Dishes Are Burning ~燃ゆる皿~

宇宙、そこは最後のフロンティア。UFO時代のときめき飛行、動くなよ、弾が外れるから。

年の瀬に別れの詩(ブルース)をどうぞ

2020-12-31 21:36:27 | 日記
もはや毎年年末しか更新してないと思いつつ、開き直っていつものくだらない話を始めるのであった。


TV時代劇『必殺』シリーズといえば各々オープニングナレーションが印象的である。
幕末を舞台にした『必殺からくり人・血風編』は、「さよならだけが人生か」という一節で始まる。
七五調の響きといい、どこか哀感漂う詩的な言い回しといい、何か引用元がありそうだと思いながらも、
所詮文学に疎い無教養な輩の悲しさ、それを知る事もないまま長い年月が過ぎていたのだが、
今年偶然にして原典に辿り着いたのである。…いやいや今更か。

元になったのは、井伏鱒二による漢詩の訳詩である。


コノサカヅキヲ受ケテクレ

ドウゾナミナミツガシテオクレ

ハナニアラシノタトヘモアルゾ

「サヨナラ」ダケガ人生ダ



原詩は次の通り。


勧 酒(酒を勧む)  于武陵


勧 君 金 屈 巵    君に勧む金屈巵(きんくつし)

満 酌 不 須 辞    満酌辞するを須(もち)いず

花 発 多 風 雨    花発(ひら)けば風雨多し

人 生 足 別 離    人生別離足る



君に勧める金の盃、このなみなみと注いだ酒をどうか遠慮しないでくれ。
花が咲けば風雨に遭う事が多いように、人生には別れがつきものだ…
と、大体こんな内容である(多分)。
あくまで詩の主題は酒を勧める事にあるとされているようだが、
それにしては後半の無常感との対比が印象的で、私にはどうにも別れの詩のように思えてしまう。
特に最後の一句は、この歳になると心に冷たく染み入るものがある。



今年も良い事は何もなかった…と思ったが、
新型コロナウイルスの世界的流行という間違いなく人類史上に残る出来事が未だ進行中の現状では、
生き延びる事こそ幸せなのかも知れない。
その意味では、来年も現状維持できますように…。

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