ミゲール・カント対触沢公男を見て小熊正二の強さを再認識

 今から40年前の今日品川スポーツランドで行われたWBCフラ
イ級タイトルマッチで王者ミゲール・カントに挑戦した7位の触沢
公男は0-3の判定で敗れ世界タイトル獲得ならず。

 挑戦者の触沢は前年12月に世界再挑戦を狙っていた小熊正二を
8Rに逆転KO勝ちで世界ランクに入ると、同じく世界ランカーの
ホセ・ルイス・クルスもKOして7位にランクを上げて小熊正二
からタイトルを奪取したWBC王者のカントへの挑戦が決まった。

 触沢は小熊をKOしただけでなく敬虔なクリスチャンという側面
を持ち、勝った後にリングにひざまずいて感謝の祈りを捧げる姿が
印象的で急成長してチャンスを掴んだ事から‘神がかりボクサー’
とマスコミは呼び期待していた。

 ところが試合は1Rから硬さの見られる触沢を尻目にカントが軽
快なパンチを次々と打ち込みペースを掴むと、直線的な触沢の突進
を巧くかわしながらカウンターを決めるなど一方的な展開になる。
 
 それでも触沢は5Rと8Rに得意の左フックを決めてカントをふら
つかせるなどの見せ場は作ったものの、難なく攻撃を寸断されて軽い
ながらも縦横無尽にあらゆる角度からパンチを浴び続けて目もカット
するなど顔を無残に腫れ上がらせてフルラウンド戦うのがやっととい
う完敗。

 ミゲール・カントは小熊正二の初防衛戦の相手として75年に来日
して2-0という僅差の判定勝ちでタイトルを奪ったのだが、小柄で
パンチ力も大した事なさそうだったため短命王者に終わるだろうと
予想する者が多く75年8月に高田次郎、76年5月に花形進が敵地に
乗り込んで挑戦して敗れたものの‘敵地だったから’という論調が
多くを占めた。

 だからラッキーボーイの触沢のパンチが当たれば・・・という予想は
あっさりと覆され、カントの巧さばかりが目立った一戦になった。

 それから7ヵ月後の1月4日にカントは来日して前王者・小熊正二
との再戦に臨むのだが、この試合も接戦となり‘今度こそ小熊の勝利’
と思われながら2-1の判定で またしてもカントが勝った。

 しかしサウスポーが苦手だったとはいえ先述したように高田や花
形、触沢らが完敗したカントに小熊だけは接戦を演じていた事から
却って小熊の強さを実感するものになったわけである。

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