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小股の切れ上がったサウンド - Awa Come

2010年11月13日 | みみよりめより
チャットモンチーのデビューはミニ・アルバム、「chatmonchy has come」。今回のミニ・アルバム「Awa Come」の「come」はデビュー・ミニ・アルバムのタイトルを意識したものらしい。

今回購入したのは初回版、「ここだけの話」のPVとレコーディングのオフショット満載。このオフショット映像に関してはデビュー当時彼女たちの音楽プロデューサーを務めていた元スーパーカーのいしわたり淳治氏が、「たぶんこれ(Awa Come初回盤のDVD)を見たらチャットモンチーが いかにナイスな生き物かが伝わると思います 法律で保護した方がいいんじゃないかなと 思うくらいに貴重な生き物なんだよなあ」とご自分のブログ、KIHON THE BASICで語っています。氏は以前からチャットモンチーのものすごく自然な生き方を絶賛していますね。

今回のアルバムは地元徳島の個人経営のスタジオですべて録音したものですが、すごーくのんびりした雰囲気の中で、まるで生きた「ゆるキャラ」のような3人が、会話こそゆるーいが議論に議論を重ねすごく丁寧に音づくりをしていく。彼女達のサウンドは橋本絵莉子のものではなく、高橋久美子のものではなく、福岡晃子だけのものでもない、3人の個性が重なり合って生まれたもの、その過程がよくわかります。

今回のアルバムで特に感じたことですが、彼女たちのサウンド、ルーツは阿波踊りにあるかもしれないですね。阿波踊りの激しいリズム、そしてそれと相いれないような伸びやかさ、今のことばて言えば「ゆるさ」との絶妙なコラボレーション、それを見事にロックの世界に反映させているのがチャットモンチーじゃあないでしょうか。

彼女たちの演奏上の特徴はあっこ(福岡晃子)のリード・ベース、えっこ(橋本絵莉子)のリズム・ギター、そしてクミコン(高橋久美子)の小気味よりドラム、というところですね。クミコン、いわゆる「ドラム缶」のような胴長のバスドラ、最近フロアータムも2基にしたみたいで、なかなか要塞のようなドラムセット。切れ味鋭いとかシャープとか、そういったちょっととんがった言葉づかいより、小気味よさとか、そうですね、一番気に入っている形容は「小股の切れ上がった」かなあ。歴史好きということもあって、なんとなく「鐘と太鼓」の「チントンシャン」と通ずるものを感じる……このドラミングが「リズム」と「伸びやかさ」のかなめですね。

3人ともなかなかいい歌詞を書くのですが、やはり、詩人としてもデビューした(?)クミコンの歌詞は秀逸。彼女の代表作は「サラバ青春」とか、「親知らず」があげられると思いますが、今回のアルバムでは特に「青春の一番札所」がいい。「伸びた学食のうどん」のイントロだけでグッとくるものがある。ノスタルジックなストリーテラー健在。