みちのくの放浪子

九州人の東北紀行

桃青忌

2018年11月19日 | 俳句日記

奥州へ向かう芭蕉と曽良

11月19日〔月〕晴れのち曇り 午後時雨れる

旧暦10月12日は、松尾芭蕉の命日である。
今年は今日がその日にあたっている。
奇しくも新暦の今日は小林一茶の命日でもある。
一茶は終生芭蕉を尊敬し蕉門の末を任じていた。

《ばせを忌と 申すもたった 一人かな》一茶

おそらく、江戸の俳諧仲間に別れを告げ、北信濃
の柏原に帰郷した当初の翁忌の句かもしれない。
しかしその後、一茶社中は北信濃一帯に広がる。
江戸末期を代表する俳諧師である。

小林一茶

話を芭蕉翁に戻す。
偉大な俳人だけに忌日名も、芭蕉忌・桃青忌・翁
忌・時雨忌・はせを忌と多い。

「桃青」は、江戸での俳句修行が成って一門を構えた時の俳号。
「時雨忌」は旧暦十月に亡くなったので、十月の異称がそのまま忌日名となるところが凄い。
「翁忌」は、俳壇では翁と言えばこの人になるから同様に凄い。
「はせを」はご自分の句に好んで用いた俳号。

兎も角も俳句は勿論、文章も筆も俳画も人並み優れた芸術家であった。
爪の垢を煎じて飲みたい。
芭蕉翁と言えば、私は東北の日々を思い出す。

〈そぞろ神 奥思ひける 桃青忌〉放浪子
季語・桃青忌(冬)