ファンタジアランドのアイデア

ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。

記憶とアイデアの相乗効果 アイデア広場 その1383

2024-04-27 17:47:01 | 日記


 アイデアを生み出すことは、知的作業の中核になります。新しいアイデアを生み出すことが、あらゆる分野で重要な課題になってきました。アイデアも単なるアイデアではなく、問題解決を目指したものが評価されています。「アイデアを出す能力」と、「アイデアを出し続ける能力」は、どちらも重要になります。この二つのことを簡単に実行できる仕組みをつくり出すことが、成長する社会の課題になっています。新しいアイデアは、頭の中にあるさまざまな考えの組み合わせから作り出されます。このアイデアは、考え続けることによってしか出てきません。アイデアを出し続ける方を観察すると、いろいろな方がいることが分かります。
 たとえば、散歩を習慣にする方に、アイデア出し続ける方が多いことが分かっています。これは、散歩以前に課題を解決するために情報を頭にインプットする作業があって初めて、成り立つ現象になります。情報のインプットがなければ、アイデアのアウトプットは起こりません。このアイデアのアウトプットの現象は、お風呂やトイレ、車の中などで見られますが、大事な点は、情報のインプットになります。ある方は、コーヒータイムの時にアイデアが出ると言います。これを注意深く見ていくと、面白いことが分かります。コーヒーのカフェインは、睡眠物質であるアデノシンを抑制する作用があります。コーヒーは、脳内物質を抑制し覚醒効果と集中力を高める効果があるわけです。社内のコーヒータイム(課題解決に集中している緊張状態の時)に、仲間との何気ない会話(課題解決のヒントに触れる瞬間)に、コーヒーの覚醒効果と集中力が、相乗的に反応し、アイデアが生まれるという現象が生じることもあるわけです。
 最近は、このインプットされた情報にも関心が高まっています。頭の中で処理される情報が多ければ多いほど、組み合わせは多くなります。課題解決に役立つ情報が多ければ多いほど、課題を解決する組み合わせが多くなるわけです。頭に多くの情報をインプットすること、いわゆる記憶のやり方や役割が見直されているのです。古くからある歌を使った暗記法は、「もしもしかめよーかめさんよー」があります。この歌の歌詞を、「いくやまいまいーおやいかさ一」と歌うのです。これは、何かたくさんのことを順番に覚えなければならないときに使われます。「いくやまいまい」は、伊藤博文、黒田清隆、山県有朋、松方正義、伊藤博文、松方正義、伊藤博文という明治の首相交代を示すものです。最近は、マンガが、簡単に全体を把握することに使われます。全体を把握すると暗記する範囲が分かるために、記憶量が容易に高まると言われています。全体を把握して、必要な部分を記憶すれば、効率的になるという趣旨のようです。暗記したいと思ったジャンルを、マンガで暗記のイメージづくりを行うと効果的ということです。
 正確な記憶を重視する人たちは、受験生になります。彼らは、昨日学習した単語を朝にやり、今日学習した単語を夜寝る前に復習し、記憶を確実にしていきます。彼らは、暗記計画のなかに定期テストを入れておくと暗記を成功させる確度があがることを知っています。自分で行う確認の小テストだけでなく、外部から採点される模擬試験も定期的に受けるのです。模擬試験などによる定期的で、頻繁なアウトプットによる長期記憶の定着も、当然のように行うことになります。人間の脳はインプットよりも、アウトプットすることで長期記憶に定着しやすいのです。また、別の方法もあります。単語や漢字、公式などの成り立ちを論理的に理解すると記憶の定着につながります。やみくもに書くだけよりも字の成り立ちを分解して理解しながら暗記すると記憶が定着しやすくなります。たとえば、「にくづき」の部首「月」は体に関わる漢字に使用されます。にくづきの部首「月」は、もともと「肉」の字が簡略化に変化したものです。このようなことを駆使しながら、正確な記憶を高める努力が行われてきたわけです。悲しいことですが、このような記憶法や記憶の内容は、一時軽視される時期がありました。詰込みは、役に立たないとか、無駄な努力だという風潮が優勢になりつつありました。でも、この流れに棹差す人たちが、現在現れているわけです。
 インドの詰込み教育は、有名です。でも、インドの場合、詰め込み型教育とはいえ、授業での質疑応答も活発に展開されています。インドの学生は、教師との応答により、詰め込んだ情報を咀嚼し、応用力を高めていくことができるのです。教えられた内容を鵜のみにするのではなく、教師との応答を十二分に行いながら咀嚼していく過程があります。インド人は対話力に優れ、何かしらの反応を返さずにはいられないところがあるようです。日本では、前に進めることに汲々として、質疑応答に時間を割くことなく終える傾向があります。学生のほうも、積極的に質問することはないようです。知識伝達型は、集めた知識や情報を、問いの展開にどのように生かすのかの配慮が少ない傾向があります。これまでは、頭の中に知識を叩き込むことが重視された時代でした。現在は、教師との応答により、詰め込んだ内容を岨瞬し、その上で効果的効率的に脳に定着させる過程が求められています。一時期、覚えるためにわざわざ頭を使う必要がなくなったといわれました。でも、見方が少し変わりました。新しいアイデアを発想するためには、頭の内部情報との照合が必要です。頭の内部情報をたくさん持っている人ほど、照合をスムーズに行うことができます。そして、たくさんの発想ができるわけです。もともとの知識がない場合は、「ひらめき」とかアイデアが出てくることはありません。暗記をすることの価値が、以前より相対的に低くなったことは事実です。でも、人は、脳にインプットされた知識を材料にして物事を考えます。そのもともとのインプットの質が悪ければ、良いアウトプットは出ません。ここで間違ってはいけないことは、正しい知識を記憶することが今でも大事だということなのです。記憶することと同時に、考えることに能力を使うことが求められています。
 余談になりますが、生成AIが一斉を風靡しています。この生成AIができるアイデイア集めの能力は、凡庸で過度な期待は禁物と言われるようになりました。理由は、アイデアの作り方にあります。これもアイデアの生成過程は、情報を集めて、それを組み合わせる過程があります。その情報は、ウエブのどこかにあるアイデアの寄せ集めに過ぎません。玉石混淆の情報、さらにフェイク情報を含んだネットからかき集めたものなのです。不確かな情報からつくられるアイデアらしきものは、凡庸で、期待できないという意見が増えているのです。もっとも、玉石混淆の情報の中には、有用なものもあるという意見を唱える方もいます。生成AIとの会話の中から、既存の情報の新しい組み合わせを見出すことは可能です。でも、創造ができないことを前提にした使い方を採用する方向になりつつあるようです。生成AIは、知的作業の中核ではなく、周辺作業の効率化に用いる方が多いようです。それらの方は、資料の翻訳や要約、そして文章の校正などに利用しているようです。周辺作業の効率を上げ、それによって節約できた時間を使って、創造的な仕事に専念する流れになります。生成AIの翻訳や要約のスピードは、優れたものがあります。これを、利用しない手はないようです。
 情報は、生のままでは役に立ちません。加工しなければ使えないという発想を、持つことが求められます。この加工は、抽象化とも言い換えられます。抽象化することにより、別の具体的な問題に当てはめやすくなります。抽象化するコツは(1)幹をつかむ、(2)共通点を探す、(3 )相違点を探す、の三つになります。例えば、平和という幹があります。日本とスイスには、平和を求めるという共通点があります。ほかにも、観光重視や自然が豊かなどの共通点があります。相違点は、平和を守るための軍事力の持ち方になるかもしれません。スイスは、各家庭に防空壕を義務づけています。日本は、理性で平和を守れると考えています。どちらの国も、この70年の間紛争に巻き込まれていないことは評価されます。そして、豊かな生活を享受していることです。こんな抽象化を行うと、豊かさを求めるアイデアが出てきます。争いをしないこと、そして危機に備えることになります。大切なことは、おもしろいアイデアが見つかればいいなとか、こんなものがあればうれしいなという感覚になります。この感覚を、満足させる成就感(アイデアを出すことによって得られる成就感)作り出す仕組みを自分が作ることが求められます。自分とは違う分野からの情報を参考にして新しいアイデアをつくりやすい環境が、今は整いつつあります。自分の持っている情報に、異質の情報が加わると、また新たなアイデアが生まれます。この自分の持っている情報を常に蓄積し、その情報と干渉する情報と接触する仕組みを作っておくことも、これからの仕事や生活に必要になるのかもしれません。
 最後になりますが、世界地図のゲームアプリがありました。日本やアメリカのピースを世界地図に入れていくゲームです。小学1年生が、興味を持ってやっていきます。世界の196か国を、瞬く間に埋めていきました。これはこれで、楽しいゲームになります。記憶の精度を高める立場からは、このゲームに連想とか関連という要素を入れてほしいのです。国の名前、首都の名前、人口、輸出の特産物、日本との歴史や現在貿易関係などの項目があると、単に国のピースを埋めるだけでなく、連想のアイテムを入れることにより、関心も高まります。結果として、記憶が定着するようになります。そのような記憶(情報)と新しい情報が干渉しあえば、新しいアイデアや発想が生まれる可能性が増えるかもしれません。そんな遊具やゲームができれば、より面白い遊びになります。