路上のポルトレー懐い出す人びと 森まゆみ ****
筆者は作家で雑誌編集者、私と同じ歳の評論家。2020年、コロナ禍で多くの人は身辺にあるいろ...
水と礫 藤原無雨 ***
主人公が自分の孫に言い含めるように伝えるセリフ。「お前の中には、誰かの見た風景が詰まってる。誰かの中にも、お前の風景がある」つまり、人間は一人で生まれて死んでいくのではなく、育てて...
万葉の旅 上 犬養孝 *****
お正月期間は図書館がお休み。そこで取り出したのは我が永久保存書棚にある数冊の本。1974年だったか、犬養孝先生の退官記念講義が大学であった時に、聴講に行って、そのあと慌てて購入した...
ニッケル・ボーイズ コルソン・ホワイトヘッド ****
ピュリッツアー賞受賞「地下鉄道」の作者が書いた作品で、1950-60年代に公民権運動が激しく起こっていたアメリカの少年院で起きた陰湿な暴力・殺人事件を取り上げたもの。主人公は196...
少女モモのながい逃亡 清水杜氏彦 ***
ロシア革命後、旧ソ連では農業の集団農場化が進められた。その時代、飢饉が起きた地方では農民の逃亡が相次いだ。逃亡する農民は都市に逃げ込んだが、そこにも居場所はなく、青年同盟という名の...
菌根の世界 菌と植物のきってもきれない関係 齋藤雅典 ***
陸上に生えている植物の8割には、その根っこに共生している共通する菌根菌がある。それはアーバスキュラー菌根菌。根っこにまとわりつくように見られる丸い白みがかった黄色茶色などの玉、それ...
白野真澄はしょうがない 奥田亜希子 ***
白野真澄というなんだか少し不器用な人ばかりが主人公の5篇の短編小説。福岡の片田舎で助産婦をしている真澄には東京でモデルをしている自慢の妹佳織がいる。佳織は昔から外交的で美人なので周...
競馬に見る日本文化 石川肇 **
競馬好きの作家はたくさんいたそうだ。菊池寛、舟橋聖一、北杜夫、遠藤周作、吉川英治、吉屋信子・・・。中でも、舟橋聖一は東京馬主協会理事を勤めるほどの競馬好き。新聞に4つ、雑誌に13ほ...
孫と伝える「私の昭和史」 まつらみち ****
昭和4年生まれの筆者が、自分の戦争体験を文章で残し、その話を聞いた孫がイラストを描いていて、優しい文章、今の若者に読んでほしい内容。昭和4年生まれの筆者は私の母と同じ年齢で、京都と...
眠れる美女たち (上・下) スティーブン・キング、オーウェン・キング ****
アメリカ東部の田舎町に現れた裸の女性。突然現れたと思うまもなく、二人のならず者を殺害してしまうが、駆けつけた警察署長のライラ・ノークロスに捕縛される。女性の名前は自称イーヴィ、ライ...