ものずき烏の無味乾燥?文

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細谷十太夫=衝撃隊=からす組

2005-02-26 | 書籍 の 紹介
大佛次郎(1929) 細谷十太夫《からす組》上/下 徳間文庫 1990/03/15
子母沢寛(1957) からす組 上/下              徳間文庫 1987/02/15
村上元三(1970) からす天狗 上/下            徳間文庫 1992/01/15
早乙女貢(1989) からす組                  講談社文庫 1995/12/15

戊辰戦争で仙台の細谷十太夫が単身で香具師や博徒を集め衝撃隊を組織し官軍に一泡吹かせたと云う小説を1971年ごろ読んだことがあります。
昨年その再読も含め4人の作家で同じテーマの小説を読んでみました。
圧倒的優勢な官軍を相手に武器を奪って反撃を加える痛快さがなんといっても魅力です。
細谷がいつもからすを肩に乗せていたので衝撃隊は別名でからす組と呼ばれていました。

 私の父が幼少の頃、細谷はまだ存命で仙台では一目置かれる存在だったと聴いた記憶があります。
仙台は政宗、忠宗の時代に現在の基礎が築かれたと思います。それ以降、林子平くらいしか魅力的な人物はなかなか現われていませんでした。
幕末の混乱期に露呈した仙台藩の無力さには歯がゆい思いがします。
政治判断が出来ずどっちつかずの態度をとる仙台藩に身を置きながら単身で錦の御旗を掲げる圧倒的優位な薩長で編成される傲慢無礼な官軍に対して意地を見せる行動は一般庶民の喝采を受けたことでしょう。

前世紀に4人の作家が20年おきに作品に仕上げているのが魅力の証明だと思います。
仙台の人物で複数の作家が取り上げたのは政宗以来かも知れません。

この中でお奨めするとすれば子母沢寛。もてもての細谷十太夫です。
小説の完成度が高いと感じて読みました。
早乙女貢については現役の作家さんですから評価は控えます。あえていえば会津色が濃い。
徳間文庫の比率が高いようです。この手の時代小説は根強いファンがあると思いますがあまり売れませんので何れも古本屋さんでしか入手できませんでした。大佛次郎は神保町の川村でやっと入手しました。時代小説ファンは見つけ次第買っておくべし。それでないと大きな図書館の個人全集でしか読めなくなってしまいますよ。

2004/05/25 ものずき烏

※母屋から移し変えたコンテンツです。

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