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『北朝鮮に消えた友と私の物語』 萩原遼

2006年05月17日 | ノンフィクション

著者、萩原氏が定時制高校に通っていた頃、朝鮮人の友達ができます。その友人に強く興味を抱いた萩原氏は、朝鮮を知りたいと強烈に思ったのでした。それがすべての始まりです。

戦後多くのインテリがそうであったように、氏も社会主義国家にユートピアを夢見た一人で、共産党に入党します。やがて共産党機関紙『赤旗』の特派員になり、自分も憧れの地ピョンヤンに赴任します。ところが…行動はすべて監視され、会話は盗聴される。次第に北朝鮮の実態を悟り始めます。

かつての友は、夢膨らませ日本から帰国し、北朝鮮にいるはずなのに、行方不明になっていることを知ります。強制収容所もあるらしいことがわかり、最後には自分と妻の命の危険性を察知し、帰国を決意、配置転換に抗議して共産党をスパッと辞めてしまいます。 

萩原氏のすごいところはここからです。北朝鮮のことを調べるため、アメリカに渡り国立図書館に保存されていた160万ページに渡る資料を3年かけて当たったそうです。それによって多くのことが見出されてきました。

北朝鮮の悲惨な実態はいうまでもなく、今まで流布されてきた北朝鮮の国の成り立ちの経緯、在日朝鮮人帰国運動の真意、食糧危機の原因などはことごとく真実と異なっていることを突き止めます。強制収容所の存在を明らかにしたのも萩原氏がはじめてだそうです。

北朝鮮、拉致関連の本は何冊かご紹介させていただき、どれも印象深いのですが、その中でも、最も読み応えがある一冊で、大宅壮一ノンフィクション賞を受賞しています。実にパワー溢れたノンフィクションであり、400ページを超えるボリュームですが、一気に読み終えてしまいました。文学作品として読んでも非常にすばらしいと思います。お薦めします。

そして今日のニュースなのですが、萩原氏は朝鮮総連を批判するビラを配ったことで、日本共産党から「北朝鮮問題で党と異なる見解を表明した」として、除籍されているのです。総連に関して良い印象を持っている人は少ないと思いますが、総連と民団の和解が、拉致問題解決にプラスになるようなものであって欲しいと願うばかりです。

http://tokkun.net/jump.htm
北朝鮮に消えた友と私の物語

文藝春秋

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北朝鮮拉致 :民団朝鮮総連


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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
お腹一杯 (あるぱか)
2006-05-19 00:37:27
本を読みたくなる紹介文と、すっきりとしたブログに好感が持てます。

今まで紹介された本の一覧があると嬉しいのですが・・



北朝鮮など、知れば知る程、嫌になりますね。

「まんせー、」だった人が真実を知り、深く見つめ直した体験は貴重で、信頼性が高いと言えるでしょう。

北朝鮮関連の著述は食傷気味で、お腹一杯って感じですが、読んでみることにします。
はじめまして (mil)
2006-05-18 17:32:20
コメント&TBありがとうございます。



北朝鮮という国は、萩原さんのような人がいて初めて実態を知るコトができる国ですね。

北朝鮮からの外向けに発せられる情報は

どこまでが本当なのか…と疑わしいモノばかりで…。



急速に南北統一で盛り上がってるように

思いますけど、それが拉致問題にプラスに

なるなら…と私も思います。



こちらもTBさせていただきますね!

よければ、これからもよろしくお願いします。

コメント恐縮です (VIVA)
2006-05-18 15:45:44
HIROさん:もちろんNo Problem どころか感謝しております。ありがとうございます。近いうちにご相談させて下さい。



田代かつみさん:こちらこそコメントありがとうございます。



hideさん:骨のあるすごい人です。ぜひお読み下さい。ありがとうございました。
TBありがとうございました。 (hide)
2006-05-18 13:13:44
 なかなか骨のある人もいるものですね。

今度買って読んでみます。
神通川の流れるままに (田代かつみ)
2006-05-18 08:11:49
トラバーありがとう。
ごめんなさい。 (HIRO)
2006-05-17 22:30:33
VIVAさんのコメントに対して勝手に記事

にして申し訳ありません。で、よく再度確かめたら、ちゃんと検索機能がありますね。

書名がはっきりしていたら、それで十分です

ね。ただ、著者名では検索できないようですが。何か参考にならなくてすみませんです。