自然とデザイン

自然と人との関係なくして生命なく、人と人との関係なくして幸福もない。この自然と人為の関係をデザインとして考えたい。

口蹄疫45分で診断 山崎・宮大准教授が開発

2011-04-04 15:45:40 | 牛豚と鬼

宮崎大学の山崎准教授が、口蹄疫の簡易遺伝子検査法を開発された。人用には実用化されている簡易遺伝子検査法をなぜ口蹄疫検査用に応用しないのか、このブログでも主張してきたが、これを国産技術で開発され、口蹄疫対策に画期的な変革をもたらし、途上国のみならず世界に貢献できる研究成果を喜び、心より感謝申し上げたい。1日も早く実用化されるように願っている。

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宮崎日日新聞

宮崎大農学部獣医学科の山崎渉准教授(38)=獣医公衆衛生学=がLAMP(ランプ)法と呼ばれる遺伝子検査を応用して口蹄疫の感染を迅速診断できる技術を開発した。既に特許庁に特許を出願している。

実用化されれば、アジアで感染拡大する4タイプについて最短45分で診断でき、これまで難しかった感染初期での判別も可能となる。簡易で低コストなため、感染が拡大する発展途上国などでの利用も期待される。

山崎准教授は既存のLAMP法を口蹄疫の診断に利用するため、世界中で確認されている口蹄疫7タイプのうち、アジアで感染が広がる4タイプに共通する遺伝子情報(標的遺伝子)を解析した。診断には標的遺伝子だけを増幅させる必要があるため、標的遺伝子に結合し増幅のきっかけとなる塩基配列「プライマー」の設計に取り組み成功。

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毎日新聞

口蹄疫:45分で診断 宮崎大の山崎准教授、新技術を開発 /宮崎
 宮崎大学農学部獣医学科の山崎渉准教授(38)が、口蹄疫(こうていえき)ウイルス感染の有無を短時間で診断できる技術を開発した。現在、採用されているPCR法は診断に約5時間かかるが、新技術は感染初期のごく微量なウイルスでも最短45分で感染の有無が判断でき、早期封じ込めのツールとして期待される。【川上珠実】

 「栄研化学」(東京都)が開発したLAMP法を使う。これを使うためには遺伝子断片の「プライマー」が必要で、山崎准教授は口蹄疫独自の塩基配列を設計し、プライマー化に成功した。LAMP法もPCR法も遺伝子を増幅させて、ウイルス診断を行う。しかしLAMP法だと増幅速度が速く、正確に大量の遺伝子を複製することが可能なうえ、溶液の白濁だけで陽性が確認できる。また、PCR法と比べて10倍の感度を持つため、感染初期のごく微量のウイルスでも感染の有無が分かり、高価な試験装置も必要がないなど、多くのメリットがある。

 LAMP法は、コレラ、インフルエンザなどの診断にも使われている。

 山崎准教授は県内で口蹄疫が猛威を振るった昨年5月から研究に着手。同6月には家畜の殺処分作業も手伝い「凄惨(せいさん)な現場だった。こんなことは二度とあってほしくない」と研究に励んだという。

 昨年12月、口蹄疫の人工遺伝子を使用した試験で効果を上げ、実用化に向けて海外の研究所で実際のウイルスを使用して有効性を確かめる。山崎准教授は「口蹄疫はいったん広がってしまうと非常に対応が難しい。広がる前の対応に人や物をつぎ込むことが重要」と話す。

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読売新聞

口蹄疫診断 その場で素早く /宮崎
 口蹄疫の感染を迅速に判断できる遺伝子検査の技術を宮崎大農学部獣医学科の山崎渉准教授(38)が開発した。従来の遺伝子検査「PCR検査」では、診断に約5時間を要したが、新たな手法では最短で45分に短縮できる。実証実験で有効性を確認するが、実用化されれば初動防疫に貢献しそうだ。

 LAMP(ランプ)法と呼ばれる遺伝子検査の手法を改善した。口蹄疫遺伝子に増幅のきっかけを与える遺伝子の断片・プライマー(導火線)を、多様なタイプの口蹄疫に対応できるように改良。人工的につくった口蹄疫遺伝子で試験を行ったところ、判定に成功した。

 ランプ法はPCR検査に比べて約10倍の感度があり、ウイルス量が少ない感染初期の段階でも診断することができる。溶液が白く濁れば感染を示しており、目視での判定も可能。遺伝子の増幅速度も速く、診断時間が大幅に短縮できるという。

 専用機器を用いる必要はなく、コスト削減にもつながる。これまで東京の動物衛生研究所に検体を送付して調べていたが、現場での診断が可能になる。

 特許を出願済みで、今後、実証実験を行う予定。ただ、国内で口蹄疫ウイルスを扱えるのは動物衛生研究所に限られるため、山崎准教授は海外の研究機関に実験を打診している。

 岩崎充祐・県家畜防疫対策室長は「鳥インフルエンザと同レベルの精度の検査が現場で可能になれば、非常に画期的。迅速に診断できる」と実用化に期待している。

 昨年の口蹄疫で牛の殺処分に従事した山崎准教授は、早期発見による拡大防止の必要性を痛感したという。「実用化で初動防疫に役立てたい」と話している。

2011.4.4 開始 2011.4.8 更新1 2011.5.19 更新中