ネタばれせずにCINEるか

かなり悪いおやじの超独断映画批評。ネタばれごめんの毒舌映画評論ですのでお取扱いにはご注意願います。

いとこ同士

2017年11月23日 | なつかシネマ篇
ゴダールやロメールと親交の深かったヌーベルバーグ一派の映画監督クロード・シャブロル。私は本作ではじめてこの監督の作品にふれたが、ロメール作品とはまたちがった俗っぽさに奇妙な魅力を感じる1本である。 田舎から出てきた好青年シャルル(ジェラール・ブラン)が受験のためパリに住む従兄弟のポール(ジャン=クロード・ブリアリ)宅に下宿することに。そのポールはといえば同じ受験生にもかかわらず夜毎パーティ三 . . . 本文を読む

ヘッドライト

2017年11月22日 | なつかシネマ篇
『地下室のメロディ』『シシリアン』での名コンビ(監督アンリ・ヴェルヌイユとジャン・ギャバン)と言えばピンとくる方も多いのではないだろうか。本作はそのジャン・ギャバンが、まだ主役を張っていた頃のラブストーリーである。 原作では、パリとボルドーを往復するトラック運転手ジャンの不倫を苦に妻ソランジュが自殺。その死の嫌疑が夫にかかり、愛人クロが不倫発覚をおそれて街道筋の宿屋に身を隠すといったストーリ . . . 本文を読む

女が階段を上る時

2017年07月23日 | なつかシネマ篇
なぜか成瀬のミューズとは呼ばれない高峰秀子が、銀座のバーに雇われるママに扮したメロドラマ。 海外で評価されることもほとんどなかった成瀬だが、「大した事件も起こらないのに何故か最後まで見てしまう」映画を撮るジェーン・オースティンのような監督である。 小津や溝口の映画を外国人のみなさんが見ると、禅的映像美の中に芸術性を見出すそうなのだが、成瀬が描くのはあくまでもどこにでもいそうな市井の人々。 . . . 本文を読む

泥の河

2011年09月20日 | なつかシネマ篇
フリーの助監督から映画監督になった珍しい経歴の持ち主・小栗康平のデビュー作。1981年の公開当時、国内外の各賞を総ナメにした本作は、宮本輝の同名小説を映画化している。主人公の少年をはじめとする子供たちの、とても演技とはおもえないナチュラルな演出が評価された1本だ。 昭和31年の大阪。河べりで大衆食堂を営む晋平(田村高廣)と貞子(藤田弓子)の夫婦。晋平は、歳をとってからでさずかった一人息子・信雄が . . . 本文を読む
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チャイナタウン

2011年09月14日 | なつかシネマ篇
モーレイ水道局長の愛人探しとその局長本人の殺害事件は一見密接な関係があるようで、実はまったく関係のない別々の事件であるため、見ている方は少々混乱するかもしれない。私立探偵ジェイク・ギデスを演じたジャック・ニコルソンや本物のモーレイ夫人を演じたフェイ・ダナウェイの存在感が際立っているため、米国版フィルム・ノワールの傑作と位置づけられてはいるが、(局長殺人事件とはほとんど関係のない)××××オヤジの○ . . . 本文を読む

フランティック

2011年09月02日 | なつかシネマ篇
ロマン・ポランスキーによるパリを舞台にしたロマンチック・サスペンス。講演でパリを訪れたアメリカ人外科医ウォーカー(ハリソン・フォード)と愛妻サンドラ(ベティ・バックリー)。ホテルでモーニング・シャワーを浴びている間、妻が謎の失踪をとげる。フランス警察やアメリカ大使館の官僚的な対応に嫌気がさしたウォーカーは、事件の発端となったスーツケースの持ち主ミシェル(エマニュエル・サニエ)の協力を得て、サンドラ . . . 本文を読む

愛を乞うひと

2011年05月26日 | なつかシネマ篇
物語は戦後間もない昭和20年~30年代と現代(といっても本作が公開されたのは1998年)の日本&台湾を行き来しながら、母・豊子と娘・照恵(原田美枝子の一人二役)の愛憎をつづったヒューマン・ドラマである。 台湾人のアッパー=父親・文雄(中井貴一)に引き取られた照恵は、父が病死してからしばらく施設に預けられていたが、母の豊子が突然あらわれ引き取られていく。しかし、男を変える度に住居を転々としていた豊 . . . 本文を読む

真夜中のカーボーイ

2010年06月22日 | なつかシネマ篇
最近のメジャーなハリウッド映画ではめっきりお目にかかれなくなった社会的マイノリティを演じさせたら、ダスティン・ホフマンの右に出る俳優はおそらくいないだろう。ゲイでビッコで肺病もち、しかもチビで一文なしときたら、普通の俳優なら映画会社からオファーがきても間違いなくお断りするにちがいない超汚れ役だ。有閑マダム相手の男娼を夢見てニューヨークにやってきた何ちゃってカウボーイ・ジョー(ジョン・ボイド)と、ち . . . 本文を読む

HANA-BI

2010年06月14日 | なつかシネマ篇
北野武は本当に優れた映画監督なのだろうか。ヴェネチア金獅子賞受賞の本作は、タイトルのつけからして外国仕様、台詞を極力排除した演出はフィルム・ノワール風で、いかにも海外マーケットを意識した作りになっているせいか、日本における興行はいま一つ観客の受けもあまりよろしくなかったようだ。北野自身が絵筆をとったといわれる、うまいんだか下手なんだかよくわからないアートも、芸術のフリをしたあざとい子供のいたずら描 . . . 本文を読む

ペイルライダー

2010年05月17日 | なつかシネマ篇
ヨハネ黙示録に出てくる<第4の騎士>をモチーフにした映画としては、イングマール・ベルイマンの『第7の封印』が有名。死神とチェスをしながら内省をくり返す『第7の封印』の騎士とはちがって、蒼ざめた馬にまたがって登場するクリント・イーストウッド演じる名もなき牧師はかなり通俗的だ。酒を飲むは女は抱くは平気で悪党を殺すはで、本当のところ神を信じているのかどうかさえかなり疑わしい。 金採掘のためカーボン谷に . . . 本文を読む

シンシナティ・キッド

2010年03月15日 | なつかシネマ篇
通りを歩くキッド(スティーブ・マックィーン)が葬式に参列する黒人の行列にとうせんぼを食うシーンからこの映画は始まる。町並みが描けている作品にハズレなしというが、まさに本作の舞台となっているニューオリンズという町の雰囲気がこの映画冒頭を見るだけでよく伝わってくる。薄暗い部屋にこもってポーカーゲームを繰り広げるシーンがメインとなっているが、靴磨き少年とのコイン投げシーンや闘鶏賭博などを巧みに織り混ぜる . . . 本文を読む

大空港

2010年03月12日 | なつかシネマ篇
矢口史靖監督の「ハッピー・フライト」という作品があったが、オールスターキャストのグランドホテル形式をまねたところといい、予期せぬ事故で飛行機が空港に引き返すところといい、まさにこの「大空港」をベースにした映画であることがよくわかる。「ハッピー・・・」が新人スッチーの成長を軸にした(若年齢層向けの)コメディだったのに対し、本作品はいたってまじめな社会派作品、大人の映画という趣だ。 パニック映画と . . . 本文を読む

めし

2010年02月13日 | なつかシネマ篇
原節子をヒロインに迎えたこの人情ドラマは、当時スランプにおちいっていた成瀬巳喜男が復活するきっかけになった作品として国内外の評価も高い。林芙美子による未完の原作を川端康成が監修、田中澄江・井出俊郎が脚本を担当し、一本の映画として完成させられたという。小津作品への起用で、当時“永遠の処女”とうたわれ神格化されていた原節子を、(それとはまるで正反対の)所帯やつれした女房・村田三千代役に抜擢したひねりの . . . 本文を読む

シベールの日曜日

2010年01月19日 | なつかシネマ篇
巷の評価が高い割にはBS等で放送されることがあまりない1本。この映画全体に漂っている暗ーい雰囲気のせいかとも思えるのだが、うつの時に見るとさらに気持ちが落ち込んでしまうため注意が必要である。BGMで使われている陰々滅々とした現代音楽風のミニマム・ミュージックも、心癒されるというよりむしろ不安感を増長するような響きがあり、主人公2人が心の奥底に抱えこんだ深い孤独がそのまま耳から浸透してきそうで恐ろし . . . 本文を読む

夜行列車

2009年12月30日 | なつかシネマ篇
「金を払うから」といって一等コンパートメントを貸し切ろうとする男と、見知らぬ男から切符を買ったという女。バカンスの真っ只中、列車の中は通路にまで人があふれるほどの大混雑。人の波をすりぬけるように男がたどりついた部屋に女物のバッグが置いてある。新聞記事を盗み読みする乗客同士の会話や、その女を追いかけてくる別の若い男の存在から、このわけあり男女の事情がうっすらと観客に伝わるのである。 ちょっと体を動 . . . 本文を読む