ネタばれせずにCINEるか

かなり悪いおやじの超独断映画批評。ネタばれごめんの毒舌映画評論ですのでお取扱いにはご注意願います。

ハート・ロッカー

2010年03月07日 | 映画館で見たばっかり篇
非常に評価の分かれる作品となるだろう。

主人公をヒーロー化しアクションに重きを置きすぎれば賞レースから縁遠くなるし、反戦をメインテーマにすえると映画は地味になって観客を呼びにくい。映画監督にとって戦争映画というのは実は難しいジャンルなのである。

前作『K-19』を「重くて暗い」と酷評された監督キャサリン・ビグローはその辺を重々承知の上で、本作の制作にとりかかったと思われるのだが、教訓をあまり学んではいないようだ。

本人は、爆弾処理の緊張場面と兵士の感覚が麻痺してしまうほどの戦争トラウマ(中毒)描写を両立できたと思っているのかもしれないが、大いなる勘違いである。

心臓バクバクの爆弾処理シーンがこの映画最大の見所なのだろうが、1回見てしまえば後は同じことの繰り返し、別部隊からお呼びがかかるたんびに現場に出向いて処理する。ただそれだけなのだ。

平地で逃げが決まった自転車レースのように退屈きわまりなく、後々のストーリーに絡んでくるような伏線にもなっていないので、安心してトイレのために途中退席できるほど物語はひたすら単調である。

ビグロー女史、この事にはさすがに気がついたとみえ、途中に『ザ・シューター』もどきの極大射撃シーンや、命令無視のベッカム単独捜索?エピソードなどをつっこんでいたが、オチのない中途半端な演出がかえって目立ってしまっている。

目的達成のために最後まで死力をつくせば、この主人公(ジェレミー・レナー)まだかわい気があるのだが(かわいいのはその童顔だけで)、突飛な行動をとる割には何かあるとすぐ基地に戻ってくる腰の引け具合が気になるところでもある。

戦場の緊張感にさらされる兵士たちの心理描写のパートも、『勇者たちの戦場』などに比べれば浅すぎて、とてもリアルにはほど遠い。大体、たたきあげの黒人兵士(しかも男&こちらもベビーフェイス?)が「子供がほしい」なんてたわ言を戦場でもらすはずがない。

最も存在感を示せそうな俳優(ガイ・ピアース)を無謀にも冒頭殺してしまうかと思えば、レイフ・ファインズやデヴィット・モースという大御所俳優たちもついでに飼い殺ししてしまう。監督のキャスティングにも大いに?が残る。

アカデミー賞のライバル作品でもある『アバター』で、反戦メッセージをこっそり裏側に隠した元だんなのデリケートな演出に比べると、本作のそれはあまりにもお粗末すぎて、とても対抗馬といえるほどのクオリティには達していない。

本作関係者の裏メール工作や盗作疑惑がにわかに注目を集め、今年のアカデミー作品賞どちらに転ぶか予断を許さない状況ではあるが、夫婦決戦というお題目をかかげるために主催者側に(実力以上に)持ち上げられた1本のような気がする。

ハート・ロッカー
監督 キャサリン・ビグロー(2008年)
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1 コメント

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アカデミー作品賞 (かなり悪いおやじ)
2010-03-08 21:15:53
予想通り、イラク戦争を侵略戦争として否定した『アバター』が負け、基本的に従軍兵士の勇姿をたたえた本作品がアカデミーを制しました。 しかし、よりによってこんな駄作を選ぶとは、『アバター』どうのこうのよりキャメロンへの当て付けとしか思えません。 よっぽど嫌われてるんですね。

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