ものずき烏の無味乾燥?文

ブログ発想 LP/LD/CD コレクション作業 進行中。ジャズばっかしじゃないかと言われたら身も蓋もない。

丸谷才一:犬だつて散歩する

2005-04-24 | 書籍 の 紹介
 丸谷才一は好きな作家である。書き下ろしの『たつた一人の反乱』から最新の『輝く日の宮』まで、一応初版で読ませてもらっている。新刊が待ち遠しい現代作家は、ぞっこんだった安部公房の亡き後、村上春樹も楽しんだが飽き、今は丸谷才一だけとなった。
この本『犬だつて散歩する』は、Bで例によって百五円。投資効果は次のとおり。

 雑文の書き方はこんな風に書けばよいと思ってしまった、軽快な文章である。10年ごとの周期で書かれている主要作の小説にも見え隠れする軽快さである。「小説現代」に1985~6年に連載されていたエッセイとの事。わたしにとっては、どうということもない事柄を、独自の文体で綴っている。このテーマの一つ一つが小説に結晶するのであろう。

 ブログを始めてから、文章を綴るのに四苦八苦しているわたしであるが、ブログという雑文を気負わずに軽快に書く参考書となるのではと感じた。
文体をまねてみようとかねがね思っているが、IMEの変換がネックでねぇ。

文章が上手というのは、すらすら読める文章という事らしいが、吉行淳之介もすらすら読めた。でもね、何も残らないんだよ。
(この件、考えてみました。
  読みやすい文章ほど、
  メモを取ることが必要という事のようである。)

丸谷才一 『犬だつて散歩する』 講談社 1986/09/25


...李朝のころ、儒教の徳目(忠、信、孝、悌、礼、義、廉、恥)
...『里見八犬伝』の八犬士(仁、義、礼、智、忠、信、孝、悌)
...ここでふと気づくのは、滝沢馬琴が八犬士で表はした儒教的徳目と朝鮮の徳目とでは、部分的にちがふことですね。諸橋さんの大きな漢字辞典で「八徳」を引いても『八犬伝』と同じ。向うの廉と恥とが、こつちでは仁と智になつてゐる。これは、李朝の支配階級である両班(文官)と徳川期日本のそれである武士との差でせうね。と言つても、両班が清廉で恥を知つてゐたか、武士が仁に厚く智慧の持合せが多かつたか、かなりあやしいけれど。足りないと自覚して、めいめい二つのものを強調したのかもしれない。まあこのへんのことは、立入ると厄介なことになりさうだ。
儒教の研究 p220

2005/04/24 ものずき烏

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