ネタばれせずにCINEるか

かなり悪いオヤジの超独断映画批評。ネタばれごめんの毒舌映画評論ですのでお取扱いにはご注意願います。

美しき結婚

2008年12月22日 | ネタバレなし批評篇
喜劇と格言シリーズの作品群に登場するヒロインは同一人物をモチーフにしているのだろうか。とにかく自己中で見栄っ張り、プライドが高いくせに一人ぼっちに滅法弱い。思い込みがとびっきり強いので、遊びと本気の区別もつかない恋愛堅物女。メールの返信を1回でもし忘れようものなら、ドアの前で膝をかかえながら何時間も男の帰りを待っているような女たちは男に言わせれば超ウザイ存在なのである。

妻子のあるシモンと体だけの関係を続けていたサビーヌ。相手もいない内からシモンや母親に「私結婚するの」宣言するサビーヌは、ちょっと精神不安定気味の女子大生。遊びで近寄ってきた弁護士に、結婚を迫らせるべく骨董品売買に便宜を働いたり、いきなり誕生日会に男を招いたりする。そんな崖っぷち女の必死さに当然男の方はたじろいでしまうのだが、サビーヌはおかまいなしにストーカー電話をかけまくった挙句、弁護士の仕事場にまでおしかけてしまう。

どんなに美人ちゃんでも、こんな女の子に言い寄られたら一辺で熱が冷めてしまうのが男の性というもの。本作品を含めたエリック・ロメールの<喜劇と格言シリーズ>は、そんな女性に対する“戒め”を発しているような気がするのだが、一方では恋愛ベタな女性たちの共感を呼んでいるのも事実であろう。「前にすわっているあの仕事ができそうな彼はきっと私に気があるんだわ」懲りない女の妄想癖にむけるロメールのまなざしがやさしい1本だ。

美しき結婚
監督 エリック・ロメール(1982年)
〔オススメ度 

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