工房 手土手 やきもの暮らし

土に触れ、土と戯れる日々の記憶
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素焼き

2011-06-29 15:52:35 | 日記

               6月29日 

 真夏のような気温の中、工房にはクーラーはありません。

涼しい風をくれる扇風機が頼みの綱。

けれど建物の構造上、風さえあれば意外に涼しく過ごせます。

とくに午前中は、「家にいるよりずっと涼しい!」というのがみんなの感想。

さすがに午後2時を過ぎたころからは暑くなりますが、それでも作陶を続けるみんなはえらい

夢中になって、熱中症にならないように、この夏は給水タイムを設けようということになりました。

 

さて、そんな中素焼きの窯づめが始まりました。

           

まだ乾燥が足りないものは、今日の強い日差しの中で天日干し。

素焼きの時は作品を重ねて焼くことができるので、本焼きの2倍近く入れることができます。

あと2・3段棚組みをして、もう少し作品が乾くのを待って、今週末あたり素焼きできそうです。


土 2

2011-06-27 20:32:34 | 日記

陶芸をやる者にとって、は何より大切なものです。

一子相伝の土だけでなく、使う土を掘り尽くせばいつかなくなる・・・・・

私たちが好んで使っていた栃木県の茂木の土も、数年前に採土が中止されました。

そのお知らせを受け取った時、限られた粘土の貴重さをあらためて実感しました。

 どんなに腕があっても、どんなにセンスがあっても、どんなに情熱があっても、

   土が無ければやきものはできないんだから、土を粗末に扱ってはいけない・・・

師匠に言われた言葉も忘れたことはありません。

作品は、成形した後少し乾いたところで削りをかけ、さらに乾燥させて素焼きとなります、

素焼き前のものは、いつでもまた土へと戻ります。

     

また、削り取った粘土も水分を加えて使える状態に戻します。

     

作業台や道具やぞうきんは必ずバケツの中で洗い、その洗い水に含まれる粘土も

沈殿させて、濾してまた土へと再生します。

成形するのと同じくらい、粘土を再生することに時間がかかるわけですが、

師匠が黙々と行っていた姿を思い出し、これを怠ってはいけないと、自分を戒めています。


2011-06-26 16:03:15 | 日記

             土のおはなし 

やきものをやるには、まず土が無くてはなりません。

○○焼きと言われる窯元では、その土地の土を活かしたやきものが行われ、

柿右衛門のように、一子相伝で引き継がれた独自の採土場を持つ窯元もあります。

柿右衛門は正確に言うと陶土ではなく磁土ですが、その独特の黄色がかった磁土は

あの柿右衛門の赤色を引き立たせる、欠かせない要素だそうです。

 

私達のように趣味で陶芸を楽しむ者の多くは、陶芸材料店から粘土を購入しています。

      ひと包み20キロ

白・赤・黒・キメの細かいもの・石の混ざったザラついたもの・・・・

多様な土の中から、数種類を用意しています。

そして、それを単体で使うだけでなく、焼きあがりをイメージして

色々と混ぜて使ったりしています。

工房が休みの今日は、少しだけ時間をとって、粘土の準備を行いました。

 

3種類の土を量って小さく切り分け、それぞれの塊を混ぜて

さらに全体をようく練って、ビニール袋に入れてしばらく寝かせます。

この作業をしただけで、額から汗がぽたぽた・・・・・・

粘土を練るには、タオルの鉢巻きが欠かせない季節になりました。


花を楽しむ陶

2011-06-24 10:34:48 | 日記

工房のメンバーの中には、花好きな方がたくさんいます。

大きな花器から、小さな花入れまで、合わせる花をイメージして一つ一つデザインしています。

 

こちらは作陶展で試作した掛け花入れの改良型。

        

素焼きの後、渋めの釉薬をかけ、裏にマグネットをつけて使うようにするつもりです。

 

こちらはカランコエを植えるつもりの鉢だそうです。

    

ポケットに大好きな犬を入れたデザインにしました。

直に植える鉢は、釉薬をかけてしまうと太陽の熱で熱くなってしまうので、

できるだけ焼き締めにしています。

 この土は焼き締めると、長石が白く浮き上がりザラっとした土味が魅力です。

 


コーヒーカップ

2011-06-22 21:29:59 | 日記

           コーヒーカップのおはなし 

 

     

ご飯茶碗と同じく、コーヒーカップも好みはいろいろ。

たっぷり飲みたい方は大きめのマグカップ。

少しだけ楽しみたい時は、小ぶりのデミタスカップ。

そして、大きさよりも好みが分かれるのが取っ手。

付ける位置や角度、大きさによって重心の位置が変わり、

重たく感じたり軽く感じたりすることがあります。

また、手の大きさによって持ちやすい取っ手の形は変わります。

何より難しいのは、成形する時、実際に持って確かめることができないこと。

焼成する前に取っ手を持ってしまっては、外れて壊れてしまうから。

作り手と使い手の好みがぴったり合った時、その人にとっての良いカップになるのかもしれませんね

 


休日

2011-06-21 09:22:07 | 日記

      

今日は休日。 

たまにはこんな狸のように、一日中ごろっとしていたい・・・

けれど、現実はなかなかそうはいかないもの。

だからこそ、思わず表情が緩む、そんな人形を作りたいと思っています。


ご飯茶碗

2011-06-20 15:15:12 | 日記

              ご飯茶碗のお話 

      

毎日使う ご飯茶碗 は、色も形も大きさもさまざま。

大ぶりでたっぷり入るもの

可愛い色柄のもの

薄く繊細な磁器のもの

高台から口にかけてスッキリと開いたもの、ほっこりまあるいラインのもの

荒い感触の土味のもの

その中で手に合うものを探すコツは、手のひらを上に向け、中指と薬指で高台を挟み、

親指を茶碗の口辺にあてた時バランスの良いものを選ぶ。

そう言われています。

もうひとつのチェックポイントは高台。

伏せて置くこともあるご飯茶碗は、その状態で持ちやすい高台がおすすめ。

私達が作る時も、他のものとは違う配慮をしています。

 

手にしっくりくる自分の茶碗を探すだけでなく

季節やシチュエーション、お腹のすき具合に合わせて茶碗を選ぶ。

そんなふうにいくつもある茶碗の中から、今日の茶碗のを選ぶのも

すてきな楽しみ方ですね。

 

 

 


絵手紙

2011-06-18 19:49:25 | 日記

先日作陶展に来てくれた友人のお母さまから、すてきな便りが届きました。

        

その中に入っていたのが、こちらの絵葉書。私の作品を絵手紙にしてくれたものです。

90歳を超えるお年とは思えない、素敵な文章と、絵手紙作品でした。

もう20年以上お会いしていないにもかかわらず、親しみを込めたお誘いを頂き、

近く、遊びに行くことにしました。

いつか・・いつかね・・と言わずに、このご縁を大切にしたいと思います。


干支の置物

2011-06-17 12:46:53 | 日記

作陶展が終わって一息ついたところで、来年の干支のデザインを考え始めました。

まずは12年前に作った作品を取り出して・・・

       

青いらほ釉をかけた作品で、実物はもう少し青味が強くなっています。 

今年はどうしようか・・・

赤土と白土と、少し形も変えて試作してみました。

   

口を開けた方が良いかな? 

 

もうひとつ、陶芸誌 陶遊 に載っていた阿部和陶さんの作品を参考に

七福神を乗せたタイプを作ってみました。

  

和陶さんの竜は大きく立派なものでしたが、

コンパクトな竜にしたら、ぎゅうぎゅうの七福神になりました。

これじゃ、ちょっと飛べそうにないかな。


作品紹介 3

2011-06-16 09:21:18 | 日記

   

   帽子型の作品は蚊遣り。足つきの小鉢は絵具の絵付け。

 

   

   あじさいの葉脈には粉ガラスを入れてみました。

 

    

    黒い粘土に葉脈をつけ、白化粧にうっすらとビードロ釉を吹き付け。

    後ろのドンブリは、蓋に着いたかたつむりが高台になっています。

 

    

    絵具で絵付け。2枚は透明釉。青いのは、絵付けの上にルリ釉を吹きつけています。

 

     

     黒泥を混ぜた土に象嵌しています。灯りは炭化焼成。

写真から図柄を起こした陶板2枚。愛用のバッグに愛犬を入れたオブジェは粘土を変えて透明釉。

 

     

黒土に乳白釉、その上に絵具で彩色したカップ&ソーサー。すかし模様を抜いた鉢も、同じ方法で。

後ろの作品は、黒土ベースの練込みの灯りと花器。

 

     

黒土や赤土に線刻象嵌。右奥の花器は、丸い壺を轆轤でひき、裏と表を丸くくりぬき、

それが手前の皿になっています。

 

 作陶展は、自分達の作品を見ていただく貴重な機会です。

皆さんがどんな感想をもつか、どんな評価を受けるか・・・そんな不安があるのも正直な気持ちです。

思いがけないお褒めの言葉が力になるだけでなく、もう少しこうした方が良いとか、

ここがこうなっていた方が使いやすい・・・とか、そんなアドバイスもとても参考になります。

私の師匠は、初めての作品展の前に、こう話していました。

陶芸の世界はとても広く、とても奥が深い。

自分より上手な人、良い作品は世の中にあふれている。

だから、隣の誰かより上手だとか下手だとか、そんなことを気にするのは全く無意味である。

作品展では、今の自分の作品を見ていただく、陶芸を楽しむ今の自分自身を見ていただく。

そういう気持ちで臨みなさい。

それ以来、いつも心がけているのは・・・

前作よりちょっとだけでも進歩した作品を。前作とは少しでも違った工夫、違った試みを重ねた作品を。

そして陶芸を楽しむみんなの姿が伝わるような空間を。

心をオープンにして、あらゆる出会いを楽しみたい。

 

次回は2年後。

メンバーみんなは、新たな一歩を歩き始めています。