てっしーずのおでかけ日記

観たこと、聞いたこと、気づいたことを書くよ!

松下幸之助と伝統工芸

2013年03月28日 | 都内のおでかけ
少し間が空きましたが、今回は美術展の紹介です。


展覧会名:開館10周年記念特別展 「幸之助と伝統工芸」
開会期日:2013年4月13日(土)~8月25日(日)
開館時間:午前10時より午後6時まで(ご入館は午後5時30分まで)
休館日:毎週水曜日
入館料:一般:700円 大学生:500円 中・高校生:200円 小学生以下:無料
65歳以上の方で年齢のわかるもの提示:600円
20名以上の団体:各100円引
   障がい者手帳をご提示の方、および付添者1名まで:無料
会場:パナソニック汐留ミュージアム
住所:東京都港区東新橋1-5-1 パナソニック東京汐留ビル4階
公式サイト(※):
幸之助と伝統工芸

先日も汐留ミュージアムには行ったばかりですが、今度はパナソニックというか、ナショナル(とあえていいたい)の本気度100%としか思えない企画展で期待は膨らみます。

書くことはあるのですが、このところ忙しくてなかなか時間が、という状態です。
少しずつ書いていこうと思っているので、どうぞ気長にお待ちください。(ひ)





マシーン日記

2013年03月22日 | 劇場へ
東京芸術劇場リニューアル記念
マシーン日記
2013年3月14日(木)~2013年3月31日(日)
会場
東京芸術劇場 シアターイースト
作・演出 松尾スズキ
鈴木杏 少路勇介 オクイシュージ 峯村リエ
http://www.geigeki.jp/performance/theater017/

久しぶりに松尾スズキの舞台を見てきました。
見ようとしなかったわけではなく、チケットが取れないのですっかり大人計画の舞台は諦めていたというだけの話ですが。
クドカンの人気があんなに爆発する前は公演直前でも取れたのになあ。
今も大人計画のチケットは取りにくいんだろうな、きっと。

「マシーン日記」は12年ぶりの再演だそうですが、以前の舞台も映像も見ていません。
片桐はいりのために書き下ろした舞台と聞いて納得。
人間離れした元体育教師という役も違和感がないだろうと思う。
今回その役を演じているのは峯村リエ。
ナイロンではすっかりおばさん役が増えているだけにギャップが激しいですが、それだけにやってみたかったんだろうなあ。

四人がお互いを憎悪しながらも依存しあって生活するというのは、まさに松尾スズキの舞台という感じでしたが、久しぶりに見ると、過剰になるすぎないよう、かなり抑えたきちんとした芝居という印象でした。

個人的には工場のベルトコンベアが動いている場面をもっとうまく使えたんじゃないか、という気がしました。
とても意味のあるものを作っているようには見えないいい加減な工場と、アナログな機械の音と映像はかなり気持ちがいい。
ベルトコンベアと携帯の着信音や終盤の3号が出動する場面とリンクさせてくれるとよかったのに。

舞台終盤の、弟がなぜ兄から逃げようとしないのか語るシーンを見ながら、こういうモノローグの場面の妙な説得力が松尾スズキの舞台の魅力だったんだよなあ、と思い出しました。(ひ)




超然孤独の風流遊戯 小林猶治郎展 

2013年03月21日 | 都内のおでかけ
超然孤独の風流遊戯 小林猶治郎展
富田有紀子展 
平成25年2月17日(日曜)~4月7日(日曜)
練馬区立美術館http://www.city.nerima.tokyo.jp/manabu/bunka/museum/tenrankai/kobayashi2013.html

昨日見に行ってきました。
美術館の近くの桜も咲いていて、いい雰囲気だったんですが、祝日とは思えないくらい空いているのにびっくりしました。
確かに地味な展示ではあるんですが、20代のときに死を宣告されながら、90歳を超える年齢まで、生きて絵を描き続けていたという人物と、その孫の作品の展示というのは、相当ユニーク。
ふたりの作品はまったく違うようでいて、何か共通点を感じさせるところも面白い。
ふたりの作品を完全に分けて雑然と展示するのではなく、もう少し比較する部分や、家族や知り合いのコメントを増やしたりしてもよかったんじゃないでしょうか。
最近では珍しいくらい生真面目な展示だった気がします。

小林猶治郎という人は自分の絵をまったく売らなかったというんですが、デザインした手ぬぐいやはがきを販売したり、絵を教えたりということはしていたそうです。
手ぬぐいのデザインは絵に近いセンスも感じさせながら、商品らしさをちゃんと追求しようとしている、生真面目なものになっているのが面白い。
絵画の方はというと、若いときは多くの画家の影響が顕著に現れた作品が多く、作品の出来不出来の差も結構大きい。
個人的にはデザイン的な要素を含んでいる作品でした。
特に展示終盤の「達磨さん旅に連れて行ってあげよう」や「一杯」、「一服」、「一睡」は年をとってもまったく説教くさくならないところがすばらしい。
やっぱり、その人柄をもう少し掘り下げて欲しかったなあ。(ひ)


二川幸夫・建築写真の原点 日本の民家一九五五年

2013年03月19日 | 都内のおでかけ
日本の民家 一九五五年 二川幸夫・建築写真の原点/汐留ミュージアム

開館10周年プレ企画展覧会
「日本の民家一九五五年 二川幸夫・建築写真の原点」展
2013年1月12日(土)-2013年3月24日(日)
パナソニック 汐留ミュージアムhttp://panasonic.co.jp/es/museum/exhibition/13/130112/

資生堂ギャラリーから徒歩で汐留ミュージアムに移動しました。
ゆっくり歩いても10分かからないくらい近いので、まとめて見たくなるコースになっています。
途中で鉄道歴史展示室にも何となく寄ってしまうのですが、この日は「成田へ-江戸の旅・近代の旅-」という企画展示を行っていました。
成田鉄道って、中でお酒が飲めたりする優雅なものだったんですねえ。

この日はパナソニックのショールームでイベントが多かったらしく、ミュージアム以外のフロアもかなり混んでました。
帰りに2階の喫茶コーナーに寄ろうとしても、空席がまったくない状態でした。
いろいろ大変で、この建物も売却というパナソニックにはがんばって欲しいところです。
ミュージアムはぜひずっと存続して欲しいなあ。

展示はなぜか「開館10周年プレ企画展覧会」という微妙な冠がついている写真展。
二川幸夫が50年代後半に出版した『日本の民家』という書籍の写真を大きくプリントして展示したもの。
展示はすべて写真、しかもパネルがひたすら続くのみ、というと相当地味に聞こえます。
実際、その想像を超えるくらい地味なんですが、モノクロの民家の写真にぴったりな落ち着いた展示室の佇まい、妙に曲がりくねって空中に続いているパネルの展示方法、一枚一枚についた丁寧なキャプション。
その3つが相まってまったく飽きることのない面白い展示になっているのが不思議です。
最後まで一気に見てしまい、「あれ、これで終わりか? 」という多少の物足りなさは感じるものの、民家の造形や、日本各地の当時の雰囲気がいろいろと想像できる、興味深い写真の魅力が十分引き出される展示に感心することになります。
それにしても、日本各地の気候にあわせて、屋根の形や素材ってずいぶん違っていたものなんだなあ。
昔、漫画で屋根の上に石が乗っているのを見て不思議に思ったことがありますが、地域によっては多くの家がそうしていたんですね。
屋根瓦でなく、石がずらっと並んでいるのを上から撮った写真はとても面白かった。
家と家が異様に密集している京都のようなところもあれば、数件ずつのかたまりがぽつぽつとできている集落もあったりして、この違いはすんでいる人間の性格までも変えるだろうなあと思わせるものがあります。

こうした藁葺き屋根などの古い住宅はほとんど無くなってしまったわけで、日本からほぼ失われてしまった、すばらしい技術だと考えるとため息が出ます。
こうした展示をこの時期にもってくるということはパナソニックも日本の伝統技術に立ち返るという意志の表われだろうか、というのは、勝手な推測でしょうか。(ひ)



川村麻純展

2013年03月18日 | 都内のおでかけ
第7回shiseido art egg
川村麻純展
2013年3月5日(火) ~ 28日(木)
資生堂ギャラリー
http://group.shiseido.co.jp/gallery/exhibition/index.html

今年初めて見たshiseido art eggですが、これで三つの展示をすべて見たことになります。
個人的な好みでは久門剛史展が一番でしたが、受賞作品がどうなるか楽しみです。

今回の川村麻純展は映像と写真を使った作品。
「母と娘」、「姉妹」をテーマにしています。
そういう作品には苦手なものが多いので、二、三十歩退いてしまうところがあるのですが、そんな個人的な好みは抜きにしても、ちょっともったいない作品だという気がしてなりませんでした。
作品は3つあり、いずれもシンプル。
ひとつは妊娠している女性を写した写真。
そして、二つ目はその妊娠している女性と母がふたつのスクリーンに写され、「子供」を通じて、それぞれ母や娘に対する思いを語るモノローグを聞くというもの。
更には姉妹で同じように、互いに対して語るというもの。

作品に登場する親子や、その語られる内容などがどこまで本当か分からない、という作品になっていますが、そのことが作品の根底を揺るがすような面白みにはなっていないし、単調で長い語りは正直すぐ退屈してしまいました。
すぐに飽きてしまったのは、多分に私が姉妹のいない鈍感な親父なせいだと思うのですが、もうちょっと工夫の余地があった気がします。
女性が見ると、うわべだけ綺麗ごとを話している、その奥に見えるドロドロした底なし沼のような感情が分かるのかなあ。
だとすると面白いのかもしれないけど、そんなの分からないほうが人楽しい気もするなあ。
能天気なオヤジとしては。(ひ)




エドワード・スタイケン写真展

2013年03月13日 | 都内のおでかけ
Edward Steichen

エドワード・スタイケン写真展
モダン・エイジの光と影1923-1937
2013年1月26日~4月7日
世田谷美術館 1階展示室
http://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/exhibition.html

写真の展示というのは大抵空いていますが、この企画展も非常に見やすい状態になっていました。
「米国写真界の巨星、エドワード・スタイケン」というフレーズを聞いてピンとくる日本人はどのくらいいるものなんでしょう。
いわゆるアーティスティックな写真ではなく、『ヴォーグ』と『ヴァニティ・フェア』というアメリカを代表する雑誌のための写真を撮り続けていた人です。
それぞれファッション誌と男性向けの総合雑誌ですが、どちらも高級感があり、おしゃれ。
スタイケンが仕事していた1923年から37年までのアメリカ文化を代表する役者、劇作家、映画監督、スポーツ選手たちが当時のファッションに身を包んだ颯爽とした姿がずらっと並んでいます。
1920年代から30年代のアメリカ文化に興味ある人は少なくないはずで、もっとそちらを売りにしてチラシを作ったらよかったのに、と思うのは余計なお世話でしょうか。

この当時の映画や舞台をあまり知らない私でも分かる人はそれなりに多かった気がします。
キャプションが詳しく丁寧なのも良かったです。展示を見ていると、セシル・B・デミル、チャップリンといった人たちに並んでノエル・カワードやルビッチ、フリッツ・ラングといった名前が思いの他、多く登場することが気になりました。
ノエル・カワードといえば、いかにもイギリスといった本を書くイメージがあるのに、アメリカでも一部の人びとには十分認識されていたということなんですね。
フリッツ・ラングはアメリカに行って、娯楽的な映画を撮らざるをえなくなったはずなのにこういう「お洒落な方々」の読む雑誌にもかかわりがあるというのも意外といえば意外。

それにしても、ルビッチやルネ・クレールの映画で見ているはずの役者もほとんど覚えていないなあ、と自分の記憶力のなさに愕然としました。

印象に残る写真ばかりでしたが、特に気になったものといえば、まずはガーシュイン。
斎藤憐の「アメリカン・ラプソディ」の印象が強いので、写真を見て改めて確かにいい男だと納得。
もうひとつ、というか複数の写真に登場しているリー・ミラーもやはり印象に残ります。
彼女の波乱万丈の人生の、まだスタート地点という感じの美しきモデル時代のもの。
20年代から30年代というと、アメリカがもっとも華やかだった時代から大不況に陥り、やがて戦争の国へと変貌を見せていく時代。
エドワード・スタイケンはその後、商業写真をやめて戦場での写真を撮るようになっていったというのは話ができすぎているように感じるくらいです。

これだけおしゃれな仕事をしていたのに、彼自身も彼がもっとも崇拝していたモデルのマリオン・モアハウスもファッションに興味がなかったというのは面白かった。
その距離感が良かったんでしょうか。(ひ)



フランシス・ベーコン展

2013年03月12日 | 都内のおでかけ
フランシス・ベーコン展
2013年3月8日(金)‒ 5月26日(日)
東京国立近代美術館
http://bacon.exhn.jp/

土ぼこりが舞っていた日曜日に見てきました。
といっても、お昼過ぎに竹橋駅に着いて近代美術館まで歩く以外は夕方まで建物の中にいたので、そんな天候だとは知りませんでした。
花粉症なので元々外出時にはマスクをしていますし。
そういえば、常設展示室にある「眺めのいい部屋」から見た皇居付近は確かに走っている人の数が少なかったかも。
でも、数人は見たからすごい根性で走り続けてたということなんだろうなあ、あの人たち。

ベーコン展ですが、現代美術の展示でしかも、序盤ということを考えると結構な数の人が入っていました。
やはり若い人が多いし、女性の姿が目立ちました。
展示作品数が少ないのはみんな分かっているし、見てすぐに感想が出てくるようなものではないので、みんな作品の前に立つ時間が長い。
アーティスト自身の意向でかなり反射するガラスの入った展示が多かったので、みんな見る角度を変えたり、近寄ったりひいてみたりと、どうしても動きたくなってしまう。

ベーコンの作品をどう捕らえるか、というのは人によってまったく違うのでしょうが、私個人は「見ることの楽しみ」を与えてくれる画家という印象を受けました。
人の目が最初に捕らえた瞬間と、それが何なのか認識した後では物の見方がだいぶ変わるものだとおもうのですが、ベーコンの作品を見ると、人の姿が「人間」という学習された造形でなく、動きのある事物を目で捉えようとする瞬間の揺れがそのまま絵になっているように見えたのです。
単純な考え方だとはおもいますが。

「裸体」を見て、ふと以前読んだジェイン・アン・フィリップスの短編小説に出てきた肉体の描写を思い出しました。
人の体の滑らかさを描いているのに、同時に気持ち悪さも感じる文章でした。

近代美術館ではベーコン展をもっと楽しむための連続講演会を開くくらいの力の入れようですが、個人的にはあまり知識を増やさず勝手に見て勝手に楽しむのが一番という気がします。
まず感覚的に十分楽しんだ上で、知識を入れるのならいいかもしれませんが。
そのくらい感覚を刺激される展示でした。
タカ・イシイギャラリーのベーコン展もぜひ見に行かないと。(ひ)

特別展「飛騨の円空―千光寺とその周辺の足跡―」

2013年03月11日 | 都内のおでかけ
東京国立博物館140周年 
特別展「飛騨の円空―千光寺とその周辺の足跡―」
本館 特別5室 2013年1月12日(土) ~2013年4月7日(日)
http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1556

うーん、なるほど。こういう特別展か、というのが正直な感想。前回、国立博物館に行ったときの感想にも書きましたが、この小さな特別展を数多くやるというのには疑問です。
円空の仏像をこれ以上集めるのが無理だったとしても、同時代の仏像や円空に多少なりとも影響を与えたであろう仏像や絵画、あるいは円空の影響が見られる作品といった関連作品や資料を含めた大きな展示にして欲しかったという失望感の方が先に立ちます。
文化村の「白隠展」がとてもよかっただけに、その差は大きいですね。
まさか、こういう展示で国立博物館がこんなひどいことになるとは。
会場のそこかしこで、「まさか、これで終わり・・・・・」という声が上がっていました。

という、がっかり度の高い展示ではありましたが、展示されている円空の仏像はすばらしいものでした。
保存状態のいいものが多く、すべての像が生き生きとしている。
その表情もポーズもすべてが動きの途中にあるようで思わず見入ってしまう。
確かに一体一体違うが、どう違うのか説明しがたい「三十三観音立像」も印象に残るし、「千手観音菩薩立像」の、どこからどこまでがひとつの像か分からないのもすごい。
http://enku2013.jp/highlight.html

円空の仏像のプリミティヴさに惹かれるのはもちろんですが、それ以上に彫られた線の多さから生まれる力強さ、躍動感に圧倒されました。
表面がきれいに磨き上げられた仏像にはない魅力です。

それにしても、大きく立派な仏像が狭い展示室にあると違和感が正直あるのに、円空の仏像はこんな展示方法でも全然違和感がなかったのはなぜなんでしょう。

円空については不明な部分が多いのでしょうが、それでもぜひ国立博物館にはもう一度しっかりした企画展示を行って欲しいところです。(ひ)




館蔵浮世絵に見る さくらいろいろ.

2013年03月08日 | 都内のおでかけ
館蔵浮世絵に見る さくらいろいろ
1月26日~3月10日
たばこと塩の博物館
http://www.jti.co.jp/Culture/museum/exhibition/2012/1301jan/index.html

山種美術館から恵比寿駅方向に徒歩で移動しながら、途中で線路沿いの道を右に折れて、お昼を食べるところを探そうとしているうちに渋谷まで着いてしまいました。
渋谷も新南口駅周辺はそれほど活気がないものですね。
途中の道も散策するにはちょうどいいくらい(電車を除けば)静か。
結局、渋谷でお昼を食べた後、タワーレコードに行くと、最上階にあった洋書のコーナーが2階に移動していました。
ずいぶん来ないうちに、すっかり縮小されてたんですねえ。
スペースの半分くらい喫茶店に奪われ、洋書は喫茶店の雰囲気作りになっている感じ。
小説はほとんどが文学になってしまい、洋書とその翻訳書が一緒に並んでいる。
こういう品揃え、って多分、本を売る気がなくなっているということですよね、きっと。
雑誌のコーナーも相当減っていましたが、MOJO辺りの音楽系雑誌はまだおいてありました。
洋書はネットで買ったほうが基本的に安いんですが、できれば現物を確かめてから買うようにしたいので、ここは貴重な存在なんだけどなあ。
立ち読み用のビニールコーティングされていない雑誌もあるし。

少しがっかりした後は「たばこと塩の博物館」に寄りました。
すぐ近くのTWS渋谷がお休み中なので、くる機会が少し減っていますが、今回の展示は見逃せません。
100円(割引券を使えば半額の50円)で浮世絵をたっぷり楽しめます。

桜の下に庶民が集まって花見するという習慣は徳川家が作ったようなものだけに、浮世絵には多くの桜が描かれています。
しかもソメイヨシノが登場したのは江戸後期で、昔はいろんな種類の桜が時期をずらして咲く様子を楽しめたようです。

展示されている作品は歌舞伎に登場する桜、桜の模様の入った装飾品、挿絵として描かれた作品など多岐に渡っています。
挿絵ということもあってか、北斎の作品にも他のものほどのアクが感じられず、印象に残ったのは鈴木春信や 磯田湖竜斎でした。

http://www.jti.co.jp/Culture/museum/exhibition/2008/0812dec/pop_0104.html

昔の桜が東京のどの辺りに残っているかを説明したパネルを見ていると、年配の男性に近代美術館の近くにいい桜が残っていると教えていただきました。
じゃあ、フランシス・ベーコン展は桜の時期に行こうかな、と思いましたが、その桜はソメイヨシノと時期がずれるのかもしれません。
いったいいつ頃なんだろう。(ひ)




特別展 琳派から日本画へ―和歌のこころ・絵のこころ―

2013年03月06日 | 都内のおでかけ
特別展 琳派から日本画へ―和歌のこころ・絵のこころ―
2013年2月9日(土)~3月31日(日)
〔前期:2月9日(土)~3月3日(日)、後期:3月5日(火)~3月31日(日)〕
山種美術館
http://www.yamatane-museum.jp/exh/current.html

「琳派から日本画へ」というタイトルのつけ方が今回もうまいですね。
最近の山種美術館は目玉になる展示のいくつかを他の美術館から借りてきて、自分のことろの所蔵作品を新しい切り口で紹介するということに成功してますが、この企画展示もまさにそんな感じでした。
自前の古筆コレクションと琳派に影響を受けた日本画だけだったら相当地味だったはずですが、そこに他館の琳派作品を組み合わせることで、歴史の流れのようなものさえ感じさせてしまうから不思議です。
五島美術館の展示を思わせる序盤の古筆コレクションに登場する紀貫之の名前が後半にも登場したりするのも印象に残るし、書から琳派作品、そして、明治以降の日本画と変わっていくタイミングの速さも飽きさせません。
この美術館の唯一の問題は展示スペースが狭いということくらいです。
あっという間に見終わってしまうんですよねえ、正直な話。
でも、もう少し見たいと思わせるくらいがちょうどいいのかな。

一番印象に残るのはやはり酒井抱一の「秋草鶉図」でしょうか。
http://www.yamatane-shop.com/product/292

月が元々黒で描かれたかどうかは確証はないようですが、この切り抜いて作られたような平面的な感じがすごい。
しかも秋草や鶉とほぼ変わらない低いところにあるのが圧倒的な存在感を生み出しています。
そんなすばらしい作品に負けない完成度を感じた日本画というと、やはり速水御舟でした。
http://www.yamatane-shop.com/product/346

まだ寒く厳しい冬が続いていることも、その中にわずかでも確かな春が存在している喜びも感じさせてくれる作品です。
まるで鎌のように尖った月の存在感もすごい。

それにしても、春になると、かつての山種美術館ではすぐ近くで桜を楽しめたことが思い出されます。
以前美術館があったところは今どんな感じなんだろう。(ひ)