「放浪記」や「浮雲」「めし」など、放浪作家である林芙美子が好んで色紙に書いた「花のいのちはみじかくて、苦しきことのみ多かりき」の原詩稿が見つかったという。この文句だけを見ると、ものすごく悲観的であり、暗いイメージが残るが、記事によると、「花のいのちはみじかくて、苦しきことのみ多かれど、風も吹くなり、雲も光るなり」とのくだりがあるらしい。この原詩稿の文句を読むと、悲観的な中にも一筋の光を見出している希望感が見受けられる。林芙美子自体、暗いイメージがあるかもしれないが、その中にも希望感を失わなかった片鱗が見受けられる。原詩稿は全部で12行あるとのことであるが、その全てを読んで見たい。
風も吹くなり
雲も光るなり
生きてゐる幸福(しあわせ)は
波間の鷗のごとく
縹渺とたゞよひ
生きてゐる幸福(こうふく)は
あなたも知つてゐる
私もよく知つてゐる
花のいのちはみじかくて
苦しきことのみ多かれど
風も吹くなり
雲も光るなり
なんとも前向きな詩句であろうか。「生きている」ことの「幸福」さは誰もが知っているはずなのに、それを忘れている。また時の無常さも表現されており、無常だからこそ悲観することはないのであると謳っている。この柔らかな詩句に多くの思いがよく詰っている。
風も吹くなり
雲も光るなり
生きてゐる幸福(しあわせ)は
波間の鷗のごとく
縹渺とたゞよひ
生きてゐる幸福(こうふく)は
あなたも知つてゐる
私もよく知つてゐる
花のいのちはみじかくて
苦しきことのみ多かれど
風も吹くなり
雲も光るなり
なんとも前向きな詩句であろうか。「生きている」ことの「幸福」さは誰もが知っているはずなのに、それを忘れている。また時の無常さも表現されており、無常だからこそ悲観することはないのであると謳っている。この柔らかな詩句に多くの思いがよく詰っている。