これが私の生きる道

こむずかしいことやきれいごとは
書いてありません。
読みやすさを心がけて書いています。
読んでみてください!!

プリズム

2012年05月21日 20時29分09秒 | 読書
今日は金環日食ということで
関東地方は天気予報も良くなかったので
日食メガネも用意しませんでしたが
予想外に雲がまばらで
朝7時の時点で見えそうな感じでした。
宿直明けだったので職場の外に出て
7時30分までは裸眼では欠けているかどうか
全く判別できないほどでしたが
そこからの5分間は雲がいい具合に
陽の反射を押さえてくれて
結構良く見えました。

近くに職場の人が日食メガネを使っていたので
それをちょっと貸してもらいましたが
話題になっていた粗悪品だったらしく
真ん丸のお日様しか見えませんでしたが
可哀想だったので、
「いやぁ~、(メガネを付けた方が)よく見えますね」
って大人の対応をしておきました。

そんなことがあって仕事が終わった後、
日帰り温泉に行って
汗を流してすっきりしたわけですが
そのサウナの中のテレビではじめて
「ノンストップ」を見ました。
4月からフジテレビで始まった番組で
司会はバナナマンの設楽です。

もちろんサウナに長時間入ってられないので
とびとびでしたが、かなりつまらない番組になっているなぁという印象です。
パネラーにハルセンボン春菜、千鳥、スピードワゴン井戸田と
揃えているのにバラエティ色が濃いわけでもなく
かといって情報番組としても中途半端で
そのときに話題になっていることを
ただなぞっているだけの超無難な内容に
とりあえずテレビで人気のタレントを出しておけば
何とかなるだろう感が半端なかったです。
これなら完全にバラエティに振り切った「PON」や
ドラマの再放送を見ていた方が全然マシです。

天体つながり、いや、つながってないかで
「プリズム」という小説を読みました。
たしか「ダヴィンチ」で紹介されていて
図書館で予約したと思うんですが
結構人気で数か月待ちでした。
あらすじも見ないで読み始めたわけですが
これが久々に時間の無駄と公式認定できるような読後感でした。

最近はこれはつまらないと感じたら途中で読むのをやめるところですが
最後にもちろんどんでん返しが待っているだろうと
その一点で我慢して読み終えたら見事にそのまま終わってしまうという
ある意味、衝撃の結末にただ絶句です。

あらすじは、聡子という主婦が岩本家に家庭教師に行くことになり
そこに解離性同一性障害(多重人格)の岩本広志と出会い、
恋に落ちるという内容です。
聡子が恋に落ちるのは広志本人ではなく
彼の人格の一つの村田卓也という人物です、
絶対に最後は聡子の旦那が彼女と別れるために
広志と不倫させる罠とか思ってたんですが
最後は卓也他多重な人格が広志に統合されてしまって
私の愛した卓也が消えてしまって失恋しました、って
読んでもらったら分かりますが
どうでもいいことになっています。

聡子と卓也は肉体関係を結ぶことになるんですが
キスしている途中で他の人格に変わったら
嫌悪感で拒否してしまうんですが
見た目一緒だからそんな違うのかなぁって
男性と女性の違いなんですかね。
でも逆に、外見が変わっても中身(人格)が一緒だったら
許せるものなんでしょうか。

卓也以外の人格に性衝動するときだけ出現する人格があって
それが「精一」っていう露骨な名前で
そこは面白いと思いました。
(あと暴力的な人格が「タケシ」ですが
おそらくドラえもんのジャイアン(剛田武)からきている)
でも褒められるのはそれ位で
なんで人気があるのかさっぱり理解できません。

でちょっと調べてみたらこの本、
「本屋大賞」のノミネート作品だったことが判明しました。
さすがに大賞には選ばれず
10位という結果に終わっていましたが
これをノミネートする時点で
本屋の店員として失格だろうと考えざるをえません。
食べログもそうですけど
やはり情報に惑わされず
自分の感性を信じましょう。

ねこ背は治る

2012年03月15日 20時27分49秒 | 読書
パソコンをやり始めてから、姿勢が悪くなっているらしく
肩や腰を凝ることが増えて、
たまにストレッチしても
違和感が消えることはありませんでした。

そんなある日、本屋さんで「ねこ背は治る!」という本が
平積みになっているのを見かけ、
でも長時間立ち読みするのも疲れる位なので
家に帰ってその本のことをamazonで調べたら
結構、評価が良かったので
図書館で予約しました。

この手の本には珍しく予約数も二桁を超えていて
人気があるみたいです。
その本が先頃、貸出可能になり、早速読んでみました。
著者は現役の整体師で
「呼吸」と「ねこ背」と「腕」と「足」の4つの章からなります。

まず一番の目当てだった「ねこ背」ですが
これが本当に効果的でした。
今までも姿勢が悪くならないように
胸を張ったり、背骨を伸ばしたりしていましたが
結局、疲れてきたり、意識しないときにはそれも元に戻ってしまっていました。
身体は楽な方に自然と流れてしまうので
しょうがないことだそうです。

そもそもその考え方が根本的に間違っていて
立っているときの重心に問題がありました。
ひざをついて立っているときに
姿勢が良くなるのは、重心が取れているからで
足の太い骨に上半身の力が掛かっているので
安定します。
それを立っているときにでも同様にするには
足の裏の重心の位置を、かかとの内側にもってくると
自然と姿勢がよくなります。

はじめは眉唾ものでしたが実践してみると
これが驚くほど姿勢が安定しました。
立ったままでも上半身の力を脱力できて
腰の痛みもだいぶなくなってきました。
座っているときも考え方は一緒で
骨盤に重心をかけるといいのですが
こちらは少し難しいです。

「呼吸」は現代人は呼吸が浅くなっているらしく
十分な酸素が供給されないと様々な場面で
障害が出てきます。
一般的には腹式呼吸がいい、というイメージがあると思いますが
これも胸式呼吸と腹式呼吸を一緒に行うのがいいみたいです。
腹式呼吸も単にお腹を膨らませるのではなく
横隔膜を押し下げるイメージで
結果的にお腹が膨らむそうです。

また肺は、肩から横隔膜の上まで
厚みもお腹から背中まであるイメージで呼吸すると
より深い呼吸ができるようになるということで
こちらもやってみましたが、
これは長年きちんとしていなかった影響か
結構難しく、逆に苦しくなってきます。
気管支ぜんそくの診断のときも
肺活量が少ないって言われたし
確実に衰えているようです。

「腕」は脇の下までが腕ではなく
肩甲骨までが腕の付け根で
腕を上げるときや物を持つときなど
肩甲骨の部分を意識して動かすと
少しの力でも楽になるようになります。
「足」も股の付け根までではなく
鳩尾の辺りまでが足だと意識すると
歩くのも速くなります。

どれも道具は必要なく、効果が実感できやすいので
おススメです。

かわいそうだね?

2012年02月11日 18時59分40秒 | 読書
黒木メイサと赤西の結婚という
これを聞いた人の半数以上は
「こりゃ絶対離婚するね」、と思ってしまうニュースが飛び込んできました。
関東地方に直下型地震が来る確率より
高いことは間違いありません。
黒木メイサって子供だけ欲しいタイプに見えるんですよね。

そんな黒木メイサのようなイケイケな女性は
全く出てこない「かわいそうだね?」という小説を読みました。
作者は綿矢りさで巻末に写真が載せてあるのですが
やっぱり好みなんですよね、彼女は。
表題になっている「かわいそうだね?」と「亜美ちゃんは美人」の
2本立てです。



「かわいそうだね?」あらすじ

緊急事態に彼はどちらを助けるんだろう――私?それとも元彼女?
28歳の樹理恵は無口だけど頼れる彼氏・隆大との交際が順調、
百貨店での仕事も順調で幸せな日々。
ところが彼が、無職で家賃が払えなくなった元彼女・アキヨを助けるため
自宅に居候させると切り出したことで暗雲が……。
彼が好きなのは私だって言うけれど!?


この話の肝はなんといっても
恋愛感情はなくなったとはいえ
元彼女を居候させるのは是か非かということで
主人公の樹理恵は
フラれるのが嫌なのと
彼が帰国子女で海外では異常なことではない、
元彼女に同情して
ずるずるとその居候を許してしまいます。

樹理恵の同僚の綾羽も指摘していますが
他人がこの話をきいたらほとんどの人がおかしいっていうと思うんですよ、
自分もそうでこんなの優しさでも何でもないですよね。
隆太(彼氏)は実際にアキヨ(元彼女)には
恋愛感情はもうないのですが
それって両者に対して不誠実で
樹理恵はもちろん、アキヨにも元サヤに戻る希望を無駄に
持たせることになり
ただの優柔不断でしかありません。

このアキヨというのもクセ者で
口では元サヤに戻る気なんて全然ない、と言っておきながら
隆太にラブメールを贈りまくり
家も自分色に染めていってしまいます。
外見はナヨナヨとした感じで弱そうなんですが
芯はかなり強く、こういう人って結構いそうです。

アキヨがまだ気があることを樹理恵は隆太の携帯を覗いて
知るわけですが、これも是か非か分かれるところだと思います。
個人的には見たいとも思わないし
見られても別に嫌じゃないタイプです。
元々携帯に依存していないし興味もないのが大きいのですが
もし見られてそこに何か怒らせる内容があったとしても
じゃあ見なきゃいいじゃん、って思ってしまいます。

信用していないから携帯を見るとかその逆とかはあまり関係なく、
個人の性質によるもので
見る人はどんなときでも見るものだと思います。
でも盛んに見たがる人は
自分も疾しいことを携帯に隠してあるんじゃないでしょうか。



「亜美ちゃんは美人」あらすじ

さかきちゃんは美人。でも、亜美ちゃんはもっと美人。
高校時代に出会った二人。
大学、社会人、と年を経ていくなかでさかきちゃんは常に複雑な思いで
「自分より美人の親友」を見つめ続ける。
そして亜美ちゃんが「初めて本気で人を好きになった」と連れてきた結婚相手は――。
女性同士ならではの一筋縄ではいかない友情を描く。


どちらかというとこちらの方が好きな作品です。
最初は美人な亜美がいわゆる嫌な女で
さかきちゃんが最後に爆発するような話かと思っていましたがそうではなく
逆に亜美の方がさかきちゃんに依存しているという
関係性が面白いと思いました。

でも亜美があまりにもバカみたいに描かれているのが
ストーリー上、必要とはいえ可哀想でした。
どうみてもダメ男を好きになったり
何でもさかきちゃんの意見に従ったり。
小説の中とはいえ亜美が変な男とくっつくのは
かなりイライラしました。
さかきちゃんも最終的には応援してしまうし
作中で色々理由づけしていましたが
所詮は他人のことだからなぁと思いました。

大学時代に亜美のファンの小池という男子がいて
彼の亜美に対する考察が面白く
ダメ男と亜美が結婚すると聞いて
「(亜美が)愛に削られて劣化していく。
きっとあっという間に輝きのない平凡な女になる」と看過します。
これには自分も同じような感覚をもっていて
「恋をしない方が、退屈な方が、女性は美しいんです」につながります。

恋をし始めの女性は確かに魅力が増します。
しかしある時点を境にそれは下降していき
それを維持するのは並大抵のことではありません。
永遠の片思いっていうのが
ある意味、一番いい形なのかもしれません。

また「(容姿の麗しい人たちは)美を他者との交渉のための武器にするんです。
しかし亜美は自分の美を利用しなかった。
彼女のそんなところに、憧れていた」と
これもすごくよく分かるところで
美人は自分の美を意識していて
それが自分の利益になることは分かりきっている、
でもそれを分かっていない亜美は
やっぱりバカに見えてしまいます。

たぶん一般的にはあまり評価されない小説かもしれませんが
自分的には「勝手にふるえてろ」から今回の流れは
とてもいい流れだと思います。
これからもコンスタントに作品を発表してもらいたいです。

すべて真夜中の恋人たち

2012年01月15日 20時06分55秒 | 読書
「すべて真夜中の恋人たち」という小説を読みました。
著者の川上未映子は、
小説家には珍しく整った顔立ちをしています、
椎名林檎にちょっと似ています。


あらすじ

入江冬子(フユコ)、34歳のフリー校閲者。
人づきあいが苦手な彼女の唯一の趣味は、誕生日に真夜中の街を散歩すること。
友人といえるのは、仕事で付き合いのある出版社の校閲社員、石川聖(ヒジリ)のみ。
ひっそりと静かに生きていた彼女は、
ある日カルチャーセンターで58歳の男性、三束(ミツツカ)さんと出会う・・・。

あまりにも純粋な言葉が、光とともに降り注ぐ。
いま、ここにしか存在しない恋愛の究極を問う衝撃作。


ジャンル的には恋愛小説で、
著者のルックスからは程遠い
恋愛に縁がない女性の物語です。
自分的には好きなお話です。
アマゾンの書評なんか読むとそんなに評価は高くなくて
そういう人たちの意見も分かる部分があります。

登場人物たちが各自に自論を述べるシーンがあって
その内容とも自分としては好きな部分なんですが、
それが説明的すぎて会話としては論理的すぎるというか
まぁ文句をいいたくなる気持ちも分からなくもありません。

それにこれが一番の要点と思われるのが
登場人物があまり魅力的でなく
どの人にも感情移入しにくい感じはしました。
とにかく主人公の冬子が
作中でも二人から言われますけど
すごく「いらいら」させられます。

現実社会でもいらいらさせられる人はたくさんいますが
冬子は自己主張しなすぎて何を考えているか分からないタイプで
仕事ができないわけでもトロいわけでもなくて
害がなさそうなので、同僚でいてもそんなにイライラすることはなさそうです。
でも、はっきり失恋したわけでもないのに
イジイジして仕事をセーブしたり
緊張を和らげる為にお酒を飲んだりするところは
自分もイライラ感が募りました。

冬子の友達で石川聖という彼女とは正反対のアクティブで美人ですが
性格がきつくてこちらも冬子以外に友達がいません。
聖は冬子の仕事ぶりをみて信頼感をもちこの関係が続いているみたいです。
よく可愛い子が自分よりどう見てもルックス的に劣る子を
自分の引き立て役として仲良くすることがありますが
彼女の関係はそういったものではなく
聖という人は冬子しか心を許せる人がいないのではないでしょうか。
自分は聖と冬子の両方の感覚を持っているので
よく分かります。

友達が少ない人の心理というのはこういうものかもしれません。
子供の頃は友達の数が人気のバロメーター的なところもあって
客観的にもまぁまぁいる方でした。
でも大人になると友達というものの存在が
よく分からなくなってきていて
本質的というより世間体的なものに近い存在ではないんじゃないかなぁと。
誰誰が友達だって自慢する人ってたまにいるけど
ステータスの一部なだけだし。

最後に聖がデートから帰ってきた冬子に
辛辣な言葉を投げかけますが、
これがこのお話のクライマックスシーンで
一番好きなシーンでもあります。
自分も友達とケンカしてこういう気持ちになることがあっても
後先のことを考えると言えなくなります。
小説みたいにその後、問題なく過ごせれば言いたいですけどね。

そんな感じで恋愛的な要素よりは
冬子と聖との関係の方が気になりました。
恋愛の方は、経緯はともかく
結末は結構好きでした。
恋愛って頭で考えすぎない方がいいんだろうけど
そのことを考えていること自体が
現実よりも一番楽しいことなのかもしれません。

読書の秋

2011年09月05日 22時02分55秒 | 読書
先日、図書館で予約していた小説が
相次いで貸し出し可能になって
2週間で4冊読むことになってしまい
どれも400ページ程度はあったので
どうなることかと杞憂でしたが
一回勢いがつけば案外読めるもので
無事読み終わりました。

まず一冊目が東野圭吾の「麒麟の翼」
人気の加賀恭一郎シリーズ、最新刊です。
「ガリレオ」で火がついて
東野圭吾人気はものすごいことになっていますね。
元々、このシリーズは好きで
特に「悪意」は「秘密」「容疑者Xの献身」に並んで
この人の最高傑作の一つだと思うんですけど
「赤い指」で日本橋署に移ってからの
作品はあまり好きではありません。

いやに人情ドラマがかっていて
泣かせようとするのが鼻につくというか・・・
でも「新参者」といいこの作品といい
ドラマ化や映画で映像化されやすいのは
日本橋というロケーションの良さゆえでしょうか。

二冊目が湊かなえの「花の鎖」
「告白」で一挙にスターダムにのし上がった彼女ですが
そろそろ本当に見限るときがきたのかもしれません、
それほど退屈な作品です。
相変わらず難しいことは書いていないので
読みやすいのですが
文芸的な部分を増やそうとしているのか
ミステリーな部分が相当薄まっています。

打率が低いホームランバッターが
打率をあげようとして当てるだけのバッティングになってしまい
結果、魅力のなくなった普通の打者になってしまったそんな感じです。
「告白」のように荒削りでこんなのあるか~、
って仰天させる小説がこの人の売りなんだけど、
変にプロ意識が高まってしまったのでしょうか。
出せば売れるので、編集者もイマイチだと思っても
出版させちゃうんだろうなぁ。

三冊目が貴志裕介の「悪の教典」
上巻はもう何ヶ月前かに読んでいて
今回は下巻を読みました。
サイコパスな教師の話で
とにかく自分にとって邪魔な人物は
片っ端から殺していきます。
でもなぜか警察に捕まらないし
ほとんど疑われもしないという
そういった意味では作り物ぽいお話です。

上巻ではこの主人公の蓮見先生の狡猾な立ち振る舞いが
結構面白かったんだけど
下巻ではもう収集がつかなくなったのか
最後には自分が担任しているクラス全員を殺す(失敗して数人は生き残る)
という暴挙に出て
バトルロワイアル状態に突入してしまい
飽きてしまいました。
「このミステリーがすごい!」で1位をとったそうですが
ちょっとこれは違うなぁって思います。

最後が荻原浩の「砂の王国」
この中では一番知名度が低く
一番期待していなかった小説でしたが
結果的には一番面白く読めました。
ホームレスから新興宗教を立ち上げ成功するが
そこからまた転落していくというストーリーです。

こういう偽者の新興宗教を描く小説って結構あって
「仮想儀礼」や「カリスマ」なども読んでいて
どうやら自分が好きなジャンルみたいです。
宗教にハマる理由は分かるんだけど
客観的にみてその世界のあれこれは滑稽で
外れがありません。

「幸せになるために欲を捨てなさい」って教えを説いているのに
教団内の地位を上げる為に
お布施や物を買わせたり
外から見ればただお金を儲けたいだけじゃん、
ってすぐ分かるんだけど、
本人たちはそれに気づかないというのは
ある意味、幸せなことかもしれません。

それで今週、桐野夏生の「ポリティコン」という
これも新刊を借りて、今読んでいる途中です。
こちらも中々面白い内容になっています。

本屋大賞の罪

2011年05月21日 19時40分36秒 | 読書
普段使っているバックの生地が破れてしまい
買い換えることにしました。
なので早速、新宿に向かいました。
自分が知る限り、一番品数が多いのが
新宿の東急ハンズで開店と同時に中に入り
散策開始です。

条件としては、①ものがたくさん入る
②肩がけと背負える2WAY若しくは3WAYタイプ
③カジュアルなもの
の3点でしたが、これを満たすものって案外少なくて
デイバックぽいものばかりでした。

電車に乗ると背中に背負うと他の人に邪魔になるので
そういうときに肩に掛けられるようになっていると
助かるのですが
あっても小さすぎたり
ちょうどいいものは中々見つかりません。

とりあえず売り場を一周すると
結局、条件に見合いそうなのはポーターのものでした。
でもそれはタグが布地に「PORTER」と書かれたものではなく
緑のビニールみたいなものが付いているだけで
それが不満点です。

ところで高島屋の中のテナントとして東急ハンズが入っている形ですが
ちょうどバック売り場の前に、高島屋のポーターの売り場があって
どうみたって商品はかぶっちゃっているし
何でこういうつくりになっているのかが
未だによく分かりません。
それはさておき、いつもの如く
即決できずにそこを後にしました。

新宿に来ると必ず寄るところがあって
ジュンク堂書店という本屋さんですけど
来年3月でビル自体がビックカメラに身売りされるそうで
大変残念です。
品数は豊富だし、座れる椅子がたくさん置いてあるので
数ある本屋の中でも一番好きな本屋なので
新宿でまた復活してもらいたいものです。
おそらく百人以上の方がこの店で勤めていて
正社員は他の店に移ればいいだけだけど
アルバイトや契約社員の人たちは困っちゃうだろうなぁ。

同じジュンク堂でも池袋店は一フロアがそれほど広くないので
一々、階を登らなければならないし
その前にあるリブロは品数もイマイチで
ここの店員さんでよくテレビに出ている人がいるけど
そんな暇あったら売り場をもっと魅力あるものに
してもらいたいもです。

今日ジュンク堂に立ち寄ったのは
今年の本屋大賞に輝いた「謎解きはディナーのあとで」という小説が
アマゾンのレビューで酷評されていたので
どんなものか気になり
短編なので1章だけとりあえず読んでみようかと
椅子に座って読んでみました。

15分ほどで読み終わり
前もっての情報でハードルをかなり下げていたので
それほどひどいとは思いませんでしたが
お世辞にも大賞に輝くような作品ではありえませんでした。
主人公が大金持ちの女性刑事で
退社時には執事がリムジンで迎えにくるのに加えて
上司もジャガーで事件現場まで乗りつける
一流企業の御曹司という
笑ってしまう設定です。

もちろんどちらも容姿端麗で
トリックも分かりやすく
一つ一つのお話が短く
どう見てもドラマ化を前提にしたようなお話になっております。
これはこれで小説の一ジャンルではあるし
別に作者を責めたいわけではなくて
あくまでこの本を大賞に選んだ人たちに
疑問を感じます。

本屋大賞って一応その筋のプロである人たちの
推薦と投票で決まるんだから
その人たちがこういう本を選んではいけないと思うんですよね。
隠れているぜひ読んでもらいたい本でこれを選んだってことは
穿った見方をすると、読書レベルの低い人たちにはこれ位で大丈夫、
ってバカにされた気にさえなります。

アマゾンで酷評している人の中にも
本屋大賞を取ったんだから面白いだろうと思って買って読んだら失敗した、
という人が結構いて
そういった意味でも功罪は大きいものです。
とはいっても、賞を取ったというのを鵜呑みにして
その本を買うっていう短絡的思考にはあまり同情はしていないのですが、
買う前に立ち読み位できるだろうに。
こういう人たちは、「ハリーポッター」とか「1Q84」とかも
買っているんだろうな。

本屋大賞の罪

2011年05月21日 19時40分36秒 | 読書
普段使っているバックの生地が破れてしまい
買い換えることにしました。
なので早速、新宿に向かいました。
自分が知る限り、一番品数が多いのが
新宿の東急ハンズで開店と同時に中に入り
散策開始です。

条件としては、①ものがたくさん入る
②肩がけと背負える2WAY若しくは3WAYタイプ
③カジュアルなもの
の3点でしたが、これを満たすものって案外少なくて
デイバックぽいものばかりでした。

電車に乗ると背中に背負うと他の人に邪魔になるので
そういうときに肩に掛けられるようになっていると
助かるのですが
あっても小さすぎたり
ちょうどいいものは中々見つかりません。

とりあえず売り場を一周すると
結局、条件に見合いそうなのはポーターのものでした。
でもそれはタグが布地に「PORTER」と書かれたものではなく
緑のビニールみたいなものが付いているだけで
それが不満点です。

ところで高島屋の中のテナントとして東急ハンズが入っている形ですが
ちょうどバック売り場の前に、高島屋のポーターの売り場があって
どうみたって商品はかぶっちゃっているし
何でこういうつくりになっているのかが
未だによく分かりません。
それはさておき、いつもの如く
即決できずにそこを後にしました。

新宿に来ると必ず寄るところがあって
ジュンク堂書店という本屋さんですけど
来年3月でビル自体がビックカメラに身売りされるそうで
大変残念です。
品数は豊富だし、座れる椅子がたくさん置いてあるので
数ある本屋の中でも一番好きな本屋なので
新宿でまた復活してもらいたいものです。
おそらく百人以上の方がこの店で勤めていて
正社員は他の店に移ればいいだけだけど
アルバイトや契約社員の人たちは困っちゃうだろうなぁ。

同じジュンク堂でも池袋店は一フロアがそれほど広くないので
一々、階を登らなければならないし
その前にあるリブロは品数もイマイチで
ここの店員さんでよくテレビに出ている人がいるけど
そんな暇あったら売り場をもっと魅力あるものに
してもらいたいもです。

今日ジュンク堂に立ち寄ったのは
今年の本屋大賞に輝いた「謎解きはディナーのあとで」という小説が
アマゾンのレビューで酷評されていたので
どんなものか気になり
短編なので1章だけとりあえず読んでみようかと
椅子に座って読んでみました。

15分ほどで読み終わり
前もっての情報でハードルをかなり下げていたので
それほどひどいとは思いませんでしたが
お世辞にも大賞に輝くような作品ではありえませんでした。
主人公が大金持ちの女性刑事で
退社時には執事がリムジンで迎えにくるのに加えて
上司もジャガーで事件現場まで乗りつける
一流企業の御曹司という
笑ってしまう設定です。

もちろんどちらも容姿端麗で
トリックも分かりやすく
一つ一つのお話が短く
どう見てもドラマ化を前提にしたようなお話になっております。
これはこれで小説の一ジャンルではあるし
別に作者を責めたいわけではなくて
あくまでこの本を大賞に選んだ人たちに
疑問を感じます。

本屋大賞って一応その筋のプロである人たちの
推薦と投票で決まるんだから
その人たちがこういう本を選んではいけないと思うんですよね。
隠れているぜひ読んでもらいたい本でこれを選んだってことは
穿った見方をすると、読書レベルの低い人たちにはこれ位で大丈夫、
ってバカにされた気にさえなります。

アマゾンで酷評している人の中にも
本屋大賞を取ったんだから面白いだろうと思って買って読んだら失敗した、
という人が結構いて
そういった意味でも功罪は大きいものです。
とはいっても、賞を取ったというのを鵜呑みにして
その本を買うっていう短絡的思考にはあまり同情はしていないのですが、
買う前に立ち読み位できるだろうに。
こういう人たちは、「ハリーポッター」とか「1Q84」とかも
買っているんだろうな。

灰色の虹

2011年04月06日 21時44分35秒 | 読書
灰色の虹という小説を読みました。
これからネタバレしてます。

同僚の恋人が上司に理不尽に怒られているのに
我慢できずに掴みかかったら
その日の夜に何者かにその上司が殺害され
容疑者として逮捕された主人公(江木)が
無実にも関わらず実刑判決を受けて
職場も恋人も家族も失い
その裁判を担当した刑事、検事、弁護士、判事、証人を
殺害していくというお話です。

これだけ聞くと主人公の江木がとんでもなく
悪者のように感じるかもしれませんが
どちらかというと江木に同情的で
復讐してもやむをえないんじゃないの、
っていうのが率直な感想です。

江木自身もそうですが
家族もかなり悲惨で
婚約間近のお姉さんは破談になり家族と縁を切り
父親は鬱病になって自殺、
母親だけは江木のことを最後まで信じますが
あることをしてしまい
結果的に一番の被害者になってしまいました。

特にお姉さんは元々は明るくて笑顔が絶えない人だったのに
江木の面会に来たときは
表情が暗く、人格が変わったようになってしまい
加害者家族の恐怖を感じました。
もちろん江木一家は引っ越しを余議なくされるし
移り住んだ所でも
「殺人者は消えろ」と貼り紙を貼られ
完全に崩壊してしまいます。

数十年前ならいざ知らず
現代社会でこの程度の物証で
有罪にはならないだろう、というのが正直な所ですが
それを抜かせば冤罪って本当に怖いものだと思いました。
1日中強面の刑事にずっと取り調べされたら
楽になりたくてやってなくてもやったと
白状してしまいそうです。
1人で出かけるときは
周りに自分の存在を示すようなことをしておいた方がいいと
本気で思っています。
それがダメなら訪れた先の店員さんの名前とか
容姿とか覚えておくとか

このお話で殺される刑事・検事・弁護士・判事は
職業でやっているだけで
思い込みなどそれぞれあったにせよ
それ自体が罪になるようなことでは
もちろんないんですが
不思議とあんまり同情的にはなれなかったです。

犯行時刻に江木とすれ違ったと証言した
雨宮というサラリーマンがいるのですが
この小説の中で一番嫌いなキャラクターでした。
江木は顔に大きな痣があるのですが
その痣をはっきりと見ていないのに
裁判で今さら見間違えだと言えずに
江木だったと認めてしまい
これが決め手となって有罪になってしまいます。

そしてこの証言をしたことでヒーロー気取りになり
この快感が忘れられずにブログで
このことを盛んにアピールして
結果、襲われることになるんですが
彼だけは殺されても仕方ないです。
人物像も一流大学を出て、
学生時代は海外を貧乏旅行して
大企業に就職し、郊外に一戸建てを建てているという
憎まれる要素をこれでもかと詰め込んだ所に
作者の悪意が感じられます。

また同時に思ったのが、いくら頭にきても
掴みかかったり口論したりしない方がいいということです。
このお話のようにいきなりその後に死ぬようなことは
ないでしょうが、何が起きるか分からないし
それを見ていた人は間違いなく
証言してしまうことでしょう。
それが例え無実だとしても
真犯人が捕まらない限り、
周りの人は半信半疑をぬぐいされないし
会社にも居ずらくなりそうです。

逆に恨みを買って殺されることもあるかもしれないし
それは極端にしても些細な嫌がらせ(いたずら電話など)を
受ける可能性もあるから
結果的に腹が立っても内におさめて
それで家に帰って愚痴日記を書いて発散させた方が
得をすることになるんでしょうね。

アダルト・エデュケーション

2011年01月29日 21時31分40秒 | 読書
今日の夕刊に来週の占いが書いてあって
「精神的疲れあり。娯楽必要。飲むのもよい。」
「ストレス増加。不眠症、感情のいら立ち注意。」という
これ以上のない位、最低の内容で
週末なのに最低の気分です。
でもこの通りになってもおかしくないほど
厄介ごとが多そうなスケジュールになっており
心労は増すばかりです。

そんな話とは全く関係ありませんが
村山由佳著「アダルト・エデュケーション」を読みました。
12のお話からなる短編集で
全て女性が主人公です。
題名から想像がつく通り、
大人の恋愛話オンリーです。

最近の村山さんは「ダブル・ファンタジー」といい
女版渡辺淳一の道をひた走っています。
直木賞を受賞した「星々の舟」の面影は
全くありません。
普通の浮気はもちろんのこと、同性愛あり、義理の兄との浮気あり
会社の部下に彼氏を取られ
年下の彼氏に、SMと
まさに「アダルト・エデュケーション」です。

全て女性目線で書かれていて
みんながみんな、こんな人たちだったら
現在の婚姻制度は破綻してしまうだろうことは
想像に難くありません。
とにかく出てくる人、出てくる人
エロいことしか考えていなくて
そのことにとても貪欲で
純愛の「じ」の字も感じられません。
っていうかこの話みたいに
そんなに目くるめく、我を亡くすような
快楽の嵐が襲ってくるか~、って
まぁ男と女じゃ身体のつくりが違うのかもしれないけど。

正直な所、女性にはあまりこういう
性愛的なことを感じさせないで
ほしい部分はあります。
性的なことだけに関わらず
買い物とか大食とか
欲望に溺れている姿は見たくないとも。

とはいっても自分が今ここにいるのは
両親がそういうことをした結果という
現実があるわけで
そこのうらはらさは結構好きだったりします。
芸能人が結婚してインタビューで
「子供は3人ほしいです」とか言っていると
3回Hします、って言われているようで
何か笑ってしまいます。

今、男だから思うだけかもしれないけど
自分がもし女だったらレズに走るかもしれないなぁ、
とてもじゃないけど男に一生を預ける気持ちにはなれないし
変な性癖とかあったら気持ち悪いし。
一人で一生生きていく為に、手に職をつけたり、
趣味に走ったり
でも歳を取ったら寂しくなるもんですかね。

プラチナデータ・往復書簡

2011年01月22日 21時09分07秒 | 読書
図書館から相次いで予約していた本が届き
空いた時間を使って読んでいます。
その中で2つの小説の感想を書きます。

「プラチナ・データ」は東野圭吾著の作品で
DNAから身長・体重・人相まで割り出して
犯人を捕まえようというシステムに纏わるお話です。
その為には全国民のDNA情報を管理しないといけないわけで、
もしこれが実現すれば髪の毛一本から
完全に個人が特定できることになります。

もちろん物語中にはこれに反対する立場の人も現れ
双方の主張が書かれていますが
自分はどちらかというと賛成派です。
一生、犯罪に手を染めない自信があるので
他の人がこれが犯罪を抑制してくれるのならば
個人情報であるDNAを管理されても
しょうがないかなぁって感じです。

問題は二つあって、一つは自分の髪の毛とかを
どこかで盗まれて、犯行現場に置かれて
冤罪になる可能性はあるんじゃないかと思います。
たぶんDNA主導になると犯罪捜査の技術も下がると思うので
刑事の質も下がるんじゃないかなぁ。

あとそれを管理する人の問題ですね、
このお話でもそうですが、国の要人とされる人物については
このDNAのシステムから除外する
(この人たちが犯罪を犯しても犯人として検索されない)
プログラムにしてあって
現実社会でもどうせそうなるだろうなぁって感じはします。
前々から感じていたことですが
これだけ近代化が進むと
人間が人間を管理するのに限界がきている気がします、
あらゆる欲から解き放たれた超人間みたいな
生物がいるといいと思うんだけど。

さてもう一つの「往復書簡」は湊かなえ著の小説です。
「告白」のヒットで年末の紅白の審査員にも選ばれて
わが世の春を謳歌している彼女ですが
実際、売れていると思います。
図書館の予約数も軒並み3桁だし
本屋さんでは新刊はまず平積みされています。
かくいうわたくしも過去の6作品に全て目を通しました、
結論から言うと「告白」の遺産で持っている
としか言いようがありません。

今回は3つの中編からなるお話で
それぞれのストーリーに関連性はありませんが
手紙のやりとりだけで話が進んでいく点は
全て共通しています、
よって一人称の文体だけで成り立っています。
一人称のいい所は、その人のみの視点だけの描写なので
内容が分かりやすいところです。
それにラストのどんでん返し、
逆にいうとこの二つだけでもっているとも言えます。
この二つは普段あまり本を読まない人を
引きつけるにはとても効果的な方法です。

彼女の小説を読んでいると「シックス・センス」を思い出します。
当時あのトリックは新鮮で、作品もヒットしました。
しかしその後はラストのトリックにばかり
目がいくようになってしまって
それに「シックス・センス」のときのような
斬新かつ腑に落ちるようなラストじゃないと
作品自体も酷評されるようになり
ダメな監督というイメージが定着してしまったことです。

「告白」は、出だしとラストは確かに
衝撃的でインパクトはありました。
でも中盤はそれほどでもなく
その後出した作品とそれほど質的に変わらないと思うのですが
それでも「告白」は面白い作品という感想は変わりません。
だから余程筆力が上がるか「告白」を超えるインパクトがない限り
満足させることはできないでしょう。

だから一人主人公を定めて
シリーズものをやればいいと思うんですけどね。
探偵でも刑事でも何でもいいけど
話がトリックだけに集中しないで
キャラクターに分散されて逃げ場所が増えるんですが。
とはいってもまた新作が出たら読むんだろうけど・・

例の小説について

2010年12月17日 17時24分25秒 | 読書
1週間ぶりに図書館に行ったら
ついつい2時間近くいてしまいました。
本を集中して読んでいると
時間ってあっという間に過ぎていきます、
仕事中もこれだけ進んでくれたらいいのに。

本といえば水島ヒロの噂のあいつが販売されましたが
予想通りの不評の嵐のようです。
あれだけ話題になりそれなりの作品でも
厳しい意見が出るのは致し方ないところですが
あくまでamazonのレビューを見る限り
やはりそれは大賞に値しないもののようです。

評価は5つ星で星の数が多いほど評価できるシステムで
もちろん星1つが最も多いのですが
中には星5つもあってそれを読んでみると
「薄っぺらくてすぐ読めました」
「自分でも小説が書ける気にさせてくれました」といった嫌味な内容で
普通に褒めているレビューを探すのにとても苦労します。
というか最早作品自体よりもレビューを読む方が
楽しめるのではないかと思います。

ワイドショーは全然見ていませんが
この出版をどのように報道しているのでしょうか。
優秀なコメンテーターの方々がこの小説を読んで
どのようなコメントを出すか気になります。
今のテレビの流れだと辛口コメントはできない空気がありますから
「とても不思議な作品」とか「次回も期待しています」とか
上手く誤魔化すことでしょうが。

作者よりもポプラ社の方が許せません。
作品のある程度の評価が出たことで
やはり「水島ヒロ」ありきの賞だったことは間違いなさそうで
いくら社内の賞とはいえ、
文学を扱う出版社が文芸作品として
これを大賞にさせたのはプライドを売ったとしか思えません。
営利活動なのは分かりますが
それならばせめて賞を取らせないで
普通に出版させれば良かったのに。

これを売る本屋さんも複雑な心境ではないでしょうか。
そこで勤めている人は一般人よりも本に愛着のある方が多いでしょうが
自分たちでも面白いと思えない小説が
何の努力もなく一番売れていく現実って
本が好きな人ほど切ない思いかと思います。

これは社会の縮図ともいえますが
人間的にはすごく大嫌いな人間なのに
取引先の重要な人物だから
媚を売らなければいけないのと似ています、
自分を売っているあの感覚です。
こういうときって本当に働きたくなくなります。
普段は出世なんてしたいと思いませんが
これがなくなるなら偉くなりたいかなぁとさえ思います、
出世したら余計にそういう人が増えそうですが。

でも一番悪いのは、話題になっているからといって
買ってしまっている消費者なのかもしれません、
特に普段、小説なんか読みもしないその人たちに。
おそらく1年後にはブックオフに
山ほど積まれてしまう運命になるのでしょうが
この本に使用される紙の無駄が
エコじゃないと感じるのは自分だけでしょうか。

「証言台」

2010年10月23日 17時09分13秒 | 読書
わたしは明日、証言台に立ちます
娘が殺された裁判で。
犯人は娘を含めて、3人の罪なき人を殺しています。

わたしは死刑廃止論者です。
死刑にしても殺された人は戻ってこない、
知性をもった人間が復讐の為に、
しかも国家がそれを公的に行うのは間違っているのではないのか
という思いを信条としてきました。
「蒼きの会」という死刑廃止団体の一員として活動を続けてまいりました。
娘の事件があってしばらくは状況を受け入れられず
ただ呆然と、そうただ呆然と死んだように過ごしていました。

犯人は呆気なく逮捕されました。
48歳の再犯者でした。
20年前、強盗に入ったところを住人に見つかり
口封じの為に2人の親子を殺害し
模範囚として15年の刑期を終え、出所したとのことです。

1ヶ月ほど経った頃でしょうか、
夜な夜な、犯人をメッタ挿しにしている夢をみるようになりました。
はじめは何かの間違いだと思いました、
でも3度目にその夢を見たとき確信したのです、
わたしはあいつを殺してやりたいのだと。

「蒼きの会」の人たちが何人も弔問に訪れました。
表面上は、娘の死を悲しんでくれていましたが、
その奥底ではわたしがどのような心中なのか推し量っているようでした。
すなわち加害者に死を望んでいるのか、ということです。
計画的ではないとはいえ、殺人の再犯で死刑が求刑されても
全くおかしくない状況であります。
そこで加害者側の弁護士が、わたしが死刑廃止論者という点をついてきたのです。
「彼は死刑になっても仕方のないことをしました。
しかしご遺族は死刑制度には反対だという、
それならば懲役を以って罪を償わせたい」と

娘は生前、「蒼きの会」の活動には否定的でした。
もし天国から証言できるとすれば、確実に極刑を望むことでしょう。
今回の裁判は裁判員裁判で、
より被害者家族の訴えというのが、
判決に大きく左右するのは想像に難くありません。
死刑を望まないと、わたしが証言することによって、全ては丸くおさまります。
「蒼きの会」からすれば、世間に向けてこれだけ説得力のある行動はなく
活動が一層と勢いをもつことは間違いないでしょう。
しかし現実に殺された娘の無念、
わたしの死を望む気持ちを偽ることになります。
そこで死刑を訴えた場合、相当の確率で死刑は求刑されるでしょう。
ですが死刑廃止の活動をしているものが、
それに反する訴えをした場合、
所詮、当事者になると主張を曲げるのだなと
「蒼きの会」の活動そのものの価値を問われてしまう、
もはやわたし一個人の問題ではないのです。

わたしはどうしたらいいのでしょうか。
今日まで散々悩み続けて、結局答えはでませんでした。
なので、娘のところに行くことにしました。
もしかしたら娘は許してくれないかもしれませんが
これがわたしのできる精一杯です。
それでは、先立つ不幸をお許し下さい、さようなら。

ショート・ショート「月面着陸」

2010年10月20日 17時25分37秒 | 読書
「もうちょっと遅かったら我々もあぶないところでしたね」
「○国が玉砕覚悟で核爆弾を発射するという情報が
入ってきたときはまさかと思いましたよ」
「でもあそこからの情報が今まで間違いだったことはなかったので
あの後、発射されたことは確実でしょう。
予測では核による汚染によって1年以内に人類は全滅するものと思われます。」
「こういうときの為に秘密裏に非常脱出ロケットを
用意しておいてよかったですね、
地球からの映像も途切れてしまいましたし、おそらく壊滅したのでしょうね」
「宇宙開発を行ってきましたが、本当にこんな日が来るとはね・・・」
「いやむしろこういう形になってよかったのかもしれませんよ、
最近の国民はすっかり堕落していましたから、
自分達の権利ばかりかざして、大して税金も払ってないくせに。
我々のような優秀な遺伝子を持った人間たちによって優生学を実現し
新たな人類の歴史をつくっていくことに、実は期待しているんですよ。」
「そうですね、その為に容姿端麗な女性たちも連れてきましたしね、
私たちももう一頑張りしないといけませんな、ガハハハハ」



「この前から我々の星に奇妙な生物がおるがあれは何だ」
「何でも自分たちの星で争いが起きて、ここまで逃げてきたみたいです。」
「地球とかいうひまつぶしに遊びに行くあの星か」
「えぇ、奴らを一度捕まえて食べたこともあるんですが
これがひどい獣臭がして、肉は硬いし途中で吐き出してしまいましたよ。
地球でも他の生物はほとんど美味しいんですがね、
よりによって奴らじゃ食料にもなりません」
「何だそうなのか、我が物顔で居座りやがって、ミサイルで破壊してしまえ」
「それじゃ、この前開発したばかりのあれを使っていいですか?
それなら1発で十分です。」
「まぁいいけど威力が強すぎないか、また地表に穴あいちゃうぞ」
「今更1個や2個増えても変わらないですよ、
新しいものって使ってみたくなるのが(宇宙)人情じゃないですか。
それじゃいきますね、ポチっとな」



「いやぁ~一時はどうなるかと思ったけどな、
ギリギリで発射踏みとどまってくれて良かったなぁ」
「あぁ発射されたら完全にお陀仏だっただろうな」
「それにしても自分たちだけ月に行った奴ら、どうなっているんだろうな」
「散々、国民の為だなんだ言って結局自分たちだけで逃げちゃうんだもんな~
裏切った罰として地球からの通信は完全に断ってやったから
壊滅したと勘違いしているんじゃねえの」
「だけどあいつらがいなくなって、政治も風通しがよくなって
むしろ良かったんじゃねえの、
議決とかすごく早く決まるようになった気がするし」
「あぁ、それに奴らの財産を恵まれない地域の人たちに分配したら
餓死する人が半減したって話だぜ」
「何だ結局あいつらが一番いらなかったわけか、
この先の人類の未来は案外明るいかもなぁ」

浮気相手

2010年10月15日 17時01分10秒 | 読書
なんで男って胸の大きい子が好きなんだろうね。
また女もそれを見せ付けるような服着て、谷間チラつかせちゃって、
もう盛りのついた牝犬よね。
まぁだからといって、本当はでかいのに小さく見せようとする子の方が
自意識過剰ぶりが鼻について嫌いなんだけどね。
っていうか一樹、胸の大きい子は好きじゃないって言っていたのに、
なんであんたみたいな子と浮気するわけよ、
大体浮気している方から呼び出されるって逆じゃない。

一樹とはどの位付き合っているの?まだ半年!それで離婚して下さいっていうわけ~、
私にはあの人しかいないんです、って言われても。
あなた職業は?・・・フリーターなの、ダメよちゃんと就職しなきゃ。
確かに今は高卒じゃ中々雇ってくれるところないけども・・・
今更そんなこといっても遅いのよ~とりあえず大学くらい出とかないとね。
あたし・・・一応大学は出てるわよ、慶応大学だけど
そんなびっくりされるほど大した大学じゃないわよ、
お受験とかで幼稚園に入るのも大変みたいだけど。
でも最近は全裸で駅の中走ったり、
わたしの時代に比べたらレベルは確実に落ちたわよね。

そんな全然もてなかったわよ、
私こう見えてもバスケ部のキャプテンで、ずっと髪ショートにしてたから
ボーイッシュで女の子からはよくラブレター貰ったりしてたけどね。
最近伸ばし始めたのよ、そんなに似合う?
松嶋菜々子も通ってる美容院に行ってるんだけど、
なかなか予約取れなくてね~

普通浮気された相手から慰謝料って取れるのよね、
でもそんなお金とても持ってなさそうね。
私も働いているわけだし、生活に困らない程度は稼いでいるけど一応貰わなきゃね。
えぇ~あなた何言っているの、そんな簡単に身体を売るとか言っちゃダメよ~、
それしか払う手段がないって、これじゃ私が悪いことしているみたいじゃない、
もういいわよ。

まぁここだけの話、ちょっと一樹には飽きていたし
私も声掛けられないわけじゃないのよ。
あんなにビール腹が出てくるとは思わなかったしね、
そこがいいって、あなたも変わっているわね。
じゃあ次の予定もあるからこれで失礼するわ、
そうねコーヒー代位は慰謝料として払ってもらおうかしら、
それじゃお幸せにね。

もしもし、先ほど奥様とお話させていただきました。
はい、問題なく離婚していただけると思います。
それでは離婚が成立しましたら先日お話した口座に代金をお支払い下さい。
なんで今回はこの方法を使ったかですか、一応企業秘密となっておりますので
あまりお話しすることではないのですが、今回はサービスということで・・・
えぇ、普通は奥様の方に男性をあてがって、離婚に持ち込むケースが多いのですが
その方法もマスコミの影響でバレはじめてしまっていて、
最近中々うまくいかないもので。
特に奥様のようなプライドの高い方には、
自分より確実に格下の浮気相手をぶつけると不思議なことに
うまくいくことが実証されつつあります。
学歴やルックスもそうなのですが、
なんていうか雰囲気なんでしょうか、そういうことを瞬時に察知されるようで
わたくしが今回のようなケースで失敗したことはありません。
逆にお客様のように、本当は男性しか愛せない、と分かったら
それこそ何をされるか分かったものじゃないので・・・
すみません、出すぎたことを申しました。
それではまたのご利用をお待ちしております。

復讐

2010年10月13日 18時12分43秒 | 読書
後藤さん、だなんて他人行儀な呼び方しないで下さいよ、ヒロシでいいですよ、
俺の方が年下なわけだし。
そちらのお名前は・・・末井さん?末っ子の「末」に井戸の「井」、
珍しい苗字ですね、初めてですよ、その名前の人。
えぇ~っと何を話してもいいんですよね。
今日ね、うな重食べたんですよ、しかも国産の養殖じゃないやつ、
やっぱり天然ものは違うね~これ食べたら中国産なんか食べられないよ、マジで。

話は変るけど、2時間ドラマとかで、
家族を殺された人がその犯人を復讐で殺そうとした時、
いいタイミングで刑事が出てきて、
「やめるんだ、そこでお前が殺したら、そいつ(犯人)と同じことになるんだぞ」
って説得して、復讐できないっていうシーンってあるじゃないですか。
あれっておかしいと思うんですよね。
だって自分の家族が殺されたから、お返しで殺そうとしているのに、
誰でもいいからって殺人した奴と一緒なわけがないじゃない、
冷静になれば論理的におかしいってすぐ分かるのにね。
でもそれでやめるってことは、
その人も心のどこかで止めてもらいたいって思っているんだよね、
説得されたから復讐できなかった、って理由付けができるじゃない。
人って理由付けしなきゃ生きていけないよね、
受験に失敗すれば塾に行かしてくれなかったからだとか、
失恋すればこんな顔に生んだ親が悪いだとか、自分のせいにしなきゃ楽だもんね。

え、復讐しても何も生まれないって、そんなの分かっているよ。
俺、死後の世界とか全然信じていないもん、復讐って結局自分の問題でしかないよ。
もし末井さんの大事な人が殺されて、
絶対捕まらないという条件でその犯人を殺すチャンスがあったらどうします?
それで見逃したら罪悪感になりません?殺さないのに罪悪感っていうのもおかしいけど。
逆に、天国にいる娘がそんなこと望んじゃいない、
なんて娘さんのせいにする方がよっぽど罪深いと思うけどね。

でもってマスコミに「犯人を殺してやりたいです」、って言うのはやめた方がいいよね。
なんでって、あんなこと言ったら復讐する可能性が低くなっちゃうじゃない、
そんなこと言う人に警察だって会わそうとしないでしょう、成功しても疑われちゃうし。
だから、もう復讐する気力もない位にボロボロになったように見せるのが一番だね、
死に体と見せかけて油断させて、一気にブスって、そんなドラマみたいにはいかないか。

う~ん、もうそろそろ時間か、楽しい時間は過ぎるのが早いね。
末井さんも次があるんでしょ、俺みたいな人、今増えているんだろうね。
また、どこかでお会いましょう、って冗談面白いね~、
いやぁ~最初はどんな人がくるかと思ったけど末井さんで良かったよ、
さすが国も色々考えてくれているのね。
じゃあ、お元気で・・・


その20分後、後藤 博は絞首刑により、その17年間の生涯を閉じた。



な~に、この話つまんないの~
ゴトウ ヒロシってヒトゴロシのアナグラムでしょう、
「ウ」が余っちゃっているちゅ~の、
ゴトーって言わしたいのかなぁ、どっちにしても強引すぎ。
スエイなんて逆から読ませたいんでしょう、罰当たりもいいところよね。
うな重食べたのも最後の晩餐みたいのを伏線張っているわけよね、
そんなんで、してやったり感出されても困るんですけど。
大体、17歳で死刑だなんて、未来を予兆しているわけ、そんなのなるわけないじゃん、
そんなことしたらいずれは中学生以上は実刑とかになるよ、絶対。
それに不公平だよ、それまでは未成年なら保護観察とかで
済んでたんだからさぁ~。

は~い、すぐ行くからもうちょっと待ってて~。
お母さん、張り切っちゃって、今日の為に10万円もする服、買っちゃって、
あなたが受験するじゃないでしょうって。
でも生き甲斐なんだろうね、娘が有名私立の小学校に入るっていうのが。
今の話に影響されて面接で変なこと言わないようにしなきゃ、
好きなお話は「星の王子様」ですってね、
復習しとかなきゃ。

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