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<強風>ヨット6艇転覆、12人救助される 兵庫・西宮

2013年03月12日 | ■ 重要
2013年3月10日(日)午後12時頃、強烈な低気圧接近による強風により
神戸大医学部ヨット部と近畿大学ヨット部が6艇を艇体放棄・乗員12名が救助される事案が発生しました。その際、近畿大学の男子学生1名と救助にあたった甲南大学の女子学生1名が低体温症で救急搬送されました。

毎日新聞より記事全文およびURLを掲載させていただきます。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130310-00000035-mai-soci
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<強風>ヨット6艇転覆、12人救助される 兵庫・西宮
毎日新聞 3月10日(日)19時47分配信

 西日本では10日、寒冷前線の通過に伴って朝から強風が吹き、けが人が出るなどした。気象庁によると、大津市で午前11時18分に最大瞬間風速28.9メートルを記録したほか、松江市24.9メートル(午前5時23分)▽和歌山県かつらぎ町22.2メートル(午後0時38分)▽大阪府豊中市20.6メートル(午前11時38分)--など、各地で3月として観測史上最大の瞬間風速を記録した。

 午後0時10分ごろ、兵庫県西宮市西宮浜4の新西宮ヨットハーバー沖約1キロの海上で、合同練習中の神戸大医学部と近畿大のヨット部の計6艇が転覆、12人が海に投げ出された。いずれも救助されたが、このうち近畿大3年の男子学生(21)と、救助にあたった甲南大2年の女子学生(20)が低体温症の疑いで病院に搬送された。県警西宮署によると、当時は甲南大、関西学院大も加わり4大学25艇50人が合同練習中。同署は強風にあおられて転覆したとみている。神戸海洋気象台によると、付近は前夜から強風波浪注意報が出ていた。

 神戸市須磨区の須磨海岸では同0時20分ごろ、神戸大医学部ウインドサーフィン部の学生ら18人が強風で沖に流された。県警須磨署などによると、沖合約1キロのノリ養殖場の網などにつかまっているのを漁船が発見、自力で岸まで戻った1人を除く17人を無事救助した。

 また、大津市北比良のびわこ成蹊スポーツ大グラウンドで午前10時50分ごろ、市立中学1年の女子生徒(13)が突風にあおられて転倒、腕とひざの骨を折る重傷を負った。滋賀県警大津北署によると、当時は女子生徒が所属する市内の女子サッカークラブと同大学チームの練習試合中で、女子生徒はそばにあった雨よけテント付き鉄製ベンチ(幅3.6メートル)と共に倒れた。【重石岳史、道下寛子、宮嶋梓帆、千葉紀和】


また、神戸大学ヨット部(医学部ヨット部ではない)主将の報告を以下に掲載させていただきます(Facebookより)。なお、個人情報より氏名は伏せさせていただきます。



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平成25年3月11日

神戸大学体育会ヨット部主将の○○です。

新聞報道などでも伝えられていますように、昨日3月10日(日)午前11時30分頃に新西宮ヨットハーバー沖におきまして、寒冷前線による突風で、神戸大学医学部と近畿大学のヨット計6艇が船体放棄を迫られ、また数名がハイポサーミア(低体温症)で病院に搬送される海難事故が発生しました。
一部報道では、神大ヨット部遭難という形で報道されたため、ご心配をおかけしたと思いますが、神戸大学ヨット部は早い段階で帰港したため、人命や船体は全て無事でありました。学校を含め、関係各所に連絡をとり、無事を報告しております。

以下に当日の動きを時系列で示し、説明に代えさせていただきます。

0830 神戸大学出艇(レスキュー白帆丸V 1隻、470は2艇、スナイプは1艇)。
この時の風は南西の風4m/s程度で、波は約0.5mでした。出艇前のブリーフィングで、各種天気予報の分析から、寒冷前線の通過に伴って、天候が急変する可能性があることを部員に伝達しました。前線通過の判断基準は、11時から12時の間に気温が急低下し、風向が北寄りになることとしました。なお白帆丸にはOB1名、副将、クルー1名、マネージャー1名の計4名が乗船していました。

0930 マーク回航練習開始。
この時の風はあまり変わらず南西から西の風4m/s程度で、波は約0.5m程度でした。

1105 回航練習終了。
北東の空が暗くなり、その範囲が次第に広くなっていきました。さらに、南西の風がなくなり、急に北寄りの風に振れました。従って、判断基準の一つ(11時ごろに北寄りに風が振れた)を満たしましたので、早急に帰港し様子を見ることとしました。この時の風は北寄りの風4から5m/s程度、波は約0.5m程度でした。
白帆丸にはマーク回収よりも先に、ヨットの入港を見守ることを優先させました。

1120 神戸大学のヨット計3艇が帰港。
白帆丸は残されたマークを回収すべく、再び沖へ向かいました。風がどんどん強くなり、この時には平均6m/sを超え始めました。
海上の様子は目に見えて悪化していきましたので、白帆丸は他大学の救助に向かいました。

1200  救助活動本格化。
陸上待機していたヨット部員も他大学のレスキュー艇に便乗し、救助に向かいました。
私は、ヨットハーバーのレスキュー艇に乗船することを求められましたので、それにて沖に向かいました。その時点で風は北風で平均10m/sを超していました。また白波が立ち、沖の波高は約1.5mでした。最大瞬間風速は19m/sから27.5m/sの間でした。
私の乗船したレスキュー艇は神戸大学医学部のヨット2艇を赤灯台付近で発見し、救助しました。波高と強い北風の影響で、転覆状態から復帰できず、また長時間の転覆により体力の消耗が激しいため、1艇は艇体放棄を決定し、2名を救助することとしました。もう1艇は何とか曳航することに成功し、計4名を救助し1240頃帰港しました。

1250 ハーバーのレスキュー艇再度出港。
ハーバー内各大学の人員確認が混乱していたため、念のため再度出港し、海中転落者を探しに行きました。沖の艀だまりの付近で海中転落者一名を発見し救助しました。長時間の漂流により、ハイポサーミアになっていました。所見として、筋肉の硬直や瞳孔の散大、意識障害、脈拍微弱が見受けられました。体温は33度以下であり、ハーバー到着後救急車で病院に搬送され、集中治療室に入院しました。
現在の容体は会話ができるまで回復とのことです。最初、この一名の身元がわからず混乱しましたが、神戸大学ウィンドサーフィン部の部員であることが後に判明しました。

1320 ハーバーレスキュー艇帰港。ハーバー内の各大学全員の無事を確認。

1500 警察による事情聴取。ハーバーマスターの辻中氏からお話がありました。

1530 艇体放棄したヨット6艇を曳航すべく、ハーバーレスキュー艇出港。
海上保安庁からの連絡により、3艇が一文字の艀だまりに、3艇がフェニックス神戸(六甲アイランドよりさらに南の埋め立て地)に打ち付けられていたことがわかりました。白帆丸も動員し、曳航作業を行いました。 

1800 ヨット5艇を曳航完了。
神戸大学医学部のヨット1艇は、日没を迎えたため、3月11日(月)の午後に曳航することとなりました。

1900 海上保安庁より事情聴取。

今回の海難事故で最も特徴的なことが、北風による遭難であったことです。基本的に西宮浜で発生する遭難は南西に吹き上がる風を原因とするものです。寒冷前線通過による突風を伴った北風の影響で、風上側のハーバー入口に向かって帰れなくなったヨットが多数見受けられました。

神戸大学ヨット部として、早い判断により難を避けられたことは幸運であったと言えます。しかし、ハーバー全体のレスキュー体制という観点から見ますと、人員確認に手間取るなど、不十分な点が多々あったと言えます。これからハーバーと学連を主体とした会議がもたれると思いますが、チームとしてだけでなく、ハーバー全体としてこの出来事を教訓に、新たな体制作りを行っていく必要があると思います。
新シーズン早々から、ご心配をおかけしましたが、私たちは安全第一でヨット部活動に取り組んでいく所存です。今後ともよろしくお願いいたします。

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
安全第一 (鈴木(一代目))
2013-03-12 21:17:46
神戸大学の事故の情報ありがとうございました。私の現役の時にも寒冷前線ではありませんが、他大学(山口大学のヨット部)で遭難事故がありました。同日は朝から風が強く柏原での練習を見送り、艇の整備に当てたことを記憶しています。自宅に帰るとニュースで遭難事故が報道されていました。こんな日によく出艇したと驚いたことを覚えています。北九州と山口なので距離も近く海況も似ていたと思います。たしか平成3年・4年のことです。
Unknown (第35代主将 伊藤)
2013-03-12 23:09:58
コメントいただ有難うございます。

平成3年・4年は本ヨット部が西医体を総合優勝した付近ではないでしょうか。
練習に励みながら、安全第一を考えることは、ある種のパラドックスでありバランスの見極めが困難であります。春以降の風は密度が軽いとはいえ、柏原では南北・高気圧低気圧に関わらず強風が吹くことが多々あります。

今回の事例で、無事難を逃れた神戸大(本学)ヨット部は天気図等から「11時から12時の間に気温が急低下し、風向が北寄りになること」を帰港の条件としておりました。

今週の土曜日(16日)には新しくレスキュー艇が納入予定です。最近、爆弾低気圧等で異常な強風が多いので、気象庁の天気図や風速予報等から、臨機応変に練習メニュー・帰港の条件を設定していく所存です。

今後とも産業医科大学ヨット部を宜しくお願い致します。

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