金森俊揮のブログ

日々感じた事、考えた事のうち、外部に発信したいと思うことを書きます。

原油

2008-08-07 22:45:07 | 思った事
原油先物価格があ~だこ~だと、随分前からニュースが盛り上がってますね。

ところで原油のような、ある程度の長期保存可能な商品の先物相場ってどうやって決まるか知ってますか?

教科書的には、

先物価格≦現物価格+保管にかかる費用・・・(1)

です。

もしこの水準より高い場合は、先物の売り+原油買い&保管、で儲かります。

ちなみに、商品を将来必要とする市場参加者(≠投機筋)が商品の在庫を持っていれば、(1)は等式になります。

先物の買い+原油売りで保管費の一部が稼げる、という事です。

さて、現実に戻りましょう。

例えば小麦であれば、上述の理論が成り立つので、現物取引と先物価格の差から保管費が分かるわけです。

投機筋がいくら頑張っても最終的な需要の無い物の価格は上がらないので、長期的には現物取引の価格は実需を反映します。

例えば、投機筋が将来小麦が上がると思って小麦を大量に仕入れたとしても、将来の小麦の需給(価格)が変化しなければ、大損になってしまうわけです。

逆に、投機筋がしっかりとファンダメンタルズを分析して、市場の歪みを修正するように取引をすれば、現物・先物共に価格は理想的な状態に向かいます。

こんな感じで、正常に市場が機能してくれると良いのですが…。

今回の問題は、WTIの原油の価格ですね。

これは先物市場がニューヨーク(NYMEX)にあって、ここに投機筋・リスクヘッジしたい企業・等がうじゃうじゃいます。

取引が活発なのは良い事です。

しかし、WTI原油の現物市場はどうなってるかというと、NYMEXの先物市場の価格を元に、特定の機関によって価格が決定され、その価格で取引されます。

つまり、現物市場においては、実際の需給バランスを元に原油価格は決定されません。

このようなメカニズムのため、投機筋がNYMEXで大幅に価格を吊り上げると、その価格がそのまま現物取引にも飛び火します。

こうなると、先物市場高騰は現物高騰を必ず引き起こすようになり、さらなる価格上昇を予感させるが故に、さらなる投機筋の先物買いが入るわけです。

これが、今回の一連の騒動ではないでしょうか?

今回の場合、アメリカの投機筋規制によって投機の過熱が多少引いてきていますが、この規制も的外れですよね。

世の中では、「投機=悪」のようなイメージがありますが、本来、投機は市場の微妙な歪みを調節する意味では必要な存在なんです。

WTIの現物市場の価格決定方法が実需に対して硬直的という現状が問題なので、そちらをなんとかする必要があったと思うのですが…。

果たして、先物によって現物を決めるという価格決定方法はどのようにして決まったのかは、まだ調べてません。

石油王達が儲かるための戦略だったら面白いのですが…。

ちなみに、あまり気づいてる人はいませんが、この騒動で一番儲かってるのは、投機筋ではなくて彼らなのです。