ネタばれせずにCINEるか

かなり悪いおやじの超独断映画批評。ネタばれごめんの毒舌映画評論ですのでお取扱いにはご注意願います。

教授のおかしな妄想殺人

2017年12月09日 | ネタバレなし批評篇
事実上のパートナーであるミア・ファーローとの間にもうけた息子が、実はフランク・シナトラの種であることが判明し、私生活はドロドロ状態のウディ・アレン。 そんな監督の精神状態を反映しているのか、その含ませ加減が絶妙だったいつもの“毒気”が、本作においては致死量に達してしまっていて後味はかなり悪い。 自殺願望の哲学科教授エイブ(ホアキン・フェニックス)にひとめ惚れしてしまういいとこのお嬢ジル(エ . . . 本文を読む

東京難民

2017年11月26日 | ネタバレなし批評篇
『洞窟おじさん』でドメバイを苦に家出、山の洞窟で社会から隔絶された生活を送った男を演じた中村蒼。おっとりしたしゃべり方に独特の間があり、地に足のついていない感じの若手俳優とは一味違う、昭和な魅力を自然体で演じることのできる数少ない男優の一人だろう。 本作でも、母親が他界し親父が女をつくって失踪後大学を除籍、アパートも追い出されアッというまにホームレスに転落する大学生を演じている。 まずはお . . . 本文を読む

ブレードランナー2049

2017年11月24日 | 映画館で見たばっかり篇
この映画に出ていたレプリカントではない生身の人間は、元祖ブレードランナーのデッカード(ハリソン・フォード)を含む(含まないという説もあり)ほんの数人ではなかったか。 将棋の世界ではすでにプロ棋士の歯が全く立たないAIが出現し、そのAIをいち早く導入した金融業界では今後数年のうちに10万人もの行員が職を失うらしい。 介護や運送など3Kに近い仕事は近い将来確実にロボットによって代行され、一部V . . . 本文を読む

いとこ同士

2017年11月23日 | なつかシネマ篇
ゴダールやロメールと親交の深かったヌーベルバーグ一派の映画監督クロード・シャブロル。私は本作ではじめてこの監督の作品にふれたが、ロメール作品とはまたちがった俗っぽさに奇妙な魅力を感じる1本である。 田舎から出てきた好青年シャルル(ジェラール・ブラン)が受験のためパリに住む従兄弟のポール(ジャン=クロード・ブリアリ)宅に下宿することに。そのポールはといえば同じ受験生にもかかわらず夜毎パーティ三 . . . 本文を読む

ヘッドライト

2017年11月22日 | なつかシネマ篇
『地下室のメロディ』『シシリアン』での名コンビ(監督アンリ・ヴェルヌイユとジャン・ギャバン)と言えばピンとくる方も多いのではないだろうか。本作はそのジャン・ギャバンが、まだ主役を張っていた頃のラブストーリーである。 原作では、パリとボルドーを往復するトラック運転手ジャンの不倫を苦に妻ソランジュが自殺。その死の嫌疑が夫にかかり、愛人クロが不倫発覚をおそれて街道筋の宿屋に身を隠すといったストーリ . . . 本文を読む

シン・ゴジラ

2017年11月14日 | ネタバレ批評篇
『自分の外には自分の知らない感情が無数に存在し、まったく矛盾する幸福感を持つ人たちが、隣り合わせで生きているのだ。私のLOVEは誰かの悲しみだったり。』 HONDA TVCM〈Go,Vantage Point〉より エヴァンゲリオンはもちろん、軍事から鉄道まで幅広いヲタのみなさんが泣いて喜びそうな小ネタ満載の本作は日本では大ヒットを飛ばしたが、海外での評価はいま一つ盛り上がりに欠けているよ . . . 本文を読む

X-MEN フューチャー&パスト

2017年11月07日 | ネタバレなし批評篇
ファースト・ジェネレーションの続編にあたる本作は、今回原案のクレジットに留まっているマシュー・ボーンが9割方脚本を書き終えていた1本だ。 ストーリーの決着のさせ方をめぐって20世紀FOXと意見が対立。結果ボーンは監督を降板し、代わりに初代シリーズ監督のブライアン・シンガーがメガホンをとることになったらしい。 予告編には登場していたローグ(アンナ・パキン)も、なぜか本編からはその登場シーンが . . . 本文を読む

ノック・ノック

2017年11月04日 | ネタバレなし批評篇
タルコフスキーを気障に語った後にこの映画についてコメントするのも我ながらどうかと思うのだが、そのギャップを楽しむのもまた映画の醍醐味である。   イーライ・ロスと言えば、ホステルシリーズでもお馴染みのホラー映画監督。ハリウッド俳優でもあるイーライの作風はと言えば、ドギツイほどグロテスクな殺戮シーンで、こちらも長身イケメンの容姿からは想像もできないギャップ感。 今回はその血みどろ演出はかなりお . . . 本文を読む

ノスタルジア

2017年11月04日 | ネタバレ批評篇
過去、一体何人のシネフィルたちが自らの哲学的ポエジーを本作の映像にシンクロさせたことだろう。ソ連当局による検閲を逃れるためにあえて難解にせざるを得なかったのかもしれないが、本作における余白演出はシネフィル格好のご馳走だったに違いない。 そんなタルコフスキー作品を特徴づけるのが、何といっても“水”の扱いである。監督の故郷を思わせる映画冒頭の高原には“霧”が流れ、聖なる狂人ドメニコ(エルランド・ . . . 本文を読む

ボーダーライン

2017年10月30日 | ネタバレ批評篇
FBIでの実績が認められ、メキシコ国境付近の麻薬カルテル撲滅作戦に駆り出されたケイト(エミリー・ブラント)。「俺たちの後ろについてただ見ていろ」という指令にとまどうケイトは、麻薬捜査官のマット(ジョシュ・ブローリン)やその同僚アレハンドロ(ベニチオ・デル・トロ)らの法律無視の行動に疑問をいだくのだが・・・ 『オール・ユー・ニード・イズ・キル』以降なぜか屈強な女戦士を演じることが多くなったエミ . . . 本文を読む

完全なるチェックメイト

2017年10月29日 | ネタバレなし批評篇
米ソ冷戦下、チェス世界チャンピオンに挑む若き天才ボビー・フィッシャーの伝記映画である。 このボビー・フィッシャー、人格は完全に破綻していて、無礼きわまりなく、しかも精神に異常をきたしている相当な変人だったらしい。 宿泊ホテルがKGBに盗聴されていると疑っては電話を分解し、ゲームに集中できないと主催者側にキレては観客の咳やカメラを回す音にまでイチャモンをつける。 試合のフィーを上げなければ . . . 本文を読む

湯を沸かすほどの熱い愛

2017年10月22日 | ネタバレなし批評篇
新人監督の商業映画デビュー作とはとても思えない完成度の高いオリジナル脚本。 本作で主人公の娘役を演じた杉咲花ちゃんをあて書きしたというシナリオは、まるで監督の実体験に基づいているのではないかと思わせるくらい、母親に捨てられた女の子の気持ちが超リアルに描かれている。 ブラジャー&パンティや蟹&しゃぶしゃぶ、手話に牛乳?などの伏線を駆使しながら、学校でいじめを受けているひっこみ思案の安澄(杉咲 . . . 本文を読む

そこのみにて光輝く

2017年10月21日 | 激辛こきおろし篇
何回も有名文学賞の候補に上げられながら、受賞することなく非業の死をとげた作家佐藤泰志。本作はその佐藤の出身地である函館を舞台にした3部作のひとつだそうである。 同世代の村上春樹や中上健次の影に隠れてほとんど脚光をあびることのなかった佐藤は、晩年文芸新人賞応募作の下読みにまで身を落としたらしい。 作家の死後全著作が絶版状態にあったらしく、熊切和嘉監督『海炭市叙景』の映画化にあたっては函館市民 . . . 本文を読む

ヘイトフル・エイト

2017年10月14日 | ネタバレなし批評篇
タランティーノによれば生涯映画は10作品しか撮らないとはなっから決めているそうで、その第8作目にあたる本作は内3本撮る予定の西部劇2作目なんだって。 処女作『レザボア・ドッグス』が1992年ということは、24年間で8作品→1作品に約3年かけているわけで、結構寡作な映画監督だったのだ、タラちゃんは。 時代は南北戦争後、賞金稼ぎ、新保安官、首吊り執行人と、訳ありの8人が猛吹雪の中山小屋風服飾雑 . . . 本文を読む

インヒアレント・ヴァイス

2017年10月08日 | ネタバレ批評篇
  ノーベル文学賞を何度も辞退している謎の覆面作家トマス・ピンチョンによる「LAヴァイス」が原作。何せ名誉とか栄誉とか目立つことには一切興味のない作家さんだそうだが、今回初めてお墨付き与えた映画になんとピンチョン自らカメオ出演しているという噂も。 ヒッピー文化への言及が多い原作は、ピンチョン著作の中でも最もわかり易い部類に属するらしいが、映画を見る限り登場人物や団体名を覚えるだけでも一苦労、サ . . . 本文を読む