パフィンの生態

映画と美術好きなパフィンの感想を記録。香港映画が一番好き!

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パフューム

2007年03月10日 01時50分59秒 | 映画全般
トム・ティクヴァ監督・脚本、2006年ドイツ、
緩急つけた切れのいい映像、空間の使い分け、グロテスクな物語を
美しいと感じさせる色彩感覚、音楽によって香りを感じさせる手腕☆
ラストまで全く飽きさせず、数日たっても幾つものシーンが蘇る凄い映画!!

男は天才的な嗅覚を持っていた。町で出逢った赤毛の少女の”香り”を忘れられず、香水づくりを学ぶ。パリを出てグラースで修行中に彼は驚くべき方法で
彼女の香りを再現しようとするが・・
*****************:

少女たちの命を摘み取っていく過程に嫌悪感も恐怖も感じなかったのは、
グルヌイユの動機があまりに単純で、犬が獲物を追いかけるように
見えたためだろう。愛されたことがない彼は愛を知らず、動物なのだ。

パリで香水を買う女たちが醜悪に描かれた後、彼が素朴な少女の香りを嗅ぐ瞬間、美しい音楽が流れ、彼が幸福に満たされる様子を見事に表現していた。
不幸せなグルヌイユが求めたのは彼女の香りを保存すること。
グラースでの連続殺人の動機を不純に感じさせないなど奇跡に近い。
ベルリンフィルの音楽がなければ映画は成立しなかったと言える。
演じたベン・ウイショーの迫真の演技と少女の愛らしさにも注目☆☆☆


自分が香水好きなので、グラースでの製造過程が興味深く観られた。
朝一番に花をつみ、花びらを傷つけないように乾燥させ、エッセンスを抽出する。なめし皮の臭いを消すために始まった香水産業は”花の命を奪う行為”だ。
彼が少女ばかり狙ったのは”つぼみ”の香りを求めていたとわかり、
合理的だとさえ思ってしまう。

カソリック的道徳が支配する当時の世間を皮肉る視点も感じられた。
原作に忠実だと聞いたが、この物語を映画化し、鑑賞して良かったと思わせるのは並大抵のことではない。好き嫌いは別として監督の計算された演出に圧倒された。

イタリア人の調香師に対して「香りについてわかっていない」と怒りをぶつけるシーン。草やカエルの香りを嗅いで育ち、既存の香水を嗅覚だけで調合する人間ばなれした能力を身につけた彼。この時点で人間としてみなくなったため、後半の連続殺人に耐えられたのだろう。

生み捨てられそうになった彼、奴隷のように働く毎日。
パリを出てグラースに向かうとき、映画の中でも世界が開け、明るい光が差し込む。険しい道を選ぶグルユイユはドイツ人の美意識を象徴しているのか?

適度な諧謔や呆然とするクライマックスから切ないラストまで、
映像も脚本も考え抜かれている。
エンドロールでベルリンフィルの音楽を聴いていると、ピアノ、バイオリン、
ホルンが香水の構造と似ていると納得。残り香はオーボエ、フルート、ビオラ・・
劇場を出て、いつもの道でオリーブオイルや花の香りに敏感になっている自分が
いた。嗅覚を刺激されたのが実感できた。

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15 コメント

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原作 (mig)
2007-03-10 11:31:43
パフィンちゃん☆

映画を観終えてから原作も読んだんだけど、多少やっぱり描き方が違いました、
グルヌイユはかなり無臭の人間だということが強調されてて、
街は映画以上に臭い設定。。。

ラストはかなり物悲しい、より悲惨な感じに仕上がっていたの。
映画も思い返してみるとラストなんか
かなり哀れみを感じさせるなぁとしみじみ感じて
殺人鬼なのに、どこか憎めず可哀想に感じてしまうのでしたー
同感☆ (パフィン)
2007-03-11 01:30:21
>migさま、

migさんの感想を読ませていただきました。この映画は映画としての見せ方、面白さが抜群だと私も思います原作より映画的になっているんですね。

あの赤毛の少女の香りに魅せられたことが、彼にとって初恋であり、失なわれた香りを保存したいと願った。その設定が後半の罪をグロテスクに感じさせない最大の要因でしょうか。ひたすらエッセンスを集める姿は求道者のようでもあり、周囲の人間のエゴが誇張されているため、不快にならない演出も冴えてます。

あの広場で力を手に入れた時、彼は少女の香りに
包まれた。でも、夢を達成したとき、彼は彼女の不在を強烈に悲しんだのかもしれません。納得できるラストでした。凄い映画でしたね
愛情 (chikat)
2007-03-11 01:49:07
こんばんは
人間は愛情によって生きているんですね!
愛情を知らない人間は自分でも愛することができない。
マニュアルのようなお話でした。

原作を読んだ方々がみんな書いている体臭がないという恐ろしさ,やっとわかった気がします。
人間味もなにもないってことらしいけど,どう受け止めていいのか全く理解できなかったのですが,生い立ちから何から全部体臭のなさにつながっていくのね。原作も難しい,奥深いようです。
香り=経験? (パフィン)
2007-03-11 02:25:09
>chikatさま、

わっ、今、ブログにお邪魔していたところでした!
劇場で観るべき映画ですよね、家での鑑賞では音楽の力が弱くなってしまうし、色彩も重要ですものね☆
映画好きな人に受け入れられる作品というコメント、同感です。数日間、余韻ひきづってしまったわ。

愛を知らない奴隷のように扱われた男。
母親の香りの記憶(愛された経験)があれば、歯止めがきくのでしょうが・・哀れでした

体臭のなさ、映画では荒野で呆然とする様子が描かれていましたが、もっと深い意味があったのですね。原作を先に読んだ人は忠実に再現されていると言っていたんだけど、映画と文字では違うものね。
ラスト、文学的、詩的でした・・・。
ごめんなさい! (mig)
2007-03-11 22:38:37
パフィンちゃん



先ほどホテルのPCからコメントお返事していて、横のコメントリストからみて書いていたせいでパフィンちゃんからのコメント抜けてしまい、

入れようと思ったら、次の人の番になって書けなかったの(>人<)帰ったらお返事しますので、、、

本当にごめんなさい~!
楽しんでください☆ (パフィン)
2007-03-11 22:49:30
>migさま、

京都のホテルからありがとう
いやん、migさん、コメント抜けていても気にしないわよ~、男前な性格だもの
それより、明日も旅を楽しんでください。
美味しいもの食べてきてネ
こんばんは~♪ (武田)
2007-03-11 23:29:28
パフィンさま、こんばんは~♪
この映画、なんとも面白かったのでパフィンさまの記事を楽しみにしていました。

>ベルリンフィルの音楽を聴いていると、ピアノ、バイオリン、ホルンが香水の構造と似ていると納得。
ここ、なるほど!!と膝を打ってしまいました♪
音楽とカメラワーク、素晴らしかったですね。
わん! (にゃんこ)
2007-03-12 23:38:23
パフィンさん こんばんは~
そっか・・・やっぱりグルヌイユのわんこみたいな
動物的な行動があったからこそなのね。
猫も、彼は人間の世界に迷い込んだ存在でしかないように
思われて・・・
彼にとっては、香りを追い求めることは無邪気な
禁じられた遊びのようなものじゃないのかなぁ~と
思って観てました。
原作、読みたくなってきました~
(migさんのコメントも見て(笑)
お返事☆ (パフィン)
2007-03-12 23:57:37
>武田さま、

お気に召されたようですね。、記憶に残った映像も同じみたいです(あのカエルの池が印象的でした)。いい臭いと悪い臭いの区別をせずに全ての香りを楽しんで成長した彼だから、香りを当てることができたという設定が説得力がありました☆

オーケストラも互いの音が引き立てあうから美しいんですものね、香水と似ている~

>にゃんこさま、

わん!(挨拶)
ローラが何キロも離れた場所に逃げても突き止めたのには驚きました。原作でもローラのエピソードが長いのでしょうか、読んだ方に教えてもらおう(笑)

グルヌイユは無邪気というか、罪の意識がないのね。
人間的に描かれていたら、目を背けたくなるようなシーンでも、彼の人間性の欠如が前提にあるので、香りを収集する職人=香りの求道者に見えました。

ダスティ・ホフマンの店兼工房は、フィレンツエのポンテベッキオに似ていました。
橋の上の店は・・
こんばんは~ (カオリ)
2007-03-20 01:02:24
TBさせていただきました!
私も、グルノイユは人間ではなく、動物だと思ったんですよ・・・私は「獣」と書きましたが。

この映画、すごいものを見せてくれたなあ、と感服してます。
香水の歴史☆ (パフィン)
2007-03-20 22:15:14
>カオリさま、

お名前が香りさんということで、この映画は記憶から
消えることはないでしょうね。

ところで、今、ブログを読ませていただきました。
パリの悪臭を・・するため作られた香水・・の所は、
誤解を招くのでは?
香水はなめし皮の臭いを消すためにグラース地方で始まった。香水そのものの原点はフランスに嫁いだカトリーヌ・ディ・メディチがおかかえ調香師を連れていったからだと記憶しています。(映画、王妃マルゴには毒を扱う薬剤師が登場します)香水の目的は私の感想文に書いてあるので、たぶんカオリさんは私の感想文を読まずにTBしていらっしゃると思いました。
パフィンさん (カオリ)
2007-03-21 02:39:14
ご指摘ありがとうございます。
「作られた」と言うのは確かに私の安易な間違いでした。ブログで訂正いたしました。

TB&コメントする際、パフィンさんの感想文はちゃんと読ませていただきました。ただ、そもそもの香水が作られた目的と、「香水産業」としての発展の理由というのはまた別なものと理解していました。

ですので、「感想文を読まずにTB・・・」という記述は、正直ショックを受けたところです。
パフィンさんがご不快に思ったのであれば、私のTB及びコメントを削除をお願いいたします。
ごめんなさい☆ (パフィン)
2007-03-21 22:32:33
>カオリさま、

こんばんは、ショックを与えてしまったようで
ごめんなさい。ちゃんと感想を読んでくださって
いたのですね。

香水産業は”花の命を奪う行為”と表記したのは、私が映画の底辺に皮肉な視線を感じたから。私にとっては大事な部分だったから拘ってしまいました。

カオリさんは、この映画を観て、すごいと感服した。
私と同じ感想を持ってくださり、TBしてくださったのに、カオリさんを試すようなコメントをしてゴメンなさい。お詫びいたします。
強烈な印象が残ります (ジュン)
2007-09-02 19:56:52
パフィンさんこんばんは。
TB、コメントいただきながら訪問が遅くなって申し訳ありません。

この作品音楽がとにかく素晴らしかったですね!
不気味で衝撃的なストーリーなのに音楽が心地よくて
長時間上映なのに全く飽きることなくこの世界に入り込めました。
耳にいつまでも残るベルリンフィルの楽器の音色が
香水の構造と似ているという一文も素敵ですね。

ラストはね、私最初意味わからなかったんですよ。
何が起こったの!?と目が点状態。
すさまじい最期でしたね。
いろいろな意味で深く印象に残る作品ですね。
お返事☆ (パフィン)
2007-09-02 21:33:16
>ジュンさま、

こんばんは~。私も留守にすることが多いので
全然気になさらないでくださいませ。

この作品は人殺しの物語なのに、感想に書かれて
いらした通り、映像と音楽に魅力のおかげで
有り得ない世界(ファンタジー)として受け入れる
ことができました。血がでないことも大きい(笑)

香水を作る過程でエッセンスを三段階に分けて
動物のような嗅覚で微妙に調合していく姿が
オーケストラの指揮者と重なりました!

あの死刑台のシーンと最期は頂点を極めたときに
自分の存在を無だと感じたという意味かな?と
解釈しました。本当に印象的な映画でしたね~。

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