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スペインの乙女は目覚め

2009年03月28日 | チャイルド・ハロルドの巡礼第1編

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このために、スペインの乙女は、目覚め、
弦をはずしたギターを柳の木に立てかけ、
なにもかも女であることを失い、短剣を伴侶として、
大声で歌を歌い、戦闘行為に及んだのか?
かつて傷跡にさえ脅え、
梟の子が警戒して鳴く声にさえ怖がって蒼褪めた彼女が、
いまや縦隊を壊乱させる銃剣が軋りあうのを、
そして刀が閃くのを見て、まだ温かい死体の上を、
軍神マルスさえ慄きながら踏みしめるところを、ミネルヴァの足取りで歩むのだ。

<原文>
LIV.

Is it for this the Spanish maid, aroused,
Hangs on the willow her unstrung guitar,
And, all unsexed, the anlace hath espoused,
Sung the loud song, and dared the deed of war?
And she, whom once the semblance of a scar
Appalled, an owlet’s larum chilled with dread,
Now views the column-scattering bay’net jar,
The falchion flash, and o’er the yet warm dead
Stalks with Minerva’s step where Mars might quake to tread.

<語句表現>
semblance:(…の)外見, うわべ, 見せかけ, 装い((of ...))
scar:(傷・やけど・できもの・注射の)跡;傷跡;(一般に物・心に残された)傷(跡)
Appall:[動](他)〈人に〉ひどくショックを与える, ぞっとさせる
owlet:[名]フクロウの子.
column-scattering:「縦隊を壊乱させる」(田吹)
bayonet:銃剣
jar:ぶつかり合う;(…に当たって)(ギーギー・ガタガタ)きしる((against, on, upon ...)).
falchion:[名](中世の)幅広の湾曲した刀, 鎌(かま)形刀, 偃月(えんげつ)刀;((古))(一般に)剣
Stalk:ゆったりとした[もったいぶった, いばった, 怒った]足どりで歩く
quake:〈人が〉(寒さ・恐怖などで)震える, おののく((with, from, for ...));(…に)身震いする((at ...)).


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