの運命のお話でした
こんばんは (はらやん)
2007-03-21 23:06:24
パフィンさん、こんばんは!

それぞれの監督さんの視点でパリの人々を描いていて飽きない作品でしたね。
なるほど編集は何度も組み直したんですねー。
確かに18本個性のある短編を1本の映画としてまとめるのはたいへんだったのだろうと思いました。
つなぎの苦労☆ (パフィン)
2007-03-23 00:16:29
>はらやんさま、

こんばんは♪
この映画は観ている間は眠かったりした作品も
あったのですが、時間が経つにつれ、自分のお気に入りがはっきりわかりました☆

ロケ地、5分という時間の制約、2,3日で撮影する
苦労に加えて、18作品をどういう順番で並べるかと
いう編集の苦労話(81番目の選択!!)を知って、
この映画が愛おしくなりました。
ジュテームと言ってあげたい
 (kazupon)
2007-03-26 19:37:01
パフインさん、TB先行でごめんなさい!
この映画、みんなが知ってる観光地や代表的な
モノなんてほとんど出てこないのが面白いですよね。
18人の監督に「パリジュテームって題材で」
って聞いたら、もう見事にみなさん変化球というか
(笑)
自分もオリバー・シュミッツ監督のが一番印象に
残ってます。長編は観たことないので、何か
来たら見てみたいなぁ。そういう発見があるのが
こういう映画はいいですよね!
アサヤス監督のってストーンズ流れてました?
気付かなかった・・。女優と長く暮らして
いた監督があんな物語なんで面白いなって
思いました。同じマギーだし(笑)
変化球☆ (パフィン)
2007-03-26 22:53:06
>kazuponさま、

>もう見事にみなさん変化球

それが、この作品の面白いところでしたネ♪
トム・ティクバ監督のもオリバー・シュミッツ監督や
ウォルター・サレス監督の作品も後で監督の背景を知って再度、映像を思い出しています。

マギー・ギレンホールが薬を買った後、部屋に
戻った場面で一瞬聞こえたような気がします。
マギー・チャンの旦那さんだったんですネ、
kazuponさんの作品紹介で思い出しました(笑)

えいさんのブログで見かけたんですが、ニコラスと
ドニー・イェン共演映画をご覧になっていたんですね、こちらは4月14日上映だったかな、
楽しみ
やっと鑑賞できました☆ (武田)
2007-03-28 23:20:54
パフィンさま、こんばんは~♪
楽しみに楽しみにしていたこの作品、やっと見ることができました。
とっても良かったです~。
ほんま、1話5分なのに充実した内容で見応えがありました。
「お祭り広場」と「16区から遠く離れて」「セーヌ河岸」も好きでした。ビノシュもやっぱりいいわあと思えて嬉しかったです♪