今回はかなり地味な芝居の紹介です。
1936年にイギリス劇作家、テレンス・ラティガンの手で書かれた作品。
最近この本を読む機会があって、内容のすばらしさに圧倒されていたところに、たまたま上演されるということを知り、見に行ったのです。
俳優座LABO公演というのは若手中心の公演のようで、場所も稽古場を使っています(結構小さい場所です)。
本に忠実に、派手な演出や装置はなく、舞台にはシンプルにいくつかのテーブルや椅子が並んでいるだけ。
これで内容が退屈なら眠ってしまいそうですが、すごくよかった。
やっぱり本がいいというのはすばらしい。
舞台はイギリスの、とあるホテル。
2つの話があるのですが、最初は、そこに泊まって雑誌の記事を書いている男と、男を訪ねてくる女の過去をめぐる物語。
もうひとつは、やはり、そこに泊まっている少佐の物語。
どちらの話も過去にひきづられ自分を偽り生きてきた人々が、その過去に向き合うことになるというもの。
特に後半の、他人に心を開けないために自分が元少佐だと嘘をつきつづけ、女性とうまくコミュニケーションをとれないことから痴漢行為をしてしまう男の話が印象に残りました。
彼が嘘をつきづけている姿は痛々しささえ感じるのですが、その話を嘘だと分かっていながら、素直に話を聞き続ける回りの人々の様子が更に痛々しいのです。
単なる「やさしさ」でなく、それぞれの登場人物が少佐と別の形で過去をひきずり、自分を偽りながら生きているからなのでしょう。
などと書くと説教くさい芝居に見えるかもしれませんが、芝居そのものは気軽にみられる喜劇です。
公演は終わってしまいましたが、興味をもたれた方は本だけでも、ぜひ読んでみてください。(ひ)
1936年にイギリス劇作家、テレンス・ラティガンの手で書かれた作品。
最近この本を読む機会があって、内容のすばらしさに圧倒されていたところに、たまたま上演されるということを知り、見に行ったのです。
俳優座LABO公演というのは若手中心の公演のようで、場所も稽古場を使っています(結構小さい場所です)。
本に忠実に、派手な演出や装置はなく、舞台にはシンプルにいくつかのテーブルや椅子が並んでいるだけ。
これで内容が退屈なら眠ってしまいそうですが、すごくよかった。
やっぱり本がいいというのはすばらしい。
舞台はイギリスの、とあるホテル。
2つの話があるのですが、最初は、そこに泊まって雑誌の記事を書いている男と、男を訪ねてくる女の過去をめぐる物語。
もうひとつは、やはり、そこに泊まっている少佐の物語。
どちらの話も過去にひきづられ自分を偽り生きてきた人々が、その過去に向き合うことになるというもの。
特に後半の、他人に心を開けないために自分が元少佐だと嘘をつきつづけ、女性とうまくコミュニケーションをとれないことから痴漢行為をしてしまう男の話が印象に残りました。
彼が嘘をつきづけている姿は痛々しささえ感じるのですが、その話を嘘だと分かっていながら、素直に話を聞き続ける回りの人々の様子が更に痛々しいのです。
単なる「やさしさ」でなく、それぞれの登場人物が少佐と別の形で過去をひきずり、自分を偽りながら生きているからなのでしょう。
などと書くと説教くさい芝居に見えるかもしれませんが、芝居そのものは気軽にみられる喜劇です。
公演は終わってしまいましたが、興味をもたれた方は本だけでも、ぜひ読んでみてください。(ひ)