軽音楽談話室(廃屋)

「琥珀色に魅入られてしまった人生・・」

MILESTONES / トミー・フラナガン(THE MASTER TRIO)

2006-03-18 08:44:46 | 音楽
TOMMY FLANAGAN: PIANO
RON CARTER: BASS
TONY WILLIAMS: DRUMS

1.IT DON'T MEAN A THING
2.ST. THOMAS
3.ANGEL EYES
4.NEW SONG #3
5.MINOR MISHAP
6.MISTERIOSO
7.MILESTONES
1983 BAYBRIDGE

トミー・フラナガンとロン・カーター、トニー・ウィリアムスと言う超重量級のリズム隊が組んだザ・マスター・トリオと言うセットの作品「マイルストーンズ」です。派手さのあまり無い堅実なピアニストだけに、日本企画のスーパー・バンド的な名称は嫌に成っちゃいますね。まあ気にせず聞くことにいたしましょう。

1曲目。結構テンションの高いイントロ、テーマはゆったりと。アドリブに入ってもテーマの雰囲気はそのまま、マイナー調のシットリとした演奏が続きます。ロン・カーターの落ち着いたウォーキングもピアノの演奏にマッチしています。ドラムは・・・・落ち着きを求めても仕方のない太鼓叩きですので、まだ落ち着いている方でしょうね。ピアノパートの後半ベースがうねり初めて、そのままドラムとベースのかけ合いに。唸りも交えてのまあ、シブイ演奏、合いの手のようにはいるドラムが結構ドカドカと。
2曲目。このテーマは雰囲気を崩しようがない、リムショット(だよね)が心地よし。アドリブパートは明るめの少し外したような雰囲気の演奏に、ドラムが時々ドカドカと隠し味のように。ベースソロも何となく捻ったような。全体に落ち着いていますが、曲の持つカリビアンな雰囲気が大変生かされた演奏です。
3曲目。イントロからテーマにかけては、マイナー調ながら華麗で美しいピアノだけの世界。ベースがシットリと加わり、またまた雰囲気が盛り上がっていきます。好いですねぇ、極上のワインでも傾けながら聞きたいものです。ドラムも加わり、それでも雰囲気はそのまま、流石にドラムもかなり大人しい。珠玉の時を堪能できました。
4曲目。一転アップテンポで多少騒がしいテーマは、ロン・カーターのオリジナル。アドリブパートは意外と大人しく走り回るベースと、予想通り騒ぎまくるドラムに負けない結構若々しいピアノの演奏です。ドラムソロはトニー・ウイリアムスの独壇場、絶対にトニーだと分かってしまう(別にソロでなくても分かっちゃいますが)他に類のない演奏ですね。ベースもロン・カーター特有のライン取りと音色のウォーキング、好きです。
5曲目。フラナガンのオリジナル、定番です。馴染みのテーマからまずはベース、歌っていますねラインが。グググッと入るピアノもなかなかカッコイイ、流石は自分の曲だけに聞かせ方が上手い。トリオ演奏を挟んでのドラムパートは少し短い。この曲は世間一般にスタンダードと言ってもいい名曲ですね。
6曲目。モンクの曲はどうしてもテーマが・・・苦手です。ナチュラルさにかけるというか、これがモンクの自然体なのでしょうが。結局アドリブパートもテーマの雰囲気を完全に引きずっていますので、違和感は拭い去れませんが、独特のテンポでラインを微妙に外しながらの演奏は、慣れると意外と聞きやすいモノですね。そう言えばフラナガンのモンク作品集(トリオ作品でしたか)あったはずですが、聞いた記憶がない。
7曲目。爽快で軽快なテーマ、フラナガンにしては意外とこの曲は珍しいかも。ベースが軽快にうねるうねる、気持ちのいいウォーキング・ベースですね。ピアノパートも珍しく暴れています。かなり高速で走り回り、時々ギャロンと鍵盤をなで回すのは珍しい。若い2人に触発されたのでしょうか。ドラムソロはトニー・ウイリアムスの持てるパターンを全て吐き出したような重量級のソロ。

まあ、このリズム隊では予想外の演奏というモノは期待しても仕方のないことですが、意外と予想よりは違和感が少ない感じかと思います。全然無いという訳ではありませんよ。3・5・7曲目当たりは大変気に入りました。

スーパー・ジャズ・トリオの少しエコーの利いたサウンドも素敵でしたが、ダイレクトに演奏が飛び込んでくるこの作品も魅力的でした。エコーを利かせると後ろの2人が大変なことになるような気もしますが。

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