ネタばれせずにCINEるか

かなり悪いオヤジの超独断映画批評。ネタばれごめんの毒舌映画評論ですのでお取扱いにはご注意願います。

パーフェクト・ゲッタウェイ

2010年07月16日 | 激辛こきおろし篇
登場する3組のカップルのうち1組が凶悪殺人犯。ハワイ・カウアイ島の密林地帯を舞台に繰り広げられるサスペンス・スリラーは、「あなたもきっと騙される」というコメントを読んだだけで、犯人が特定できてしまう底の浅さが難点の作品だ。一番怪しげなカップルが映画中盤にあっけなく逮捕されてしまうため、きわめて簡単な犯人当てクイズに陥ってしまっているのである。

主人公の新婦に扮したミラ・ジョボヴィッチが劇中相当の若作りをしていて、イラッとさせれた人も多かったのではないだろうか。かわいこぶりっ子のミラが、突如としてバイオ・ハザードのアリス化するくだりにも相当な無理があり、観客を騙すためだけに書かれた本作のシナリオに感情移入できる人はほとんど0(ゼロ)に近いだろう。

そもそも犯人カップルの目的が定かでない。脇の甘い新婚カップル目当てに強盗を働くのだったら、もっとバレにくい楽な方法がいくらでもあっただろう。正体を隠すための歯抜きに指チョッキンなのだろうが、こんなハワイの山奥でわざわざ別人になりすます必要がどこにあったのだろうか。被害者の歯を後生大切に保管しておいた理由もまったくもってわからない。

主人公の男が映画脚本家という設定がのちのち関係してくるのかと思いきや、結局は瞳孔の開き具合だけで正体がバレてしまうお粗末ぶり。観客のミス・リードがめちゃくちゃわだとらしい本作脚本家の瞳孔も、きっと開きっぱなしだったにちがいない。

『SAWシリーズ』をまねたラスト直前のネタバレダイジェストを見るにつけ、カウアイ島山間部という閉ざされた空間でシチュエーション・スリラーでもやろうとしたのだろうが、逃げようと思えばいくらでも逃げられる“穴”だらけの設定では、観客の緊張感も抜けっぱなしなのである。

パーフェクト・ゲッタウェイ
監督 デヴィッド・トゥーヒー(2009年)
〔オススメ度 

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